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2011年08月18日

● 太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-


今年(2011年)の2月に公開された映画「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」のDVDを入手したので見た。




【注意!!】この記事の文中にはネタバレが満載です

     映画を未見の方はまず映画を先に見る事を強くお薦めします。


太平洋の奇跡


この映画の原作やノベライズを読んだ感想を『太平洋の奇跡』として以前掲示したので御参照頂くとして…


主演の


太平洋の奇跡


「竹野内豊」は言うに及ばず、


太平洋の奇跡

「井上真央」の演技もなかなか良く


太平洋の奇跡

「唐沢寿明」は予想をはるかに超える名演だったが、それ以上に予想外だったのは


太平洋の奇跡

「山田孝之」が 久しぶりに「やれば出来る子」ぶりを発揮した点だ。


…という風に 配役は申し分ない。


でも、この映画は あえて駄作と罵ろうと思う。


なぜならば、この映画の制作には


「戦後世代のスタッフ、キャストが”戦争”と”戦争映画”を捉えなおす試み」


という意図があるのだそうな


であるならば、まず問い詰めたいのは


太平洋の奇跡

「井上真央」が演じた「青野」という女性は原作では死んでいるにも関わらず、映画のラストでは 実は生きてました…に改ざんしたのは何故か?


青野は母親や妹などを目の前で米兵に殺され ともすれば復讐の鬼と化した人物であり、それはその後の彼女の行動の総てと言ってもいい


であるがゆえに、原作の青野は銃を掴み米兵と銃撃戦を演じたんじゃないの?


いわゆる「あれは戦争だったんだ、米兵も日本人と同じ人間だったんだ」みたいな 一般的な道徳的解釈で締めくくりたくて そんな改ざんにしたのだろうか?


であるならば、これまでの幻想平和主義的「愛」不可欠戦争映画ばかりの過去の邦画と何の違いもなく『戦後世代のスタッフ、キャスト』なんてカッコつけるばかりのアホか?と。


第2に この映画の本来の原作である『タッポーチョ 太平洋の奇跡』で 著者が最も述べたかった事とは サイパン駐留の米兵を散々に悩まし、苦しめ それでも「フォックス」とコードネームまで付けられ 最後には「天晴」とまで言わせしめた日本兵とその指揮官である大場大尉の活躍である


にも関わらず、この映画の中から米軍が苦しめられた…という実感は滲んでもおらず、日本兵が どんなに艱難辛苦に耐え抜いたかの欠片も無い。


散々、苦しめられた日本兵が ようやく抵抗を止めて投降する…


それを待ち受ける米兵達の前に姿を現した日本兵は


太平洋の奇跡


完璧なまでに隊列を組み、胸を張り、堂々と「歩兵の本領」を合唱しながら行進してきたのを見て 米兵達は敵意から ともすれば敬意すら覚えたと米兵目線で記されているが、映画におけるその場面はラスト前のヤマ場ではあるが、「あ、来た来た」みたいにしか描けていない… それを駄作と言わずにどうしましょ?


つまり、この映画の制作者達が


「戦後世代のスタッフ、キャストが”戦争”と”戦争映画”を捉えなおす試み」


…だったのだとしたら、極論で言えば これまでのともすれば左がかった様な慰霊も弔意も欠片もない、ただ見せかけの「愛」ばかりを唱えたクソ映画を踏襲しました…って解釈せざるを得ず、誠に失望の限りだ。


と、同時に 先述した様に、特に唐沢寿明が演じて見せた見事さなど 限られた秀逸な場面に誤魔化され 総体的な評価を「感動しました」なんて感想で締めくくる観客がもし多いのであれば「なんだかなぁ」感がつのるばかりだ。


太平洋の奇跡

太平洋の奇跡

太平洋の奇跡

太平洋の奇跡

太平洋の奇跡


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コメント

>でも、この映画は あえて駄作と罵ろうと思う。

 相変わらず、厳しい批評ですね!(笑) 私も「感動しました」という口ですが、
今の日本映画界の現状を見ると、これでもよくぞ作ってくれたということに感謝
すべきなのかなと思いました。

★ ハウプマン さん

>日本映画界の現状

やはり、惨憺なんでしょうかね?

単純な比較論で言えば「男たちの大和」とか「出口のない海」なんかよりははるかに良い出来だと感じています。

でも、原作の改ざんの仕方が旧来と何も変わっていない考え方に 私は褒めるわけにはいきません。

こんにちは。ブタネコさんのコメント楽しみでした!
またしても日本映画界やってくれましたね。期待していたのに残念です。
プライベートライアン以降の戦争映画の連作を日本の若手関係者は見ているに違いないのに、しかしなぜに、その本質から脱線しまうのか。青野が生きていたことにもびっくりだが、鬼のはずの青野が金髪の看護婦から赤ん坊を預かり、エンディングで浜辺に(穏やかにしか見えない)たたずむ。違うだろ!唐沢演じる一等兵に必死に銃の扱いを教わり、女性らしさも消え、後の銃撃戦で死に絶える様を描き上げてこそ、それが見る側にストレートに訴えかけるのではないか!
日米の駆け引き頭脳戦も巧みにもっと織り込んでもらいたかった。(眼下の敵)のクルト・ユルゲンスとロバート・ミッチャッムのような駆け引を期待していたが、、、。そして最後に襟を立て行進してもらいたかった!互いに握手してもらいたかった!残念です。戦後必死に大場さんを口説き書き上げた原作者にも申し訳がない。戦後66年が過ぎ去り、もう日本映画界は、素直に作れないのであろうか、、、。

★ バンブラ さん

>期待していたのに残念です。

私も残念です

>戦後66年が過ぎ去り、もう日本映画界は、素直に作れないのであろうか、、、。

何かが違っちゃってますね

本当に残念です

>やはり、惨憺なんでしょうかね?

 昔は、『兵隊やくざ』や『独立機関銃隊』のような、純粋な痛快戦争アクション
映画が撮れましたが、いつの頃からか、反戦反日メッセージを織り込まないと
戦争映画が製作できなくなってしまったようですね。TVドラマはさらに顕著で、
軍や軍人の「非人間性」をこれでもか、とクローズアップするので不快です。

 『太平洋の奇跡』はそんな風潮の中、かなり頑張ったのではないかと思いま
す。それでもなお、ストレートな英雄伝に描くのには遠慮があったのでしょう。

★ ハウプマン さん

>反戦反日メッセージ、軍や軍人の「非人間性」

そう、そこは強く同感です


> 『太平洋の奇跡』はそんな風潮の中、かなり頑張ったのではないかと思いま
す。

ハウプマンさんは優しいなぁ(決してバカにしてるつもりではありません)

私は、頑固親父に徹します(笑)

はじめまして。
「彼女が水着にきがえたら」の情報を探しているうちに、こちらのブログにたどりつきました。

「太平洋の奇跡」は観ていないのですが、皆さんのコメントをみているうちに興味がわきました。
テレビドラマ等の反日・反戦志向に辟易しているからです。
昨晩もNHKで「朝鮮遺産 百年の流転」なる偏向ドキュメンタリーが放送されていました。
5月27日に参議院本会議で可決・承認された不公平な「日韓図書協定」の顛末なのですが・・・。

またコメントさせてもらいます。


★ れい子 さん

こちらこそはじめまして コメントありがとうございました。

「彼女が水着にきがえたら」から「太平洋の奇跡」という変遷に意表を突かれましたが
このクソブログがゴッタ煮ブログですからね すいません。

私も好戦ではありませんが、反日・反戦志向に辟易している一人ですが
れい子さんが「太平洋の奇跡」を御覧になって どうお感じになるかに とても興味があります

またの御来訪を楽しみにしております。

ご無沙汰しております。

私は「戦後世代のスタッフ、キャストが”戦争”と”戦争映画”を捉えなおす試み」をしようとした、動機の部分だけ評価します。
 映画自体はこれが成功していないので、やっぱりダメだったかという不発感、欲求不満感は免れませんが。

>何かが違っちゃってますね

日本の映画や映像を製作する(多くの)人、特に戦争映画を作ろうとする人は、観客をバカにしていると思います。
「バカでもわかるような薄っぺらい演出しか出来ない病」にでも罹っているようです。
「どうだ?戦争はいけないんだぞ」
「どうだ?人間は尊いんだぞ」
「どうだ?誰が観ても感動するだろ」
薄っぺらすぎて、映画を観た後に心に何かを残させてくれません。
劣化コピーの拡大再生産しかされないので、日本の戦争映画に関して私は諦めています。
戦前の作品である『土と兵隊』が、見方によっては何故反戦映画に見えるのか?
ここをもっと深く考察しろ!猛省を求める!という感じです(笑)。
作っている人達は、ちゃんと観た事なんてないのでしょうが。

一昨日初めて観た、71年製作の『海軍特別年少兵』も、やはり戦争のむごさを感じる日本映画の範疇に入りますが、「病」に罹っていない演出の為、すんなり受け入れられますし、心に残ります。
(考証自体も昨今の映画とは比べ物になりませんし)
戦争(軍隊)映画は、もう古い作品だけでいいや、と思っている自分が居ます。

★ ラヴァ さん


ハウプマンさんに引き続く大物登場に緊張しております。^^

私見ですが、反戦映画を作りたいのであれば それはそれで私は否定するつもりは全く無いんです。

が、反戦の理由付けが「故国に残された彼女(妻)」とか、「一般人が巻き添えに」みたいな描き方ばかりのワンパターンさに吐き気を覚えるし しかも説得力が薄すぎるんですよね邦画は

例えば「バンド・オブ・ブラザース」が私には紛れもなく反戦映画の傑作と思えるのは女子供一切抜きで 戦場における兵士達の絆と、その絆で結ばれた兄弟とも言える仲間が傷ついて戦場から消えていく焦燥感を如実に表しているからであり、「プライベートライアン」も 生き残ったライアンがミラー大尉の墓に家族と共に参り、問いかける部分こそ 戦争なんかが無ければ そんな事する必要も無かったのにと観客の胸をうつ

思うに、日本の戦争映画の制作者達って 戦争に対しての知識や認識が乏しすぎる様に思えてなりません。

ゆえに、本質から離れた ともすれば単なる「お涙頂戴」ばかりに躍起となって肝心なところを把握出来ず空回っている様な感がします。


>71年製作の『海軍特別年少兵』

入手を試みてみようと思います


>戦争(軍隊)映画は、もう古い作品だけでいいや、と思っている自分が居ます。

私は もう少しだけネバってみたい。笑


しつこく書いて申し訳ありません。
ブタネコさんが仰る事も、ハウプマンさんはもちろん他の方が仰った事も皆「そうだよな」と納得できています。

個人的な事で恐縮ですが、最近「表現」について学んでいる所で、そこで判ってきた事があります。
それは実感のないものは、実感のない表現にしかならないという事です。
これは当たり前の事と言えばそうなのですが、いざ(私の場合は)作品として何かを表現する時に、リアルな皮膚感覚とでもいう実感がない場合、空々しく弱い作品にしかならない事が判って来ました。

やはり数年前から戦争映画について考えていて、米国映画でも(ですら)戦後すぐに作られた映画、例えば『G.I.JOE』、『我等の生涯の最良の年』などは、何とも言えない戦争に対する痛みが作品に滲んでいるような気がしていました。
これは日本の80年代までの、戦後製戦争映画にも共通している点ではないかと。
作り手である監督や演じる役者に実際の経験がある為、この実感という部分が作品に現れているのだと考えます。
ブタネコさんが書かれたように、もっと後に作られたBoBでは「兵士の絆」、SPRでは「祖父への思い」という一点に焦点を絞っていたからこそ、表現が成功しているのではないかと。

そう考えると『太平洋の奇跡』は、実感がないまま正直に作った作品かもしれないと今頃考えています。
(又は制作者の意図とは別に、実感のないのが画面に滲み出ている)
何故なら、痛みを感じても良さそうな(原作改変すらした)青野の描写に、全く感動しなかったからです。
「はぁ、、それで?」と白けた感情しかありませんでした。
全体的にも、上記作品のような痛みも感じない、淡白な出来だと思いました。
焦点も絞りきれていないと思います。
(私が感動したのは竹野内の佇まいと抜刀、どうでもいいディテール部分だけです)

ブタネコさんの仰る「戦争に対しての知識や認識が乏しすぎる様に思えてなりません」というのも当たりだと思います。
この最低限の「戦争映画に対する作法(笑)」が足りない上に、実感がなく焦点を絞っていない表現ですから、「強度の弱い」作品しか出来ようがなかったのでは。
極論を言えば、私も含む戦後生まれには戦争のむごさや痛みは、直接的実感がないから表現し得ない。
であれば、別の観点から実感の伴うものを焦点に作って行くしかないように思われます。
例えば、戦争ってカッコイイよねという真逆の発想で戦争映画を作ってみるとか(笑)。
少なくとも既存の日本戦争映画とは違うものが、画面に滲んで来るような気もします。

長くなってしまいましたが『太平洋の奇跡』は、長いスパンで俯瞰的に見た場合、過渡期の作品かも知れないと思っています。
実感の伴った古い作品だけで良いと思っている私も、もう少しネバって何か「心に命中」する新作が出現すれば楽しいと思ってはいるのですが・・・


★ ラヴァ さん


まったく、しつこくないですからお気になさらず^^


>戦争ってカッコイイよねという真逆の発想で戦争映画を作ってみるとか(笑)

私は そういう発想の転換や、見る側も懐の深さを持っていいと思うんです。

「戦争」=「なにがなんでもダメ」

というのは倫理観としては正しいけど、「何故ダメか?」を考える時に「愛」だの「大事な人」だのでの表現だけ…ってところに邦画の制作者にクリエイティブな感覚の欠如に気づけと。


【※注意!!】

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