● 誰かが嘘をついている
SPドラマ「誰かが嘘をついている」を見た。

事前に番宣CMで痴漢冤罪事件がテーマと知らされていたので 個人的にひとつの危惧を抱いていたが…


「谷村美月」と


「黒川芽以」が出演していると聞いては見ないわけにいかない。
で、ドラマの内容の感想だが…
痴漢冤罪を描いた秀作映画として「それでもボクはやってない」が近年話題になったのを覚えている人は多いと思う。
であるがゆえに、このドラマがもしその「二番煎じ」とか「柳の下に…」ではないのならば この作品の着眼点やテーマには「それでもボクはやってない」とは違ったものがあるはず… そう思ってみていたのだが、総体的に違いがあるとすれば 主人公が有罪判決をうけたまま終わるか、逆転無罪の判決をうけたか…だけなんだな。
実は、映画「それでもボクはやっていない」の制作には この「誰かが嘘をついている」を制作した局であるフジテレビが関与しており ここにきて似た内容のドラマを制作する意義ってなんだろう?と愚考するが明確では無い。
もしかしたら…と思うのは

終わりに映った このテロップの内容なのかな?と思うのだが、これって 知らない人が見たら
「本年4月14日に日本初の【逆転無罪】判決が出た」
…っていう風に受け取るんじゃないかな?
と、述べると混乱する人もいるだろうから注釈しておくと「最高裁で初めて」という意味であって 東京高裁など下級裁では既に何度も「逆転無罪」は出てるので この意味が誤解されそうな表現は如何なものかと疑問に思う。



上の様なデータの表示は良いと思うのだが、たぶん これは日本の裁判関係者の実情がこうだから 冤罪で捕まった人が長期間拘禁され、裁判にも時間がかかるんですよ…って事を言う時に挙げられるデータだと思うのだが、そこまで親切に映像内で言ってない所にも なんか手抜きなような感が否めない。
で、このドラマに対する私の最大の疑問は タイトル「誰かが嘘をついている」という文言
このドラマを見た人に試しに聞いてみたいのは
「このドラマの登場人物の中で 嘘をついた人が誰かいましたか?」
強いて言うなら、主人公を犯人として告訴した被害者なのかもしれない。
でもね、このドラマの被害者は 悪意とか他意があって主人公を犯人と勘違いしたわけでは無いから「嘘をついている」という表現とは全く意味が違う。
では、誰なんだろう? と、思った時 一人だけ明確に嘘をついた人物がいた

それは、主人公と同様に冤罪で逮捕されたが やってもいない痴漢を「やりました」と嘘をつき事件を終わらせた「おこりんぼさん」だ。
と言う事は このドラマのタイトルが主題なのだとしたら 主人公は「おこりんぼさん」なのか? 違うよね?

「じゃぁ、いったい誰がやったっていうのよ!」
ラストで無罪判決を喜ぶ主人公や家族の横で 悔しそうに呟く被害者のシーン
気持ちは判らなくもないが、このシーンの描き方、このシーンをここに挿入した演出意図も私は違うだろと思った。
例えば、痴漢冤罪で問題になる点は
・被害者の証言だけで物的証拠が無くても逮捕・拘留する警察
・それを鵜呑みにするまま もしかしたら犯人じゃないかも?と検証をしない検察
・被告の反証を殆ど採用しない裁判所
だから、もしかしたら映像制作者は客観的に(もしくは第三者的に)犯人を特定出来る何かの必要性を世に問いたかったのか? …なんて思う部分もあるが、何かが違うという気持ちの方が勝る。
とかく、こういう内容の場合 根底や派生する部分にいろんな問題が絡み合っており、ドラマの制作者は それらをなんでもかんでも放り込もうとしつつ、その殆どを中途半端な描写で終わらせてしまう傾向が多い。
このドラマも 残念ながらその典型的なパターンにはまり、その結果 なにも「それでもボクはやっていない」を超える描写が見つからず、制作そのものの意義を感じる事が出来なかった… というのが私の個人的感想だ。
あ、それと…

まともな役柄を演ずる「平田満」を久しぶりに見れたのだけは嬉しかった。
