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2009年08月02日

● フルートの話(その6)


K親分が黄金のフルートを購入したのと ほぼ同じ頃…




実は私もフルートを購入した。


もちろん、その当時の私は 黄金のフルートを購入出来る資力があるはずなく、私が買ったのは 銀製のフルート。


K親分が黄金フルートを買った店で たまたまオーダーで制作しながらドタキャンされて行き場の無くなったフルートがあり、それを格安で売ってくれると聞いて飛びついたのだ。


とはいえ、その時に私が買ったのは20数万の分不相応なプロ仕様の純銀製。^^;


それだけの出資をしたからには、私はK親分から黄金のフルートを演奏出来る子を探してくれと依頼された時に、見つけた女の子に「悪魔が来たりて笛を吹く」の曲だけ、吹き方(というか指の押さえ方)を教わって自分でも吹ける様になりたいと練習したのだ。


不思議な物で まったく音楽的素養が無く、譜面の見方が判らなくても 指の押さえ方の順番を覚える…という原始的な方法で気合いと根性さえあれば、たった1曲だけなら「お? やるね」って感じに吹ける様になる。


もっとも、そういう風になった時には 親分のフルートは何処かに消え、先生役だった女の子も何処かに消えてしばらくしてからだけどね。^^;


最初の女の子が姿を消した後、彼女と同じ大学の吹奏楽部に所属している男の子に指の押さえ方や押さえる順番を教わり、あたかも何もかも判って吹いてます…ってカッコをつけられるまでになったのだが…




就職も決まり、卒業も間近になった或る日の事。


その男の子から呼び出された私は 大学のそばの喫茶店で興味深い話を聞いた。


「いや、実はですね うちの吹奏楽部のメンバーの一人が神田の質屋のショーウィンドに

 14Kのフルートが飾ってあるのを見た…って言うんですよ

 で、それが いなくなった@さんが使っていたフルートの様な気がする…って」


それを聞いた私は 教わった神田の質屋に行ってみると、確かに飾ってある。


なので、質屋に入り 店の関係者に事情を話して頼み込み、フルートとケースを見せて貰ったのだが、先にも述べた様に 私には音楽的素養が無い。


なので、フルートを買った店の御主人に頼み 質屋に行って鑑定してもらったところ…


「たしかに、接合部の内側に彫ってあるシリアルナンバーが間違い無いですね」


なので、私はK親分のところに行き フルートを発見した報告をしたところ…


「で、その質屋では なんぼの値札がついてたの?」


「一応、120万なんですけど 事情を話したところ 

、質屋はそのフルートを質草に70万貸したらしいんですよ、

 なので できれば80万ぐらいでなんとか…って言ってます。」


すると親分は 奥の金庫から80万を取り出すと


「ほら、これで引き取って来い」と。


で、再び 親分の若い衆が運転する車で神田の質屋に行って そのフルートを買い戻したわけだが、その時に質屋の店主に色々と聞いたところ、フルートを質草に持ち込んだのは いなくなった女の子ではなく、同年代の男の学生との事で 状況が状況だけに場合によっては盗難事件にも発展する。


ゆえに、K親分から依頼されたわけでは無いが 数日かけてその質草に出した男子学生を捕まえて問い質したところ その男子学生はいなくなった女の子と付き合っていた奴で、借金返済と遊ぶ金欲しさに彼女の目を盗んでフルートを持ち出し、質屋に入れた事が判明。


K親分は 元々、事件にする考えは毛頭なかったわけだが いなくなった女の子は彼女が全く知らない所で 付き合っていたはずの彼氏にフルートを盗まれて その責任を苦に行方をくらましたのであり、その女の子がそこまで追い込まれた責任は男子学生にあるわけで…


K親分は私に いなくなってしまった女の子の実家を訪ねて、事の顛末を説明した上で 女の子に対してK親分は全く怒っておらず、むしろ深く同情している事を伝えに行けと命じられ ある県の県庁所在地から電車とバスを乗り継いで2時間以上かかる町へと私は行った。


これはあくまでも私の勘でしかないのだが、彼女の実家を訪ねた時に 彼女は間違い無く、その家の中にいたと思う。


けど、そんな事はどうでも良い事で 私はK親分の真意さえ伝わればそれで良いと思っていたし、むしろ 本人がいて、どこかで盗み聞きしてくれれば その方が、手間が省けて効果的とさえ思った。


伝えるべき事を伝え、私は東京に戻ったのだが 数日後、彼女の父親が上京しK親分に面会を求めた。


父親は工面した80万の現金をK親分に差し出し、許しを請うたのだ。


K親分は


「いやいや、私は怒ってませんから そこまでしてもらわなくとも気持ちだけで充分です」


と、固持していたが 父親は


「いえ、総額は私には無理ですが 買い戻した80万はせめて弁償させて頂きたいと…」


と言って譲らない。


そんな押し問答を数回続けた後、K親分は私の顔を見て「あ、そうだ」と言い出し、私を部屋から連れ出すと


「オメェには悪い様にはしねぇから ちょいとばかし俺の言う事を黙って聞け

 オメェ、純銀のフルートを持ってたよな? まずはそれを直ぐに部屋から取ってこい

 で、その後の事については 黙って俺の言う通りに逆らわずにするんだぞ」


と言う。


なので、私は意味は判らないが 命じられたまま部屋に行ってフルートの入ったケースを取ってくると K親分は


「じゃぁ、お父さん こうしましょう

 そこの若いの(私の事)が今持ってきたフルート そいつは純銀でね、プロが使おうってシロモノで…


 おい、オメェ(私に) それをいくらで買ったんだ?」


と、言い出し 私が


「なんだかんだで25万です」


と応えると


「じゃぁ、お父さん 悪いけど、それを20万で買ってやって下さいよ

 どうせコイツが持ってたって 宝の持ち腐れなんですから ね?」


と言って 目の前のテーブルの上に置かれた80万の入った茶封筒から20万だけ抜き取って


「な、オメェもそれでいいだろ?」


と、その金を私に差し出しながら 意味ありげな表情を見せるので 私は何も言わずに受け取り、自分のフルートのケースを彼女の父親に渡した。


するとK親分は


「元はと言えば 私が、お嬢さんに無理を頼んだのがそもそもの問題でして

 私にも大いに責任があると自覚してるんです。


 お嬢さんのフルートの演奏は素晴らしかった…

 それは素人の私にも判るぐらい 素晴らしかったです。


 いろいろとありましたけど、こんな事でお嬢さんがフルートを

 嫌になっちゃうのだとしたら それは実に勿体無ぇと思うんですよ。


 これで、私が その80万を受け取らなかったら

 また、あなた方は気になっちゃうのでしょうから、お気持ちだけ20万頂戴し

 その銀のフルートは 領収書って意味と 娘さん自身も盗難にあった被害者なんだから

 そのお見舞いって事で受け取ってやっちゃぁ頂けませんか」


と、言い出したのだ。


結論から言えば 女の子の父親は20万を払い、銀のフルートを持って帰って行った。


そして、K親分は自分の14Kのフルートが入ったケースを私に渡すと


「オメェ、あの曲を吹ける様になったんだって? ちょいと、そいつで吹いて見せろや」


と言う。


なので、私はフルートをケースから取り出して組み立て K親分の前で「黄金のフルート」という曲を吹いて見せると


「ほぅ、たいしたもんだな^^

 じゃ、このフルートをオメェにやるよ やっぱ、楽器は吹ける人間が持ってナンボだからな


 その代わり、この20万円は 代金として俺が貰おう…

 で、オメェの仲間や彼女によ 今晩は俺が20万円ぶん”すき焼き”を御馳走すっから…って呼んでこい」


というわけで、浅草の名店に連れて行ってもらい腹一杯、すき焼きを御馳走になった。^^


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

損得勘定ばかりが目に付く昨今の世の中ですが、「いや~粋な親分さんだねぇ~」と
クソ蒸し暑い夜が、いささか涼しくなった気がいたしました。

★ Wen さん

さぁ、千歳の航空祭週間が始まります。

それが終われば 私の今年の夏は終了です。^^

【※注意!!】

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