2015年4月26日

犬神家の一族 2015年再考


このクソブログ「ブタネコのトラウマ」開設10周年と 朝日新聞出版より「横溝正史&金田一耕助シリーズ DVDコレクション」が発売されたのを機に再考してみようと思う。





横溝フリークに金田一耕助シリーズの中で最高傑作は?と問うた時 この「犬神家の一族」を挙げる人が少なく無い。


私はその意見には同意しないが、例えば「血の系譜」「怨念」「判じ物」「連続殺人」といった金田一シリーズ独特のエッセンスがテンコ盛りで巧く融合された一冊である事は否定しない。


で、「犬神家の一族」は私の知る限り過去に8回映像化されている。


  1.犬神家の謎 悪魔は踊る(1954年) 金田一:片岡千恵蔵

  2.蒼いけものたち(1970年) 金田一:なし

  3.犬神家の一族(1976年) 金田一:石坂浩二

  4.横溝正史リーズⅠ 犬神家の一族(1977年) 金田一:古谷一行

  5.横溝正史傑作サスペンス 犬神家の一族(1990年) 金田一:中井貴一

  6.横溝正史リーズ5 犬神家の一族(1994年) 金田一:片岡鶴太郎

  7.金田一耕助シリーズ 犬神家の一族(2004年) 金田一:稲垣吾郎

  8.犬神家の一族(2006年) 金田一:石坂浩二


上記のうち、1と2は原作「犬神家の一族」とはなっているが中身はほぼ別物なので放っておく。


そして、3の「犬神家の一族(1976年)」の市川崑による金田一耕助=石坂浩二で初めてよれよれの着物姿の本来の金田一耕助像が映像で描かれ 多くの金田一フリークは泣いて喜んだのだけれど 例えば、「石坂金田一はハンサム過ぎる」と不満を述べる人もいたのも事実。


なので、今回は試しに3の「犬神家の一族(1976年)」に関して私なりに実験的に批判的な事を述べてみようと思う。




犬神家の一族


1976年に公開された市川崑による「犬神家の一族」は これまでにこのクソブログで何度も記したようにエポックメーキングで それ以降に映像化された金田一シリーズの殆どが 原作における本来の金田一耕助像が描かれたキッカケとなっており、映画の内容自体も原作そのままではない部分があれども 多くの金田一フリークからは認められた一本となる。


でもね、落ち着いて全編を見通していくと いくつか疑問な点があるのも事実なのだが、それらに関して 私はこの映画を公開時に映画館で何度も見ていた時点で気づいていたのだが、少なくともこのクソブログでそれを述べた事は無い。


で、いつだったか(数年前の事) 何方だったか覚えていないが、非公開コメントで


「市川版の金田一映画に関して 多少なりとも批判めいた記述が無いのが不思議だ」


という内容の御指摘を頂戴し その方にメールで


「いつか機会があったら記しますね」


と約束した事も覚えている。


というわけで、今更ながらその約束に応えようとも思うのだが...


1976年に公開された市川崑による「犬神家の一族」において 私なりに「これは変だ」と思った部分は


犬神家の一族

犬神家の一族

犬神家の一族

犬神家の一族


「佐智の死体の発見現場と状況」


朧気な記憶だが、原作では 廃墟となっている犬神家の旧宅で椅子に括り付けられて首を絞められて殺されていた...と。


それが映画版では首を絞められてまではそのままだが、何故か屋敷の瓦屋根の上に放置となっているのは何故なんだろう? と。


犬神家の一族


左武は首を切断されて菊人形の首とすげ替えられていた。


犬神家の一族


佐清(?)は犬神家の代名詞ともなった上の画


それらに対して「廃屋の中で括り付けられている」という構図はおとなしくて猟奇性みたいなものが欠けていると思ったのだろうか?...


例えばこの件に関して 佐智に惚れ、彼の子供を宿していた小夜子は佐智の亡骸を見て発狂してしまう...という展開があるのだが、ことその部分に関してのみ言えば 市川版映画の方が説得力がある という見方もある。


しかしながら、成人男子の死体を屋根の上に運び上げるには大人の男一人で可能か否か?など ツッコミの余地も多分にあると私も思うし、同じ事は第4の殺人に関しても言える事なのだが、まぁ、第4の場合は判じ物という側面があるから話は別かもしれないが。


で、結局重要な事は 尺の関係で...とか、これまでにない新解釈...等と言う理由で改悪してしまう邦画の悪癖にこれが含まれるか否か?というのが どうでもいい事と受け止めるかの範疇なんだな。




さて、つい先日朝日新聞出版より「横溝正史&金田一耕助シリーズ DVDコレクション」と銘打たれて古谷一行版の金田一耕助シリーズが発売されたわけで... 「朝日新聞出版社」が刊行という部分は個人的には業腹ではあるが、1983年以降に放送された古屋版の2時間ドラマ系の中にはDVD化されてない物や 再放送すらまともにされてないものもあるため、定期購読を申し込んだのだが、これ全部で55巻あり 隔週発刊の為、最終55号の発売は2017年3月14日だそうな それまで朝日新聞出版社が潰れない事を願う


で、その創刊号が「犬神家の一族(上)」で 2巻目が「犬神家の一族(下)」だったので ついでにそれについても触れておくと...


犬神家の一族


放送されたのは1977年で全5話 背景的な事を言えば、前年に市川版「犬神家の一族」が映画化されてヒットし、当時の角川書店が仕掛けたメディアミックス戦略によって横溝ブームが生じており、ドラマ版が製作・放送されたのも必然だったとは思う


主役の金田一耕助役に古谷一行が起用され 石坂版とは似て非なる金田一耕助像がファン的には評価が高く その後、継続的に出演するわけだが、あくまでも個人的な記憶で言えば この金田一耕助役を演ずる以前の古谷一行を私は知らず、ゆえに私にとっては無名の存在だった彼が好演だったのでそのぶん評価も割り増しになったのは否めない


また、この古谷版「犬神家の一族」は かなりの部分が原作に忠実で 例えば先述した


犬神家の一族


「佐智の死体の発見現場と状況」も ほぼ原作通り。


「原作物を映像化する際に原作に忠実に描くべきか否か」という事は 少なくともこのドラマが放送された1977年当時から今に至るまで延々と言われてきている事だが、市川版「犬神家の一族」に対する横溝フリークの評価の高さの中には「ようやく本当の金田一耕助を描いてくれた」という感謝の気持ちが含まれているのだが、それでも市川版には市川崑監督なりのアレンジが施されているのに対し、厳密に言えば この古谷版「犬神家の一族」の方こそが もっと原作に忠実であるがゆえにこちらを評価する人も少なく無いのだと私は思う。


それと、これも評価の分かれるところなのだが


犬神家の一族


市川版の松子を演じた「高峰三枝子」も決して悪くは無かったが、


犬神家の一族


古谷版の松子を演じた「京マチ子」の方が 私が原作を読んだ時に抱く「松子」のイメージに近く評価したいポイントである。


犬神家の一族

犬神家の一族

犬神家の一族

犬神家の一族


コメント(2)

「死体を屋根の上に運び上げる」…あのシーンに関しては映画ならではの「けれん」だと解釈してます。あそこはホラー演出がされてましたよね。猟奇的な死体出現シーンは金田一シリーズのキャッチーな見せ場になります。突っ込み始めたらスケキヨの逆立ち死体なんてありえないのですから、難いことは言いっこなしでしょう。
獄門島の三姉妹(死体)の有様も同様です。
生身の人間が切迫した状況下でそうも計画(ロジック)道理に動けるはずがないだろうというこちら側の常識は往々にして謎解きを狂わせます。ですが面白ければそれはよしとするわけです。華麗なテーブルマジックも結構ですが、引田天功の大脱出は馬鹿らしくも楽しい。昔の島田荘司なんて引田天功みたいでしたよ。
でも、最近、あまりにも無理なトリックを売れっ子作家(?)が堂々と使い、出版社がドヤ顔で宣伝したりしているのに当たると不幸になります。

★ 支店長 さん

「けれん」 その通りだと思います。^^

間もなくメンテナンスが終了しますが 今回の艦これイベントはバケツ不足に泣きそうです。

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