● 重力ピエロ
伊坂幸太郎:著「重力ピエロ」を読んだ。

新潮文庫:刊 ISBN978-4-10-125023-6
読んだ感想としては…
独特の作風を持っていて、視点もちょっと変わっていて 私はとても好感を抱いている。
しかしながら、この「重力ピエロ」を作者の思惑通りに読む為には「DNA」と「グラフィティアート」なるものを それなりに理解する必要がある。
そこが、大きな問題点だと思うのね。^^;
もし、この「重力ピエロ」がミステリー小説なのだとしたら、特に「DNA」のくだりは重要なファクターなのだが、率直に言えば 作者が理解しているレベルと読者のレベルが一致しておらず、作者なりには文章中で充分に説明出来ていると思い込んでしまっている部分がイタダケ無い。
ただ、この作品が「面白い」作品であるのは 作者の思惑とは別に そんな「DNA」の事を理解出来ずに読んでも それなりに「面白い」という読後感になっている事。
言い換えれば、「DNA」の部分が 他のもっと判りやすいファクターに置き換わり、説得力を示していれば この本は大傑作になった可能性が非常に高いという事だと思うわけで…
そう考えると、この本は「ミステリー」としては欠陥小説だけど、エンターティメント作品としては秀逸…って事になるわけなんだよね。^^;
それと、この本の物語の全体を俯瞰的に眺めると 前半はかなり慎重に、そして丁寧に描いており、後半(特に終盤)は斬新な流れで引き込まれるのだが、問題は そんな前半と後半を繋げる中盤が ハッキリ、「手抜き」と言いたくなる程 前半や後半に対して弱すぎる。
ゆえに、とても残念な作品ではあるのだが だからと言って酷評する気になれないのは やっぱり、なんか惹き付ける魅力があるからなのだ。
なので、伊坂幸太郎という作家を語るには この本を読んだだけじゃ駄目だと思った。


