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2008年09月28日

● ロケ地 考(その1)


去年から今年にかけて いろんなドラマや映画のロケ地を巡る旅をした…




良い機会かもしれないので そういったロケ地巡りの旅の私見を述べておこうと思うのだが、このブログ内の過去記事で 既に同じ事を述べていたり、以前に述べた事とは一部、食い違う感想が含まれるのを どうか御容赦願いたい。^^;




中・高生の頃 私は読書好きな子供だった。


そんな私は 本を読んでいる時、作家が描く情景描写から 舞台となる町や人物像を妄想する様にイメージを浮かべて読み進める癖があった。


特に 歴史小説であれば、実在の地を地図帳で確かめる事が出来るので リアルな楽しみ方が出来るのだが、推理小説では 架空の地が舞台だったりするので そういうイメージが浮かばない作品は なかなかその世界観にのめり込んでいけない。


けれども、当時 愛読していた横溝正史の作品群は 横溝正史の描写の凄さもあって 岡山や瀬戸内の景色など 物覚えがついてから見た事など無いのに、峠道を歩く おりん婆さんの姿など ハッキリと妄想して読んでいた。


それと、毎年 盆と暮れに新作が公開されていた映画「男はつらいよ」のシリーズは 毎回、日本国内のいろんな地を寅さんが巡ってくれたおかげで 新作映画を見る度に、自分も新しい土地を旅した気分を味わっていた。


高校生となり、喫茶「職安」で割の良いバイトをこなす様になった私は 当時の高校生としてはハンパじゃ無い程、金を持っていた。


例えば、「気の弱い弁護士」と後に呼ばれたバイト仲間は 稼いだバイト代の殆どを彼の趣味であるカメラのフィルムや現像代、機材代や 最終的には自分で全てまかなえる様に現像様の機材を取り揃える事に使ったが、私は バイト代の殆どを貯金して いつか、本や映画で感動した場所に旅する為の資金にするつもりだった。


で、以前にも述べた事だが 大学生になり、札幌を離れて東京で暮らす中 ようやく念願叶って行った場所が横溝正史の岡山であり、寅さんが旅した場所の一つである山形県の寒河江である。


不思議なモノで 映画や本で強い印象を受けた土地に実際に行くと その現地で味わう興奮や感慨は 簡単には言い表せない気持ちになれる。


それから、私の旅行の目的地は 観光地とか景勝地とかでは無く、心に響いた本やドラマや映画の舞台となった場所となる。




さて…


業界用語に「タイアップ」という言葉がある。


この言葉には いろんな意味があるのだが、近年では 全国各地に「フィルムコミッション」なる団体があり、それらの団体が「オラが町で映画の撮影を…」とロケ誘致に力を入れる。


これは、かつて「北の国から」という名作ドラマのお陰で それまでは全国的知名度の低かった北海道の富良野という町が アッという間に観光の名所と化したり、NHKの大河ドラマの舞台や寅さんが訪れた町が その直後、観光客が膨れ上がる現象があり、誘致したドラマや映画がヒットした時の経済効果は馬鹿に出来ないモノがある。


もちろん「フィルムコミッション」がロケを誘致したり、ロケに協力するのは単に経済効果と言う名の金の為だけでは無く、町の知名度やイメージアップというのも大きな理由なのではあるが…


実際にいろんなロケ地を巡ると それぞれの土地柄ももちろんあるのだろうけど、経済効果目的の強い場所や 「フィルムコミッション」が願ったモノとは全く違う、地元の人達の無関心さが強い場所というのも沢山ある。


で、率直に言うと どんなに本や映画やドラマが秀逸でも、実際に そのロケ地を訪ねて心の底からガッカリした例というのも少なく無い。


例えば、自分の故郷である北海道を悪く言いたくないが 北海道は観光産業が国内の他の地域よりも発達している場所ではあるが、そのぶん 銭儲けばかりに夢中になり過ぎ、ロケ地としての魅力を蔑ろにしている場所が目に余る。


先に挙げた「富良野」は 残念ながら近年ではその最たる地と言っても過言では無く「北の国から」というドラマに魅せられ その舞台となった土地を訪れ、歴代の五郎の家を眺める…までは楽しめるのだが、その観光客目当てに いろんなお土産屋や食べ物屋など便乗商売の店が乱立し、それらが逆効果となって ひなびた山や森の中にある丸太小屋をイメージしてやってきた観光客達のイメージを壊す。


「北の国から」というドラマのシリーズはTV版「世界の中心で、愛をさけぶ」や「前略おふくろ様」と並んで 私の中では別格扱いの傑作ドラマではあるが、車で走れば札幌から2時間半の距離にある富良野だけれど おそらく、私は二度と観光では富良野を訪れる気持ちはにはなれ無い。


それは心の中に築かれた「北の国から」のイメージを大切にしていたいからなのだ。


今年の夏、私は「瑠璃の島」の舞台となった「鳩間島」を訪ねた。


「鳩間島」で目にした景色は「瑠璃の島」で見た景色と同じで「成海璃子」や「緒形拳」が演じた親子が 直ぐ傍にいる様な錯覚を覚える程、ドラマの世界にどっぷりと浸れた。


が、しかしながら正直に言えば ここでも少し私はガッカリした気分も味わった。


何がガッカリだったかと言えば…


そのひとつは、私がドラマに感動した気持ちと ロケ地となった現地の人のドラマに対する気持ちの温度差なのだ。


下手すると、島の人達にとって「瑠璃の島」というドラマは どうでも良い様な存在なのかもしれないとすら思った。


鳩間島

例えば、この島に観光で渡る者は 私が行った時のフェリーの乗客を思う時、殆どが ダイビングスクール目当てであり、他の地域で見受ける様な 一般的観光客は皆無に等しく、残りは 私達の様なドラマ・オタクが若干名


そんな私達が港に着いた時、話しかけてくれたのは


「”瑠璃の島”を見て観光ですか?

 私もねぇ あのドラマに感動して ここに移住してペンションやってるんです

 どうです? 今晩、ウチに泊まっていきませんか? ドラマの話で語り明かしましょうよ」


と、とあるペンションの営業トークだけだった。^^;


でね、この時に話しかけてくれた人は けっして悪気など無いと私も思っているのだが、この時の印象が 後々まで違和感となって残ってしまう結果となったのは否めない。


要するに、元々、そこに住んでいる人達が その映画やドラマのロケ地になった事を喜び、その上で便乗商売しているのであれば おそらく私は何の違和感も覚えなかったと思うのね。


ところが、この時の様に ドラマに感動して移り住んだ人が ドラマの便乗商売をしている…という部分に 微妙な違いなんだけど、そこに対する私の違和感が御理解いただけるのは難しいかもしれないね。^^;


ともすれば、これって「よそ者」に対する偏見と言われれば 私には否定する事が出来ないのだけれども 純粋に感動したものを商売に繋げる…というのが どこか納得のいかない気持ちになってしまうのだ。


実は、これと同じ事が富良野にも言えるのだ。


富良野に乱立する便乗商売をしている人達の かなりの割合が、元々 富良野の人では無かった人達なのだ。


ドラマに感動し、田舎暮らしに憧れて富良野に移り住んだ人は少なく無い。


その人達が ドラマのメインで描かれた農家や酪農を営むのであれば 気持ちよく、頑張って下さいと応援したいと思う。


ところが、小洒落たペンションや食べ物屋を初めて


「一緒にドラマを熱く語りましょう」


って言われても 何かが違うと感じてしまうのが私なのだ。^^;


ドラマのファンとしてロケ地を訪れた時、「あぁ、やっぱりここに来て良かった」と思えるのは 地元の人がそのドラマに対する思い入れがあるか否かなのだが、思い入れと商売は別なのである。


だから、地元の人には ドラマに対する思い入れが殆ど無くて


「ありゃドラマの話だからね 本当のここいらの暮らしとは違うのさ」


そんな 見えない境界線みたいなものを肌で感じ トドメの様に


「あのドラマに感動して ここに来たの? 物好きだねぇ…」


みたいな態度や発言をする現地人が少なく無い場所に行ってしまうと その度合いが強い程ガッカリ感は増す。


確かに ドラマは作り物の世界であって ロケ地となった場所には現実にそこで生活している人達がいる。


だから、現実のその場所と ドラマの中のその場所がかけ離れた場所であっても仕方が無いし、むしろ、当たり前とも言える。


ただ、現実的にはかけ離れた場所であっても ドラマのファンは その中にドラマの世界を見出して感動を覚える… それがロケ地巡りの旅の醍醐味なのだ。


ゆえに、実際に そこに住んでいる人達がドラマの世界観とかけ離れていても それは許容範囲なのだが、ドラマに感動してそこに移り住み ドラマを商売に利用している人…というのは どうしても許容範囲に収めきる事が出来ずに違和感となるんだな^^;




私がロケ地巡りを楽しんだ初期の頃 よく行ったのが「寅さん」のロケ地。


この「男はつらいよ」という映画のロケ地は 他の作品と比べ異色である。


何故なら、ロケ地となった土地の人々が 皆、それを誇りの様にしているからだ。


「ここは あの寅さんが来たところ」


皆、自慢するかの様に そう語る。


それはそれで良い。


「へぇ、北海道の人なの?

 寅さんが好きで わざわざこんなところまで来たの?

 じゃぁ、これ 地元の名物だからサービスしてあげる」


愛媛県の大洲や 山形県の寒河江をはじめとして、食事をする為に立ち寄った店の店主の多くが そう言って私を温かく迎えてくれたところばかりだった。


矛盾しているかもしれないが これはこれで嬉しい。


サービスしてもらったから嬉しい…なんて意地汚さで言うのでは無い。


その店主達が「寅さんが来た町だから」と誇りを持っている事が嬉しいのだ。




さて、ロケ地でガッカリと言えば 尾道についても触れておかずばなるまい。


私は大林宣彦が監督した「尾道三部作」「新・尾道三部作」と呼ばれている6本の映画のうち5本を名作だと今でも思っている。


だから、尾道の町を散策し それらのロケ地を巡る事が楽しみで、過去にも何度か訪ね そして今年の夏にも訪れた。


で、尾道という町は大林宣彦の映画に限らず 昔から色々な映画のロケ地になっていた場所でもある為か 街中の市役所の真向えに「おのみち映画資料館」という建物があり、そこに 過去に尾道で撮影された映画の資料が展示してあるのだが、何故か そこに大林宣彦の映画の資料が欠片も無い。


この事について 尾道で利用した複数のタクシーの運転手や宿の従業員に聞いたところ 皆、それまでは別の話で饒舌だったのに その話になると途端に話しにくそうになり、


「まぁ、いろいろありますから…」


と、話を濁すか口ごもる。


で、そんな複数の話で共通している内容を言えば


「当初、”大林宣彦”は”おのみち映画資料館”の建設に辺り協力的な姿勢だったが、

 完成目前の時期に 建設主である尾道市の観光担当部署と見解の相違が生じ、

 大林作品に関しては展示してくれるな…と相成った。」


という事。


尾道という場所は大林宣彦の出身地であり、子供の頃からの友人・知人との付き合いや 故郷としての想い出や思い入れなどが 良い意味でも悪い意味でも絡み合っているのだろう。


実際、私も札幌出身で 札幌に思い入れはあるけれど、市役所や道庁の小役人共とは仲が悪いから、大林の事をどうこう言えた義理では無い… そう思ったから、不可解には思いつつも それ以上詮索するつもりも無かった。


でもね、大林作品のロケ地を楽しもうと訪れているのに そのロケ地と大林が揉めている…ってのは ファンとして悲しいというか、なんだかなぁ…という思いになった事は間違い無い。


で、つい先日の事 今年のゴールデンウィークの時の とあるエピソードを知り、「あれれ?」と思った。


   参考記事:『朝日、戦艦大和ロケセットに言いがかり


上記記事の中にクソ新聞からの引用で


広島県尾道市で一般公開中の戦艦大和の原寸大ロケセット(=写真)について、出身地の尾道で数多くの映画を撮影している大林宣彦監督(68)が「ロケセットは映画の中で初めて意味を持つ。人寄せのための公開は、戦争やふるさとを商売にしているようで恐ろしい」と、市の観光行政を批判している。セットには予想を超える人が集まり盛況だが、大林監督は「公開中は故郷に帰らない」と宣言した。


私以上に偏見に満ちたクソ新聞の記事だから 丸々と鵜呑みにする事は出来ないが


「ロケセットは映画の中で初めて意味を持つ。

 人寄せのための公開は、戦争やふるさとを商売にしているようで恐ろしい」


と、もし 本当に大林宣彦が言ったのなら 最近の大林の映画に鼻白んでばかりの私の感慨や 尾道で「なんだかなぁ…」と思った事の原因は そこにあると私は納得する。


大林の尾道3部作や新・尾道3部作って 故郷を商売(映画)にしたものじゃ無かった…って事だとすれば 映画をさらに商売(入場料を取る…という意味で)にする”おのみち映画資料館”には協力出来ない…とする意味に受け止められるし であれば、ある意味、成程と思う。


でもね、映画に純粋に感動し そのロケ地やセットを愛でたい…というのは ファン心理としては大いにアリだと思うわけで そのセットや資料を保存・維持する為の経費ぐらいは入場料として取るべきだと私は思うんだ。


しかも、そんなロケ地やセットを見る為に観光客が訪れる事で副次的な経済効果や 地域のイメージアップに繋がるのであれば そこが故郷であるならば余計に「故郷の為」という考えがあっても良いんじゃないのか?と、思うし 何よりも、大林の映画を愛するファンに対して


「映画だけを見てれば良いんだよ」


とでも言ってる様にすら感じられるのは 寂しさ以上に腹立たしさまで感じる。


だって、逆に言うならば


「故郷を商売にしたくないのであれば 故郷を舞台にした映画なんか作るな」


って事にならないか?


それに、上の記事にある戦艦「大和」の実寸大セットは 映画のセットという意味合いだけでは無く、日本の造船技術や 戦争中の戦艦の大きさをリアルに知る資料としてなど、いろんな意味合いに利用出来るモノだと私は思う。


個人的な感想で言えば セットの一部は既に呉の「大和ミュージアム」傍の建物で展示されているけれど この実寸大セットも「大和ミュージアム」で可能な限り展示して欲しいとさえ思った。


尾道

ちなみに 上の写真は今年の夏に撮影した尾道であり、写真中央部 海の対岸にある大きなクレーンの左側(資材が並べられている広い場所)が 大和の実寸大セットが組まれていた場所である。


ここは 元々、造船所の敷地であり そこに巨大な船の模型があったからと言って クソ新聞が大げさに語る程、景観が損なって見えるとは 少なくとも私には思えない。


だって、観光客の殆どが それが「映画のロケ・セット」である事を知っているわけだし、尾道という町が 映画のロケ地として有名な町なのであれば 逆に、そういう施設があった方が自然とさえ言えるからだ。


それに、一方的な見方かもしれないが このところの造船業界はリストラや施設の規模縮小が目立ち このセットを組んだ施設の造船会社においても 国内の別の土地にあるドックを閉鎖したり、売却するなどしている最中でもある事を考えると 余った施設の有効活用…という面でもメリットがあったんじゃなかろうか?なんて思う部分もある。


少なくとも、先に挙げた この夏、私が尾道で利用した複数のタクシーの運転手や宿の従業員達は この件に関して、


「せっかく大金かけて作ったのだから 壊れたりして利用出来なくなるまでは

 そのまま置いておいても良かったのにね」


と、口を揃えて言っていたしね。


で、この尾道市と大林宣彦の対立といった構図は ある意味、特殊な例なのかもしれないが、純粋に尾道3部作や新・尾道3部作を愛するファン達にとって その対立はいろんな意味でガッカリ感にしか繋がらない事を両者は知るべきだと思う。


だって、少なくとも それを知ってしまった私は おそらく、余程の理由が無い限り 二度と尾道には行きたいと思わないし尾道3部作や新・尾道3部作を見たいとも思っていないし、大林宣彦の今後の作品に関しても全く興味が失せたからだ。


                                                 (その2に続く…)


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