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2009年07月30日

● フルートの話(その5)


そんな或る日 事件が起きた… なんて思わせぶりに終わった前回の記事。^^;




何度も、いろんな記事で述べている事だが 私には音楽的素養がない。


だから、木製のフルートと銀製のフルートと14Kのフルートと それぞれで同じ曲を吹いて、どの音がどのフルートか?なんて聞かれても それを聞き分ける自信など全く無い。


けれども、音楽を専門にしている人や演奏者もそれなりのレベルに達すると より良い楽器でより良い音で奏でたい… そういう風に考える事は理解が出来る。


フルートを吹いた女の子は「悪魔が来たりて笛を吹く」の「黄金のフルート」という曲を 文字通り14Kのフルートで吹く事により、一時は諦めていた演奏の楽しさを思い出したのか 音楽学校に通ったり、演奏会に出かける様になった事は既に述べたが、その時に どうしても14Kのフルートを使用したくなった気持ちは理解が出来るし、K親分も


「どうせ、俺の周囲にはフルートなんか吹ける奴はいねぇんだから 好きな様に使いな」


そう言って、気さくに貸し出してもくれたのだ。


で、女の子は そのフルートを持っていろんな演奏会に出かけていたのだが…


ある演奏会に彼女が出かけ そこで、K親分から借りて持って行ったフルートが紛失なのか盗難なのかは定かでは無いが 彼女が気づかぬうちに無くなってしまったのだ。


必死になって彼女は探したが フルートは何処からも見つからず、ついには探す事を諦めたのだが… 彼女はまず、友人である私の彼女(後の嫁に)


「どうしよう?」


と、相談 嫁はそのまま それを私に相談、その時に初めて 私は彼女がK親分から時々フルートを借りていた事を知ったわけで…


「親分のとこに直ぐ行って そのまま、何があったかを説明して詫びなよ 話はまずそれからだと思うよ」


と、アドバイスしたのだが


「お願いだから 一緒に行って謝って」


と、女の子は言ったが


「悪いけど、直接借りたのは君なんだし 無くしちゃったのも君なんだから ボクが謝っても意味無いでしょ?

 まずは、君が誠心誠意で謝罪するべきだよ」


私は そう言って断った。


誤解の無い様に断っておくが 親分が激怒した時に巻き添えになりたくない…なんて意味は欠片もない。


ところがね、女の子は親分に謝りに行く事はせず、数日もせぬうちに 女子は下宿を誰にも知られぬ様に引き払い、何処かへと姿を消してしまったのだ。




さて…


女の子がいなくなった事を知り、はじめて私はK親分を訪ね 事の次第を報告した。


親分には寝耳に水の話だったから 私の報告を聞いた直後はビックリしていたが、やがて落ち着くと


「そっか… あの娘には悪い事をしたなぁ…

 ヘタすりゃ、こういう事も起き得るって 俺も考えてなきゃいかんかったんだよなぁ…」


と、怒るのではなく むしろ寂しそうにそう言った。


「あの娘、どこに行ったのか誰も知らないのか?」


「ええ、少なくとも私の知る限りは

 でも、実家とかにあたれば それなりに探し出せる様な気もします。 探しますか?」


私が そう聞くと


「いや、ほっとこう

 ヘタに探しても”追い込みだ”って思われたんじゃ 尚更、せつねぇからな」


そう言う親分に 私は重ねて聞いた。


「怒られるのを覚悟で伺いたいのですが、

 350万からする14Kのフルートを無くされて 親分は怒らないんですか?」


すると親分は


「無くされて困ったり、怒ったりする様な物は 最初から誰にも貸さねぇよ」


そう言って、優しく笑った。


で、しばらく間をおいて


「金でも物でも”貸す”ってのは”やる”って気持ちで渡さないとな

 だから借りる方も それだけの気持ちも貰ったんだと自覚して、

 ただ、返すだけじゃなく 返す時に気持ちも返すんだよ


 だから、他人に簡単に物を貸してくれ…って頼める奴は

 そういう気持ちの欠けた奴、理解が出来ない奴…って 蔑まれても仕方がないんだ」とも。


私は同じ様な話を 喫茶「職安」の常連さん達から何度も聞かされていた。


だから、その話をK親分から聞いた時に「あぁ、この人も常連さん達と共通の人なんだな」と実感した。


なので、私はK親分に


「あのぅ… 彼女を親分に紹介した…って経緯を考えますと

 多少なりとも責任を追及されて ”少しは連帯保証しろ!”って言われたら どうしよう?って

 自分も ちょっとだけビビっているんですが?」


と言うと K親分はカカカと笑い


「おう、そっか オメェもビビって夜も眠れねぇか そりゃ傑作だ^^」


と言うと


「じゃぁ、オメェが気にしない様に ひとつ、仕事をオメェにくれてやるから

 その仕事を黙って引き受ければ 何もお咎めは無しって事にしてやらぁ」


と。


その仕事とは その時、親分の孫の一人が高校受験だったのだが その孫の家庭教師を仰せつかったのだ。
(その話は 別の機会に語ろうと思う。)




余談かもしれないが…


もし、親分が怒って私にも責任を追求してきた時はその時に話し合うなりすればいいわけで、話のスジから言えば 当事者が速やかにまず詫びる事が大事だと私は思った。


ところがね、人間には 実に自分の都合の良い様に物事を考える人がいるもので… 350万もするフルートを簡単に貸してくれる人は「とても優しい人」としか認識せず、それを無くして弁償しなければ…ってなった途端「あの人ヤクザじゃん、それも相当な親分じゃん」って言い出し、ともすれば「どんな目に遭うか判らない」と勝手に想像を膨らませて怯える。


たしかに、ヤクザにもいろんなタイプが存在し 上の様な状況になった途端、ただ350万を弁償するだけではなく、さらに「オトシマエをつけてくれや」と言い出すタイプも実在する。


けどね、最近ではめっきり少なくなったけど「任侠」というものを大事に拘っているタイプもいるわけで、私に言わせれば そのK親分は典型的な後者のタイプ


だから、とっとと本人の目の前に行って「ごめんなさい」と まずは詫びれば、ヘタな一般人より余程、優しい対応をしてくれる人なのだ。


けれども、「ヤクザの高価なフルートをなくしちゃった」と怯え錯乱する彼女は 詫びる事よりも逃げる事を選択した。


今、私がこうして述べている事を「そんなの結果論じゃん」と言う人も多かろう。


でもね、相手がヤクザであろうがそうで無かろうが 相手によって出方を変える事が潔い姿なのか? そこに私は疑問を抱く。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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