● ゆく春や…
ふと思った事を書き連ねてみる。^^
何気にTVを見ていたら 日本国内、いろんなところで桜が咲いているそうな…
ふと、窓の外を眺めながら わざわざナースが病室に入ってくるの見計らって
「ねぇ、君。
北海道で暮らしていると つくづく思うのだが、
北海道って日本国内で真っ先に秋が来て 冬になるのも真っ先だ。
なのに、なんで春が来るのは一番最後なんだろう…」
…って聞いてみた。
実にシブイ、まさに 重病を患っても健気に明日を見つめる前のめりで粋な男のモノローグ… の、はずだった。
「あ~ ブタネコさん それって常識ですから 常識」
ナースの返事は素っ気ない。
窓の外を見ると 一本の街路樹に枯れ葉が一枚だけ枝に残っている。
私は その枯れ葉を指さして
「あの枯れ葉が枝から離れて落ちる時…
もしかしたら それが俺の寿命が尽きる時かもしれないねぇ…」
再び、私の中の詩人が ナースにハッキリと聞こえる様に呟いた。
「あ、それO・ヘンリーですよね? 最後の一葉でしょ?
中学生の時、英語の教科書に載ってたのを訳させられたんですよねぇ よく覚えてますね」
ナースの返事は ポエムな世界から私を現実に呆気なく引き戻す。
そういえば、ちょうど一年前、私は鹿児島、松山、そして聖地・松崎を旅して 歩く桜前線だったんだよなぁ…
あぁ、旅がしてぇなぁ…
もし、私が寅さんだったら マドンナに失恋して
「サクラぁ、ここはカタギの住むトコで ヤクザなオイラが長居しちゃいけねぇとこだったぜ」
なんて言ってニコッと笑って京成電車に乗るのだが… 札幌には京成電車も帝釈天も無い。
「ブタネコさん なに、遠くをボーっと見つめてるんですか?
まるで、認知症の患者さんみたいですよ? 先生、呼んできましょうか?」
ナースの現実引き戻し工作は 相変わらず容赦が無い。
「医者連れて来たらボケが治るんか?
いつから、この病院は そんな画期的な治療が出来るようになったんだ? あ?」
私がそう聞くと
「あ、いつものブタネコさんが帰ってきた」
何事もなかった様に ナースは病室を出て行き、また 私の一日が始まっていく。

