● バレンタイン草加煎餅2008(その5)
生「綾瀬はるか」が見れるかもしれない…
その報せを受けて 私の心はブッ飛んだ。
もう、瞬間的に娘達のバレンタイン…なんてものは イスカンダルの向こう側まで消え去っていった。
電話で話している私の背中に突き刺さる3人の視線が痛かったが、それ以上に私自身がイタかった。^^;
「んじゃアレだ とびきりのお土産を用意しておかなきゃならんな」
会える…と言っても 会場で遠くから姿を見かけるだけでしか無いのに 妄想はどんどん膨らんでいく。
電話を切って満足気な笑みを浮かべる私に 嫁と娘二人は冷たい。
「”綾瀬はるか”が夕張に来るの?」
嫁がボソッと言う。
「ん? あぁ、そうらしいんだよ
いつまでも具合悪くなんかしてらんないな、早く体調を整えないとブハハハハ(笑)」
御機嫌の私に
「で? 自分の娘達の事は どうでも良いの?」
さらに ボソッと嫁が言う。
「まぁ、アレだ オマエ達も大人なんだから自覚を持ってだなぁ…」
陽気に喋りだした私の言葉を遮るように
「アナタ達、良かったわね このぶんだと しばらくお父さんは御機嫌よ
彼氏を連れてくるなら今のウチだと思わない?」
と、言い 娘二人は思案顔
しかし、私の頭の中は「綾瀬はるか」で一杯のまま^^;
「やっぱ、北海道らしいお土産と言えば 新巻とかウニとかホタテかなぁ…」
訳の判らない事を悩み始めてる。
「ねぇ、お父さん
もし、彼を連れてくるとしたら どんなところに気をつければ良いの?」
不意に次女が発した言葉で 我に返る私。
なので、私は娘二人に対して
「余計なアドバイスは一切するなよ
オマエ達が どんなアドバイスをしようともマイナスになってもプラスにはならんぞ」
不適笑みをニヤリと浮かべ
「どんなに体裁を繕って演技でその場を誤魔化そうとしても
小僧の一人や二人見抜けない この父と思うなよ グハハハハハ(笑)」
完全に悪役のボスキャラな私。^^;
そんな私を嫁が
「アナタ、下卑た笑い方しないで さっさと御飯を食べて頂戴」
静かに、氷の様に冷たく 鋼の様に鋭い一言で突き刺す。
「あ… ハイ」
おとなしく、サラダをカッ喰らう私。
食後、娘二人は自室に行き 居間には私と嫁と めいめいが自分の寝場所で爆睡している猫4匹
「オマエは 娘達の彼氏に 何か気に入らない点があるのか?」
ふと、嫁に聞いてみた。
すると嫁は
「別に 無いわよ」
と、あっさり。
「じゃ、そんなに急かして家に連れてこさせる必要は無いんじゃないの?」
と、私が聞くと
「アナタはね、アナタが思ってる何倍も 他所の人からは怖がられているのよ
だから、あの娘達と付き合うのなら そんなオヤジがデンと控えている事を
早めに教えておいた方が良いと思わない?」
TVドラマを見ながら 確固たる意見を述べる嫁。
「俺、そんなに怖くないでしょ?
シャィでコケティッシュでファンキーじゃん?」
そう聞く私に
「まともな神経の持ち主が
”シャィでコケティッシュでファンキーじゃん?”
…なんて言わないわよ^^
ま、いずれにせよ この辺でビシッと締めといた方が良いのよ あの娘達の為にもね」
と、応える嫁
「また、俺が悪者かぁ…^^;
オマエ、いつも そうやって俺を悪者に仕立てるよなぁ…」
「良いじゃない、それで 全てが丸く収まるんだから」
「たまには ブタネコさんの旦那さんって 良い人ねぇ…って言われてみたいよ」
そうボヤく私に
「大丈夫よ
アナタが死んだ時には、嘘でもみんなが
”あの人は良い人でした”
…って言ってくれるわよ」
「それじゃ遅いと思わない?
俺、直接 自分の耳で聞いてみたいよ そんな言葉」
「落ち着いて考えてご覧なさいよ
アナタ、喫茶『職安』の常連さん達の仕事を引き継いでから今まで
殆どの仕事相手から 鬼とか悪魔って言われ続けてきたわけでしょ?
それが今更『仏』になりたいって 甘いでしょ?
文字通り『仏様』になるまで無理よ
だから、その鬼とか悪魔ってのを 存分に発揮すべきなのよ」
説得力があるような無い様な… 難しい台詞だった。^^;
「でもさぁ…
もし、娘達の彼氏にあって そいつらを俺が気に入らない…って言ったって
娘達が それでも良い…って言ったら それまでじゃない?
それに、俺がちょっと脅かして 俺が原因で別れます…なんてなっても良いのかね?」
すると嫁は
「それで良い…って言うなら 娘達も それだけ真剣って事でしょう?
それに アナタが原因で別れて…って そんな甲斐性の無い彼氏なら
とっとと別れた方がお互いの為よ」
「成程。
じゃぁ、俺が何をどうしようとも 俺の勝手だな?」
「好きにすれば?
アナタだって、これに関してはなんだかんだ言って 最後には私が何を言っても
聞く気なんか無いでしょ?
存分に 好きな様に振る舞えば良いのよ」
率直に言って 私の経歴や生き様は一般的では無い。
他人からは無茶苦茶だと言われた事が何度もある。
世の中に怖いモノは ある一つのモノ以外、無いと思い込んでいるし、だからこそ 好き勝手にワガママ放題過ごしてきた。
そんな私にとって「逆らえない」というか「逆らいたくない」存在が「ウチの嫁」である。^^;
そんな嫁から「フリー・ハンド」宣言である。
飼い犬が飼い主から
「You やっちゃいなよ」^^
と、言われた瞬間だった。


