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2010年01月26日

● インシテミル


先日、虎馬さんが掲示しておられた『インシテミル 映画化』という記事で知り、発注していた原作本を入手したので 早速、読んでみた。




インシテミル

 著:米澤穂信 刊:文藝春秋 ISBN:978-4-16-324690-1


【注:以下の記事内において 原作のミステリー性に敬意を表して出来るだけネタバレ表記しない様に心がけますが 責任は持てません。^^;】




原作を読み終えて感じた事は…


「う~ん どういう視点で感想を記そうか?」


である。


どんな小説にも大なり小なり粗みたいな部分はある。


それを好意的に受け止めるか 批判の対象とするか、私の場合 その作品全体の挑戦度や斬新さなど総合的に「面白かった」と思えば好意的に 「なんだかなぁ」と感じたのであれば批判へと変わる。


別の違う感覚で言えば この本を読み始めてから読み終えるまでに掛かった時間は ほぼ4時間。


そう、下世話な言い方だが その4時間を本の単価1600円で どれくらい楽しめたのか? …って感覚と言えば判りやすいだろうか。^^


例えば、昨今 タダ券や様々な額の割引券などが氾濫し映画館の入場料ぐらいデタラメなものは無いと思っているが、私がよく利用するシネコンだと大人1本1500円


単純に比較すると ほぼ同じ値段で映画の倍の4時間楽しめたと感じているのだから「面白い本だった」と言って良い。^^


が、私は「インシテミル」は傑作だとは感じていない。


ミステリー作品に対して 粗探しの様に小言を呈するのは 時に野暮だとは思う。


しかし、ミステリー作品は 著者が読者に対してトリックやミスリードなどを仕掛けて騙したり挑戦したりする側面がある以上 読者は真摯に巧く騙された時は著者を讃え、著者が劣っている時には罵る事も必要と私は思っている。


なので、ここは整理して この「インシテミル」がミステリーである…という観点で最初に語る事にしよう。


「米澤穂信」という著者による他の作品を私は読んだ事が無い。(というか知らない)


今回の「インシテミル」が初めてなので著者について判らない事だらけなのだが あえてこの本を読んだだけで勝手に語ると この著者はそれなりに古典ミステリーと呼ばれる作品を読了しているのであろう事は「インシテミル」の中での引用で想像がつく。


「ディクスン・カー」とか「ヴァン・ダイン」なんて名前は 本当に久しぶりに聞いたが、真のミステリー好きを自称するなら著作を読んでなきゃ駄目ってぐらいの大作家だ。


江戸川乱歩や横溝正史先生や中島河太郎氏など、日本の古典ミステリーの大御所達が絶賛したり、目標としたぐらいだからね。


そういう意味では「インシテミル」という作品がキッカケで古典ミステリーを手に取る人が増えればいいな…と思いつつ 


ただ、「上から目線でモノ言う」が評判の私としては 横溝正史先生の先生のエッセイを中学の時に読み、その中で知った「ディクスン・カー」「ヴァン・ダイン」「クロフツ」「ミルン」


A・A・ミルンと言えば『クマのプーさん』をはじめとして著名な童話作家だが、唯一書き下ろしたミステリー作『赤い館の秘密』は古典ミステリーの大傑作のひとつ。


江戸川乱歩や横溝正史先生や中島河太郎氏などが「良し」とした海外の古典ミステリーを中学生の時から読み込んできた身としては 逆に、この「インシテミル」の中で「米澤穂信」という著者が安易に盛り込んだり引用する様は児戯に等しい。


この程度の作品で古典ミステリーの名作の凶器やプロットを一部だけど明かす様に用いるのは片腹痛いな…とも。


断言しても良いが、古典を読み込んだ人間が この原作を読み進めた時、最初の被害者が発生した後 死体の状況や関係者のアリバイなどが明るみになっていくにつれ 多くのこなれたマニア達は死の真相の半分をその時点で類推する。


そして、ネタバレだと怒られるかもしれないが 敢えて言わせて貰えば


「時給1120百円」


わざと意味ありげにミスリード臭を漂わせたのであろうけど 11万2千円という半端な額の設定で良しとした時点で この作品が「傑作」とは呼ばれない事も決定したと言っていい。^^


この半端な額のおかげで ちょっと方程式を解く数学的知識が有れば ラスト1/3ぐらいの時点でその後の展開が読めてしまい、私は意表を突かれるどころか「あ~ぁ」だったからだ。


けどね、その辺に気づかなければ おそらくは終盤まで面白い本だと多くの人は感じるのだろうし それはそれでいいんじゃないか?と。


あくまでも悪意に解釈すれば 作者は「俺はこれだけ古典を読んだんだぞ」と見栄を張り、ラストで「あぁ、成程」と読者を感嘆せしめんと欲したのであろうが いずれもハンパだったね…とも。^^;


というわけで、この「インシテミル」はミステリーとしては駄作ではないが、傑作でもない…というのが私の評価。




さて… 今度は違う視点で語ろう^^


虎馬さんの記事の中の新聞のキャプ』をクリックして拡大して記事を読んでみると…


「主演8人」とか「”9人目”男子大学生役はオーディション」と記されている。


ちょっと待て、「インシテミル」で閉鎖空間に放り込まれるのは12人 つまり、役者が3人足りない。


  ・大迫雄大 大学3年

  ・若菜恋花 大迫の彼女

  ・釜瀬丈 小太りの男 気弱で大迫に縋ろうとしている

  ・西野岳 中年男

  ・岩井 金髪の神経質

  ・須和名祥子 お嬢様風の女の子

  ・結城理久彦 大学生

  ・箱島雪人 女性っぽく見えるが男 学生

  ・真木峰夫 超然とした雰囲気のイケメン

  ・関水美夜 とげとげしく不機嫌な少年に見えるけど女

  ・安東吉也 余裕綽々の男

  ・淵佐和子 オバサン


これが原作中12人の登場人物であり 作中での自己紹介順で、寸評は作中文のブタネコ的要約。


で、新聞発表による主演8人とは


  ・北大路欣也 いわくありそうな建築家(おそらく「西野岳」)

  ・武田真治  神経症気味で無色の男(「岩井」もしくは「真木」か? たぶん「岩井」かな^^)

  ・平山あや  ”彼氏がすべての女子学生役”とくれば「若菜恋花」

  ・片平なぎさ 「ミステリーマニアの店員」どう考えても「淵」だ。^^

  ・石原さとみ  ”思い詰めた…”という役柄から「関水」

  ・綾瀬はるか ちょっと空気の読めないOL 残った女は”須和名祥子”

  ・藤原竜也  人を信じやすいフリーター 競輪風に言えば「結城で鉄板なんだがな…」

  ・阿部力   ”仕切りたがりの…”で「安東」か^^


そして、オーディションの男子大学生は「大迫」か


いずれにせよ、この時点で映画は原作とは随分と異なる形になるな…って事がバカでも判る。


ゆえに、ここで私が注目するのは 綾瀬はるかの「ちょっと空気の読めないOL」という役柄


原作を読んだ方なら たぶん「ちょっと空気を読めない」はウンウンと頷きつつも「OL」ってとこで「ん?」となるよね?


「お嬢様」を「OL」に置き換える… それってどういう事か?と。


原作における「須和名祥子」のキャラクターには いくつか問題というか疑問な点はあるので その辺を映画では改編するのは理解が出来るし、もちろん、綾瀬はるかが「須和名祥子」を演じるとは限らない。


原作にも もう一人「空気の読めない」男がいたわけで、原作では男だったが それを女の設定に置き換える…ってのもそれはそれでアリだろう。^^

(少年の様な少女 とか 女の様な男 がいたしね^^)


まぁ、その辺のネタバレはどうでも良い事なのだが おそらく、そして間違い無く人数が減るぶん事件も減るから 時給の単価も変わるだろうし、事件の内容も それなりに変わるだろう。


それについては 基本的に忠実に映像化するべき原作とは私は感じていないから いっそのこと、犯人や殺し方も変えるぐらいしてもいいとすら思う。


でもね、「綾瀬はるか」に「ちょっと空気の読めないOL」って役柄をわざわざ持ち込むのはどうなの? と、それだけはどうしてもいちファンとして引っ掛かる。


そう、「ホタルノヒカリ」「ハッピーフライト」「マジックアワー」「MR.BRAIN」「仁」… また、空気の読めない天然ボケ系ですか?
 

違うんじゃないのか? 女優としての成長や幅を示すのなら ここはいっそ、冷酷に かつ、妖艶な笑みを浮かべる女 そう、敢えて言うなら「白夜行の雪穂」を演じさせるべきじゃないのかな?


同時に、藤原竜也の「人を信じやすいフリーター」とか 片平なぎさの「ミステリーマニア」なんてのも 殆どワンパターンみたいな固定キャラなんだよね? ゆえに、この芸能事務所が 所属の役者をワンパターンの金太郎飴にするのが方針って諸悪の根源なのかもしれないな(一応、念のため言っておく 事務所の株持ってるからね^^;)なんてすら感じてしまい悲しいのだ。


しかしながら、もし、天然ボケで無害な女のままラストで コロッと豹変して「殺したのはアタシだよ!!」と妖艶に笑って見せたなら 映画館で泣きながらスタンディング・オベイションするけどね私は。^^


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

>>天然ボケで無害な女のままラストで コロッと豹変して「殺したのはアタシだよ!!」
と妖艶に笑って見せたなら 

彼女のこの演技見てみたいです、たぶん自分も泣くでしょう^^。

★ けんしろう さん

でしょ? ですよね^^

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