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2010年01月08日

● 正月2日の襲撃


正月2日の目覚めはなかなか爽快だった。




ベットから起き抜け まず居間に行き、くつろいでいる嫁に


「紋付き 出しといて、昼前には出かけるから」


と、言い 私は風呂に風呂好きの猫と共に入る。


風呂から上がると 嫁特製の鍋焼きうどんをかっ喰らい、紋付き羽織袴に着替えて一服している所に 前日の夜、寝る前に電話をかけて頼んであった二代目開業医が救急車でも往診用でもない よそ行きの愛車であるジャガーで迎えに来たので それに乗って出かける。


娘達は何かの新年会にでも出かけるのだろうと思い込んでいるし、嫁は既に察しているのか余計な事は何も聞かなかった。


玄関から外に出て、二代目の車に乗ろうとしたら 何故か私と同じ様に紋付き羽織袴姿の二代目開業医が既にリアシートに座っており、運転手はウチの長女の彼氏で 彼氏は車の横で後部ドアを開けて立っており、中から 二代目が手招きしながらニヤリと笑う


「なんで、オマエまでそんな格好なの?」


「ん? パジャマとか白衣の方が良かったか? それともカーネルサンダース…」


「いや、ごめん 聞いた俺が悪かった」


「お、今日はずいぶんしおらしいじゃねぇかよ」


「これから行く所は血圧とかテンション上げていくわけにはいかねぇんだよ」


「そりゃそうだ^^」


その後、会話のないまま 長女の彼氏の運転に任せて目的地へ。


途中、


「ちょっと缶コーヒーでも飲んでおくか」


と、二代目が言い出し とあるコンビニで停車。


私と二代目開業医がそろって紋付き羽織袴姿でジャガーから降り、コンビニに入っていって それぞれが好みの缶コーヒーを一本ずつショーケース冷蔵庫からとり出して一緒にレジへ


レジのバイト店員は心なしか顔が引きつり気味で その店員を前にして


「おい、ふだん散々ボッタくってんだから 缶コーヒーぐらいオマエがおごれ」と、私


「あ? 今日はオマエの為にわざわざ出張ってんだぞコッチは

 缶コーヒーぐらい気持ちよく買って寄越すのがスジだろが? お?」と、二代目


見知らぬ人が見たら 葬式帰りのヤクザがコンビニのレジ前で揉め始めたように見えたんだろね^^


「仕方ねぇ、正月早々に免じて ジャンケンだ」


「おう、一本勝負な」


「ジャンケン・ポン!」


私の勝ちだった。^^


試してみれば判る事だが、私の右手の小指は脱臼の為 添え木と包帯で固定されているから その状態ではチョキを出す事が難しく パーかグーしか咄嗟には出せない。


だから、二代目開業医はパーさえ出しておけば勝つか引き分けなのに 医術的には高速で反応する能力の持ち主のくせに 駆け引きではまだまだ甘い。


私のパーに負けた 彼の拳はグーのまま悔しそうに握り締めつつ、懐から財布を出して1000円札を取り出しレジに


「240円になりますので760円のお釣り…」


二代目はその店員に


「ニィちゃん、この格好でジャリ銭をジャラジャラさせれっか? お? お年玉だ、釣りはオメェにやるよ」」


ジャンケンに負けた八つ当たりがミエミエで言って、呆然とする店員を尻目に


「良いお年を!… だ、ニィチャン」


後ろ手に手を振って店から出て行った。


(コイツ(二代目開業医) 絶対、ヤクザ映画の真似だ…)


内心、そう思いながら ジャンケンに勝っただけで妙に嬉しい私。


会話もなく、車内でタバコを吸って缶コーヒーを飲み終えた頃には 目的地に到着。


そう、そこは長女の彼氏の実家である。


前日の夜に私は二代目開業医に電話をして 翌日、つまり二日の日に長女の彼氏の御両親に挨拶に伺いたいからとアポ取りをさせ、その上で二代目に車を出して乗せて行けと頼んでおいたのだ。


丁重に迎えてくれた彼氏の御両親に


「昨日はいろいろと不調法な真似を御覧に入れてしまって申し訳ありませんでした。

 本日はそのお詫びもさる事ながら、ウチの長女とこちらさまの御長男の事で

 御挨拶申し上げたく、参上した次第です。


 実は、御承知の通り私、心臓を患っておりまして いつ果てるか知れぬ身でして

 その身を案じて二人のお付き合いに関して周囲が私の耳に入れないようにと案じておりましたようですが…

 むしろ、私としましては この身が果てる前に慶事をきちんと見届けたいと勝手ながら願う所存で

 ワガママとお叱りを受けるのを覚悟で どうか二人の早々の結婚を お願いしたく参上致しました。」


私が反対で暴れると恐れていた相手の御両親、それにその場にいた長女の彼氏は呆然とする中


「本日は 御挨拶までと思い、あえて手ぶらで失礼させていただきましたが、後日 ここに

 同席しております院長(二代目開業医)を仲人として あらためて正式な段取りと御挨拶という事で

 どうか御了解いただけますならば…」


「グッハッハッハッハ…」


私の口上は二代目開業医の笑い声でかき消され


「そういうわけで お父さん、お母さんも 新婦の頑固親父もこれ、この通り気持ちよく了承という事で ね?

 ま、あとはコイツ(ブタネコ)の寿命がいつまでも持つか…って事ですが、そこは私が適当にナニしますけど、

 どうか ちょっと急ぎ目の日程でひとつ…

 ええ、会場や業者は私の方でグスッと ええ、グスッといいように計らいますんで

 どうかコイツ(ブタネコ)に免じて すいませんね?、本当にスイマセン…」


事実上、長女の婚約が成立し 式までのカウントダウンが始まった瞬間だった。


「すいませんね、コイツ 心臓がほらナニだから、あんまり外出させておけませんので今日のところは…」


全てを二代目開業医が仕切り 早々と彼氏の実家を失礼する私と二代目。


送り届けるまで運転主役をと望む長女の婚約者にハンドルを持たせ車は走り出す。


ほんのちょっと走り出したところで 運転しながら長女の婚約者は


「本当にすいません ありがとうございます」と、半分泣き声


「オマエ、母さんに余命の話してないんだって?」と運転手に私。


「すいません、たぶんオフクロは察してると思うんですけど 親父はあえて言わずに送ってやろう…って」


「結婚祝い代わりだぞ? でなきゃ、でかい貸しだ^^

 俺の寿命が…って事で とっとと、それを大義名分に母さんを安心させてやれ

 じゃなきゃ、ウチの娘をオマエなんかに… ま、いいや」


運転手兼婚約者は 泣いて声にならなかった。


その代わり、私の横で二代目開業医が


「オメェ(ブタネコ)もくたばるまえに 良い事を一つしたな。^^

 ま、それでも地獄行きは変わらねぇだろうけどよ ブヒャヒャヒャ^^

 な? 俺も紋付きで格好がついただろ? これがカーネルサンダースなら玄関から放り出されて

 何処かのバカみたいにバケツで水をぶっかけられてたな ブヒャヒャヒャ^^」


陽気にはしゃぐ二代目を横に 私はそれには応えず、懐から取り出した煙草に火を点けて一服目を深く吸い込み 泣きながら運転している運転手兼長女の婚約者に


「おい、家に帰る前に もうひと仕事あんだから ちゃんと前見て運転しろよ」と。


小一時間も走らずに着いた所は”気の弱い弁護士”の家 実はこちらも既に二代目開業医から”気の弱い弁護士”に自宅にいる様に指示させてあった。




”気の弱い弁護士”の自宅の前で車を降りた私と二代目開業医


私は玄関のチャイムを鳴らさず、いきなりドアを開けると下駄(紋付き羽織袴の場合の夏は足袋に草履だが、北海道冬の正装では足袋に下駄)を脱がず、そのまま家の中にズカズカと入っていく


これは喫茶「職安」でバイトをしていた頃からそうだし、その後、屯田兵の御隠居と呼ばれた因業爺ぃの会社を引き継ぎ、運送屋のNさんや弁護士のOさんの使い走りをしながら学んだ 債権者が債務者に対して行う 業界用語で言うところの奇襲、真珠湾攻撃のイロハだ。


文字通り、ズカズカと”気の弱い弁護士”の家の中に押し入り 居間でコーヒーを飲もうとカップを持ったまま 私の侵入に呆気にとられて固まっている”気の弱い弁護士”を見下ろしながら


「謹賀新年だ バカヤロウ」


「な、なんだオマエ 藪から棒に…」


「なんだコノヤロウ 新年早々、俺が棒ってか? だったら、棍棒でも 金属バットにでもなったろか?」


「まぁ、待て 落ち着け…」


「餅は去年の暮れにつかせてあんぞ コノヤロウ それより、テメェ、昨日 俺の家で何やった?」


「あれは、ほら、つい酔っぱらっちゃってて…」


「あ、コノヤロウ それ言うか? 俺が、常日頃 酔っぱらいが嫌いなのオマエ知ってるよな?」


「え? あ、あぁ…」


「テメェの都合で勝手に酒かっ喰らっておいて なんか不始末すると

”あの時は酔っぱらってて”…って 酒に責任転嫁しやがる

 酔っぱらったらグズグズになるのをテメェ自身が知ってるのに 平気でそんな真似をする…

 他人は寛容に笑って済ませてもな、俺は そういうバカが一番嫌いなんだよ 知ってるよな?」


「あぁ、知ってる」


「で? テメェは昨日 何やった?」


「酔っぱらってゲロ吐いた」


「おぉ、ちゃんと覚えてたか… 記憶はあるんだな 都合の良い酔っぱらいだな おい?

 それもアレだ、ウチの奥さんが去年、居間のリフォームやった時に 三越の外商を散々にこき使って

 探し回らせてやっと見つけたお気に入りのカーペットにだ」


「…」


「しかも、昨日はウチの嫁が神経張って段取った大事なナニをだ テメェは

 ”ちょうどいいから…”って台無しにするところだったんだぞ? 判ってっか?」


「あぁ、悪かったよ これから謝りに…」


「謝ってなんでも済むんなら この世に弁護士なんかいらねぇんだよバカヤロウ

 けじめつけてもらうから覚悟しろ お?」


「なんだよ? どうしろってんだよ?」


「オメェんとこの倅、ウチに寄越せ」


「寄越せ…って 犬や猫じゃ無いんだから」


「そうだよ、犬猫じゃねぇよ 倅だから、ほら ちゃんとこうして紋付き羽織袴着てきてやってんじゃねぇか」


「それにしたって いきなり、寄越せ…って」


「今、ここに来る前に ウチの長女の彼氏の実家に行って挨拶してきたんだけどよ…」


「おぉ、そうか 遂に結婚決まったか… 良かっ フゲッ!!」


無邪気な笑顔を見せる”気の弱い弁護士”にムカッとした私は 奴の首を絞め、


「そうだよ、ウチの長女は”お嫁に行っちゃう”んだよ お陰でな、ウチの次女に婿を貰わねぇと

 ブタネコ家の名跡が無くなっちゃうんだよ 判るか? あ?」


「放して、く・苦しい」


「幸い、オメェの所には 次男坊がいるから跡継ぎには事欠かねぇだろが?」


「あ~苦しかった 殺す気か?」


「あぁ、グズグズ言ってんだったら 面倒臭いからその辺の山に埋めるぞ」


「…」


「オマエは酔っぱらって ウチの嫁を怒らし、その上カーペットまで台無しだ

 これが戦国時代だったら とっくの昔に軍勢引き連れて合戦だ 勝てるか? オマエが俺に」


「戦国時代って… 今は平成だぞ」


「もう一回言う、但し、もう二度とは言わないから 心して聴けよ

 ”グズグズ言ってんだったら 簀巻きにして豊平川に流すぞ?

  この寒空の下、石狩川経由で石狩湾、日本海への独り旅クルーズに御招待”

 俺は本気だぞ?」


「わ・判ったから ちゃんと聞くから!」


「台無しにしたカーペットの埋め合わせに オマエの長男を差し出せ。

 ただ、それじゃあ 身代わりにされるオマエの長男が不憫だから

 ブタネコさんの名字と次女をプレゼントしてやろう… って話だ ありがたく平伏して承諾しろ?」


「…」


「何黙って考え込んでんだよコノヤロウ よし、簀巻きだ ロシアか北朝鮮まで流して…」


すると、二代目開業医が


「おい、ウチの救急車 呼んどいたほうがいいか?

 オマエ(ブタネコ)がそこでそいつ(気の弱い弁護士)を殺して 俺がそれを蘇生して…

 それ何回か繰り返せば、オマエ(ブタネコ)は気が済むだろうし、そいつ(気の弱い弁護士)は何度も地獄を見るし

 俺は、そのぶん治療費で儲かる。


 大岡越前で言うところの”三方一両損って奴だな” グヒャヒャヒャヒャ^^」


横で一部始終を見ていた 気の弱い弁護士の長男に


「おい、オマエは B(ウチの次女)と結婚したいのか?」


問い詰める私。


それに対し、堂々と「はい」と応える長男


「そうか、だったら オマエ、今日から酒飲むの止めろ

 酒なんか飲まなくたって 人間、生きていける。 俺が良い例だ。

 それに、オマエの家系には 酒乱の気のDNAがあるから 飲んでたって良い事なんか無ぇ

 オマエ、今日から酒飲むの止めろ それが条件だ、どうだ?」


それに対し、堂々と「はい、二度と飲みません」と応える長男


「そっか、よし 約束だぞ^^

 じゃ、仲人は そこにいる二代目開業医って事で あとはヨロシクだバカヤロウ」


そのまま とっとと二代目と共に気の弱い弁護士の家を後にした私だった。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさんへ
明けましておめでとう御座います、今年も宜しくお願い致します。
一気に決められたようですね、お疲れ様でした。それに婿いびりも十分堪能されたようで羨ましい限りです。

★ タンク さん

こちらこそ、今年も宜しくお願い申し上げます。^^

また、ひとつ肩の荷がおりました。


【※注意!!】

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