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2011年01月03日

● 私の心が貧しく、小さいなと気づいた元旦


正月早々、本当にいろんな意味で複雑な気分になった




私が入学した中学校は当時の札幌市内では平均的な規模の中学で その年の入学数が450人弱、学級が8組まであり、ひとクラスが55人前後で編成されていた。


で、学年450人弱の1年生は通学区域の関係で3つの小学校の卒業生で ほぼ三等分されており、仮に、私の母校である小学校をA小学校とした場合、A、B、C 3つの中学からそれぞれ150人前後の出身者で構成されていたという事


で、入学間もない頃は どうしても顔見知りと固まったり群れるのが人間の性なわけで いつしかA派、B派、C派という風に 出身小学校別の派閥みたいなものがそれぞれのクラスの中に生じ 時にはそれが対立に近い関係に発展したりもした。


そんな私のクラスのB派のリーダー的存在だったM君 それが今回の話のメインとなる人物だ。


M君は頭も良く、運動もそこそこ出来たし、容姿も今風に言えば「イケメン」の部類に間違いなくカテゴライズされるであろうし 性格も陽気で社交性に富んだ人気者で「良い奴」だった。


でもね、私はM君と喧嘩をする事は無かったが、仲良くなる事も出来なかった。


理由は私にとって簡単な事なのだが、他人がその理由に同意してくれるか否かは… たぶん、難しく、多くの方には同意はしてもらえないだろうけど、ここに記しておこうと思う。




生理的に肌の合わない…って奴がいる。


どんなに綺麗事で誤魔化そうとしても「コイツだけは嫌だ」…って奴がいる。


私にとってM君は そういうタイプの人物。


何で私がM君に対してそう感じたのか? それはM君の「笑い顔」だ。


普段はキリッとしているのに 笑った途端、彼の表情はグシャッと音を立てようにクシャクシャに潰れた様な表情になる。


多くのクラスメイト達は そんなM君の笑顔を「屈託のない」なんて感じで表し、受け止めたのだが、私は そんなM君のクシャッとした笑い顔を見た途端、何故か無性にM君を私はブッ飛ばしたくなったものだ。


「笑顔が気に入らない」 それが誰かを嫌う理由として成立してはいけないと私自身も判っているのだが、例えばクラスメイトが数人集まってくだらない話で笑って盛り上がって居る時、そこにM君がいて彼が笑うと私はいっぺんに萎えていた。


いかに私の心が貧しく小さいかを物語るエピソードだと思ってくれていい


でもね、重ねて言うが その当時、私はM君の「笑った顔」を見ると殺意にも似た感情でブッ飛ばしたくなったんだな。


で、M君の名誉の為に付記しておくが 私はM君から何らかの虐めとか嫌がらせを受けた事は無い。


M君に対して怨みも何も無い。


ただ、単純にM君の「笑った顔」が気に入らなかっただけだ。


幸いにして私とM君が同じクラスだったのは中学一年の1年間だけ いくら私がM君の「笑った顔」を気に入らないからと言っても それだけでブッ飛ばすわけにもいかず、或る意味 私にとっての辛抱の期間は1年間だけで済んだ。


で、2年生になる時のクラス替えで別のクラスになって以後、高校も別だったからすっかり私はM君の存在そのものを忘れていた。




さて…


そんなM君と再会したのは中学を卒業してから10数年が経ち 私が整理屋みたいな仕事についてしばらくの事


その日、私は千歳空港で羽田行きの飛行機に乗ろうとしており 手荷物検査場を通過して待合いの一角にある喫煙コーナーでタバコを吸っていた。


すると、そこへ同じようにタバコを吸いに来たと覚しきスーツ姿の男が タバコに火を付けスーッと一服吸い込んで顔を上げるのと ふと、何気にその男を見た私と目が合い 男は私の顔を見ると「あれ?」って表情を浮かべ


「人違いだったら申し訳ないけど、あなたブタネコ君?」


と、聞く


正直言って、そう聞かれた時は その男が誰か私には判らなかったのだが


「え? ええ、ブタネコですけど」


と、私が戸惑いながら応えると


「あ、やっぱり? 俺だよ、中学の時に一緒だったM…」


その男の言葉よりも 懐かしそうに笑ったその笑顔で瞬間的に私は判っていた。


そこには 相変わらず「ブッ飛ばしたくなる笑顔」があったからだ。


しつこいようだが、私はM君そのものは嫌いではない


むしろ「良い奴」だとすら認識している。


ただ、彼の笑顔だけが無性に我慢が出来ないほど嫌いだっただけだ。


だから、彼が笑わずにいてさえくれたら どんな会話でも普通に出来る


その時も、


「覚えてる?」

「うん、よく判ったね」

「いや、雰囲気は危ない感じがするけど顔は変わってないから」


ごく普通に中学の同級生が10数年ぶりに再会したシチュエーションを味わいつつ 時折、彼が見せる笑顔に私は敏感に萎えていただけの事だ。


「いやぁ、懐かしいなぁ…」


彼はそう言うと 私と彼が同じ便に乗る事を確かめ 待合いのカウンターに行って席の交換を係員に頼み込み おそらくその便の搭乗率が低かったのであろう、容易に私と隣の席を確保して羽田までの1時間半 私の隣でずっと楽しそうに喋りっぱなしだった。


で、羽田に着き 空港のターミナルで別れ際に彼は自分の名刺を取り出し、裏に自宅の住所と電話番号を書き込んで


「札幌に戻ったら連絡くれよ 一緒に飯でも食おうよ」


そう言って渡してくれたのだが その時の私は数日、都内で過ごしただけで山梨、長野に移動して1ヶ月半ほど過ごすなど 長期間、飛び回っていた為、M君から名刺をもらった事も その名刺を何処にしまったのかも忘れて つい最近までに至る。




さてさて…


今から半月ほど前のある日の事。


いつもの様にウチの嫁が自宅で煎れたコーヒーを詰めたポットを持って 私の病室に来たのだが、その時に


「ねぇ? ちょっと気になってるんだけど…」


と、話し始めたのが…


ウチの嫁は何故か新聞の「おくやみ欄」を時々チェックするのだが、その日の新聞の「おくやみ欄」にM君らしき名前が記載されているのを見つけたと言って 新聞のそのページを切り抜いて持ってきたのだ。


そこで私は院長室に行き、二代目開業医にその話をすると 二代目開業医は病院に出入りしている葬儀屋の数件のウチのひとつに電話をして調べさせ それがM君の葬儀の案内である事を確認した。


私とウチの嫁と二代目開業医は同じ中学の出身であり同窓であるから 嫁も二代目もM君を知っている。


知らずにいれば「知りませんでした」で済む話なのかもしれないが、知ってしまうと そこには「義理」が発生する。


その日の夜、新聞の「おくやみ欄」に記載された斎場に行ってみると やはり、紛れもなくM君の葬儀であり 数人、見知った同級生達が来ていて


「あれ? ブタネコ夫婦に二代目開業医君、久しぶりぃ~」


と、通夜が始まる少し前の時間に話の輪が咲いたのだが もちろん、そこはM君の通夜の場なわけだから中学の時のM君の話になり…


「なんか、地下鉄の階段を上がってる時に立ちくらみかなんかで そのまま後ろ向きに倒れて…

 脳梗塞の急な発作じゃないか?って話なんだけど 階段を落ちる時に打ち所が悪かったらしいの」

「でもねぇ、さっき奥さん言ってたけど 何故か判らないけど、死に顔は笑顔なんだって

 まぁ、苦しまなかったぶん 良かったんじゃないの」

「まぁ、今だから言うんだけど… 私、M君の事ちょっと苦手だったのよねぇ」

「あ、判る それ。 私も苦手だったのよ」

「彼ってさ 黙ってればとても良い男なんだけど、笑うと…」

「そうそう、なんかあの人の笑い顔って腹立つのよね」


私とウチの嫁と二代目開業医は 何も言わず、同級生達の交わす会話を黙って聞いているだけだった。


まぁ、私も今更ながら…なんて言って こうして文章に記しているのだから他人の事をとやかく言えた話ではないが、その時の私は卒業後40年近くになって初めてM君の笑い顔が「ブッ飛ばしたくなる笑顔」と感じていたのが私だけじゃ無かった事を知りポケットの中で拳をガッツポーズの様に握りしめつつ… わざわざ彼の通夜の席に出張って悪口で盛り上がるオバチャン同級生達を その握りしめた拳でブッ飛ばしたくもなっていた。


しかしながら、斎場のロビーに


「これより故・Mの通夜を執り行います 御来場の皆様はホールの方へとお進み下さい」


という放送が流れたのをキッカケに助けられるようにホールへと進むと 正面奥の祭壇に”笑顔の”M君の遺影が据えられており…


そのM君の笑顔は 我々がよく知る40年ほど前の彼の笑顔となんら遜色が無い「ブッ飛ばしたくなる笑顔」がそこにあった。


いろんな意味で複雑な気分だった。




さてさてさて、こんな話を何故 今、私が記しているかと言うと…


元旦早々、届けられた年賀状を何気に見ていたら その中にM君からの年賀状が混じっていたのに気づいた。


年賀状は写真造りのもので 赤ん坊を抱っこしたM君が笑顔で写っていた。


きっと、年賀状を投函した後に急逝してしまい喪中葉書と行き違いになっちゃったんだろう


よく見ると写真の隅にボールペンで


「初孫を授かりました 笑顔が私に似ていると皆から言われ照れ臭いです」


と、添え書きされていた。


その添え書きと 写真の中の笑顔のM君を眺めていたら 正月早々、本当にいろんな意味で複雑な気分になったからだ。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

こんなことってあるんですね

最後まで読み終わった時に
何故だか涙が出ました

★ ぱんだ さん

今年も宜しくお願いします。


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