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2010年01月05日

● 元旦の悲劇


二代目開業医の病院の院長室で年越し麻雀に興じ、自宅に戻ったのはすっかり朝日が上った朝だった。




今年の札幌は薄曇りで初日の出とは縁がない。


が、そんな事はどうでもいい。


御主人様が小指を負傷し救急車で運ばれた…というのに、ブタネコ家は何事もなかった様にシンと静まりかえり、嫁と娘達は寝込んでおり ついでに言えば猫が2匹だけ出迎えてくれて…


でも、その猫達も単に私を出迎えたのではなく 私を誘導する様に台所へと誘い


「かつお節を ひとつかみ置いていってくれよぉ」


「俺は煮干しが欲しい」


と、結局は私にせがんだだけの事。


トホホな気分で そ~っと寝室に入れば、普段はわりと早起きの嫁もスースーと寝息を立てており 寝起きの不機嫌さには定評のある嫁を正月早々起こしては どんな目に遭うか知れず、私はやはりそ~っと自分のベッドに潜り込み あっと言う間に私も寝入った。


……… どれだけ時間が過ぎたのかは判らない、ただ 私は目を開けていないだけでベッドに横たわり、寝ている事だけは自覚していた


そういう状態で覚醒したのは 右腕の肘から先がなにやらジンジンと鈍痛を感じさせるからだ。


そう、私の右の小指は昨夜脱臼し 添え木と包帯で固められた状態。


二代目開業医が打ってくれた痛み止めも いいかげん時間が過ぎて効き目がなくなったのであろう


「仕方が無いな」


私はもう一度そのまま二度寝を決め込む事にしたのだが…


何かがおかしい。


右手が妙に生温かく、しかも押さえつけられた様に動きが鈍い。


その右手の自由を取り戻そうと とりあえず、布団の外に腕を…と動かした瞬間


「フギャッ」


という声と共に 右手の親指に激痛が


「痛ッ!!」


と、思わず上半身だけ起こして自分の右手をよく見たら いつの間にか私の懐に潜り込んだ猫が 私の右手を抱き抱える様な体勢になっており、そいつが私の親指に噛みついている。


そうだった…


以前、別の記事で 我が家の猫の奇癖について記した事があるが、そこで記した「風呂に入る猫(仮に名前を”ザク”と呼ぶ)」「白湯を好む猫(仮に名前を”グフ”と呼ぶ)」以外に「スースーが大好きな猫(仮に名前を”ドム”と呼ぶ)」というのが 我が家には存在する。


この場合の「スースー」とは ハッカなどミント系の匂いであり、学術的に言えば「メントール」系の匂い


判りやすく言えば、この猫は灰皿にメンソール系の煙草の吸い殻を無造作に放置してしまうと いつの間にか匂いをかぎつけて現れ その吸い殻を噛みむしり、それはあたかも人間が噛み煙草をしているみたいな真似をする。


そして、今回の様に この猫は湿布の匂いが大好きで、家族の誰かが湿布を貼っていると 常につきまとい「スースー嗅がせてくれよぉ」みたいな行動を取る。


いわゆる「猫にまたたび」状態になってしまうのだ。


それをすっかり私は忘れていた。^^;


結局、ドム(スースーが大好きな猫)は私の添え木で固定された小指に「まっしぐら」状態で 私は寝るに寝れない。


仕方なく、寝室から起き出して居間に行くと 娘達は既に起きているばかりか、何故か3人とも和服姿。


「あら、アナタ起きたんだ?」と、嫁


「え? マジ?」と、長女


「うそ!、なんで?」と、次女


元旦の朝だというのに 居間に現れた御主人様に対してなんなんだ? この3人は… 私のへそは若干曲がる。
(既にへそ曲がり…という抗議は受け付けない 悪しからず)


ドムは寝室からずっと私の後をつけ 隙さえあれば小指に…と、飛びかかる始末なのを横に


「コイツに起こされた」


と、不機嫌に私がドムを顎で示すと


「ドム! 何やってんのよまったく」と、長女


「よりによって、この大事な時に…」と、次女


「(娘達に)仕方が無いでしょ? 起きちゃったんだから」と、嫁


あぁ、そうか…


コイツ達は 父親抜きで彼氏の両親とおせちを食べるつもりだったんだなぁ…


瞬間的に全てを悟り、私のへそは背中まで曲がった。


「いや、俺 寝るよ。

 ええ、寝ますとも。

 もう、二度と目が覚めないかもしれないけど 起こさないでね。」


私はそう言うと居間を出て 再び、寝室に戻り ベッドに潜り込んだ。


ところが… だ。


私を追いかけてきたのは ドムだけ。(ToT)


私がベットに潜り込むと一緒になって潜り込み 私の右手を抱き抱える始末。


右手をドムに抱き抱えられたまま小一時間が過ぎただろうか…


娘達はおろか、嫁すら姿を見せない。


そのうち、窓越しになにやら物音が聞こえるので そっと窓辺に行って外を見ると玄関先に見慣れない車と、誰が見ても”気の弱い弁護士”の愛車である バンパーに私がサビオを貼ったベンツが停まっている。


しかしながら、嫁も娘達も私を呼びに来ない。


そうか… 判った。


オマエらがその気なら 俺にも考えがある。


私は二代目開業医に電話をかけて状況を話し


「悪いけど 隣の家の外まで迎えに来てくれ」


と、頼み そ~っと、地下まで行って 隣の家に続くトンネル(土管)を通り抜け、そちらの出口から外に出ると 迎えに来た二代目開業医の車で二代目の病院に行った。


「そうか… とうとうブタネコ家はブタネコ抜きで動き始めたか…」


ニヤニヤ笑いながら二代目が言った。


「まぁ、ブタネコ家って言っても 嫁が中心だからね 俺抜きでも軸はブレないんだな」


「たしかになぁ…」


二代目の病院では元旦に勤務するスタッフの為に 二代目が仕出し屋にポケットマネーで頼んでおせち等、正月料理を運んでもらう。


私は その御相伴にあずかり、雑煮だけ食べさせてもらって ようやく元旦気分。


正月は自宅で過ごしたい… そう考える入院患者は多く、可能な限り希望を叶えるため病棟は閑散としているが 何かが起きた時の為に即応できる様に病院の救急車や独身のスタッフで出勤が可能な者は待機も兼ねて出勤している。


看護師のCちゃんも その1人で、私と雑煮を一緒に食べながら


「言うな…って言われてたんですけどね、

 Aさん(長女の彼氏)の御両親が御挨拶に伺いたいって言い出したらしいんですよ

 ただ、ママ(ウチの嫁)が まだ、ブタネコさんが正式に認めたわけじゃ無いから…って

 断っていたらしいんですけど、Aさんの御両親って相当真面目で律儀な方らしくて

 ”どうしても”って事になっちゃったそうなんです。


 で、初対面でブタネコさんがキレたら ね? アレじゃないですか…

 ママと娘二人の3人で 相当、困ってたんですよ


 だから、ブタネコさんが ここでアタシとお雑煮を食べてるのは 八方が丸く収まって

 結果オーライなんじゃないですか?」


慰めなんだか よく判らない事を言う。


まぁ、Cちゃんの場合 我が家の娘も同然で娘達とも仲が良いから 随分と細かいトコまで事情を知っている。


「だからってオメェ どうなの? お父さんここでこのザマよ?」


「良いじゃないですか それで世界が平和なんだから」


「世界平和って そりゃ随分、大げさじゃねぇか?」


「些細な事で戦争になった例なんて 世界史では数え切れないじゃないですか

 それに、世界には 食べたくてもお雑煮なんて食べれない人達が…」


「待て、待て待て 世界で元旦にお雑煮食べる風習が日本以外にどれだけ…」


「そんな細かい事を気にしていたら 世界平和は実現しませんよ」


「あのな、Cちゃん。

 俺は 世界が平和であろうが無かろうが どうでも良いの

 俺が幸せか否か それだけが重要なのよ 判る?」


「小さいなぁ…

 私の知ってるブタネコさんは そんな小さい人じゃ無かったはずなのに…」


「どういう意味だよ?」


「ここはお父さんらしく ビシッと威厳のあるところを見せて、

 ”そうか、オマエ達 幸せになれよ”

 …なんて 気持ちよく言ってあげたらどうですか?」


「Cちゃん キミは甘い。 ロイズのチョコレートより甘いよ それじゃ」


「どういう意味ですか?」


「親父からニコニコ笑顔で どうぞ、貰ってやって下さい… なんて、娘の為に言えるかよ

 仮に、よしんば仮にだぞ Cちゃん、オマエに彼氏が出来て 結婚しようか…って話になったとする

 当然、俺はオマエの親代わりとして 相手の男や両親に会う…

 その時だって、今の俺と考えは全く変わらないから オマエも覚悟しておけよ^^」


「どうして?」


「いいか? 彼女の父親ってのは ある種の抑止力なんだよ 核兵器みたいなモノ

 仮に結婚した後に なんらかのトラブルが起きたとするよな?

 よくある話で言えば 旦那の浮気とかDVとか、さもなくば姑から虐めとか…

 でもな、嫁の実家の親父がとんでもない親父だった場合と ズルズルになめられている場合とじゃ

 話は違ってくる。


 例えば、嫁が耐えかねて実家に帰る すると、親父はどうしたんだ?って聞く

 その時に旦那が浮気…とか 姑の虐め…なんて話だったら 親父は怒るわな?

 彼氏自身や 彼氏の両親が その嫁の親父がとんでもない親父だったら…

 ここまで言えば判るだろ?


 近頃は”娘が選んだ彼氏なら それは素敵な男に違いない”なんて綺麗事を言ってる親父が多いらしいけど

 そんななめられる様な事を言ってるから ムコに好き勝手されるんだよ…ってのが 俺の持論なの」


「へぇ…

 でも、Aちゃん(ウチの長女)の彼氏の御両親って とっても温厚な方々ですよ

 お母さんが この病院にしばらく入院してましたから 私、よく知っているんです。

 それに、Bちゃん(ウチの次女)の彼氏の御両親って ブタネコさんが誰よりもよく知っている

 ”気の弱い弁護士”さんじゃないですか? それなのに抑止力?」


「相手が誰だからって手加減すると思うか? 俺が」


「いえ、知っているぶん むしろ厳しいでしょうね^^;」


「そう、その通り。^^」




その後、私は二代目開業医の病院の病室で寝ていた。


起きると既に日は暮れてしまっていたが、部屋には明かりがついており 特別室のひとつらしく据え付けられた応接セットのソファに座って普段着に着替えた次女がTVを見ていた。


「あれ? オマエ、来てたの?」


「うん、お父さんを迎えに」


「へぇ… って事は 儀式は済んだのか?」


「うん」


「どうだった? 円満に終わったのか?」


「それが…」


そう言うと、次女の表情は暗くなった。


「ん? 何かあったのか?」


「ママが大激怒して…」


「ええ?!」


「とにかく、お父さん 一緒に帰ろう? 今のママをなだめられるのお父さんしか…」


何があったのかは判らないが、次女と共に帰宅した私だった。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさんはダミーで実は奥様が核兵器だったわけですね

もう仕事どころじゃないわな。
で?で?

★ くま さん

う~ん、 どうでしょう^^


★ sonden さん

【※注意!!】

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