● 横溝正史研究 創刊号

戎光祥出版 ISBN978-4-900901-95-7
横溝正史フリークとしては こんな本が出たと聞いたら黙っているわけにはいかない。^^
入手して 早速、読んだのだが…
「横溝正史研究」と題されているところからして 内容が学術研究的な論文の様相を呈しているのも理解が出来る。
この本の巻末に寄稿者のリストと略歴が記されており それを見ると、悉くどこかの大学や短大の教授や講師なんだな… じゃぁ、仕方がない。^^
私は大学卒と言っても理系なので文系の学術論文の様式は判らないが この本に寄せられたいろんな文の多くに感じたのは ありがちな学者的論文ばかりで作品や作者に対する思い入れとか情熱みたいなもの 判りやすく言えば「愛」みたいなモノが一向に感じられない。
「ええ、私 横溝の金田一モノが好きなんですよ」
そんな台詞は誰でも言える。
入社試験の面接で「趣味は?」と聞かれ「読書です」と応えると
「ほう? どんな作家が好きですか?」
と、重ねて聞かれ
「横溝正史なんか 特に…」
と、応える。
私の世代は ちょうど角川映画によるブームの直後だったから、そんな学生が沢山いた。
けれども、「好きです」と言いながら さらに突っ込んだ質問を浴びせかけられるとしどろもどろになり、著作名にしても せいぜいが4~5冊ぐらいしか書名を挙げられないのが関の山
さすがに学者センセ達ともあらば そんな愚は犯さず、「蜃気楼島の情熱」とか「女怪」とかマニアじゃないと読んでいない様な作品を取り上げる。
しかしねぇ… 先に断っておくが寄稿者の全部とは言わないが 少なくとも半分以上の寄稿は かつて「幻影城」という名の探偵小説マニアを唸らせた雑誌において展開された評論の域から超えたものは無い …というか、どの寄稿も 幻影城での評論、特に中島河太郎が述べた評論のつぎはぎでしかない。
まぁ、学者センセ相手にそんな事を言うと 権威に対する冒涜と映りかねないので程々にして置くが 素人相手に判りやすい言い方を用いれば盗作ギリギリの 巧みに引用をデコレイトした匂いがプンプンとする…という事だ。
いちファンとしては横溝正史や金田一耕助を誉め上げるばかりが全てだとは思っていない。
横溝文学は 川端康成や谷崎潤一郎などよりも文学として奥深く 研究する価値も意義も大きいと思う。
だから、今回の様に「横溝正史研究」なる書が編纂され多くの学者が寄稿するのは素敵だとも思うが、その「学者」の程度がこれか?と 文学者ってのはたいしたモンじゃないんだなぁ…という反面を見せられた思いでガッカリだ。
