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2011年02月10日

● 太平洋の奇跡


近々公開される映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』の原作の復刻版とノベライズ本を読んだ。




まず、


タッポーチョ 太平洋の奇跡

『タッポーチョ 太平洋の奇跡』 著:ドン・ジョーンズ 刊:祥伝社黄金文庫 ISBN978-4-396-31536-8


この本を私が最初に読んだのは発刊されて間もない今から30年近く前。


ざっくりとあらすじを述べると 太平洋戦でポツダム宣言を受諾した終戦後もしばらくの間 戦い続けた兵達がおり、彼らとサイパンに駐留した米軍との物語。


実を言うと、私はこの本を読むまでサイパン島で日本軍が玉砕…という言葉をそのまま真に受けてサイパン島の日本人の殆どは戦没したものと思い込んでいた。


しかしながら、この本を読み1万数千人の民間人(そのうち日本の民間人は1万人強)が生存した事や 終戦を知らずに戦い続けた兵がいた事を知り、横井さんや小野田さんの事例は決して奇異なものでは無かったのだと再認識した。


また、この本によると 残存日本軍の指揮官である帝国陸軍大尉をアメリカ軍は その神出鬼没な行動から「フォックス(キツネ)」とコードネームをつけて呼んでいた事や、その大尉が時には捕虜収容所に忍び込んでいたりしたエピソードなどを知るにつけ胸が熱くなった。


で、今回再読してみて 没した人物達のプライバシーを鑑みて…という理由で著者や訳者は記述にフィクションを織り交ぜている事を明記しているのだが、基本的に 最後まで読み通して確かに記述はフィクションっぽいけれども事実を歪曲しているとは感じなかった。


で、読後の率直な感想を述べると…


著者や訳者は 戦争を知らずに生まれ育った日本の若者達が知っておくべき史実を伝えたい…と記しているが それは本当にそうだと私も思う。


例えば、今の教科書がどうかは知らないが、私が学んだ小中高の教科書には「玉砕」しか記述は無かったけれども 実際には戦争直前にサイパンには2万数千人の日本の民間人が居留しており、約半数が戦没した事を知っただけで感慨は大きく変わる。


玉砕した島々や沖縄では 日本兵は民間人の保護を蔑ろにしたと非難される事は多いが、保護した事例を伝えるケースは希でパッシングばかりが目立ってきたから 認識はともすれば刷り込まれてしまうんだな


であるがゆえに、この本が書き遺そうとしたエピソードの意義はとても大きいと思う




さて…


太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男


著:大石直記 刊:小学館 ISBN:978-4-09-408560-0


『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』


上述の『タッポーチョ 太平洋の奇跡』を呼んだ後、直ぐに映画のノベライズ本である『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を読んでみた。


本当なら こんなノベライズなど読まずに映画を見たいところなのだが、個人的事情で映画館はドクターストップの為 おそらく、DVD化されるまで映像を見る事は出来ないであろうし その間に、いろんなネタバレに出会うくらいならノベライズ本を読んでやれ…と思ったわけだ。




【注意!!】 以下の記述にはネタバレが若干含まれます。



このノベライズ本を読んで もし、映画がこのノベライズ本の記述とほぼ同じだと仮定して想像するに 立ち上がってスタンディングオベイションするほどの出来とは言えないだろうけど 近年の邦画戦争物としては異色の良い出来になるんじゃなかろうか?と


ただ、観客の多くはフィクションとして事実とは変えられた部分に下手をすれば感情移入して涙したりんするんじゃなかろうか?という危惧も大きい。


例えば、唐沢寿明が演ずる堀内一等兵という人物は 「白い巨塔」の「財前」や「不毛地帯」の「壹岐」とは全く異質の 御存じの方ならば勝新太郎が「兵隊ヤクザ」シリーズで演じた「大宮」のイメージと言えば想像しやすいかもしれない。


でも、たぶん この堀内役を唐沢なら見事に演じきると思うし、原作の堀内を唐沢のキャラを当てはめて読み進めていくと その最後は下手をすると号泣まであるなとすら思う。


「青野」役を演じる「井上真央」も原作を読み進める上で違和感は無かった。


でもね…


上述の原作である『タッポーチョ 太平洋の奇跡』と映画のノベライズ本である『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を興味のある方は読み比べてみる事を 私はお薦めする。


今まで小説を映画やドラマに映像化する場合に いわゆる「原作をどこまで尊重するのか?」「映像化に際して脚色を付加するのはどこまでが許されるのか?」という件に関し 私はいろんな記事で持論を展開してきたが、この「太平洋の奇跡」に関してが もしかしたら日本の映像制作者達が往々にして起こす それらの脚色に関する判りやすい典型的な例として比較出来ると思うんだな。


で、先述した「堀内」と「青野」 他の登場人物にも細々した脚色はあるが、重要なこの二人に対する脚色を可とするか否とするか そこをよく読み比べてみて欲しいんだな


そして、別個にもうひとつ考えてみて欲しい事は 原作自体にフィクションが含まれているので明確に事実かどうかは不明と言わざるを得ないのだが、「堀内」と「青野」という人物には実在したモデルとなる人物がいたと考える時、映画化による「堀内」や「青野」への脚色は許されるのかなぁ?…と。


私はノベライズ本を読む限り、この二人への映画において付加された脚色はダメだと思う。


と、同時に これが日本の映像制作者達が今までに繰り広げられてきた戦争物の制作に関するダメさ加減の典型を表しているとさえ思うんだな。


その一例として なんでもかんでも「愛」を盛り込まなければダメとさえ思い込んでいる制作者の典型の様にね


それと、宣伝の相変わらずのいい加減さも目立つわな


例えば、「名も無き兵士の真実の物語」というキャッチも 登場人物個々への不必要な改ざん脚色が目立っちゃ「真実」って何?と 問い詰めたくなるでしょ? …と。


要するに、原作の著者や訳者は 戦争を知らずに生まれ育った日本の若者達が知っておくべき史実を伝えたい…のに、それを映像化する際に思い込みの様な制作者達の脚色によって「真実」を歪めちゃ意味が無いとは思わないのかな?…


まぁ、ノベライズ本を読む限りの話なんで 映像がどうかは見るまで判らないとも明記させていただくけどね。


お駄賃

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コメント

ブタネコさんへ
先ほど’太平洋に奇跡’の原作本を読み終えました。 最後の著者のあとがきを読んで外国人から指摘されるとは本当に日本人として恥ずかしい限りです。映画の感想としてはブタネコさんに余計な先入観を与えたくないのでうまく言えませんが、本では大場大尉の内面の葛藤がかなり詳しく書かれていますが、映像ではそれが分かりにくいと言うことです。DVDが出たときにもう一度感想をお願いします。

★ タンク さん

米ドラマ「ザ・パシフィック」の時にも思いましたが この国は(特にメディアは)自ら話す事が出来ず、外国人から指摘されないと理解が出来ない国民性になっちゃったんですよ きっと。


バンブラです。こんにちは。
太平洋の奇跡DVDでましたよ!原作にどれだけ近づき、迫るものがあるか?!
昨晩、早々レンタルしてきました。
ブタネコさんの予想を裏切るか?!満足させるものか?!
ブタネコさんのコメントが楽しみです。

★ バンブラ さん

既に掲示してありますよ^^

http://buta-neko.net/blog/archives/2011/08/taiheiyou_fox.html

バンブラさんの御感想は如何に?

と記そうとしたら ほぼ同時に(大笑)

【※注意!!】

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