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2009年05月10日

● 将来の夢・過去の現実(その4)


ちょっと固い話をしようと思う。




さて…



「バッタリ 何処かで出会った時に

 向こうから笑顔で”やぁ、あの時はどうも…”なんて言われて思い出したとしても 絶対にとぼけてしまえ。

 たいていは”夜逃げの事には触れないで下さい”っていうのが普通なんだから

  わざわざ悲しい思いを こちらからさせちゃ野暮ってもんだ」


N専務の話」という記事の中で 夜逃げする家族が「気持ちだけど」と私や他のバイト学生達に差し出した金を 私達が何も考えずに受け取ろうとしてN専務から怒られたエピソードを記したが、Nさんは 我々バイト学生に、バイトの中で出合った債務者達の事を全て忘れろ… と、当時は よく念を押していた。


その当時はただの荷物運びでしか無く 背景事情を理解する事が出来なかったが、常連さん達の会社の跡を継ぐと 嫌でも、どんな事情だったかを知る事となる。


と、同時に その会社を興した「屯田兵の御隠居」や その会社を手伝い 後に実質的に後継者となったNさんの思惑をも知る事となる。


というのは そもそも「屯田兵の御隠居」が会社を興したのは 先の戦争中に御隠居が海軍士官として従軍する間に袖擂り合った同僚や部下達、特に 戦死した人達の家族が戦後の混乱期に 働き手を戦争で失いながらも、敗戦という事で軍人家庭にはろくな補償が直ぐには与えられず困窮した家族が多かったので それを救う為


よく、TVドラマや戦争映画のワン・シーンに


「もし、貴様が祖国に戻ったあかつきには 俺の家族を…」


なんて言い遺していく兵士と、それを看取りながら「あぁ、判った」と泣く戦友…みたいなシーンがあるが、御隠居は それを実際に実践した爺ぃだった。


元々、御隠居の実家が裕福で相続した財産は当時としては多額だったから税金対策だった…という見方もあるが、真の部分では「お国のため」に死んでいった者達の家族に対する戦後の日本という国の対応が不満でならず そんな国にただ税金を払うぐらいなら誤魔化してでも その財産から得る利益の殆どを 先に述べた家族、特に遺された子供達への奨学金として使いまくっていたのだ。


我々がバイト学生になった頃には そういった戦災孤児達は既に大人になり、殆どが家庭を持って立派な社会人となっていたが、跡取り息子が戦没してしまい 老いてしまった戦没者の両親とか、戦死者との間に子宝には恵まれないまま 老いて一人暮らしをしている妻…なんてケースが少なくなく そういった人々を支援する事が御隠居のライフワークだったのだ。


その事について 残念ながら私は爺ぃから直接に話を聞いた事が無い。


全てを知ったのは 社会人生活を「脱サラ」して 常連さん達の会社を継ぐと決めた時 NさんやOさんが種明かしをしてくれた時の事。


札幌市内にいくつも貸しビルを持ち、そこにテナントとして入っている飲食業や そこに関連する中小企業の面倒をみる… 私が会社を継いだ頃の会社の業務の1/3がそれだった。


だから、夜逃げの手伝い…というのは 見ず知らずの誰かを夜逃げさせる事を業務としたのでは無い。


何年も会社が管理する不動産の店子として付き合ってきた人が 何かのやむを得ない事情により窮地に立たされ、爺ぃが存命中は爺ぃに、爺ぃが他界した後はNさんやOさんに相談した結果の判断であり その結果や流れのもの


だから、債務者の殆どをNさんやOさんは 何年も前からよく見知っており、夜逃げさせた後も 色々と相談にのっていた。


故に、私が会社を継ぐ事になって以後「あれ? あの人、あの時の夜逃げの…」という人物と数え切れない程再会し その人達の「その後」を知る事となる。




さて…


私が喫茶「職安」のバイト学生だった頃、「アルバイト」と「就職」には「終身雇用か否か」みたいな部分に明確に違いがあった。


「会社に入る=定年まで勤め上げる」


と言う方程式が正しいとされ 定職を持たない者を落伍者とか怠け者とすら呼んで侮蔑するのも普通だった。


しかしながら、終身雇用の側面には 上司や同僚との人間関係が崩れると、そんな中で定年まで働かなければならないのか…という葛藤が大きくなり であるが故に、当時の退職理由の殆どが「人間関係」で 会社勤めの人の多くが大なり小なりストレスを抱えているのも普通だった。


だから、世の親や先輩達は 新人に対して「何事も石の上に三年だ」と辛抱する事を求めるのも普通であり、当たり前とすら言われたものだ。


だからなのだろうけど、その頃、「脱サラ」という言葉が急速に ある種のブームの様にもてはやされていた。


「パン屋」「蕎麦屋」「ラーメン屋」のような食べ物屋や喫茶店、ペンションなんてのが典型的なパターンで ちょっと風変わりなケースには陶芸とかリサイクルショップなんてのも多かった。


脱サラをした人達は


「元々、会社勤めが好きだったわけじゃなく いつかは田舎に住みたいというのが夢だったんです」


とか、


「元々、@@になるのが(をやるのが)夢だったんです。」


と語り、そんな人達をメディアは「夢を追いかける人」なんて感じで良い意味で媒体に取り上げ それを雑誌やTVで見た人の中には「楽しそうな人生だなぁ」と共感を抱き その結果、さらに「脱サラ」する人が増えていった。


面白いモノで 長い事生きてみると、こういう時代の流れみたいなモノには周期のようなモノがあり、10年ぐらいの間隔で呼び名や姿を変えて登場する。


例えば、「脱サラ」の次に来たのは「ベンチャー・ビジネス」 その多くは情報処理化が促進され先端業務とさえ呼ばれたプログラマーやシステムエンジニア達が 企業で経験した実務を自信過剰に評価し、「独立して自由にソフトを作りたい」なんて理由で独立開業したケース


そして、その後に来たのは「フリーター」とか「派遣」


全部が全部じゃないけれど、その根底には 人間関係などに辟易とし、会社勤めに疑問を感じて退職、「もう誰かの下で働くのは嫌だ」と独立…という風に 本当は「夢を追う」というのが第一なのではなく 人間関係からの逃避が本音の部分では第一


なのに、メディアはそれを 第二の人生に挑戦する人…とか「夢を追う人」なんて綺麗事の部分だけをもてはやし、片田舎で農業始めましたとか、喫茶店を始めました、ペンションを建てました…と、良いトコばかりをピックアップして あたかも「夢とゆとりのある生活」なんて特集を垂れ流したものだ。


私が会社を継いで以後、私が対応した債務者の半分は そんな「脱サラした人」や「ベンチャー企業」であり、残りの半分は バブル崩壊によって家庭や人生をも崩壊させた人。


殆どの債務者の失敗理由に共通して言える事は 設備投資に資金をかけ過ぎ、営業面の予測が甘く 借り入れへの返済ばかりに追われ、主となる業務を疎かにした事


判りやすく言えば、経理や経営という部分の最低限知識を学ぼうともせず「どうにかなるさ」と安易に考えていた…って事。


何年も、会社勤めの間に夢を抱き じっくりと計画を練り上げ 休みの日に職人の元を尋ねて修行をした…みたいな努力の結果、成功した一握りの人達を除き 殆どがメディアの特集に「俺も…」と 他人から見れば夢への挑戦ではなく 現実逃避の結果、当たり前のように悲惨な末路を辿ったとさえ思える


メディアは 良い面だけを取り上げて、キラキラと輝いている事ばかりを描きたがるが、それを見て踊っちゃう人に対しては なんの責任も感じず、むしろ少しづつ問題が表面化するにつれて 今度は「新たな社会問題が…」とあたかもマッチポンプ


フリーターがあれよあれよと立身出世して大きな企業のトップに立つストーリーや いろんな資格を持った派遣社員が企業の中で大活躍…なんてストーリーを描いたドラマを量産してるのに


「なんで、派遣社員になる人が増えちゃったんでしょうねぇ…」


なんて、同じ局の報道系の番組ではとぼけて言っちゃうメディアの無責任さには呆れるばかりだが、結局は踊らされた側の問題も大きい。


あくまでも個人的な経験上での私見を言えば 時が過ぎ、近年になればなる程 昔と違って「自分の事しか考えていない」債務者が増えている事が多く そういう債務者は責任の全てを「時代が悪い」「景気が悪い」「銀行が悪い」と責任を転嫁する言い訳ばかりで 最低限の自分の責任について反省の欠片を見せる者が年々少なくなっていく事の方が 私には景気や政治の良い悪いよりも切実とした問題に感じている。


つまり、判りやすく言えば…


ある倒産した中小企業を整理する業務を引き受け 債務者である社長と面談する時、多くの社長は 先に記したように経営失敗の理由を「時代が悪い」「景気が悪い」「銀行が悪い」と挙げ あたかも「俺は頑張ったんだ」と自己主張する。


けどね、債権者としての私は そんな愚痴のような責任転嫁や泣き言が聞きたいのでは無い。


「これからアナタは どうやって生きていこうと思っているの?」


という事であり、それ以上に聞きたいのは


「アンタはともかく アンタの家族を救おうという気持ちは無いのか?」


という事に至るケースが多いのだ。


これまたよくTVドラマや映画のワンシーンで


「私はどうなっても構わない けれども、どうか家族 特に子供達だけはそっとしておいてくれないか…」


そう懇願する債務者が描かれるシーンが少なく無い。


それに対して


「うるせぇんだよバカヤロー」


と、怒鳴り 債務者を殴ったり蹴ったりする取り立て屋…なんてシーンも多いから 私みたいなものは職業を聞かれて仕事の内容を説明すると おもいっきり引かれる事ばかり^^


でもね、実際のケースで そういう風に家族を守ろうとする債務者に出合った事なんて 私の場合、殆ど無い。


妻や子供なんか置き去りにして 一人だけ逃げちゃうケースが圧倒的に多く、その度に いつも不愉快になったものだ。


結局、「自分の夢を追いかける」事を優先させる…という行動の側面には 家族よりも自分を優先させる…という心理が潜んでいる事が多く であるがゆえに、失敗して窮地に至ると自分だけが逃げる…という行動につながるんじゃなかろうか? と、私は思っていたりする。


だから、ケース数は少ないが 逆に


「私はどうなっても構わない けれども、どうか家族 特に子供達だけはそっとしておいてくれないか…」


と、懇願した債務者は 自分だけじゃなくいろんな面に関して責任を感じ、取ろうとする姿勢があり、色々と話し合っていくウチに こちらもなんとかしてやろう…という風になったものだ。


まぁ… それについては 次回に述べようと思う。^^


                                                  (その5に続く)


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

う~ん、ドキッとさせられました^^;

★ Wen さん

貴ブログの写真見たよ^^

C-130とF/A-18 どちらも私が千歳で見たのと同じ機体で 空はつながっているんだなぁ…と実感しました。^^


【※注意!!】

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