« ピカルの定理(6月12日放送) | TOPページへ | とうとう、このクソブログも地デジ化 »

2011年06月13日

● A子の話(その6)


季節は冬から春になり、僕達は中学2年生になった。




僕達の通っていた中学校は学年が変わる毎にクラス替えを行い 2年になった時、後年に親の跡を継いで開業医になった友はA組、A子はC組、B子はE組、僕はG組という風に 全員がバラバラのクラスになった。


そのせいか、他にまともな友人のいなかった僕の中学2年の時の交遊の記憶は多くない。


そんな朧気な記憶を辿ると…


転校から半年が過ぎ、進級とクラス替えでわだかまりが薄まったのかB子からは おどおどした様子は無くなったが、相変わらず内気な人見知りなのか A子とは笑顔で愉しそうに会話をしているのに 通学や、帰宅後 官舎で僕と会っても話しかけてくる様子は無く…


にも関わらず、同じ中学の一年生になった僕の妹はB子を「オネェチャン」と慕い 少なくとも週に一度はどちらかがどちらかの家で夕餉を囲んでいたけれど 僕とB子が会話をする事は殆ど無く…


相変わらず、部活を終えて帰宅する途中に後年に親の跡を継いで開業医になった友と A子とB子も参加する事は多かったが、ほとんどまともな会話が無い僕とB子の事が気になったんだろうね A子が


「アンタ達(僕とB子)、何か喧嘩してるの?」


と、よく聞いてきたが 僕には身に覚えが無い。


「いいんじゃねぇの?

 話があれば話しかけてくるだろうし、話す事が無いから俺も話しかけないし…

 ま、お互い様みたいなもんじゃん」


僕は よくそう応え、それに対してA子は


「ふぅん… お似合いだと思うんだけどなぁ、男女の仲って難しいもんなんだね」


等と言い、


「オマエが毎日一冊のペースで読んでるハーレクインロマンスみたいに

 あっと言う間に恋人になったり、別れて憎み合ったりするけれど

 そんなペースで 誰かと誰かがくっつくかって言うの」


そう言い返すとA子は苦笑いしながら


「恋愛に夢を抱いちゃいけない?」


と。


女心が全く判らない僕には その言葉が当然理解できるわけもなく、自分でも言うのもナンだが その頃の僕は恋愛に殆ど興味も無かったんだな。




さて…、もともと3年生の部員が少なかった事もあって 2年になって、もしかしたら僕は野球部でレギュラーになれるかもしれない…という状況にあり、同じポジションを同学年のチームメイトと争っていた。


だから、部活を終えて帰宅した後も 官舎の前で素振りをかかさず、いつの間にか僕の専属コーチになりきっていたB子の父親が 僕の素振りを見ながら、


「あぁ、ダメだバットが泳いでいようがぁ」


「今のじゃセカンドフライなごたぁ」


と、相変わらずのミックス方言で罵っていた。


そして、僕が素振りを終えると それを待っていたかの様に


「よし、今日はその辺にして オイと男の付き合いに行かんばね」


と、僕を近所の銭湯に誘うのだ。


念のために説明しておくと その当時の自衛隊官舎にはちゃんと風呂がついていた。


けれども、B子の家は父母とB子の3人暮らしで 娘が思春期になったのを娘以上に気にしたB子の父親は


「オイの後に娘が風呂に よう入ろうとせんのよ

 それにほら、オイは水虫が酷かっちゃろ?

 こがいなのが娘にうつったら つまらんけんね。」


鬼の様な自衛隊幹部にも 娘は唯一のウィークポイントだったんだな


だから、僕をダシにして


「ブタネコば風呂に連れて行かんと アイツは汗臭うてかなわん」


と、言い 僕には


「やっぱ、風呂は足を伸ばして熱か湯に入らんば気分が出んけん、ダメっちゃね」


なんて言いながら


「男同士の付き合いは 裸からやけんが」


とも。


そして、湯の熱さに耐え切れず 湯船から出ようとする僕を


「なんじゃ? こげんか温度に耐えきらんとは情け無かぁ」


と、半強制的に押しとどめ


「最近、B子が少しづつ明るくなってきたのは嬉しいんやが

 もしかして、アイツ 誰ぞ好きな男がおるんやなかろうね?

 キサン(貴様)、知っちょうや?」


等と事情聴取


「いや、自分 B子とは別のクラスなんで その辺は…」


「せやけんが、キサン(貴様)、A子ちゃんとも仲良かろうが?

 その辺、A子ちゃんからは聞いとらんとや?」


「いや、自分 A子とそんな話はした事が無く…」


「なら、せんかい! 聞き出さんか?」


「いや、だって…」


「で、もし B子が想いよる男がおったとなら ガッとオイの代わりにくらわさんば つまらんど」

(くらわす=殴る)


「えぇ?!」


「まぁ、この件は キサン(貴様)ば男と見込んで任せゆうったい

 あ、それと これは男と男の約束やけんが、B子やウチの(B子の母親)には絶対内証やけんね」


と。


僕が「はい」と頷くと ようやくB子の父親は私を解放し、私は煮上がった様に真っ赤になった身体を湯船から出せた。


そして、脱衣所の椅子に座ってグデッとし のぼせてクラクラしている僕にB子の父親はキンキンに冷えたフルーツ牛乳を番台から買ってきて


「飲まんね?

 風呂上がりはコーヒー牛乳よか、フルーツ牛乳の方が男の味ばい」と。


たしかに、その時のフルーツ牛乳は今に至るまでその美味さをハッキリと覚えているが、それはそもそも間違いなくB子の父親のせいだ。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『A子の話』関連の記事

【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。