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2009年10月01日

● 常連さんからの躾(その3)


前回の続きを記そう。^^




昨年、私と喫茶「職安」の元バイト学生である「二代目開業医」と「気の弱い弁護士」と某国立大学理工学部教授」の4人が旅行に行った時の事。


見るからに格式の高い割烹料理の宿に泊まり、夕食時にその宿の自慢の料理を頂こう…と言う時に 気の弱い弁護士が行った提案が今日まで尾を引く結果となっている。


その時の「気の弱い弁護士」の提案とは


「料理を食べる時の作法に 箸の先を出来るだけ汚さない…ってのがあるんだけど

 せっかく、こういうところの料理を食べるんだから 誰が一番箸先を汚さずに

 料理を綺麗にたいらげるか勝負しない?」


というもの。


我々、元・バイト学生達は売られた喧嘩は割増料金を払っても買え…と、喫茶「職安」の常連さん達から躾けられた身だから


「ん? 勝負か?」


と、全員が合意する。


で、次々と出される料理を 出来るだけ箸先を汚さずに食べていたのだが、終盤になって とんでもない料理の登場に どうやって箸先を汚さずに食べるか?悩む事になる。


その料理とは「茶碗蒸し」^^


具は箸先でつまむ事が出来るが、卵の部分は軟らかすぎてつまめない。


「二代目開業医」や「某国立大学理工学部教授」は腕組みしながら茶碗蒸しを睨み付け


「どうやって食えって言うんだ コレ?」


と。


すると、「気の弱い弁護士」は


「ちゃんと、竹製のスプーンが添えられてるんだから それで食えば良いじゃん」


と言って竹製のスプーンですくって食べ始めた。


で、それに対して「某国立大学理工学部教授」が


「そりゃオメェ 箸で食うってルール違反だろ?

 それに、スプーンで食うのがオマエのこだわった作法なのか?」


と、問い詰めると


「だって、スプーンが添えられてるんだから それで食うのが作法って事だろさ?

 スープと同じで音を立てずに食えば作法にはかなうんだよ」


と。


なので、「待て、オマエ達 ちょっと待て」と私。


茶碗蒸しの正式な食べ方の作法ってのは二つある。


卵が箸でつまめるぐらいに硬めの場合は 箸先で少しづつ区切ってつまんで食べるのが、その一つ。


二つ目は その時の様に卵が軟らかい場合は、茶碗蒸しをグチャグチャにかき混ぜて汁物を飲む様にズズッと啜るのが 実は正式な作法なの。 


さらに少しだけウンチクを重ねると 「茶碗蒸し」ってのはその名に”蒸し”がついているから蒸し物だと思っている人が多いけど、日本料理のそれも昔の区分けでは「蒸し物」ではなく「汁物」のカテゴリーに入っていた料理だから 啜って飲んで正解なのだ。^^


私は それをかなり昔に運送屋のNさんから教わっていたから、その場でそう主張し、実際にそうして食べて見せたのだが…


「気の弱い弁護士」は


「嘘つけコノヤロウ」


と、私に言ったモノだから その瞬間に闘いのゴングがカンと鳴った。


「だったら、アレだ ちゃんとした人に判定して貰おう」


「そうだそうだ」


「旅館の女将を呼べ 女将なら作法ぐらい弁えているだろよ」


数分後、宿の女将が部屋に現れ… 我々が茶碗蒸しの食べ方における正式な作法で揉めていると知ると


「そんな、折角 スプーンをおつけしておりますから それで食べていただけば…」


と、笑う


しかし、


「女将、そんな話は聞きたく無ぇんだ 正式な作法じゃどうなの?って話だ」


すると、驚いた事に


「申し訳ありません。

 正式な作法は私存じ上げておりませんので 今、詳しい者に聞いて参ります」


と、部屋から逃げ出してしまったのだ。


すると、それまで笑って私と「気の弱い弁護士」のやりとりを肴に酒を飲んでいた「二代目開業医」が


「どういう事? 老舗割烹宿の女将が作法を知らねってかぁ?

 そんな割烹聞いた事無ぇぞ?」


と、怒り出したのだが、まぁ、それはどうでも良い。^^


数分後、見るからに板前頭と覚しき初老の料理人が女将に連れられて部屋を訪れ


「正式な茶碗蒸しの食べ方の作法は…」


と、私の言った事を肯定したのだ。


途端、不機嫌になったのが「気の弱い弁護士」で


「だったら、なんで竹のスプーンなんか添えてあるんだよ?

 これじゃぁ詐欺っていうか 罠じゃん 罠!!」


と、ふくれっ面。^^;


慌てて女将が


「最近は 何処の御家庭でも茶碗蒸しはスプーンで食べるのが一般的ですから…」


すると、二代目開業医が横から


「一般的かどうかなんてどうでも良いんだよ、問題なのは ここは老舗の割烹だろ?

 だったら、正式な作法を踏ませろよ それでこそ、あぁ、ここで本物を味わえた…って

 泊まった甲斐があんだろよ? 台無しだよ? だいたい何? アンタ女将なのに作法を聞いて参ります…って

 聞いて済むんならビジネスホテルも今日から割烹だぞ?」


「二代目開業医」が そんな屁理屈で怒るのはあくまでも八つ当たりである。


何故なら、彼は「気の弱い弁護士」と その日の宿を決めるにあたり


「コッチの宿は景色が抜群だぞ」


と、主張するのに対して


「景色じゃ腹が膨れないんだよ

 それに、本格的な老舗割烹だぞおめぇ 札幌じゃなかなか食えないんだからよ

 どうせ、宿代は俺がみんなのを払うんだから 俺の好きな様にさせろ」


と言って その宿に決めた張本人だから、


「あのバカ(二代目開業医)が決めた老舗割烹宿の女将 和食の作法を知らないってんだから爆笑だろ?」


と、その先 札幌に戻ってからしばらく笑いのネタにされるのは目に見えていたからだ。^^




さて…


茶碗蒸しの正式な食べ方の作法なんて 知っている人は多くないし、ともすればどうでも良い事で、重要な事は 如何に美味しく味わうかだと私は思う。


けど、作法をちゃんと知っていてスプーンで食べるのと 知らずにスプーンで食べるのが当たり前だと思い込んでいる人、そもそも作法なんか関係無い…って思っている人、いろんな人がいるわけだが では、その中で「一般的」なのは誰? 常識を踏まえている人は誰? 普通はどれ?


変な言い方をお許し願えば ちゃんと作法を知っており、作法の通りにグチャグチャに掻き回して ズズッと吸い込む食べ方を 例えば、どこかの結婚式の披露宴で私がやると


「なんだアレ? 下品だなぁ」


「常識を疑うよ あの人の」


「マナーを教えてやれよ アイツに」


多くの他の客からそう思われるに違いないのだが それってどうなの?


いわれのない反感を抱かれるのを知っているから、私はスプーンで食べるんだけど その度に、釈然としない気持ちにもなる。


だって、一度試してみて頂きたいんだけど ちゃんと巧く料理された茶碗蒸しって グチャグチャに掻き回してズズッと吸い込む食べ方が一番美味いんだよ。^^




Nさんが昔、


「オマエもこれからは 少しはマシな料理屋とかに会合なんかで行く機会が増えるだろうから

 少しは作法ってやつを教えてやろう」


そういって食べに連れて行ってくれた時に教わった一つが その茶碗蒸しの食べ方をはじめとする和食の作法。


しかし、その時にNさんは 同時に私に言ったのは


「いいか、ちゃんとした料理人や料亭は 板前や仲居もちゃんと作法を心得ているから

 そういう場では作法をきちんとこなさないと客としてナメられるし、ちゃんとこなせば

 ”あの人は判っている人”って事で 次からの扱いがガラッと変わるモンなんだ

 本格ぶっていい加減な店では そんな作法をわざわざこなす必要なんか勿体ないからしなくていいけど

 ちゃんとした店では 作法をこなすのが店に対する礼儀だ…と、心得ておけよ」


と。


でもねぇ、近頃は そういう礼儀が必要な店って本当に数える程しか無くなっちゃったんだよね。^^;


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさんこんばんは。
やはり、喫茶「職安」のお話大好きです。

どれだけの経験をつめば、フルートの親分さん(省略しすぎですか?)のような考え方ができるのだろう?とか、
今回の鰻屋さんでは、私だったらどう受け答えたのだろうとか、今後経験することなのないであろうブタネコさんの世界に自分をおいて、引き出しの少ない、うすーい頭で想像しています。

私も本来の食べ方を知った上で、茶碗蒸しスプーンで頂いてみます。


★ 秋月 さん

どうぞ、お試し下さい。^^


【※注意!!】

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