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2013年05月09日

● 本陣殺人事件に関する私見


『本陣殺人事件』横溝正史:著に関する私見をあらため記してみる。




この記事は「虎馬さんのブログの記事」に対するコメントを記していたら長文になってしまったのと、このところ、何人かの方から『本陣殺人事件』や『金田一耕助シリーズ』に関するお問い合わせを頂戴した事を鑑み 記事として記す次第。


どうやら、それはブログ仲間の「虎馬」さんや FacebookにおけるHさん(どう御迷惑をおかけするか判らないのでひとまず仮名にさせて頂く)の記事やリンクによるものの様な気がする。^^


で、良い機会かもしれないので私見を記事として記しておこうと思うのだが、内容の大半は いままでこのクソブログの中のいくつかの記事で述べている事の繰り返しになってしまう事を どうか御了解頂きたい。




私が、これから横溝正史の金田一耕助シリーズを読み始めようとする方に贈るアドバイスは ただひとつ。


「数多ある作品群の中で 最初に読むのは”本陣殺人事件”にすべきだよ」と。


その理由の第一は 「本陣殺人事件」が基本的に金田一耕助の事件簿の中で小説化されている中の最も古い事件だからだ。


ちなみに、「本陣殺人事件」を読み進めていくと 実は「本陣殺人事件」よりも前に


・サンフランシスコでの事件


・『本陣殺人事件』の直前に大阪で解決した事件


といった記述が出てくるけれども 残念ながら、金田一耕助シリーズの中に それに該当する事件の書物は無い。


また、「幽霊座」という本の中にも「本陣殺人事件」よりも前のエピソードが記述されているけれども やはり、それに関しても金田一耕助シリーズの中に それに該当する事件の書物は無い。


つまり、私なりの解釈では「本陣殺人事件」が「金田一耕助シリーズ」の第1作という位置づけと考えているからだ。




次に第二の理由として 残念ながら、市川崑監督による石坂浩二:金田一耕助の映画シリーズでは映像化されなかった事から、推理小説に興味の無い方々には「犬神家の一族」や「獄門島」といった作品に比べて知名度が低いらしいけれども 「本陣殺人事件」は「密室の殺人事件」という 探偵小説の王道中の王道にあたるプロットの作品として傑作だという事。


解説者の中には この本はシャーロック・ホームズ・シリーズの「ソア橋」云々という話を耳にする事はあるけれども、横溝正史自身はロジャー・スカーレット:著『エンジェル家の殺人』からヒントを思いついたと語っていたと私は記憶している。


が、いずれにせよ まんまパクったと批難されるものではなく 江戸川乱歩(か、中島河太郎(著名な推理小説評論家))による「密室殺人を組み合わせた創意工夫の妙を高く評価する…という評価を尊重したい。




また、第三の理由として…


金田一耕助シリーズの「本陣殺人事件」に限った事では無いが、例えば昭和という時代の日本の地方都市の雰囲気(因習とか血脈だけでなく、風習とか生活様態も含めて)を その時代を知っている者が思い起こす時、それらが実にたっぷりと作品中に描かれている事は 後世にそれを伝える文献としての価値としても高いと私は考える


東京の様な大都市で生まれ育った人には実感が湧きにくいかもしれないが、地方都市に育った私としては 推理小説なのに、何故か懐かしさがこみ上げる記述に溢れている。


例えば、「本陣殺人事件」の中で後に「三本指の男」と呼ばれる人物が 舞台となった旧本陣だった屋敷で水を一杯飲ませてもらうくだりがあるが、たったそれだけにも


・公共交通機関に恵まれず数十キロの道程を歩いて行くのが普通だった場所がいっぱいあった

・見ず知らずであっても 水を無心したり便所を借りれる気安さがあった


…などが伺え、現代では例え地方都市であっても「コンビニ行けよ」とか「~の公園に行けば公衆トイレと水飲み場があるぞ」と 見ず知らずに対して警戒心ばかりが先だってしまう風潮で生まれ育った若者には理解しがたい事だろう


「美しい日本」とか「絆」とか言葉として簡単に語るのはいいけれど、そんなかつての日本の雰囲気を知っているか否かでは意味や含みや重みも違ってしまう時が結構あるんだよね




以上、三点の理由による。



で、最後に蛇足だが 虎馬さんの問いかけ(本陣殺人事件のキャスト)に個人的意見を記しておく


久保克子 :木村多江

久保銀造 :國村隼

一柳賢蔵 :遠藤憲一

一柳三郎 :山田孝之 もしくは、小出恵介

一柳鈴子 :福田麻由子

磯川警部 :三浦友和

金田一耕助:堺雅人


そんな「本陣殺人事件」を私は観たい


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

おお!
このキャスト、完璧過ぎます。私も、この「本陣」を(切実に)観てみたい!

三浦友和の磯川警部がいいですね。
想像しがたいけど、わくわくします。

ご紹介ありがとうございます。


『ソア橋』の件は 金田一耕助自身が文庫169Pで 賢蔵がこれを参考にしたのではないかと語っていたものですから そう記してしまいました。


賢蔵がなぜこのようなことを考えたのか

克子がなぜ過去のことを話してしまったのか

三郎がなぜ加担したのか


そんな疑問がすべて納得させられる物語の組み立ても素晴らしいです。


それから 俺もこのキャスティングで是非見てみたいです!

なんとかなりませんかね~

特に 福田麻由子の鈴子 いいですね!

今、猫や人形を抱かせたら彼女の右に出る者はいないでしょう(笑)

想像するだけでゾクゾクします。

★ めとろん さん

お久しぶりです。^^

個人的お気に入りを並べただけなんですけど、こういうキャストで見てみたいと


★ ぴの さん

市川崑版の若山富三郎がとても秀逸だっただけに 今なら誰だろうと考えた時に 個人的に真っ先に
思い浮かんだのが三浦友和でした


★ 虎馬 さん

>『ソア橋』の件は 金田一耕助自身が文庫169Pで 賢蔵がこれを参考にしたのではないかと語っていたものですから

ええ、その通り。

これは虎馬さんへの文句では無いので気を悪くしないで下さいね

「金田一シリーズ」を読み、横溝正史の対談集やエッセイを読むと 横溝正史という人が戦前戦後という
時期に 実に多くの海外の推理小説を 原書で、深く読み下していた事が判ります。

例えば、本陣殺人事件の場合 御指摘の通り、本文中に金田一自身が「ソア橋」を挙げているので
アンチ金田一系の人は単純に「ソア橋のパクリ」と批判しますが 実はそうじゃねぇんだよ…という事を
書いておきたかっただけなんです。^^

『本陣殺人事件』読了しました。

「本陣の悲劇」(角川文庫、pp.159-167)で、「一柳家」の当主である「腎蔵」をして「***********」という行為にいたらしめた「腎蔵」の性格、一柳家の雰囲気に言及する金田一の語り口が圧巻でした。

「腎蔵」の遺品から持ち主であった「腎蔵」の性格を造形してみせるわけですが、これまでに形作られてきた自分自身の性格にさえも束縛されながら生きていかざるをえない人間の複雑な内面を余すところなくとらえきり、「本陣の悲劇」としてまとめ上げるところに金田一の尋常ではない優しさをみました。

「つまり、ふつうの人間にとって不自然に見えるこの動機も、腎蔵氏の性格と、本陣の末裔というこの家の雰囲気から見れば、少しも不自然ではない。いや、むしろ避くべからざる動機となったのですよ。」(p.166)

はたからみればどんなに理解しがたい行動も、具体的な個人にとっては彼なりに筋の通ったものなんですよね。

世間の視線も、個人の歴史で培われたプライドも、どちらも自覚しないではいられないなかでの彼の選択…

《文学作品》になっているんだな、と思いました。

金田一が実験的に証明するトリックも、各パーツの空間的配置が緻密に組み立てられていて、何度か読み返しながらトリックの装置を頭のなかに再現してみる作業も楽しいものがありました。


蛇足をひとつ…

「第三の理由」としてブタネコさんが述べておられることの本旨を揺るがすものではないのですが、「三本指の男」が水を飲ませてもらうのは、「旧本陣だった屋敷」ではなく、役場の向かいにある「一膳飯屋」(川田屋)ですね。

念のため。

★ はぎわらさん さん

まず最初に 管理人権限で一部分を伏せ字にさせて頂きました ごめんなさい。

そして、

>役場の向かいにある「一膳飯屋」(川田屋)

はい、完全に記憶違いをしておりました ごめんなさい。

記憶を頼りに記述しておりましたので 近日中に再読して記憶を修正しておきます。

>文学作品

そうなんです。 だからこそ、TVや映画の原作御用聞き作家と並べて語って欲しくないんです

>管理人権限で一部分を伏せ字に

いえいえ。
《探偵小説》にたいする言及なのに、うっかり核心的部分に触れてしまっていました。
すみませんでした。


ブタネコさんのブログを通じて知ることがなければ、僕が横溝作品を読むことはおそらくなかっただろうと思います。
あらためて、よい作品のご紹介に感謝します。
月並みな表現でしか謝意を表現できず、すみません。
これから少しずつ横溝作品をひもといていこうと思います。

★ はぎわらさん さん

ごめんなさい、ほとんどネタバレ記事を掲示してるので「境界線はどこ?」って突っ込まれると
返す言葉が無いんですけどね 御容認頂けて幸いです。

横溝文学は良いですよ 探偵小説なのに泣けますから

【※注意!!】

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