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2010年09月08日

● 猫の帰還


いつもコメントを頂戴している「ラヴァ」さんに「猫の帰還」という本を薦められたので取り寄せて読んだ。




猫の帰還

 ロバート・ウェストール:著  徳間書店:刊  ISBN4-19-860911-X


以前、『ブラッカムの爆撃機』という本について記事を掲載したが…


その本を薦めてくれたのは「ラヴァ」さんと「FORREST」さんのお二人、そのうちのお一人である「ラヴァ」さんが今回の「猫の帰還」という本を読む事を薦めて下さったのだが、実は「ブラッカムの爆撃機」と「猫の帰還」は同じ著者で この「猫の帰還」もイギリスでは児童文学のジャンルに入る本とされているそうだ。


で、内容のあらすじをザックリと述べると…


時は第二次大戦が起きてナチスドイツが西ヨーロッパを席捲していた頃の事。


イギリスのある若い夫婦が一匹のメス猫を飼っていた。


そこでその猫は 特に夫に可愛がられてとても幸せに過ごしていたが、爆撃機のパイロットとして夫が出征し 妻は生まれたばかりの子供とその猫を伴って疎開したが、猫は疎開先の生活が気に入らず、可愛がってくれた夫が恋しさのあまり かつて住んでいた家へと旅に出る。


その旅の中で 猫はいろんな人と出会い、やがて…




この本を読み終えて感じた事は おそらく、この本の様な文章を日本人が書くことは相当難しいだろうなぁ…と、まず思った。


それは この作者がとてもよく猫の習性を熟知しており、時に猫は人間には理解し得ない身勝手さや 人間から見てとても残酷な事をするのに関して それをちゃんと踏まえて記述している事に感心した。


例えば、この物語の中で猫は子供を産み育てるのだが いわゆる「子離れ」に関して描かれた母猫の描写は 猫をよく知っていないと、ともすれば残酷とか冷徹みたいに受け止めやすい描写で 日本の児童文学を書こうとする人ならば、ウソでも違う描写や展開を記述しないと日本では児童文学として認めて貰えないのでは…なんて 大人の配慮みたいな小賢しい真似をするだろう…と。


それと、もうひとつ感じたことは 第二次大戦中のイギリスの生活なんて よほど専門的な教育じゃ無い限り教えてくれないし誰も知らない。


ゆえに、この本を読むと 日本のその時代とよく似た配給制度や、イギリスならでは国防軍などの制度とか 当時のイギリスの生活様式が垣間見えて興味深い。


上の本の表紙のキャプ画は私が入手した本のものだが、宮崎駿が言葉を寄せているのが判ると思う。


前述した「ブラッカムの爆撃機」にも宮崎駿が言葉を寄せており、なんらかの営業的意図が無い限り 宮崎駿はロバート・ウェストールという作家の著作を相当好んでいる事が想像出来る。


ラヴァさんがこの本を私に薦めて下さった時に 宮崎駿に関する所見を述べておられたが、たしかに「ブラッカムの爆撃機」もそうだったが、「猫の帰還」もまた 宮崎駿の初期のアニメの「魔女の宅急便」とか「紅の豚」に相通じる雰囲気みたいな流れを感じ、ロバート・ウェストールの著作が少なからず影響を与えた気がしてならない。


この本は良書なので 出来るだけ多くの人に読んで楽しんで貰いたいと思うのでネタバレは避けたいのだが… 少しだけ緩く引用させて頂くと、この「猫の帰還」には 猫が旅の途中でいろんな人と出会うのだが 例えば、馬車屋の老人、軍曹、猫が幸運のお守りだと信じる爆撃機の若い機銃手、兵隊達に自分の家を占領される女性… それぞれの人物設定や性格や喋る言葉は いろんな宮崎アニメの中に脇役として登場する人物と重なって映るところを強く感じるんだな。


まぁ、私は近年の宮崎駿の発言には全く賛同出来ないものも多いので「もののけ姫」以降の宮崎アニメは好きじゃないからロクに見もしていないので あくまでも「初期の」と断っておきたい。




基本的に 私はどんな本でも読み始めたら余程退屈な駄作じゃない限り、一気に読み終えるたちなのだが、この本は自然とそうさせる魅力があり面白かった。


特に印象的なのは 物語のラストで


「へぇ、こんなエンディングかぁ…」


と、いろんな意味で考えさせられた事。


それは決して私としては不愉快なエンディングという意味では無く 全体を通じて猫をよく知り抜いた描写と重ね合わせて感心した…と言った方が正しいのかもしれず、猫をよく知らない人だと「なんだこりゃ?」ってエンディングに見えてしまうかもしれない危険を含めて エンディングに考えさせられる事で、作者なりの全体を通じて主張したかった何かを読者に伝えているんだろうなぁ…と感心した。


…というわけで ラヴァさん、いい本をお薦め下さってありがとうございました。


ちなみに、同じ作者のもう一冊は入手にちょっと時間がかかりそうだけど手配はできました。


それと、ドイツ軍系のもう一冊は 一度、読み通しましたが いまいち難解な部分があり、あらためて読むまで感想は御容赦を…


お駄賃

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コメント

「かかし」 とかもいいですよ.(笑)

★ ゴーシュ さん

早速、手配します。


「猫の帰還」気に入って頂けて良かったです!
また、こんなに早いご感想有り難うございました。

欧州が舞台の初期宮崎作品にも影響を。。ナルホド。
通しで三度読んでいたのに、その観点に気づいていませんでした。
また読み直してみます(笑)。

この本と、ブタネコさんが取り寄せ中の、もう一冊の本は原題も良いんですよね。
「blitz」の軍事用語的バックボーンの知識が要る分、日本ではマニア向けとも言えますが、この作者の作品の良い所は、そんな知識がなくても面白い!という事だと思っています。
ゴーシュさんが挙げられた「かかし」の他、「海辺の王国」「禁じられた約束」「"機関銃要塞"の少年たち」「水深五尋」を読んだ上での感想です。

★ ラヴァ さん

>「blitz」の軍事用語的バックボーンの知識が要る分

あ~、原題を全く気にしていませんでした。

で、あらためて原題を考えるに これ意味深ですねぇ(私の考え過ぎかな)

「ロンドン大空襲」にも通じるし、「爆撃機に乗って空襲しに行く」にも通じるし、「電撃戦」から「危険地帯を踏破(もしくは突破)する」なんて意も気になるし…

レスが遅くなり失礼しました。

「考え過ぎ」ではないと思うのですが。。。
最初私が思ったのは、一義的には「独軍の空襲下」で、二義的には「電撃戦のような侵攻--渡り歩き」と(浅く(笑))考えていたのですが、ブタネコさんの出された意味はどれも符合しすぎで。。
正直、「危険地帯を踏破(もしくは突破)する」という意味まであるとは知らず、ちょっと驚きました。

英国で、どの程度blitzという単語が根付いているのか判りませんが、Blitzkatzeではなく独英混ぜているのには、何か意味があるのでは?と四度目を読んでみました。
その印象は、独英混ぜた題名で、大きな主題である「英国人もドイツ人も同じ人間」も表しているのかな?という事でした。
これは他のウエストール作品にも共通した要素で、敵国人であるドイツ人にもシンパシーを感じるような描写があります。
ブラッカムでもそうでしたよね。

思っていた以上に、原題に籠められた思いは深いようで、ますます興味の湧く所となりました。
(他の作品の原題でも思い当たるフシがあり)

★ ラヴァ さん


>レスが遅くなり失礼しました。

いえいえ、こういう話題はジックリ楽しみたいです。


>正直、「危険地帯を踏破(もしくは突破)する」という意味まであるとは知らず、ちょっと驚きました。


英語と米語の違い…という部分を忘れていたんですが、「ブリッツ」という言葉に関して私の知る軍事オタ知識でまず浮かんだのが「突破を目的とした戦術」だったんです。

一例を挙げるとアメリカンフットボールにおいて ディフェンス側が相手側(攻撃側)のクォーターバックに対して突撃する戦術を「ブリッツ」と呼んでいる事があります。

そして、次に浮かんだのが「ロンドン大空襲」を「ザ・ブリッツ」と英国人が呼んでいるように「空襲」という意味

ドイツ語だと「稲妻」というのが一般的で 軍事的には「電撃戦」になるんでしたよね


たしかに、「ブラッカムの爆撃機」も そしてこの「猫の帰還」もドイツ側視点で読んだら…という部分 高く評価すべきですね なるほどなぁ…


【※注意!!】

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