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2008年02月13日

● 小説熱海殺人事件 再考


つかこうへい:著「小説熱海殺人事件」について あらためて語ってみようと思う。




小説熱海殺人事件


この本に関しては 以前、『小説熱海殺人事件』という記事を掲示した事がある。


今回、あらためて語ろうと思ったのは…


つい先日、このブログを かなり以前から愛読頂いている方から


「ブタネコが横溝正史が大好きなのは知っている。

 今回は その横溝正史以外で お薦めの一冊を教えて下さい」


という問い合わせがあった。


何を薦めようかと パッと思い浮かぶのは


     天藤真の『大誘拐


と、


     つかこうへいの『小説熱海殺人事件』


すると、その方は 早速、『小説熱海殺人事件』を入手して読み、何故、私が薦めたかを御理解頂いたそうだ。


なので、私も 久しぶりに再読してみようと思い立ち 読んだ。




残念ながら この文庫本は現在、廃刊に近い状態なので 新刊を購入するのは難しいから簡単に、「読んでみなよ」と薦めるのはある意味、厳しいけれど そのぶん、最近はネット販売や全国チェーンの中古本屋を利用する手があるので 案外、簡単に手に入るそうだが…


この本が角川書店から文庫本として発売されたのは昭和51年(1976年)


裏表紙に印刷されている様に 当時の値段で¥180円だった。


で、ふと思い出したので記憶を頼りに言えば この本の買った時、今では覚えきれない程バリエーションのある「セブンスター」というタバコは まだ、売られておらず、その頃の私は「ハイライト」を吸っていたのだが、その値段が一箱120円だった様な覚えがある。


つまり、厚さ1cmにも満たない文庫本が タバコ一箱より高かったんだな。^^;


だから、なんだ?と問われればそれまでなのだが…^^;




さて、私は この『小説熱海殺人事件』は 私にとってのバイブルのひとつだと思っている。


その理由に関しての多くは以前の記事でも述べているので 今回は別の角度で述べようと思うのだが、実は この本の文章表現には 差別語、侮蔑語がテンコ盛りになっているので この本に対して批判的な人は その部分だけを問題視して批判する。。


「ブス」「職工・女工フゼイ」「百姓」…


もしかしたら、廃刊同然にされているのは その表現に関する出版社の自主規制かな?とも思う程だ。


しかしながら、この本を愛すモノとして弁護すると 仮にそれらが差別語、侮蔑語だとしても 実際に「差別」や「侮蔑」の意味で用いているか否かが重要であり、作者のつかは用いていない


むしろ、こういった言葉を当時 日常会話の中で普通に使っていた一般人に対しての風刺なのだと私は思う。


ゆえに、批判をするのであれば ちゃんと読んで中身を吟味・解釈した上ですべきだと思うのだが、とかく食わず嫌いの様に


「”ブス”は差別表現です

 意味や使い方がどうであっても この表現を用いただけで差別です」


では、正しい批評につながるのか それが私には疑問に感じるのだ。




で、なぜ、そんな本を私は「バイブル」と崇めるのか?


それは、この本の主人公とも言える「木村伝兵衛」というキャラクターの秀逸さ。


自己中で、発言内容はコロコロと変わり、理不尽な事 無茶苦茶な論理の展開を平気で行うのだが、どの台詞においても その台詞に込められた説得力はハンパでは無い。


「つまりねきみ、常識で考えてみたまえ。

 人が殺されてるのを発見出来るなんて事は、一生に一回あるかないかだよ。」


「いいか、こんな品のない殺し方は、いくら戦争で負けて弱気になったからって、

 わが日本は、今まで一度だって許しちゃいないんだよ。

 なんとかオマエのプライドを守ってやろうって、

 カメラマンもぼかしたりして努力したにも関わらず、

 それでも汚物がころがってるな、くらいにしか見えないだろうが。

 みんなが迷惑してるんだよ

 発見者の消防団員だって、あんなブスしか発見出来なかったのかって、

 熱海じゃ村八分になっているっていうぜ。

 新聞だってどうやってとりあげようか困ってるんだぜ。」


私は ここまで角度の違った視点で思考した発言に この本を読むまで遭遇した事が無かった。


けどね、歳を重ね 倒産整理や不良債権処理など係わっていくうちに いろんなヤクザや金融業者や企業舎弟と出会ったけど 彼らの中には瞬間的に180度違った意見を平気で言える連中がゴマンといる。


弁護士だって 実はそうで、例えば離婚裁判の依頼を受けた時 同じ弁護士が夫側の時と妻側の時とで まったく正反対な論理を持論の様に展開する様を何度も見ている。


それが、私の知っている現実なのだ。


喫茶「職安」の常連さん達は 実に特殊で突飛なオッサン達だった。


そんな彼らに薫陶を受け、大学生の時に この「小説熱海殺人事件」で頭の中を掻き回されたおかげで 今日の私があると言っても過言では無い。


だから、この本は 私にとってバイブルなのだ。


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