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2009年12月04日

● 「片岡義男」にまつわる奇縁


いきなり「片岡義男って知ってる?」と聞かれ「あぁ、有名な作家だろ」と即答できる人は40代後半以上の年代なのだそうだ。^^;




あくまでもブタネコの個人感で語れば…だが、ちょうど私が高校・大学の頃に人気がピークで 角川春樹によるメディアミックス商法で「犬神家の一族」など横溝正史先生のシリーズと同様『スローなブギにしてくれ』『彼のオートバイ、彼女の島』などで人気を博し、当時の書店の角川文庫の書棚には 横溝正史が黒の背表紙に緑色の文字のタイトル、片岡義雄の文庫は赤い背表紙に白い文字でタイトルで統一され目立っていた。


で、さらに個人感で言えば 片岡義男のその当時の小説には「バイク、Tシャツにジーンズ、片岡義男独特のカッコイイ台詞回し」の3種の神器のうち 最低二つが登場し(三つ全部というのも多い)、その影響を受けてTシャツにジーンズ姿でバイクに乗った…という若者も少なく無い。


また、「片岡義男独特のカッコイイ台詞回し」に関して言えば


「仲はとてもいいのです。だから離婚するのです。」

(「幸せは白いTシャツ」より)


「いいエスプレッソだ」

「ほんと?」

「芳しく喉を落ちていって、あたたかく胃のなかにおさまり、きみによろしくって言ってたよ」

(「パステル・ホワイト」より)


「涙は、こらえろよ」

「なぜ」

「いちいち泣いていたら、夜空の星がみんなにじんでこぼれる」

(「味噌汁は朝のブルース」より)


といった具合に なんか会話の端々にキザったらしい韻がこもる。


それが当時のひとつの洒落として そんな「片岡義男の小説風会話ごっこ」みたいなのを楽しんでいた大学生達がけっこういたりしたものだ。^^




さて…


何故、急に「片岡義男」の話を持ち出したのかというと 2ヶ月程前に病室を抜け出して千歳に写真を撮りに行き、その帰りに自宅に寄って風呂に入ったのだが、病室に戻ってから暇潰しに読む本を書庫の本棚を物色していて 奥の隅の方にまとめて置いてあった20冊ほどの片岡義男の小説ばかりが目につき、つい気が向いてそれを持ってきたので暇潰しに読んでいたのが そもそものキッカケ。


と、述べると


「へぇ? ブタネコって片岡義男が好きなんだ」


と、勘違いされると困るので敢えて言うと 私は片岡義男の小説が「ある理由」で好きでは無い。


「じゃぁ、なんでブタネコの家に片岡義男の小説が20冊ほどあったのか?」


と、疑問を抱く人も多かろう。^^


その応えは 私の妹が片岡義男の小説が大好きで、近頃 私が読んでいる本は妹の蔵書。


妹は 多分に小説の影響を受け、その結果Tシャツにジーンズでバイクを乗るのが大好きになってしまい、さらにその結果 バイクでコケて「あの世」へと爆走していった。


まぁ、ある意味 片岡義男にとっては迷惑な話なんだろうと私も思うのだが、もしかしたらこの世に片岡義男の小説が無ければ 妹は死なずに今でも元気に過ごしているんじゃなかろうか?なんて思った事が 正直言って何度かある。


だから、「坊主憎けりゃ袈裟まで…」みたいな図式で 私は片岡義男を嫌っていると言っても 間違い無く過言ではない。


そのせいか、妹が死んで以降 本屋に行っても極力、片岡義男の本は目に入れないようにしてきたのだが、不思議な事に ある時、ふと気づいてみたら ピーク時は背表紙で真っ赤に染まった棚があったほどの片岡義男の文庫の殆どが書店から姿を消していた。


記憶に間違いが無ければ 角川春樹が角川文庫の社長を解任されるなどの騒動時に 何人かの作家が角川文庫からの出版を拒否…みたいな騒ぎが結果的には一時的なものだったが生じ そんな作家の中に片岡義男も混じっていたような… 


その後、角川文庫のブックカバーが一新され 背表紙が統一デザインになった…なんてのも目立たなくなった理由の一つでもあろう。


いずれにしても ここ20数年、片岡義男の名前を全く聞かずに過ごしてきたのだが、先日 そんな文庫本を書庫の片隅に見つけた時、


「もう、20年以上が過ぎたんだな…」


という思いが感慨深く、試しにあらためて読んでみようかな…という気に 何故か不思議なんだけどなったんだな。^^;


で、病室のサイドテーブルに 自宅から持ってきた10冊ばかりの片岡義男の文庫を積んでおいたらナースのCちゃんが


「もし、差し支えなければ 読み終えたのをどれでも結構なので一冊貸して頂けませんか?」


と言うので


「読みたければ一冊と言わず好きなだけ持っていっていいぞ」


と、全部まとめて貸し出したのだが…


数日前の事。


Cちゃんが見知らぬ男性(私と同年配)を1人伴って私の病室に訪れ


「ちょっと、良いですか?」


と言う。


その時の話を要約すると…


男性と彼の奥さんは それぞれ片岡義男の大ファンで、2人とも札幌生まれの札幌育ちでありながら、片岡義男の小説の舞台を巡る旅をしていて偶然、西伊豆で巡り会い その後、交際するようになって結婚したのだという。


で、彼の奥さんは膵臓癌がいろんなところに転移した末期で入院していたのだが その入院中に奥さんが「最後に もう一度、片岡義男の@@とか¥¥という本が読みたい」と旦那にねだり、旦那は札幌市内の書店(中古本屋も含む)を探し回っていたそうだが、なかなか見つからずにいたそうで たまたまCちゃんがその話を奥さんから聞き、たまたまその本が私のベッドのサイドテーブルに積んであったのを見つけて その偶然にビックリしたのだそうだ。


奥さんは喜んで 今、その本を夢中になって読んでいるのだそうで その礼を言いたくて男性は私に会いに来たそうだ。


「本当は二人とも片岡義男のファンだったから それぞれ結婚する前に

 出版されていた本は一冊ずつ買って持っていたんです。


 でも、結婚して数年後に隣家の火事に巻き込まれて 私の家も半焼してしまい

 本は全部焼けるか消火の水でグチャグチャになっちゃいまして…

 あらためて本を買おうという気も無いわけではなかったんですが、その時には

 書店に文庫が並んでませんで…」


私は片岡義男の小説のお陰で妹を失った…なんて勝手に決めつけて怨みさえしていたが、他所では片岡義男の小説が縁で結婚していた夫婦がいた。


なにがどこでどう変わるか判らないもんだなぁ…と、つくづく思う。


さらに、


「西伊豆で知り合った? ちなみに西伊豆のどこ?」


と、私が男性に聞くと


「正確な住所は判らないんですけどね、”恋人岬”って その当時、

 名前が付けられて観光スポットになったばかりの所がりまして…」


「そんなとこで 札幌モンが二人して出合ったわけ? そりゃ、奇遇だね」


口ではそう言った私だが、


(おいおい、”恋人岬”と言えば 私にとっての聖地・松崎からそんなに遠くないところだぞ…)


と、内心では 私にも笑えない奇縁で 世の中ってのはコレだから面白いんだよナァ…と、つくづく思った今日この頃だ。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

初めまして、九州の最果て大分です。たまたま見つけました。虎馬ですか。湯水ゆかりさんのブログと似てるなと思って。
彼女が片岡義男さんとFMで飛べない飛行船をやっていた前後からしばらく読みました。ここ2年ほど、再び読み返しています。同じような方がいるものだとつくづく。
僕は妹ではなく、その頃一緒にいた彼女と、まるで片岡義男さんの小説のような別れ方をしました。泣きながら車を走らせた思い出が忘れられません。
ごめんなさい、ながながと。
また寄り道しに来ますね。

★ 立花 さん

こちらこそはじめまして コメントありがとうございます。

>片岡義男の小説

みんな言わないだけで、話してみるとその時代を過ごした人には似た様な思い出を持っている人が けっこういるんですよね。^^

>湯水ゆかりさん

興味があります もう少し詳しく教えて頂けると嬉しいです
(検索してみたけど コレってのがヒットしなくて^^;)

おはようございます。
下記アドレス(文春がやっているようです)に、彼女のことが少し出ています。http://www.bunshun.co.jp/series/torauma/index.htm
飛べない飛行船はかれこれ30年位前のFM-Tokyoの深夜番組です。
片岡さんと彼女の軽妙なトークは聞く人間を飽きさせません。
その後、女性ファッション雑誌「Say」などに、編集者として出ていましたね。彼女独特のと言いますか、九州人独特の言い回しのコピーを見かけて思わず、ニヤリとした記憶があります。
僕より少し年長だったはずです。

閑話休題。

昔やっていた金曜サスペンスドラマシリーズはいつごろ消滅したのでしょうか…

★ 立花 元 さん

お手数をおかけして申し訳ありません。

ちょっとバタバタしているので 落ち着ける時にじっくりと読んでみたいと思います。

>金曜サスペンス

さぁ… 判りません。^^;


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