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2011年06月24日

● A子の話(その10)


B子が怪我をした翌日の朝。




おそらく、今の時代の親は 子供が足にギプスをはめなければならないほどの怪我を負ったら 何の迷いもなく子供に学校を休ませるだろう。


もちろん、当時の親にもそんな考えの人は少なくなかったが、 


「なんば言うとっとや? 学生が学校に行かんち言ぅんは職場放棄と一緒たい

 片足が千切れても 這いつくばって行くんが学生の義務っちゃ」


あの日、B子の父親がそう言ったように考える親も その当時は少なくなかったのだ。


「学校まで2km強の通学路を歩かせるのはしのびないでしょ」


そう言うB子の母親に


「やけんが、手はある」


と、B子の父


その、B子の父の「手」とは


「キサン(僕)が自転車の後ろに乗せて学校まで運んじゃりぃ」


と、本来は禁止されている自転車通学だったが、校則なんかクソ食らえといった風に僕に命じたのだ。


だから、僕はB子を自転車の後ろに乗せて学校に行き 校門のところでB子を下ろすと 再び、自転車を置きに自宅に戻って 今度は歩いて学校に行った。


それは僕なりの最低限の校則準拠のはずだった。


が、朝の余裕のある時間帯に行動を起こせていれば何の問題も無かったはずなのだが、いきなりのB子の父親の命令に 最後は走って学校に向かったが遅刻してしまった僕。


放課後までに反省文を記し、生徒指導室に提出し 場合によってはしばしの叱責を浴びるのが その当時の、というか僕が通っていた中学の決まり


ゆえに、いつもは本を読んで過ごす昼休みの時間 僕はレポート用紙につらつらと思っても、感じてさえもいない「反省」を作文していた。


で、そんな僕が反省文の続きを書いていると、今度は後年に親の跡を継いで開業医になった友が現れ


「オマエも変な奴だよなぁ…」


「何が?」


「教師には平気で逆らうくせに ちゃんと反省文なんか書くんだもんな」


「だって、これは規則だろ?」


「規則ってのはさ、破るためにあるんじゃん」


「納得できない規則は守る気なんか無いけれど、遅刻はダメだろ?

 だから、遅刻した俺が反省文を書く事は必要な罰であり、義務だ」


「面白ぇ奴だなオメェは」


他人がどう思い、どう考えるか…なんて どうでもいい。


重要な事は ちゃんと自分で考えて出した事は守るのが当前だと僕は思っていただけだ。


で、昼休みが終わる少し前 反省文を書き終えて読み直しているところにA子がやってきて


「遅刻の反省文書いてんだって?

 あれ? もう書き終わったの? 見せて」


言うやいなや 私の机の上から反省文をしたためたレポート用紙を取り上げて読み始める。


数分後、読み終えたA子は


「ブタネコ君さぁ、アンタ 小説家になれば?」


と、突拍子もない事を言う。


「普通さぁ、遅刻の反省文って

 ”もう二度と遅刻は致しません 反省してます。”って

 一行書くのが精一杯じゃん?

 なのに、アンタの反省文って

 ”昨日の夜の月は 久しぶりに空気が澄んで綺麗でした…”

 って、普通 反省文の書き出しに こんな事書かないよ(笑)」


「だって、反省文は字数が多い程 反省してる風に受け止めない?」


「だからって、これじゃ反省文じゃなくてショートストーリーじゃん

 それにさ、アンタが遅刻したのって B子を自転車に乗っけて一度来て

 また家に戻って自転車を置いてきたからでしょ?

 なのに、反省文の中で それ一言も触れてないじゃん

 言ってしまえば、遅刻の理由に関して ほとんど創作なんだよね?」


「だって、ホントの事を書いたら まるで”B子のせいで遅刻しました”ってなるだろ?

 そういうの嫌なんだ俺。」


「ふぅん… でもさ、私 ブタネコ君が書く反省文 結構、好きだよ

 また、書いたら見せてね。」


「見せ物じゃねぇんだよ 俺の反省文は」


「あ、そうそう…

 今日の帰りから B子はウチの車で送り迎えするから、ブタネコ君は普通でいいよ」


と。 そして、


「でさ、B子に聞いたんだけど

 ブタネコ君、B子をおんぶしたんだって?

 ねぇ、やっぱドキドキした?

 オッパイとか背中に感じてときめいちゃったんじゃないの?」


とも。


たしかに仰るとおり、ときめいた。


でも、男子たるもの ときめきを認めるのはある意味の恥辱… 当時の僕はそう感じたんだな。


「別に…」


出来るだけ渋く、精一杯の演技力を発揮してそう応えた僕


「いいなぁ、ねぇ? 私もおんぶしてよ」


「あぁ?!」


「最近、読んだハーレクィンロマンスにあるのよねぇ…」


「オマエ(A子)のオッパイは 俺をときめかせる事が出来るのか? なんなら試してみるか?」


僕が渋くそう尋ねると A子はちょっと唖然としつつ


「やっぱ、背中でB子のオッパイ感じて楽しんでたんだ? 最低っ!」


と、言い捨てて 何処かへと消えた。


ちなみに、その時に書いた僕の反省文とは 朧気な記憶をたよりに「たしか、こんな感じだったよなぁ…」と記してみると



昨日の夜の月は 久しぶりに空気が澄んで綺麗でした。

僕は、ついその綺麗な月に魅入られ どれだけの時間が過ぎたのか判らない程 空を見上げていました。

でも、いつしか流れてきた雲に その月は隠れてしまい、それを機に部屋で勉強をしようと思ったのですが、長い事 変な姿勢で空を見上げていたのが悪かったのか 首筋が突っ張り、肩も変に凝ったようで 動かそうとすると激痛まで走る始末。

このままでは勉強も出来ない、、、 そう考えた僕は 既に一度は入った風呂でしたが、再び入浴し 自分で凝った首筋や肩を揉んでほぐそうとしたんです。

でも、きっとそれがいけなかったんでしょうね

湯に浸かった事で目が冴えてしまい、全く睡魔が襲ってきません。

しかも、普段なら読むだけできつい睡眠に襲われる国語の教科書ですら すらすらと読み進めてしまうし、普段なら 考えただけで錯乱してしまう数学の応用問題も 何故か昨夜は 何かが僕に取り憑いた様にすらすらと解けてしまうのです。

こんな調子の良さは 僕の人生の中でいまだかつて無かった事です。

いい替えれば、「千載一遇のチャンス」とはまさにこの時と そう考えた僕を僕自身が否定する事など出来ません。

ですから、この時とばかりに 僕は勉強しました。

ところが、なんか変なんです。

ふと気がつくと、夜だったはずの時間が もう朝になっているではありませんか?!

そう、いつしか僕は夢の中を彷徨っていたんです。

おそらく、眠れる森の美女が 何年も長い間眠ったままだったのに 王子のキスで目覚めた時

「あれ? ナニコレ?」

きっと、そう戸惑ったのに違いなく それは、今朝 僕が感じた戸惑いと間違いなく共通なんじゃないか?とも


学校に遅刻する事は許される事ではありません。

でも、今朝は自分にとって その罪を犯してでも経験すべき、貴重な体験をした朝でした。

今後は この体験を大事に、勉学にいそしんでいきたいと考える次第です。



放課後、その反省文を生徒指導室に提出すると 学年の生徒指導の教師が僕の反省文を読み進めるウチに こめかみのあたりをピクピクとさせつつ血管を浮き上がらせ、読み終えるとほぼ同時に


「おい? ナメてんのか?」


と、きっと御本人は精一杯の迫力とドスを利かせて言ったみたいだったが


「あぁ、すいません 眠れる森の美女だと女ですもんね 男の僕なら浦島太郎の比喩の方が良かったですか?」


と、お伺いを立てたところ さらなる途方もない罵声を浴びた事は言うまでもない。


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