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2012年05月09日

● 一命


2011年に公開の映画「一命」のDVDを入手したので見た。




一命


正直言って、見たのを激しく後悔する程のクソだった。


そもそも、主演に「市川海老蔵」の名を見た時点で私にとって見るべき映画では無かったのだが、その海老蔵は予想外にそこそこ好演していたと感じている。

(と言っても事前の予想は地の底の棒演技だっただけに 地表に頭半分出た程度だが)


なんとなく気になったのと、一応感想を記す為に下調べしたところ1962年に仲代達矢主演で公開の映画「切腹」のリメイクなのね


しかしながら、「あれ?」と思った程度にしか前作の記憶は無く 原作本も読んでいない状態なのでそれらと比較して語るつもりは無い… と、まず先にお断りしておく。


で、感想だが…


おそらくは 妻子の為に狂言自殺を試みたところ本当に切腹させられてしまった武士の事情を描く事で 江戸時代初頭の関ヶ原以降乱立していた大名家が次々と取りつぶされて浪人化した武士と 大名家として存続を続けている家中の武士との比較による悲哀や 武士とは何か?という対比が物語の骨子なんだと想像する。


が、今回見た2011年に公開の映画「一命」において問いかけようとする「武士」そのものの解釈が 私の考える武士と程遠く、ゆえに説得力がまるで無い。


で、小難しい事を並べても仕方が無いので あくまでもこの映画から受けた印象のみで言わせて貰うと…


一命


どんなに裕福であろうが、名門であろうが、仮に極悪で小狡かったのだとしても 「切腹したいので庭先を貸して欲しい」と頼まれ「どうぞ」と貸した井伊家には何の非も無い。


それが実は「狂言切腹」で本当は同情誘っていくばくかの金をせしめたい…が本音だったならば切腹どころか詐欺で打ち首でも仕方が無いにも関わらず ちゃんと切腹の場を与えたのだから井伊家は感謝されこそすれ文句を言われるのはおかしい。


にも関わらず、海老蔵演ずる切腹した武士の舅は井伊家に乗り込み「竹光で腹をかき切った哀れと潔さを語ろうとしない」と文句を言う


一命


これ、違うんじゃないかな?


たしかに、A太演じた若者が竹光で切腹を決意したのは貧したからとはいえ狂言切腹の真似事をしてしまった自分を恥じ「切腹する」と申し出た自分(武士)に二言が無い事を示す為だろう


でも、もしそうであるならば「恥を重ねない為」の切腹なのだから それをわざわざ海老蔵演ずる舅が解説してみせるのは武士のまま切腹して果てた婿の意に対して真逆の行為じゃん…と、私には映る。


婿に恥辱を与えた3人に仕返すのは良しとしても、それ以外 武士ならば黙して語らずこそ、真の武士だと私は思う


井伊家にしてみたら これって本当にいい迷惑だもんね


「ベンツに乗ってるなら それなりの慰謝料払ってくれるだろ」


なんて理由で当たり屋に飛び込まれたようなもんでしょ?


この映画のキャッチコピーは


「いのちを懸けて、問う―― なぜ男は、切腹を願い出たのか――。世界を圧倒した衝撃の超大作。」


DVDを見終えた後に調べていて このコピーを見た時、


「あぁ、この映画の制作陣には武士を知るものが一人もいない」


そう感じた。


先述した様に この映画の中で海老蔵がが演じた舅武士が、婿同様に狂言切腹の様な真似をしつつ 婿の実情を明かす事でベラベラと問いかける事は 婿にとって恥の上塗りでしか無い。


そんな演出・構成で武士を語ったり 世に問う不見識さを大いに恥じるべきだと思う。


なんとなく、忠臣蔵の構成を大雑把に取り入れ 時代劇特有の敵討ちみたいに見せかけているから ついついそこに引っ掛けられて涙しちゃう観客もいたのだろうけど、私に言わせれば片腹痛いだけのものだ。


で、もしかしたら舅が武士にこだわったばかりに 婿が哀れな様になった事で 己の生き方に後悔して「馬鹿馬鹿しい」と舅が武士へのこだわりを捨てたからこの結末になった…なんて解釈を主張するのかもしれないが、申し訳ないが私にはこの映画からそういう解釈は出来ないな。


なぜならば、もう一度重ねて言うが この浪人親子に井伊家が迷惑を被る理由がないからだ。


映画の中の回想シーンに福島家が取りつぶしになる経緯や 舅と幼い頃の婿が井伊家の屋敷を眺めるシーンがあるから もしかしたら原作や前作の映画には井伊家と福島家の因縁めいた流れがあるのかもしれないが 少なくともこの映画だけを見た私にはそこまで類推するのは好意的にも程がある。


というわけで、この映画には


一命

一命


「満島ひかり」が出演したので見た… と言うだけの事にしておきたい。


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コメント

>正直言って、見たのを激しく後悔する程のクソだった。

 オリジナル『切腹』がどうして、こういう無残なリメイクになるのか、
本当に不思議かつ情けない思いです。
 
 『十三人の刺客』もそうなんですが、最初から武家社会とか武士
の何たるかを描くことを放棄しています。そこを描かずしては、武
士は、「刀を差しているだけの、ただのサラリーマン」になってしまう
ことを制作サイドは全く理解していません。

★ ハウプマン さん

そうはならないと思いますが、もし こんな感じの時代劇がこの先増えていくのなら
私には「時代劇」という看板はかけないで欲しいと切に願うばかりです。


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