● 雑感(6月8日)
つい先日の事。
深夜の病室で 相変わらず私は暇をもてあましていた。
病院内を徘徊し 喫煙室に屯する整形外科に入院中のヤクザをからかって遊びたくても さすがに丑三つ時を過ぎた時分ではヤクザも寝てる。
なので、寂しくなった私は ふとナースコールを押してみた。
「ハイ ブタネコさんどうしましたぁ?」
天井のスピーカーから 聞き慣れたその日の夜勤の看護師であるCちゃんの声が聞こえた。
なので、私は部屋の何処かに設置されたマイクに聞こえる様に大声で
「大地真央をだいちまおう!」
そう一言、叫んでみた。
「…」
ナースコールは沈黙。
私の心の叫びは届いたのだろうか?…
深夜の静寂の中 再び、私は孤独に包まれる。
すると、数分もせぬうちに 廊下をパタパタと走ってくる足音が近付いたかと思うと、ノックも無しにガラッと乱暴にドアを開けて飛び込んできたのは看護師のCちゃん
「ん? どうしたこんな時間に 夜這いか?
夜這いなら ウチの奥さんに許可を…」
私の話も終わらぬうちに
「ブタネコさん 何時だと思ってるんですか?!」
物凄い剣幕で怒鳴るCちゃん
「何時ってオマエ (壁の時計を見て)4時ちょい過ぎか…」
「朝の4時過ぎに くだらないダジャレをナースコールしないでくれます?」
「くだらないダジャレって 君、これは私の友人であるブロガーの…」
「ブタネコさんの友人なんてロクデナシばかりなんですから
そんなのいちいち教えてくれなくても結構です!!」
「おいおいCちゃん なにをそんなにピリピリしてんだ?
なんなら他にも仕入れたばかりのダジャレを…」
「だいたいね 最近、暇で退屈だからって ナースコールで遊ぶの止めてくれませんか?
「へ? どういう事?」
「この前だって 突然、ナースコールで”ア~メマァ~”って吠えたでしょ?」
「…」
「その前は 晩御飯をちゃんと食べたのに ナースコールで
”看護婦さん 晩御飯はまだかいね?”
って、とぼけて何回も食事を運ばせたでしょ?」
「…」
「その前は、やっぱりナースコールで
”具合が悪いから救急車を呼んでくれ”
って、どこの世界に入院患者が119番かけろって言います?」
「…」
「その前は…」
「もういい、ごめん 俺が悪かった」
「もうね、ナース達からブタネコさん なんて言われているか知ってますか?
関わりたくない患者さんランキング第1位ですよ ダントツの」
「え? なにそのランキング、ノンノ? それもともキャンキャンあたりの今月号の特集か?
それともアレか? ニールセンとかビデオリサーチの数字か?…」
「だから、その性格が問題なんですよ
たまに、真っ昼間に屋上にでも上がって外の空気を吸いながら光合成でもしたらどうです?」
「光合成って 葉っぱじゃねぇんだから俺は…」
「ブタネコさん 何日か前に千歳に行って真っ黒に日焼けして帰ってきたじゃないですか?
あの日の晩だけですよ、ナース達が静かに過ごせた夜は。
だいたい、入院患者が真っ黒に日焼けって どういう事?って話ではあるんですけどね
ブタネコさんは こんがり焼けた方が世界平和の為なんですよ!」
翌日の昼間、素直な私は病院の屋上にいた。
椅子代わりに車椅子を使い 呑んだばかりの缶コーヒーの空き缶を灰皿代わりに煙草を吸っていた。
コンクリート剥き出しの 何の変哲もない屋上だったが、そこでしばらくぼんやりと過ごしていたら 学校の屋上でタバコを吸うのってこんな景色なんだろうなぁ…なんて思った。
私の母校は 今では近代的な建物に建て代わっているが、私が通っていた頃は木造で とても屋上でタバコ…なんて所では無かったのだが まぁ、そんな事はどうでもいい。
すると、間もなく ゴルフクラブ(5番アイアン)を一本だけ杖代わりにブラ下げて院長であり主治医でもある二代目開業医が現れた。
「お? 早速、光合成か?」
私を見るなり そう言う。
「もう、オマエの耳に入ったのか?」
私が聞くと
「そりゃそうさ、病院内の出来事は すべからく院長である俺の耳に入らんとな^^
Cちゃんに今朝、凄ぇ怒られたんだろ? ”大地真央をだいちまおう”
アホかオマエは^^」
「五月蠅ぇよ、だからちゃんと言いつけ守って光合成してんだろうが!」
「カッカッカ^^ そりゃ良い。」
やがて、二代目は 私の背後で持ってきたクラブで素振りを始めながら
「あぁ、ゴルフ行きてぇ~」
私は タバコを吸いながら
「あぁ、千歳に行きてぇ~」
意味は違えど 同じ様にぼやく。^^
で、その時に ふと、本当に何気なく
「なぁ、この屋上 ちと味気なくねぇか?」
「ん? どういう意味?」
「人工芝敷いて ごろ寝出来る様にしたらどうだ?」
「おぉ、良いな それ」
「ビーチマットにパラソル立てたら なんか、光合成っていうより日向ぼっこって感じになるじゃん」
「って言うか、芝敷いたらパッティングが出来るな うんうん、そりゃいいや そうしよ♪」
二代目はあっと言う間に立ち去り、翌日には工事が始まって 2日後には屋上は立派なガーデンに変貌を遂げた。
そこで、ビーチマットにパラソルで エレガントな午後を過ごそうと思っているのだが…
それ以来、札幌は晴れていても風が暴風だったり雨が降ったりで まだエンジョイ出来ていない。
なので、今晩あたり またナースコールしてみようかと思っている。Ψ(`∀´)Ψケケケ
(夜勤はCちゃんだし^^)
