« ザ!鉄腕DASH | TOPページへ | ヒートアイランド »

2009年01月26日

● 中堅ヤクザの自宅処分(その4)


私と二代目開業医は 血まみれの風呂場があった家を調べる事にした。




Yから家を買い取った屯田兵の御隠居が 問題を知らんぷりして売った理由が


「大嫌いな奴が予定よりも高い値段で買う…って言ってるから」


だった事は既に述べた。


最近は死語になってしまったのかもしれないが「成金(なりきん)」と呼ばれた人がいた。


成金とは元々はさほど裕福ではなかったが 何かがキッカケで急に大金持ちになった人の事。


判りやすい例を挙げると、たまたま所有していた山林や畑に高速道路が通る事になったり、宅地化されて破格な金額で買い上げて貰った結果 金持ちになったのはいいけれど、金を持った途端 性格が変わったように金絡みで因業な真似をするアホの事。


札幌オリンピックを境に 札幌は急激に人口が増加し、それにともなって近郊の畑や雑木林や果樹園が宅地となり街が拡大した。


それに伴って、成金化した輩がずいぶんといたものだが そんな中の一人に屯田兵の御隠居の真似をしてススキノの水商売関係者に金を貸して私腹を肥やしていた男が 問題のYの家を欲しいと申し出た人物だった。


この男が何故Yの家を欲しがったのか その理由は判らない。


けれども、Nさんが言うには


「なんか判らないけど 相当、特別な理由があったんじゃねぇかな? そんな感じだったなぁ」


屯田兵の御隠居がこの男の事を嫌っていたのは まず、この男はトイチと呼ばれる高利貸しだった事と、ヤクザと手を組んで非情な取り立てをしていた事。


綺麗事に聞こえるかもしれないが、屯田兵の御隠居も金貸しではあったが、相手によって金利を変え 個人相手に金を貸した時は相手が幸せになる事を願う一面があったから好対照な存在だった。


だから、そんな相手が予想よりも高い金額で不動産を売ってくれと言ってきたのは 屯田兵の御隠居をはじめ、喫茶「職安」の人達には意外で さらに、嫌いな相手であっても


「それほど言うのなら」


と、アッサリ売った御隠居の判断も意外だった。


「心の底から御隠居は嫌っていたからなぁ…

 アッサリ売ったのは ある意味、意外だった。


 不思議に思ったから御隠居に「どうして?」って聞いたんだ そしたら…


 ”Yの為にひとまず買った家だけど 一度、どんな家か見ようと思って行ってみたら

  なんか薄気味悪い雰囲気を感じたんで中に入らず帰ってきたんじゃ”


 …って


 で、もっとビックリっていうかビビッたのはよ その男がYの家を買って半年ぐらいが過ぎた頃、

 突然、蒸発しちゃって行方不明になったんだ。


 商売は順調で 貸した金もそのまま貸しっぱなしにしたまんまいなくなっちゃってさ

 未だに死んだとも聞かないし、何処かにいた…って話も聞かないんだ。」


そこで、私と二代目開業医は 我々の仲間内で調査を担当している「気の弱い弁護士」を呼び、Nさんの話をした上で問題の家の調査を依頼したところ…


「気の弱い弁護士」は一人で勝手に異様なまでに盛り上がり、


「それは、俺の出番だろ! よし、俺がキッチリ調査してやる」


と、ヤル気を見せた。


そう、彼は「気の弱い」人間なのだが 彼の座右の銘は


「生きている間に一度で良いから 自分で心霊写真を撮ってみたい」


というアホであり、旅行に行けば私がドラマのロケ地や小説の舞台を旅する様に 彼は、全国的に有名な心霊スポットや廃墟を巡るのが大好きな奴なのだ。


で、数日後…


「ウチの(弁護士事務所)の調査会社に所有権関係と履歴を調べさせたんだけどさ…

 持ち主は蒸発した男のまま 誰も相続せずに放っておかれてんだな。


 で、実際に 家を外からだけ見てきたんだけど ありゃ完全に空き家っていうか、まさに廃墟だぜ

 フィルム一本分、家の写真を撮ってきたんだけど 写ってるかもしんないな心霊…」


「家、そのままあんの?」


と、私が聞けば


「うん、あったよ」


「オバケ屋敷みたいな感じで?」


と、二代目が聞けば


「そうそう、ありゃ写ってるな うん、きっと写ってる… 

 でね、折角だから前から一度会ってみたいと思っていた専門家を呼んだから楽しみにしていて^^」


と、気の弱い弁護士は 傍目に妙にウキウキしている。


「専門家ってなんだ?」


私と二代目が聞くと


「こういう時の為に かねてより、誼を通じていた秘密兵器を呼ぶんだよ」


「秘密兵器を呼ぶ」その言葉の意味が私達にはすぐ理解出来たが、敢えてその場は理解出来ないフリをしてやった。^^;




10日程過ぎたある日の事。


気の弱い弁護士は問題の家の前に元・喫茶「職安」バイト学生を全員集合させ、そこに彼が「秘密兵器」と呼ぶ人物を伴ってやってきた。


その人物とは 実年齢的には間違い無く50過ぎなのに、異様な髪型と爪痕が間違い無く残る厚化粧に 不必要なアクセサリーを大量に身につけたババァ


故・塩沢とき

(注:上の画像はイメージです。 故・塩沢ときさんが現れたわけではありません 念のため。)


気の弱い弁護士が愛読している雑誌(心霊専門のバッタ雑誌)によく登場する…という霊能者。


ババァは問題の家を見るなり


「あらら… これはイケナイわ」


と言うなり 訳の判らない呪文の様な物を唱えながら祈っている


その祈りは いつ終わるかも判らないぐらい長い時間続いている…


最初のウチは好奇心が勝って 神妙に祈るフリをしていた「気の弱い弁護士」以外の元・バイト学生達だったが、今まで 他の記事でいろいろと語ってきた様に それぞれがアクの強いバカばかりだったので いつしか、お祈りに付き合うフリをするのに飽き スーッと音を立てずに見通しの利く少し離れた場所に移動し、めいめいがタバコを火を点け一服しながら好き勝手な事を呟き始める…


「おい、まさに”塩沢とき”…って感じのオバァだな?」と腕力だけが取り柄の歯科医。


「ああ、あんなオバチャンが動くの生で初めて見た」と某国立大学理工学部教授。


「トキだけに天然記念物モンだな」と私。


「それにしても なんか香水臭くねぇ?」と一級建築士の資格を持つ詐欺師。


「ここまで漂ってくる…って事は浴びてるぞ あのババァ」と私。


「バカ、霊能者なんだから 香水じゃなくて、ありがたい魔除けの聖水って事なんじゃないか?」と腕力だけが取り柄の歯科医。


「このキツさだら 死霊はともかく、生きてる俺らも近づけねぇべ」と二代目開業医。


「しょうがないよ オマエも魔物だもん」と私。


霊能者の祈りは数十分続いた。


「おいおい、いつまで続くのかね? このお祈り」と某国立大学理工学部教授。


「あのオバチャン JRで内地から来た…って言ってたから 疲れて寝てんじゃね?」と一級建築士の資格を持つ詐欺師。


「バカ、いくらなんでも立ったまま寝れねぇべ」と某国立大学理工学部教授。


「寝れるだろ? トキだもん。 いや、むしろ、トキだけに立って寝てもらわないと困るべ」と二代目開業医。


我々、元・バイト学生の陰口はとどまる事を知らない。


そして、延々と続いたお祈りも 塩沢ときもどきの霊能者が突然、手を大きく十字を切る様に動かしながら


「ふりゃぁ~ ふぇっ、ひゃぃ、ぴやぁ~」


と、大声を発して終了した。


で、少しの間 息を整える様に瞑想したかと思うと、背後の我々の方に振り返ってニコッと笑い


「はい、もう大丈夫 霊は無事に成仏しました。^^」


と言い、それを聞いて唖然とする私達


「で、どんな霊がいたの?」と一級建築士の資格を持つ詐欺師。


「沢山いましたんで まとめて成仏させちゃったから判りません」と 塩沢とき 霊能者。


「いやいやいや、成仏させちゃったらダメっしょ!」と某国立大学理工学部教授。


「そうそう、オバチャン呼んだのは どんな霊がいるのか? 出来れば、その霊に事情を聞きたかっただけなのよ」と腕力だけが取り柄の歯科医。


「あ~、いちいち話を聞いてたらキリが無いからね」と 塩沢とき 霊能者。


「って言うか、ババァ まず、俺らの話を聞いとけや!」と私。


そして、無言のまま困った顔をしている「気の弱い弁護士」に


「オマエはアホか? こういう時はイタコ呼ばなきゃ駄目だろよ?

 それとも何か、ここでオマエを半殺しにしてやっから 直接、あの世で聞いてくるか?」


と、怒っている二代目開業医。




その後、一同揃って二代目開業医の病院に行き Nさんに顛末を話すと


「オマエ達、高校生の時からホントに変わらないなぁ…」


と、しばらく大笑いしていたのが 唯一の救いだった。




ただ、この話の結末として記しておこうと思うのだが…


この家は現在でも札幌市内に存在している。


今でも地元で知る人には有名な心霊スポットであり、 塩沢とき 霊能者が「成仏させた」と言ったにも関わらず


「真夜中に二階の窓に人が立っていた」


とか、


「時々、平岸(霊園がある)からタクシーに乗った客が この家のそばで車中から消える」


等の噂が絶えない。




                                                    (このシリーズ 完)


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『喫茶「職安」の話』関連の記事

コメント

こんにちは。スミゴルフです。

前回のを読んだ時に鳥肌が立ちました~。すごすぎて、コメントができなかったほどです。

こんなオチまで付けてくれるなんて、ブタネコさんはステキングです。

>「トキだけに天然記念物モンだな」
上手い!座布団7枚!!思わずバナー7つ全部クリックしちゃいましたよ。(笑)

あっと驚く....新展開の結末!恐れ入りました.m(--)m

★ スミゴルフ さん

ども^^


★ Jannita さん

ども^^


★ きーマン さん

ども^^


【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。