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2009年09月30日

● 常連さんからの躾(その2)


よく、マナーとか作法とか常識と表現する事がある。




行儀見習いとか、花嫁修業とか そういったものは学校じゃ教えてくれない。


結局、そういったものを身につけるのは両親や先輩や上司からだったりする。


昔、結婚したくても親や周囲から反対された時に「家柄が違う」とか「相手は片親だから」という理由がまかり通っていた時代がある。


今じゃ、そんな反対の仕方をしたら 反対した方が呆れられてしまうわけだが…


例えば、そんな反対の仕方の根底には 本当は


「行儀見習いが出来ていない」


とか


「躾がちゃんとなされているのか?」


という意味があったのだが、片親の子供に対する差別だ…とか、結婚に家柄など関係ない 当人同士の気持ちの問題だ…と 別な理由の強い意味合いが前面に出されて そんな反対の仕方はナンセンスとなってしまったんだな。^^


もちろん、私も娘達の彼氏に関して 家柄や片親か?なんて問うつもりは全く無い。


ただ、長女の相手の場合 相手はそこそこ腕が良い医者で本人の性格も悪くないし、なによりも彼氏の両親が木訥とした良い人達なので その点を追求する事は出来ないけど、次女の相手は 私の悪友である「気の弱い弁護士」の息子とあっては


「家柄が違う!」


「片親の方が まだマシだ!」


と、相手の父親に会う度に言っている。^^;


が、まぁ そんな事はどうでも良い。




20数年前の事。


私は喫茶「職安」の常連の一人である運送屋のNさんの秘書(付き人みたいな状態)としてNさんが立ち回る先へ同行する時期があった。


そんな或る日、不良債権の処理に絡み 関わっていた案件の占有を行っているヤクザと話し合いをする為にNさんは そのヤクザの親分に会う為、事務所へと向かっていた時に


「いいか、ヤクザの事務所に入ったら オマエはヤクザの親分ではなく、

 親分に付いている若い衆の一挙手一投足をしっかりと見ていろよ」


と、私に命じた。


「え? なんかされちゃったりするんですか?」


そう聞く私に


「何かって何だ? 殴られるとか、殺されるって意味か?」


苦笑いしながらNさんは聞き返し、私が頷くと


「アホかオマエは^^

 占有屋にしてみれば 俺達が現れるって事は、その占有にナンボか払いますから…

 って、言ってみれば商談なわけよ。

 商談相手に暴力ふるうバカはいねぇよ、むしろ、お茶やお菓子を振る舞って

 少しでも高く払って貰おうと交渉してくるから安心していて良い。


 俺が見ておけよ…って言いたいのは そこそこの親分に付いている若い衆ってのは

 そんじょそこらの企業の秘書なんかよりもハンパなく出来が良い

 その出来の良さを、とっくりと眺めろ…って事さ」


実際に、事務所に行ってみると ヤクザの親分はニコニコと温厚で 元々、Nさんとは知古だったらしく


「アンタの事だから 思いっきり値切るんだろうけどさ

 他の案件との絡みもあるから ざっくばらんにやろうや」


と、笑顔。


話し合いは順調に1時間程で終了し


「良い時間だから 昼飯でも食いに行こうや」


と、ヤクザの親分の誘いに


「金額を上げたんだから 上等な鰻ぐらい御馳走してくれよ」


と、返すNさん


ヤクザの若い衆が運転する車で 小一時間程、移動した先の見るからに老舗の鰻屋へと向かった。




今でも私はその時に見た若い衆の所作を覚えている。


それは、若い衆の所作に感動なんて言葉では簡単に表せない程感心させられたからだ。


例えば、若い衆は常にクラッチバックを肌身離さず持ち歩いているのだが そのクラッチバックの中身は自分の小物よりも親分の為のモノが殆ど。


いつでもスッと出せる様に親分の好みのタバコ、ライター、灰皿 それにオシボリやティッシュ、耳かき、爪楊枝、爪切り等々… まるでドラエモンのポケット状態。


事務所では 親分がタバコを一本吸って消す度に スーッと音も立てずに灰皿を綺麗なモノと取り替え、常に親分の斜め後ろで表情を変えずに立ちながら親分の様子を伺い 頼まれもせずに、絶妙なタイミングで先述したティッシュやオシボリを やはり音も立てずにスッと差し出し また何事も無かった様に斜め後ろのポジションに静かに戻る。


鰻屋に行った際は ヤクザの運転手は車の中にとどまり、助手席に乗っていた格上と覚しき若い衆が一人だけ親分と同行して店内の座敷に入るが 彼はやはり親分の斜め後ろに静かに座ったまま注文をせず、親分もそれが当然とばかりに何も言わず 若い衆はドラエモンのポケットの様なクラッチバックからタバコやライターを絶妙なタイミングで差し出すばかり


相手の付き人がそんな状態だから 私も座敷に入りながら注文する事が出来ず、親分から


「アンタはヤクザじゃないんだから遠慮せずに食べなよ」


と、言われたが


「いえ、自分は出がけに頂いたばかりでして」


と、断った私。


Nさんは そんな私と親分のやりとりをニヤニヤしながら眺め


「コイツ(私の事)、近頃 ヤクザ物のVシネマや映画を見過ぎちゃってるからカブレてんのよ

 気にしないでほっといて」


と、親分に言うと 親分は


「そうなのか? なんなら、ウチに来るか? アンタの物腰は良い若い衆の素質があるぜ」


だと。^^;


1時間程、鰻屋で食事をして さぁ、帰ろう…という時に 格上の方の若い衆がいつの間にか用意した手提げの紙袋を私に差し出し ニコッと私に笑うと


「アンタとは この先、良い付き合いが出来そうだな^^

 コレ、ウチの親分からの気持ちだから 後でナニしてくれよ」


帰り道のタクシーの中で手提げ袋を開けてみると中には その鰻屋の特性鰻弁当が入っていた。


そんな私をNさんは横で見ていて


「あの連中はな、食事をする際に その席の内容や状況によって同席するか否かの格があるんだ

 相手が親分と同格かそれ以上の客の席では 若い衆は親分から許可が無ければ絶対に食わないし

 許可があっても、絶対に遠慮して食わない。


 ただ、あの親分は情の深い人だから 今日みたいに鰻屋だったら、オマエが貰った弁当を 

 少なくても同行した二人の若い衆のぶんと、もしかしたら事務所の当番詰めしている若い衆の分まで

 そういう風に弁当にさせて後でちゃんと食わせるんだよ


 俺もオマエが固持してみせるとは思わなかったけどよ あの親分に対するオマエの受け応えは正解^^

 だから、おそらくは後ろに座っていた若い衆が気を利かせて オマエの分の弁当を秘かに

 追加しておいてくれたんだ。」


そして、Nさんは続けて


「不思議なんだけどよぉ…

 世の中、ヤクザって存在は忌み嫌われているんだけど 今日みたいにヤクザの事務所に行ったり

 どこかで、同席したりして眺めているとよ

 忌み嫌われている筈のヤクザの方が その辺の一般庶民とは問題にならない程、躾が厳しい

 それに、今日の格上の兄貴みたいになると 凄ぇだろ?、所作とか気配りとか…


 俺は仕事で一部上場のゼネコンや不動産屋なんかにも行くけどよ

 ヤクザの付き人を超える秘書ってのには 殆ど、お目に掛かった事が無いんだよな」


数年後、Nさんの仕事を引き継ぎ 私も仕事で一部上場のゼネコンや商社を訪ねる機会が何度もあったけど、その応対にヤクザを超えるモノは殆ど無かった。




さてさて…


今回 この話を持ち出したキッカケは つい先日、ある人物と会話をしていた時に その人物がやたらと


「普通はさぁ」


とか


「一般的にはさぁ」


とか、


「それって常識ですよね」


という言葉を乱発しながら 彼の話が私の知る「一般」や「常識」とは微妙にズレていて話が咬み合わなかったのだが、その後 いろんな人に話して確認してみると この「普通」とか「一般的」とか「常識」って部分が ずいぶんと人それぞれでズレているんだなぁ…と、痛感させられた事。


特に「躾」とか「気配り」という部分に関してのズレを一番強く感じたのだ。


例えば、最近では「箸の持ち方」に関して「巧く使えないのならスプーンやフォークを使え」というのが「一般的」なのだと主張する人がいる。


正確に統計を取ったわけじゃ無いからあくまでも私の主観的に言わせて貰えば 仮に、それが「一般的」だったとしても それで良いのか?とその人達に聞いてみたい。


というわけで、今回は長くなりそうなので 続きは次回で。^^


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさん、こんばんは。
おかげさまで昨夜はウソみたいにぐっすり眠れました。
つくづく単純な自分に、呆れるばかりです(笑)。
やっぱり・・ブタネコさんのブログは最高です!!


★ hamako さん

ども^^

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