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2009年07月30日

● 戦火の勇気


いろいろと寄せられた御質問や御要望にお応えするに辺り、1996年に製作・公開された映画「戦火の勇気」を語りつつ、併せて語ってみようと思う。




まず、私は このブログであまり洋画を語らない事に関し たびたび御質問を頂戴する。


それに関して、お応えすると30代ぐらいまでは 自分で言うのもナンだが、私も洋画は結構見ていた方なのだが、現在はと言うと 余程、興味が惹かれたモノ以外は殆ど見ない。


その理由は、洋画に限らず 映画館に行って映画を見る…という事に 個人的に疑問を抱いたからであり、その疑問とは 映画の料金体系がデタラメに感じる事が多かったからだ。


つまり、映画ってのは「鑑賞料先払い」というのが大昔から当たり前にとられてきたシステムなわけだが、見終わった後に その映画から素晴らしい感動を貰えれば、そんな入場料など惜しくも無いし、再び払ってでも 良い映画には何度も見直したものだし、それだけの価値はあると今でも考えている。


ところがね、30代後半ぐらいからかなぁ 料金に全く見合わない程のクソ映画が増えた事、それに話題作りの為に無料の試写会が頻繁に行われ、それらで招待されてタダで見たアホな自称映画評論家とやらが TVやラジオで許し難い程のネタバレを撒き散らしたり…


映画館で映画を見ようとする客のマナーも悪化し、上映中ペチャクチャと喋りまくるババァやガキが特に目障りに感じる様になったり まぁ、そんなこんなが積み重なって映画館には その頃を境に積極的には行かなくなった。


映画ファンの方に言わせれば 映画は映画館の大きなスクリーンと音響設備でこそ楽しめる…という御意見もある。


たしかに、その点については一理あると私も思うが 昨今は家庭用にミニシアターの性能は格段の向上を見せており、マナーの悪い客に遭遇する事を考えるとミニシアターの方が気にせずに済むし、何よりも個人的な理由を言えば タバコを吸いながら見れる。^^


が、まぁ そんな事はともかく…


洋画を見て楽しむ場合、最も重要な事は 洋画と言ってもその多くがハリウッド産のアメリカ映画に限定して言えば 英語が理解出来るか否か? どのぐらい理解出来るか?で感想は変わる。


もちろん、映画には字幕があり 最近のDVDなどは日本語吹き替えが最初からバンドリングされていたりもするから、それで充分という人も多い。


けどね、以前 別の記事でいくつか指摘したが 日本語字幕とか日本語吹き替えの翻訳って半端じゃないほど沢山ある


特に、私の大好きなジャンルである戦争映画などは誤訳のテンコ盛りであり 重要なポイントであるにも関わらず、誤訳でニュアンスが違っているモノは枚挙に暇がない程なのだ。


その点に関しては 翻訳者が限られているとか、作業時間の関係で…とか いろいろと「仕方がない事」と弁護する方もおられるし、それで我慢が出来るのであれば どうぞ御自由に…と私も思うが 私は我慢が出来ないので そんな手抜き仕事に金を払えるか…って気持ちになる。


特に、今回 あえて名指しさせていただけば 映画字幕の権威として「戸田奈津子」をかかげ、戸田先生のファンです…なんて方も少なく無いそうだが、「戸田奈津子 誤訳」をキーワードに検索してみれば一目瞭然だが 多くの人が怒っているのが判るだろう。


私もそんな「怒っている」一人なので 新作のポスターに「字幕:戸田奈津子」という表示があれば どんな話題作でも私は映画館では絶対に見ない。


が、そんな戸田批判はさておき…


最も私を不愉快にさせた洋画は2001年に公開された「パール・ハーバー」で 昔の映画ならいざ知らず、近年の映画でこれほど考証がデタラメだらけのものは無い。


その上、映画宣伝では常套手段とはいえ「この映画を見て泣きました」とか「感動しました」等と 宣伝CMに日本の若者達が何人も登場した事。


それを見て いろんな事に「終わってんなぁ」と悲しくなった。




キリがないので話を変えるが…


時々、「ブタネコお薦めの戦争映画(洋画)を教えろ」的内容の問い合わせを頂く事がある。


それに対して、私が


「個人的に良作と感じているものでパッと思いつくのは…」


と、前置きしてお応えしているのは


  ・「バンド・オブ・ブラザース」

  ・「トラ・トラ・トラ」

  ・「M*A*S*H」

  ・「ミスタア・ロバーツ」


それと、


  ・「戦火の勇気」


である。


で、そう言うと「”ブラックホーク・ダウン”は?」と重ねて問い合わせてくる人が少なく無いのだが、作品単体としては面白いと思いつつ、その映画のプロデューサーが「パール・ハーバー」のプロデューサーでもあるジェリー・ブラッカイマーである事が許せないから 評価には入れていない。




さて、そろそろ「戦火の勇気」について語ろう。


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主演は


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「デンゼル・ワシントン」


彼の役は戦車隊の指揮官として湾岸戦争に従軍し、


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混戦の中で味方の戦車を誤射して部下を死なせてしまう中佐で 自身の査問会が行われる中、別な戦場で戦死したヘリのパイロットの叙勲に関する調査


その戦死したパイロット役を演じたのは

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「メグ・ライアン」


彼女が機長を務めていた救難ヘリは 被弾して不時着した味方のヘリを救助しようとし果敢に戦い、味方への攻撃は防ぎながらも、


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自らの機体も被弾・不時着 イラク兵の包囲の中を耐え抜いて翌日、友軍に救助されるが 彼女だけは戦死して戻ってこれなかった。


そして、生還した兵士達に叙勲の調査として聞き取りを開始すると 証言に食い違いが生じ… ってのが冒頭から中盤へのあらすじ。




この「戦火の勇気」を御覧になった方の感想は 様々あるかと思われるが、そんなのは気にせず持論を述べれば…


最初に、この映画を初めから終わりまで通した後 私はしばらく泣かされてしまって仕方が無かったのだが、それでも どうしても見直したい場面があり もう一回、映画館を入り直した。


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それが、このシーン


おそらく、この映画を何も考えずに初めて見る人は 映画冒頭の上のシーンは見過ごしてしまい、ヘタすれば こんなシーンがあった事すら忘れてしまった人も多い様な気さえする。


ゆえに、騙されたと思って もう一度、せめて冒頭の10分だけで良いから見直してみて欲しい。




私は この「戦火の勇気」を見た時に いくつかの点でこういう映画は絶対に日本では作れないだろうなぁ…と感じ それがとても悔しいとさえ感じた。


まず、日本の映像制作者達は 戦争ドラマを映像化する時、必ず バカの一つ覚えみたいに「残された家族は」とか「愛する者」なんて触れ込みで女や子供が登場する。


戦争全体を考える時には それは否定出来るものでは無いが、なんでもかんでもそればかりの邦画の戦争映画の在り方には 甚だ疑問を私は抱く。


だって、邦画の場合 登場した女や子供は空襲で死亡しました…とか、戦地で死亡した事を信じようとはせず


「あの人は きっと、必ず帰ってきます…」


なんて台詞を 海を眺めながら呟いちゃう設定ばかりだからだ。


この「戦火の勇気」にも 親や女や子供が登場するが、それらの登場の仕方にはどれも邦画では見た事のない設定ばかりで しかも、リアル感で言えば邦画の場合よりも数段クォリテイが上。


映画全体を通じて 派手な戦闘シーンは短いが、そのぶんそれらのシーンで登場する戦車やヘリは本物であり、銃の射撃時における反動や 銃の違いによる射撃音の違いにまで考証は行き届いている。


映像内で


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という証言シーンがある。


AKとはイラク兵などが一般的に使用している「AK-47」と呼ばれる自動小銃であり、


「M-16」とは

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上の画の小銃の事。


訓練された兵士は銃声で その銃が何かを察し、敵か味方か、アサルトライフルなのかサブマシンガンなのか機関銃なのか それらを判断して行動する。


特に この映画の場合、「最後にM-16を撃っていたのが誰か?」が重要なファクターであるだけに 先に述べた銃声の違いは明瞭に演出してもいる。


日本の戦争映画って そういう考証に関しては全く無関心というか デタラメなものが多く、拳銃も小銃もみんな同じ音でも全く気にしていないのに


「ん? 銃声か? 敵襲だぁ!」


なんて台詞で誤魔化しちゃうんだ。




それと、この映画を初めて見た時に「メグ・ライアン」がシリアスな戦争映画で兵士でヘリのパイロットを 何の違和感も無く演じている事にビックリした。


だって、それまでの「メグ・ライアン」の出演作と言えばラブロマンスかコメディばかりで典型的な「カワイイ子」ばかり、こういう演じ分けって 日本の女優で誰か出来るのか?と考えた時 女優としての資質の違いを素直に認めなきゃダメだなぁ…とも。


例えば、この映画の中でメグライアンは拳銃や小銃を撃つシーンがあるが、その時の撃ち方や反動などは 周囲の男優達と遜色ない。


しかしながら、では日本だと…と、考えた時 たいていの女優が銃を撃つシーンなど


「撃った…って判れば良いんじゃねぇ?」


みたいなおざなりな演出で良しとされるばかりで 小銃ともなれば、へっぴり腰で 微妙に目を閉じていても「OK、お疲れ様!」なんだよね

(「ホワイトアウト」の松島菜々子なんか その際たるものだ^^)




結局、邦画の戦争映画の場合 監督や主演の役者がインタビューで


「今回は特に、兵士の心理や内面を描く事に集中して頑張りました」


なんて言うんだけど、真の意味で兵士の心理や内面を見事に描ききっているのは この「戦火の勇気」みたいな作品だって事を 邦画の関係者は見習うべきだと私は思う。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

私もこの映画が大好きで、毎回泣けます。

証言ごとに異なる再現シーンが『藪の中』のようで惹きつけられます。

私が最も好きなシーンは撃たれたメグ・ライアンを部下が「大丈夫ですか」と
気遣う時、彼女が「私は子どもを産んでいるのよ!」と返すところ。血を流し
たり、激痛に耐えることに対する「経験」の違いを見せ付けられました。

この映画では、男の兵士より兵士らしい立派な女性士官の姿を描いています
が、彼女が特に男らしさを意識せず、「意志の強さ」で乗り切っているのが素晴
らしいと思います。この映画の対極にある『G.I.ジェーン』は私は評価してい
ません。

★ ハウプマン さん

>私が最も好きなシーンは…

たしかに、そういう台詞廻しは邦画にはありませんし 目からウロコみたいな感覚を得ました。^^


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