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2012年11月20日

● A子の話(その30)


銀杏の実がパンパンに詰め込まれたポリ袋を持って 僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友が雀荘に行くと雀荘のオバチャンは…




「ダメダメ、臭いんだから 裏に回ってちょうだい」


通りの表口から入ろうとした僕達を押しとどめ、店の裏口にまわれと言う。


そうなんだよね、銀杏の実はそれほど臭いんだ。


雀荘は相変わらずその時間に客はいなくてオバチャンも暇だった様で オバチャンは僕達に


「ねぇ、アンタ達 インスタントラーメンをただで御馳走するからさ、ちょっと頼まれてくれないかい?」


と。


タダ飯にありつけるならば…と、オバチャンに誘われるまま裏口を出ると オバチャンは僕達に裏口の横の畳一枚分くらいの広さの空き地に


「50cmぐらいの深さに穴を掘り、そこに拾い集めた銀杏の実を放り込んで埋めてくれ」


と言う


で、僕達がオバチャンに言われるまま穴を埋めると


「こうやって二週間ほっとくと 土の中で周りの実が腐って柔らかくなるから、それを掘り起こして

 銀杏の中心の殻だけを取り出し、それを綺麗に洗って干すと 真っ白くなったら食べ頃なのさ

 アンタ達もさっき拾ったのを家に持って帰ったらそうやってしておきな 簡単だろ?」


オバチャンが作ってくれたインスタントラーメンを食べながら そんなオバチャンのウンチクを学んだ僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友


やがて、僕達の鞄を持った180cm男とA子とB子がいつも帰る時間より早いタイミングで迎えに来たので 一緒になっての帰ったのだが、


「どうしたの? いつもより早くないか?」


そう聞くと


「素手で拾っちゃったから 手にも匂いがついちゃってて、トイレで何回も洗ったんだけど

 やっぱりとれなくて… もう、なんか嫌になっちゃったから帰る事にしたの


と、A子


なので、そのまま後年に親の跡を継いで開業医になった友の家に行き 雀荘のオバチャンに教わった様に 広い庭の一角に穴を掘って拾い集めた銀杏の実を埋めて その日は解散となったが…


B子と二人の帰り道、


「A子さぁ”終わった”って呟いてたよね? その後、どうした?」


「ショックだったみたい ”臭い”だもんね…

 でもね、A子 その後に二人でトイレに手を洗いに行った時に

 ”まさか、このアタシが臭いってフラレるとは思わなかったなぁ…

  初恋のエンディングにしてはとんでもなく予想外の悲惨さだと思わない?”

 って、ケラケラ笑ってたんよ」


「フラレたわけじゃ無いんだろうけど、あれじゃ再戦は挑みにくいわなぁ…

 まぁ、A子らしいって言えばそれまでだけど 強いなぁ…」


翌日以後、なんの変わりも無く放課後に図書館に行き 何度もその高校生と顔を合わせたけど特にどうという事も無く 僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友は A子に憧れの高校生の話を冗談でも聞ける雰囲気では無かったし、B子も180cm男も その話題を持ち出したりもせず日々は過ぎていき……


二週間後、後年に親の跡を継いで開業医になった友の家の庭で銀杏の実を掘り起こして腐った実をそぎ落とし、核となる部分を綺麗に洗って三日ほど天日干ししたところで ようやくスーパーで「殻付き銀杏」として売られている様な姿になったと後年に親の跡を継いで開業医になった友が学校に持ってきたので それを五等分してそれぞれが持ち帰って食べたわけだが、


「銀杏って こんなに美味しい物なの?」


ってビックリするぐらいの美味で さすがに雀荘のオバチャンが言ってただけの事はある。


あまりにも美味かったもんだから、後年に親の跡を継いで開業医になった友は もう少し実を拾えないかと その翌日、図書館に行く途中でイチョウの木のところまで行ったが、綺麗に実はひとつも無くなっており、その後でオバチャンに聞いたら そこの銀杏は市内に沢山ファンがいて 僕達が拾った翌日には大勢が押し寄せて全部取っていったのだそうだ。




やがて、そのイチョウの木の葉も綺麗に黄色く染まり あっと言う間に散って公園に一時的にではあるが、黄色いカーペットを敷き詰めた光景を見せていたが、それと同時に もう、いつ雪が降ってもおかしくない… そんな時期になった頃


いつもの様に僕達が図書館に向かって歩いていたある日の事、銀杏の実を拾った時と同じように前を歩いていたA子が不意に立ち止まり イチョウの木の方を眺めている。


「どうした?」


と、僕が聞くと


「あれって まるで”スズメの実がなる木”みたいね」


と、イチョウの木を面白そうに眺めながらA子が言った。


で、言われるままイチョウの木を見ると 葉が全部枯れ落ちた枝に数え切れないぐらい程のスズメが1本のイチョウの木にとまっており、1羽だけなら「チュンチュン」と可愛らしい泣き声も あまりの多さで一斉に泣かれると「チチチチチチチ」みたいな大音響


「スズメの実がなる木」


そういう表現がピッタリと当て嵌まる程、まるで木の実がたわわに実っているかの如き光景はとても印象的で 気がつけばA子や180cm男もその光景に見入っていた。


そんな光景を眺めながら 後年に親の跡を継いで開業医になった友が


「それにしても残念だよなぁ あんなに美味い銀杏ならもう少し拾っておけば良かったぁ」


と、心の底から悔しそうに言うと A子が


「ホント、美味しかったよねぇ?

 ウチのお父さんも もの凄く美味しいって喜んでたんだ…

 それに、木の実なんか生まれて初めて拾ったから ホントに楽しかったなぁ…


 ねぇ、また来年もみんなで拾いに来ようよ ね?」


そう言ったのを みんな笑顔で


「そうだな」


と、頷き合ったんだ。


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