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2013年03月19日

● 兵士は起つ


杉山隆男 著:『兵士は起つ』を読んだ。




兵士は起つ

 刊:新潮社 ISBN:978-4-10-406205-8


実を言うと、ほぼ発売直後にこの本を入手していた。


届いた本を手にして本の表紙を見た時、ただそれだけで泣きそうになった。


これまでいくつかの記事で述べた事だが、良い意味でも悪い意味でも 自衛隊の事をちゃんと記すジャーナリストは「宮嶋茂樹」と この「杉山隆男」の二人だけだと私は感じており、その「杉山隆男」は前作『兵士になれなかった三島由紀夫』において「兵士シリーズ最終章」と記していたのを見て とても残念に思っていたのだが、それから6年 再び氏の「兵士シリーズ」が刊行されたのは嬉しい限り


しかも、今回の題材は東日本大震災に関わった自衛隊とあっては もうそれだけで目頭が熱くなる。


ただ、折悪く 私の体調が優れなかったのと、2周年目の3月11日を約半月後に控えていた事もあって 勝手ながら私は「今度の3月11日が過ぎたら読もう」と決めて今に至る。


で、読み終えた感想を述べると…


この本の中で取り上げられている航空自衛隊の松島基地と陸上自衛隊の多賀城駐屯地 どちらも311で津波に遭い 松島ではF-2をはじめとする多くの機体が水没し、多賀城では災害派遣に出動しようとしていた多くの車両が水没し どちらも高価な装備をダメにしてしまったと いろんなメディアなどから批判された。


しかしながら、駐屯地や基地が津波を被ると言う事は隣接した官舎も同様で 隊員達にしてみれば自分の家族が心配になるのは当然の事なのだが、自衛隊という組織の性質上 私よりも公を優先し 被災地での救助に出かけている


1機当たり120億とも言われているF-2が廃棄ともなれば 元々が反自衛隊のメディアなどにとっては格好の批判材料だから仕方が無いとも思えるが、そういう反自衛隊思想の輩が同時に口にするのは「命の尊さ」であれば 機体よりも隊員の安全確保・避難を優先させた指揮官達の判断が批判されるという事は「自衛隊員は人じゃ無いのか?」「自衛隊員の命が尊くないという考えは むしろ、戦中の”兵士は使い捨て”と同じ事を言ってないか?」と問い詰めたくなるのだが、自衛官自身はそういう反論は言ってはいけないと躾けられているから言わず、それを代わりに言ってくれるジャーナリストが「宮嶋茂樹」であり、「杉山隆男」


私は自衛官の倅で物覚えがついた頃から、高校生まで官舎暮らしだったので 災害派遣や 例えば、「ミグ25事件」「ばんだい号墜落事故」などで自分の父や官舎の顔見知りのオジサン達が出動するのを何度も間近に見て過ごしたが、「災害派遣に俺達が出動しないで誰が行くんだ?」というのが自衛官であり、黙ってそれを見送るのが自衛官の家族なのだ


だから、先日「たかじんのそこまで言って委員会」なんて番組をBGM代わりにしていたら田嶋陽子が話の中で「たかが自衛隊」と言い切ったのを見た時には心の底から「このバカだけは殺したい」と激しく思った事を正直に記しておく。




さて…、


この本を読んでいる最中、私は何ヶ所かで先を読み進めるのが困難になる程泣かされた。


けどね、読み終えた時に一番強く感じた事は


「杉山さん お願いだから、もっと多く 別の部隊の隊員達の事も書いてくれ」


という飢餓感みたいなものだ。


それは決して著者に対する批判でも 内容に対する文句でも無い。


自衛隊の、自衛官の視点で もっと多くを後世の為に書き残して欲しいという懇願だ。


大震災以降2年が過ぎ、「絆」とか「復興」とかいろんなメディアや政治屋が安直に語ってきて 最近になってようやく「首相官邸では」とか「震災直後の原発では」なんて検証まがいの番組も流されるけど、例えば「救助」という点については殆ど触れられていない


特に、「震災の教訓を活かして防災を見直す」という言葉はよく耳目にするが、大災害や大事故が起きた時の「救助」にも目を向けるべきなんじゃないの?


その場合、「災害派遣に出動した自衛隊」が経験した苦労や困難にこそ真摯に耳を傾けるべきだと思うのね


この本を読んでいると「たまたまそこに舟があった」とか「あり合わせの材料で作った筏」のお陰で出来た救助も それらが無かったら?と ついつい考えてしまう。


自衛隊云々に関わらず、そういう事こそ広く知らしめるべきだと思うと この本の貴重さは計り知れないものがあると私は思う。


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コメント

番組改変時になると必ず各局で警察ヨイショ番組が放送されますが、自衛隊が取り上げられることはまずないですよね? 私はそこにTV局の摺り寄りを感じていしまいます。
TV局が自衛隊に摺り寄る必要がない(本当にないのかどうかは疑問ですが)今の状況は日本という国、日本人にとっては良いことなのだと思いますが、間違っても、その存在を忘れたり、軽んじたりすることのないようにしなければならないと私は思います。

ブタネコさんへ
ご無沙汰しています、この本の入手は近くに本屋さんが無くなったので、あさってになりそうです。読後の感想は又後日ということで、今日は最近の鬱々とした感想です。
先日防衛大学卒業式での安倍総理の訓示を読みました、今までの首相の訓示に比較してなかなか傑出した内容だと思いましたが、しかしもう一つ踏み込んでもらいたかった。そう支那のレーダー照射に関してです。’次回このような照射が行われたら、国際法に則って、自衛のため反撃する許可を現場の司令官に与えました。彼らにも守るべき家族があり、そんな彼らに黙って死ねとは最高指揮官として言えるものではない’これ位言ってほしかった。支那の連中は絶対自衛隊が手を出さない事を知っているから傍若無人の態度に出る訳で、現場の自衛隊諸君の気持ちを思えばなんともやるせない。

私も同じように書店で見かけ即購入、
3月11日を期して読み始めたのです。

新潮への連載時期を見ても、震災後早い
うちからのアクションだったようですね。
また、ノーベル賞受賞作家への2箇所に
わたる執拗な筆撃には、「よく書いた!」と。

「公」優先を当然のごとく遂行する「兵士」と
その家族の姿には泣かされました。

実は、警察官だった亡き父は若いころは
機動隊に所属したことがあり、かの伊勢湾
台風直撃の時は、父不在の夜を母と妹3人で
過ごしたことを思い出しましたよ。


★ BA さん

元々、組織の性質上メディアに開かれていませんでしたし、左寄りな考えの強い人が
多いメディアからは嫌ってなんぼみたいな扱いでしたからね

たしかに、昔を思えばいろんな意味で少しはマシになったと思いますが


★ ボース さん

ハンドルを変えられたのでしょうか? 一瞬、戸惑いました。^^

>先日防衛大学卒業式での安倍総理の訓示

近年の総理の訓示としては とてもまともだったと思います。

自衛隊や国防に無恥な総理や防衛大臣が続いていただけに ようやく感が強いですね


★ おじさん さん

そのクソ物書きは思い出すだけでも気分が悪いですね

そう言えば、ひと月程前でしたか「自衛隊の戦闘服通勤はやめての会」とかいう
バカタレ共の抗議活動をニュースで耳目にし まだそんなクソがいるのかとウンザリ
させられたものです

有事=戦争としか考えられないアホには何を言っても理解出来ないのでしょうけど
災害派遣が下命されるのを予期して作業服姿で駐屯地に向かう途中に津波に遭い
その場で救助を始めた自衛隊員は この本に出てる者以上に大勢いたけど
仮にその隊員達が私服だったら、特に陸自の場合 半長靴を履いてるのと
履いていないのとでは それだけで話が変わる事がどうして判らないんでしょうかね?


ブタネコさんへ
今日入手して一気に読みました。最近年取って涙腺が緩んだのか涙ぐむ場面が多くて困りました。本当によくやってくれました、我々は知らなさ過ぎます、どう感謝すればよいのか分からない位ありがたいと思いました。私ごときが口にするのも畏れ多い事ですが、天皇陛下がねぎらいのお言葉をかけられたのもむべなるかなと思います。
自衛隊のことですから今回の活動の問題点の洗い出し、その対策も万全になされるでしょうから、我々としては予算面で支障の無いようにしたいものです。国が無くなれば社会保障もくそも無いので、ここを削ってでも防衛予算の充実を図るべきだと思います、僕のような老人は少し我慢が必要な時期かもしれません、昔のことを思えばなんてことはないはずです。

★ ボース さん

その天皇陛下の御言葉ですら 勝手にカット編集してしまうマスコミのおかげで 何を広く伝え、
後世に書き残すか間違っちゃってるんですよね…

『兵士は起つ』読了しました。

日本国を構成するもろもろの要素群のうちのひとつ、しかもそれがあることによって現に今の日本が成り立っているもののうちのひとつを描きだすものとして本作を興味深く読みはじめました。
一番の感想は、自衛官がどこまでも《当為》を大事にする存在であるのだということでした。
みずからの任務に忠実に、それこそ《まさになすべきこと》を明確に意識にのぼらせ、その当為にみずからの現実の身体と精神を合わせていく…眼前の事態についても、長期的な視野での鍛錬についても…すさまじい使命感だと思いました。

第一部での、津波の濁流の中で各人の見た光景、各人の認識の描き分けの見事さに、みずからが取材でえた《事実》をどこまでもありのままに記録していこうとする杉山氏の意志を感じました。

およそあらゆる文章において書き手の《価値判断》の混入を排除することは原理的に不可能であるという前提はありますが、そのうえで本作の全体をつらぬく杉山氏の冷静な筆致には感服させられました。全編通して書き手の価値判断が背後に隠れているぶん、《老作家》への怒りがきわだってきます。

願わくば、あの巨大すぎる出来事群の中での一人一人の人間の外的な行動と内面をここまで丁寧に記録しているのだから、書き手のその思いをもっと具現するためにも、もっと丁寧に編集者が目を通して技術的な間違いを訂正し、よりよいテキストにしてほしい、と いずれなされるであろう文庫化に期待するところです。

★ はぎわらさん さん

はぎわらさんがこの本に興味を惹かれたというのは ちょっと意外でした。^^

でもね、そういう意外な人が 仮にこのクソブログがキッカケで読み、何かを感じ得て下さったなら
私とは「してやったり」と とても嬉しく思う反面、ささやかながら著者に対して良い本を書いて下さった
事に対する恩返しが出来たような気になれて 勝手に満足しております。

これまで数十年、自衛隊ってその組織の有り様からも秘匿性が高く 自衛隊自身も広報には殆ど
無関心で、しかも外部に対していろんな意味でのアピールはしてこなかったに近く 反論が無い事を
良い事に、好き勝手にこき下ろしてきた左系政治団体や労働組合やマスコミのお陰で まったく縁の
無い人には良いイメージは薄かったので こういう本によりもっとちゃんとした理解が広まる事を願う
ばかりです。


【※注意!!】

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