« 剛力彩芽 in 人生が変わる1分間の深イイ話(2月27日放送) | TOPページへ | F-16 ローパス »

2012年02月28日

● A子の話(その24)


今がどうなのかはよく判らないが 少なくとも当時とはいくつかの点で異なっているのだけは知っている。




おぼろ気な記憶で記しているので 一部、間違っているかもしれないが御寛容に願う。


当時の札幌の公立高校は 市内を南北に2分して石狩北学区と石狩南学区という風に区分けし いくつかの特例を除いて 例えば北学区内の中学校に通っている生徒は北学区内の高校へ 南学区内の中学校に通っている生徒は南学区内の高校へのみ受験というのが前提で 例外の一つとしては学区外に住む生徒の越境受験は3%以内とする…みたいな制約があった。


今はともあれ、当時の札幌の場合 公立校とひと口に言っても、厳密には「札幌市立」と「北海道立」の2種類があり、進学校と呼ばれたのは 北海道立の「東、西、南、北」と方位が校名についた4校と市立の旭が丘高校と開成高校の2校であり、北学区では「札幌北」、南学区では「札幌南」がそれらの中でもそれぞれの頂点とされていた


で、その2校に関しては 特に札幌市外の道内各地から進学を希望する生徒が多い為、それらを制限する為に設けられたのが「3%ルール」と呼ばれた制限だが、だいたい そういう制度には抜け穴があり、早い子供だと中学一年の入学時から 遅い場合だと中学3年の夏休みに 例えば、札幌北高校に進学を希望する道内地方都市の子供(というより、我が子を進学させたいと願う親)は 札幌北高校の最寄りの中学校に転校する(させる)という手法を使う


後に「腕力だけが取り柄の歯科医」と呼ばれる180cm男は北海道内のとある地方都市で開業医をしている両親から英才教育を施され、末は医者になるべく札幌の進学校へと進ませる為に わざわざ札幌市内にマンションを購入し、息子を転校させたわけだ。


ちなみに、僕の通っていた中学はそんな高校から遠くなく 中学生3年間の学生生活の中で その180cm男の様に転校してくる生徒はとても多く、別に不思議な話では無かったわけだが、つい数週間前に中体連で対戦し 笑って許したとは言え、頭にデッドボールを食らった身としては


「てめぇ、何しに来たんだ?」


…となる。


180cm男の言い訳によると 本当は中学3年に進級する時に札幌に転校するはずだったが、野球部の仲間達と別れるのが忍びず、中体連が終わるまで…という希望を親に了承して貰っていたが その中体連も終了したので転校したんだ…と。


実際、180cm男は成績優秀だった。


2学期に入って間もなく行われた実力試験や全道模試の結果でも 学年で上位の成績だったが、それまで彼は前の中学校で常に学年一位だったそうで


「やっぱ、札幌の中学は違うなぁ もっと勉強しなければ」


…と、より一層学問に励んだ。


後年に親の跡を継いで開業医になった友やA子やB子は 球場の医務室に詫びに来た180cmを見ていたから直ぐにうち解け A子などは


「え~、ウチの中学に勝った後 二回戦で負けちゃったの?

 じゃ、ブタネコ君 デッドボールを自慢出来ないじゃん残念だったね」


と、笑いながら僕に嫌味を言う始末


それに対して僕も「うるせぇよ」と苦笑いするしか無かったが、僕以外の中体連の全道大会で彼に屈したウチの野球部のレギュラーだった者達は180cm男が気に食わなくて仕方が無い。


というのは、結果的にウチの中学には勝利した180cm男の中学は 次の二回戦で接戦の末に敗退したわけだけども、彼の剛速球に札幌市内の強豪校だけにとどまらず、仙台や東京の高校からも目を付けられ 転校したのを知ったスカウト達がウチの中学校の進路指導に挨拶に来る騒ぎ、それに対して180cm男は

「僕は公立に進学します」

と、ニベもなく断っている。


それに引き替え、そんな180cm男に完封負けを喫したウチの中学のレギュラー達は そのお陰でスカウト達からの評価が下がったとさえ思い込み、ハッキリ言えばヤキモチを焼いたのだ。


「テメェ、俺達の人生にケチをつけといて よくものこのこと転校してきやがったな」


そう言って、180cm男にネチネチとレフトのレギュラーだった奴がからんでいるのを たまたま見かけた事があるのだが、そんなインネンをふっかけるレフトも情けなかったが、それ以上に意外だったのは 180cm男がオドオドとした態度で、頭を下げ「ごめんね」と詫びている姿。


そう、180cm男は長身で剛速球を投げ下ろすのに 実はノミの心臓だった。


そんな二人のやりとりを見かねた僕は レフトに


「今更、言っても仕方が無いし そもそも、文句を言える内容じゃ無ぇだろ」


と、横槍を挟むと


「オマエだって 頭にデッドボール食らって腹立たねぇのかよ?」


と、レフト


「オマエの実力発揮の空振りと 俺の名誉の負傷を横に並べんなバカ

 それより何か? もしかして俺にも絡みたいのか? お? 部活引退した事だし

 気持ちよくやりあうか? お?」


と、僕が言うと


「オマエと違って 俺は推薦前だからよ、喧嘩なんかして棒にふるわけにいかねぇんだよ」


と、レフトは捨て台詞を吐いて逃げる様に何処かへ


すると、180cm男は 僕に


「た・助けてくれてありがとう」


と、頭を下げているので


「この中学に転校したら あんな事を言い出す奴がいても不思議じゃ無い事ぐらい考えなかったのか?」


と、僕が言うと


「本当は @@中学に転校って親が言ってたんだけど、俺 どうしてもここの中学に来たかったんだ」


「@@中学って 札幌市内とは言え、この中学と学区が違うじゃん、

 わざわざ北と南の学区を変えてまで なんでここに来たかったの?」


「うん、ちょっとね…」


もじもじと話しづらそうにしている180cm男を問い詰めても仕方が無いので


「ま、理由はともかく 随分、奇特な野郎だね」


そう言うと、彼は気まずそうに笑うだけだった。


で、転校してきたばかりで友人はおらず、転校早々 野球部だった3年生の多くからは疎まれたりして 180cm男はある意味必然的に僕の近くにいる時間が多く、そうなると後年に親の跡を継いで開業医になった友やA子やB子と一緒にいる時間も増えていく


僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友と180cm男が3人でいるのを知らない人が見たら たぶん、一番怖そうに見えるのは180cm男だったはずだが 長身で顔立ちも悪くなく、本州の甲子園の常連校からスカウトされた程の野球部のエースで しかも、成績も優秀となれば おのずと学校中の女子からは注目を浴びる。


ただ、女子達にとって最も残念なのは その時点でその中学校における最も不良と呼ばれるNo.1とNo.2が 何故か180cm男といつも一緒にいた事であり、その180cm男が 実はノミの心臓である事を僕達以外の誰もが知らず、想像さえ出来ていなかった事だ。


だから、2学期が始まってからひと月ぐらいが経過した頃になると 同学年だけじゃなく、下級生の女の子の中にも180cm男にラブレターを送ったり、直接告白する子が現れ出したが、貰ったラブレターを僕や後年に親の跡を継いで開業医になった友を見せて


「どうしよう? どう応えたら良いんだろう?」


と、真剣にオロオロしている姿は とてつもない剛速球を投げ下ろすエースとは正反対で 僕や後年に親の跡を継いで開業医になった友には爆笑モノだったが、そんなある日


「キミさぁ、将来はお医者さんになって 実家の跡継ぐんでしょ?

 そんなオドオドしてたら 治せる患者も治せないし、そんなお医者さんに診てもらうのって怖いわよ」


別に何かがあったわけじゃないけれど A子が何気なしに180cm男に 僕や後年に親の跡を継いで開業医になった友からすればいつもの気さくな冗談みたいに言った一言だったが、そんな些細な一言が180cm男の心の中で核爆弾並みの爆発が生じたらしい。


僕や後年に親の跡を継いで開業医になった友としては 具体的に180cm男の何が変わったのかは説明出来ないんだけど、でも、何かが間違いなく変わったのは明らかだった。


だが、僕や後年に親の跡を継いで開業医になった友は なんだかんだ言ってもその時はまだ中学3年生のガキだったわけで…


別なある日、A子やB子はおらず、僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友と180cm男の3人だけの時に


「オマエさぁ もしかして、A子の事 好きなんだろ?」


後年に親の跡を継いで開業医になった友が180cm男に聞いた。


僕もそれまでに薄々そう感じていたから興味津々だった。


180cm男は突拍子もなく撃ち込まれた後年に親の跡を継いで開業医になった友の弾丸の様な言葉に 瞬間的に顔を真っ赤にさせながら


「いや、あの、そ、そ、そ、そんな…」


ドギマギしているところへ


「いつからだ? A子のどんなところに惚れたんだ?」


後年に親の跡を継いで開業医になった友は さらにマシンガンの様に言葉を撃ち込む


とことん追い詰められた180cm男の話を要約すると…


中体連の時に 医務室の僕のところに詫びに来た時に


「コイツ(僕の事)は平気だから 気にしないでいいよ

 それより、折角コイツ(僕の事)にぶつけたんだから この先、勝ち進んで優勝してよ

 そしたら、コイツ(僕の事)も ”あの優勝ピッチャーに頭にぶつけられちゃってさ”って

 自慢が出来る様になるからさ ガンバッテね。」


優しい笑顔でそう言ったA子に一目惚れしたのだそうだ。


だから、どうせ札幌に転校するのなら A子のいるウチの中学にしたい…


それが、180cm男が転校してきた理由だった。


僕と後年に親の跡を継いで開業医になった友は 冗談半分で予想していた事が事実と知り、心底驚いた。


高校進学の為に地方から転校してくる… まず、それが僕には信じがたい事で それを実行する本人や家庭が現実にある事に正直言ってビックリしていた。


その上で、わざわざ予定していた転校先をA子という理由で変える実行力に さらに驚いていた。


それなりの規模の会社の社長令嬢であり、基本的に帰りは歩きだけど毎朝運転手付きの高級車で登校してくるA子、それなりの規模の開業医の跡取り息子だが、成績は良いけど素行の悪い後年に親の跡を継いで開業医になった友…


僕とB子は幹部自衛官とはいえ自衛官家庭の子供で おそらくは裕福では無いけど、貧乏とも思ってはいなかったが、端から見れば釣り合いがとれていないのは明白だ。


でも、僕やB子がそれを引け目に感じなかったのは それぞれ全く金持ち家庭の子女とは思えない感覚の持ち主達だったからで 落ち着いて考えてみると、僕やB子は実に友人に恵まれたんだと思う。


そこに、新たな 地方の名士でそれなりの規模の開業医の跡取りで 札幌市内にマンションを買って貰って転校してきた180cm男… 新たなタイプの金持ち家庭の息子のパターンが理解の範疇を超えていたんだな


しかし、後年に親の跡を継いで開業医になった友は 180cm男の告白に


「オマエ、やるなぁ… 凄ぇよ、いやいや俺ぁ感動したぞ たいしたもんだ、うん」


嬉しそうに180cm男の方をポンポンと叩きながら 僕に


「おい、コイツ(180cm男)の今の話 A子やB子には絶対内証だぞ!

 俺達は、影ながらコイツ(180cm男)の事を応援しよう な? な?」


と。


「お、おう…」


そう応じながら僕はその時思ったんだ


「もし、コイツ(180cm男)がA子にフラレたら どういう風になるんだろう?」と。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『A子の話』関連の記事

コメント

小生は朝ドラ「カーネーション」を楽しみに見ており、その流れで昨日「尾野真千子」を検索してこのブログに辿り着きました。一方、最近、ふと小学校の頃、「おれは男だ」の女剣士が好きだったことを思い出し、検索した結果、その人が「小川ひろみ」という名前だったことがわかり、今日「小川ひろみ」を検索して、再び、このブログに辿り着いた次第です。「こんなこともあるんだなあ」と思いましたので、投稿させてもらいました。

「小川ひろみ」さんの検索で「A子の話(その2)」に辿り着いた後、(その1)から(その24)まで一気に読ませていただきました。続きが楽しみです。

★ MASH さん

>「こんなこともあるんだなあ」

何と申し上げて良いやら 言葉が見つかりません

ですが、今後も宜しくお願い申し上げます。


【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。