● 雑感(6月3日)
まぁ、どうでも良い話で恐縮だが…^^;
昔、私が ある人物と とある倒産した会社の債権者会議において激しく口論していた時の事。
相手の人物が 口論の最中に ろれつが回らなくなり、表情が左右アンバランスになり、席に座り込んだ姿勢が不自然に傾き、やがて身体から力が抜けた様にグッタリと そして椅子から崩れ落ちた。
その場に居合わせた人は 皆、慌てて「救急車!」と叫ぶ人や 関わり合いにならない様にスッとその場からいなくなったり、どうしていいか判らず ただ呆然としていたり…
そんな中、ある人物が
「脳卒中の可能性が高いから 動かさない様にそっと静かに
仰向けの姿勢で寝かさないとダメだよ」
と、倒れている人物に応急処置を施そうとした。
実は 私もその人が倒れる様を見て医師では無い素人ながら「脳卒中だ」と思った。
ただ…
たまたまなのだが、私は以前 脳卒中の発作に襲われた人を目の当たりにした事と、一応、医師免許を持った友人との会話の中で 脳卒中に対する応急処置を聞いた記憶があり だから、倒れた人物が まだ意識があったので、咄嗟に その人の両手を 私の左右それぞれの掌で握り
「俺の言ってる事が判るか?
判るなら 左右、両方の手を思いっきり握り締めろ」
と、言うと 倒れた人は左手はギュツと握ってくるのだが 右手は全く反応が無い。
なので、反応の無かった右手だけをあらためて握り
「もう一回、こっちの手だけで握ってみろ」
と、言うと 本人は反応したつもりの様だが 掌はピクリともしない
つまり、「この人は右半身がマヒしている」 そう判断したので…
「仰向けにしちゃダメ
この人は右側がマヒしているから 身体の左を下になるように横向きに寝かせて
できるだけ頭が前にうつむかない様に首を反らせ気味にしてあげて」
と、指示をした。
間もなく救急車が到着し 倒れた人は右半身がマヒという後遺症は残ったものの命を失う事無く済んだのだが…
私は この件で後になって二人の人物から恨まれ、しかも憎まれる羽目となった。^^;
その一人は 倒れた人物。
「半身マヒで過ごすくらいなら死んだ方がマシだった。
楽に死なさず、マヒで苦しむ事になったのは ブタネコが中途半端な応急処置をしたからだ」と。
そして、もう一人は 最初に「仰向けに寝かせろ」と応急処置を指示した人物。
彼の言い分は
「大勢の人達の前で 私に恥をかかせた」と。^^;
さて、もし貴方が この時の私の様な状況に遭遇したら どう考え、どう応える?
違う聞き方を許して貰うならば いわゆる「世間の一般常識」として 私は どう対応すれば良いのだろう?
倒れた人物と私は それまで犬猿の仲だった。
彼は私よりも10歳以上年上で 世話になった覚えは全く無いが同じ高校の先輩・後輩であった為、年功序列意識が強く「後輩は先輩に黙って従え」を強要する人物で それに対して私はへそ曲がりで反発心が強いから
「同じ高校のOBだってだけで威張るなボケ!」
と、ある時に言い返して以来 事ある毎にネチネチと嫌味を言われ、それに対して私が言い返して…の繰り返し
で、とある会社が倒産して その整理に関して債権者が集まった席に 運悪く、私とその人がそれぞれ別の債権者として顔を合わせてしまい その会議の席上で上述した発作が起きたのだ。
まぁ、半身マヒというのは受け止めがたい苦痛である事は理解が出来る。
私の指示した応急処置が「中途半端か否か」は後で語るとして 最後まで私を嫌って、自分の身に起きた不幸への怨みを私に転嫁して気が済むのなら それこそ「後輩」として先輩に対する配慮って事で良いじゃねぇかと思いつつ
「悔しかったら そのマヒした右手をリハビリして動く様にするんだな
で、動く様になったら その右手で殴られてやるから いつでも来い!って言っとけ」
と、倒れた先輩の息子に 私は言い返し それを聞いた先輩の友人・知人は私に対して腹を立てた人が多かった。^^;
最初に「仰向けに寝かせろ」と応急処置を指示した人物は これまた運が良いのか悪いのか 私と倒れた人と同じ高校のOB、私よりは5歳上の先輩で 倒れた人よりは歳下の後輩にあたる。
京大を出て 今は潰れてしまった都市銀行でエリート街道をまっしぐらに歩み、プライドが極めて強い人物で 発作に遭遇するまでは私とは別段、不仲では無かったのだが その人曰く 満座の中で恥をかかされた…のは 彼の人生で私の知る2番目に不愉快な屈辱(最大の屈辱は 彼の勤めていた銀行が破綻した事)だったのであろう
その後、私の悪口をいろんなところでいろんな人に語っていると風の噂で何度も耳にしたが 彼の勤めていた銀行が破綻した後、彼のプライドを満足させる職場や地位に恵まれず、いつしか姿を消して 今では消息を誰も知らない。
でね、自己弁護を許してもらうならば…
おそらく、多くの医者は 私の指示した応急処置を「完全な間違い」とは言わない。
少なくとも 今から10年以上前の当時における医学常識では「妥当な指示」だと言って貰える。
よく、脳疾患の場合「患者を倒れた状態のまま動かさずに、安静にして様子をみる」のが正解だと思っている人がいるけれど これは正しい処置では無い。
激しい頭痛が伴っていれば「クモ膜下出血」の可能性が高く、そうでなければ「脳梗塞」の可能性が高い この判断は後々の初期治療に重要な変化が生じるので 倒れた人が意識のあるウチに その点を把握するのが、まず重要。
次に、脳梗塞の場合は 殆どの場合に身体の左右いずれかの目や手足にマヒなど不具合が生じている事が多いので それが右か左なのかを確認し、マヒしていない側を下にした横向きに寝かせ 吐いたモノが喉に詰まらない様に、そして呼吸が楽に出来る様に気道を確保してやる事が大事なのだ。
それをたまたま知らなかったからといって それは恥ずべき事では無い。
実際、先に述べた様に「患者を倒れた状態のまま動かさずに、安静にして様子をみる」のが正解だと思っている人は 案外、多いわけだし、身体の各部位の止血の仕方とか、人工呼吸の仕方、心臓マッサージの仕方、脳卒中の発作に対する応急処置とか 本来、多くの人が知っていれば 何かの時に役に立ったり、誰かの為になる事は少なく無いのだが こういうのを教わる機会はそんなに多くない。
でもね、プライドの高い人には「自分が否定される」事は 許し難い恥辱にしか感じられないんだな…^^;
お陰で、私は 見ず知らずの高校の先輩OB達から「小憎らしい後輩」として 私としては不可解な偏見や迫害を受けたもんだ。
ただね、私なりの言い訳としては…
「悔しかったら そのマヒした右手をリハビリして動く様にするんだな
で、動く様になったら その右手で殴られてやるから いつでも来い!って言っとけ」
と、言ったのは リハビリって何か目標というか心の支えみたいなモノが無いと なかなか続かないし、仮に
「リハビリをどんなに頑張っても 元の状態には戻れない」
と言われ だったら意味が無いとリハビリをサボると 動く様になるはずの程度が サボった分だけ動かなくなるものなの
だから、「ブタネコの野郎を 絶対、ぶっとばしてやる」と憎しみをバネに元気になってくれればいいな… という気持ちだったんだけどね。^^;
どうも世の中には そういう場合、優しく労ってやるのが正しい人なんだ…って事で
「大丈夫、アンタは強い人だから きっと良くなるって」
と、ただ励ますだけの輩が多い。
たしかに 励ましの言葉ってのは耳障りが良いし、角も立たない。
でも、皆が励ます事だけで 全てが良い方向に向かうのか?って考えれば 必ずしもそうとは言えないのが現実で、気が弱くなり、心の強さを失い、甘えや依存度が増して 結果的に悪い方向へと転じてしまうケースが少なく無いよね?
私が自分自身をへそ曲がりだと確信している理由の一つに 上述した様な状況の時に それまでは不仲だったクセに 妙に優しくなったかの如く装い
「これからは 困った事があったら 出来る事は協力するから」
なんて優しく振る舞うのを「偽善」だと感じ、考えているからだ。
世の中には 一人ぐらい、憎まれ役が必要であり、であるがゆえにバランスがとれるんじゃないの?とさえ思っている。
さて、数日前の事。
憎まれ役をつとめてきた相手である先輩が亡くなった。
通夜に出席したところ その先輩と仲の良かった他の先輩達は私に対して冷淡だった。
まぁ、そんな事は どうでも良い。^^
喪主である 先輩の息子が
「生前、親父は ”いつかブタネコをブン殴ってやる”って よく言ってました
数年前に亡くなったオフクロは
”あれからお父さんが今まで生き続けてこれたのは いろんな意味でブタネコさんのお陰だね”
って そんな親父を笑ってました。
本当にありがとうございました。」
と、言ってくれたのが 私にとってはせめてもの救いであり、そんな礼が言える息子を持った事が 先輩に対して物凄く羨ましく思えた。
