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2011年11月26日

● A子の話(その14)


前回よりちょっと端折るが まぁ、それは御愛嬌という事で…




中学三年になり、僕のまわりはまたいろんな事が変わった。


高校受験の年と言う事でクラスメイト達は急に勉学に励み始め 休み時間は単語帳や歴史年表の暗記に明け暮れ 二年生の時の様に馬鹿騒ぎする者もいなくなり、そこそこ静かな教室で僕は努めて小説を読んで過ごす様にしてむやみに校内を歩き回らない様にしていた。


というのも、個人的な事情なのだが 二つ年下の私の妹が一年生として入学してきて その妹がとにかく私と校内で顔を合わせたく無いらしく


「おニィ、学校で私と会っても絶対に話しかけないでよね」


事あるごとく、常に怒り口調で私にそう言っていた事もあり 文句を言われるのが面倒臭くて私が教室から出歩かなかったせいもある。


何故、私と中学校で顔を合わせたくないのか? その理由を聞いても妹は応えてくれず、ある時、妹が姉と慕うB子にその事を聞くと


「アンタ(僕)の妹だって 他の子に知られたくないらしいよ」


との事。


要約すると 小学生の時に妹を虐めようとした妹の同級生達を悉く張り倒し、「怖い兄貴がいる」というレッテルのおかげで妹は虐められる事が無くなった代わりに 特に男の子達から奇妙な間をあけられた付き合い方をされた妹は 中学ではそんな気分を味わいたくないと強く願っていたのだ。


しかも、クラスの と言うか、学年全部の男子生徒がその存在を怖れ、それは学校内だけじゃなくて近隣の中学の不良から「@@のマッチポンプ」と呼ばれて怖れられていた「後年になって親の跡を継いだ開業医」が唯一 気安く付き合っている存在の私が自分の兄だと知られると 間違いなくいろんな迷惑を被ると妹は考えていたんだな


「後年になって親の跡を継いだ開業医」は3年という最上級生となって その権勢は益々盛んだった。


困った事に彼は義侠心に篤く1年生や2年生の後輩が近隣の他校の生徒にカツアゲされた等と聞くと勇んでその学校に乗り込みボコボコに殴り倒し


「ウチの病院で俺の名前を出したらもれなく湿布を一袋サービスしてやっからよ」


と、マッチポンプぶりを発揮していたから 後輩達からは頼もしい先輩として崇められつつ、高校生にも平気でぶつかっていく様に恐怖すら覚えていたんだな


それに対して後年になって親の跡を継いだ開業医は、登下校の際や校内の廊下を歩いていると 誰彼と無く後輩が「チャース」と頭を下げて挨拶し それに「おぅ」と応えて歩く事に密かに快感を覚えたものだから 用も無いのに学校内を歩き回って後輩に頭を下げさせて悦に入っていたものだ。


A子とB子も三年進級時のクラス替えで同じクラスになった事を幸いに 何をしてるのかは知らないが殆ど教室から出てこなかったけど、放課後になって僕や後年になって親の跡を継いだ開業医が部活を終えて下校するのとほぼ同時に閉館時間で図書館から追い出されたA子やB子と一緒に学校の近くの食堂でヤキソバやお好み焼きを食べて買える習慣は続いていた。


だから、最終的には僕とB子はいつも帰り道を一緒に歩いていたんだな。


で、ある日の事。


僕とB子がいつもの様に学校(正確には寄り道した食堂)からの帰り道、僕達が住んでいた自衛隊官舎の手前に ちょっとした広さの公園があり、その横を歩くのだが…


ふと、何気に見ると その公園のベンチに中学生のカップルが座って何やら仲良く話しているのが見えたのと 横を歩いていたB子がそのカップルに気付くのとほぼ同時で


「馬鹿っちゃねぇ… もっと、こそっとすればええのに…」


B子がそう呟くのが聞こえ「え?」と思いつつ よぉく見ると そのカップルは僕の妹とC男である事が判り 思わず、


「あぁ?」


と、声を出した僕。


するとB子は僕の袖を引っ張り


「ダメよ、そっとしてあげなよ」


と、僕をたしなめる


「え、いや、でも…」


そんな僕を強引に妹達から見えない木陰に引っ張ると B子は


「知らんかったん? 去年のクリスマスにはもう付き合うとったんよ」


「あ? 聞いてないぞ俺は」


「わざわざ、アンタに断る必要は無いでしょ?」


「そりゃそうだけど、でも…」


「ええやないの、なんか見てて可愛いんよ あの子達」


木陰から僕達がそんな事を言いながら覗いてると知らず、妹とC男はチューまでしてる。


「あ、あいつらチューまでしたぞ な? オマエも見ただろ? チューしたよな? な?」


あたふたする僕に


「付き合ってんだもん チューぐらいするでしょ」


と、B子が苦笑い


「したって、俺ですらまだ誰ともした事無いチューを あいつら1年生のくせに…」


殆ど泣き声の僕。


すると、B子は僕のほっぺに顔を寄せてチュッとし


「ほら、チューしてあげたんだから 今見た事、しばらくは黙っててあげるのよ

 いつまでもチューチューってネズミみたいに泣いてんじゃないの ほら、行くよ」


そう言うと また僕の袖を引っ張って自衛隊官舎へと促すのだった。


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コメント


たろう

初めまして、ブタネコさん。
いつも楽しく拝見させて頂いております。
特に「A子の話」は小説を読んでいるかの様に毎回楽しみに拝読しています。
読んでいて奇妙な感じを受けたのですが、「なんだろう?」と、いろいろ考えるうちに気付いてしまったのです。
「そうだ、世界の中心で愛をさけぶドラマ版の1話目を観た時の感じに似ているのだ」と。
亜紀が普通の幸せに満ちていた1話、こんな幸せそうな亜紀が死んじゃうんだよなあと思いながら見ている時の感じに似ているのです。

<< 管理人権限で2行削除しました >>

ブタネコさんのブログに行き着いたきっかけは「世界の中心で愛をさけぶ」でした。
会社の休憩室で何気に点けたテレビで「世界の中心で愛をさけぶ」の最終回、それも亜紀パパと緒方サクが港のベンチで話す場面
「よくがんばったなぁサク、生死を扱う仕事は辛かったろう。もう十分だ、ありがとう」
そのシーンを見るなり、なんか良さそう・・・と早速TUTAYAへ走りました。
そして・・・呆気なく壊れました。40を過ぎたおっさんがテレビの前で大泣きです。
ドラマ版DVDを買いました(BOOKOFFですが)
MEMORIES、サウンドトラック買いました(ヤフオクですが)
原作本買いました(BOOKマーケットですが)
映画版DVDまで買いました(ゲーム倉庫ですが) 小遣い少ないもので・・・
休みの楽しみは、嫁も息子も出払った家で、ドラマ版DVDをぶっ通しで観る事です。
映画版はレンタルに出てすぐ観ていたのですが、特に感じる事も無く・・・「こんなとこで骨撒いちゃうの?」、その流れでTV版もオンタイムでは観る気にはなれず、もっとも「長澤まさみと綾瀬はるかじゃぁねえ」と、今考えると、とんでも無い理由でしたが。
原作本は、・・・印税の半分は、タイトルを変えた編集者と柴咲コウへと是非にでも と感じた程度で。
テレビ版が私にも秀逸に思えます。
松崎へは私も是非行きたいと思うのですが、五所川原なもので、日帰りという訳にはいきませんからね。休暇を取って行きたいのですが、戻った時、会社に私の机があるかどうか不安のもので・・・。
リストラになったら小笠原と松崎に行きたいなと、それが今の夢です。

長文になり申し訳ございません。
お体に気を付けて下さい。これからも楽しみに拝読させて頂きます。

<< 管理人がテレたので権限で1行削除しました >>


★ たろう さん


こちらこそ初めまして、コメントありがとうございます。

まず最初に、頂戴したコメントの2ヶ所を管理人権限で削除させて頂きました事をどうか御理解願います

ひとつは「A子の話」の今後の展開に関わっているという理由で、もうひとつは私が褒められる事に免疫が無い為であり、決して私が不愉快を感じての事ではありません


>こんな幸せそうな亜紀が死んじゃうんだよなあと思いながら見ている時の感じに似ているのです。

お褒め頂き恐縮です。^^;


>松崎へは私も是非行きたいと思うのですが、

行かれるなら早めに行く事をお薦めします。

どういう結論になったかは定かではありませんが 津波よけの大堤防を作るとか作らないとか論議されているという話をしばらく前に耳にしましたので


【※注意!!】

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