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2008年02月06日

● 重力ピエロ


伊坂幸太郎:著「重力ピエロ」を読んだ。




重力ピエロ

新潮文庫:刊 ISBN978-4-10-125023-6


読んだ感想としては…


独特の作風を持っていて、視点もちょっと変わっていて 私はとても好感を抱いている。


しかしながら、この「重力ピエロ」を作者の思惑通りに読む為には「DNA」と「グラフィティアート」なるものを それなりに理解する必要がある。


そこが、大きな問題点だと思うのね。^^;


もし、この「重力ピエロ」がミステリー小説なのだとしたら、特に「DNA」のくだりは重要なファクターなのだが、率直に言えば 作者が理解しているレベルと読者のレベルが一致しておらず、作者なりには文章中で充分に説明出来ていると思い込んでしまっている部分がイタダケ無い。


ただ、この作品が「面白い」作品であるのは 作者の思惑とは別に そんな「DNA」の事を理解出来ずに読んでも それなりに「面白い」という読後感になっている事。


言い換えれば、「DNA」の部分が 他のもっと判りやすいファクターに置き換わり、説得力を示していれば この本は大傑作になった可能性が非常に高いという事だと思うわけで…


そう考えると、この本は「ミステリー」としては欠陥小説だけど、エンターティメント作品としては秀逸…って事になるわけなんだよね。^^;


それと、この本の物語の全体を俯瞰的に眺めると 前半はかなり慎重に、そして丁寧に描いており、後半(特に終盤)は斬新な流れで引き込まれるのだが、問題は そんな前半と後半を繋げる中盤が ハッキリ、「手抜き」と言いたくなる程 前半や後半に対して弱すぎる。


ゆえに、とても残念な作品ではあるのだが だからと言って酷評する気になれないのは やっぱり、なんか惹き付ける魅力があるからなのだ。


なので、伊坂幸太郎という作家を語るには この本を読んだだけじゃ駄目だと思った。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさん、こんばんは(^^

「重力ピエロ」は、伊坂小説の中でも一番のお気に入りなので、再読してからここに書き込みを
させていただこう・・・・・と、思っているうちに「死神の精度」のレヴューが出ていました(^^;
未再読のまま、書き込みさせていただきます。

>作者が理解しているレベルと読者のレベルが一致しておらず、作者なりには文章中で充分に説明出来ていると思い込んでしまっている部分

はじめ、このブタネコさんの意見を聞いて「なるほど!伊坂よりもブタネコさんのほうが知識があるので、
ものたりないってことかな!?」と思ったのですが、何度も読み返しているうちに、もしかしたらその逆という意味かな?
とも、思いました。

「読者」という部分が、どのへんをさしてるのかな?ブタネコさんご自身のことかな?と、実はちょっと気になっています。
よかったら、教えてくださいー。

そして、この「読者」を「自分」に置き換えてみて、改めて初読時を振り返ると、遺伝子などの分野については
まったくもって門外漢の私ですが「重力ピエロ」を読むと、なんとなーくわかったような気にさせてくれたなぁー、
と思いました。「その気にさせる」って、すごい技なのかもしれない…。(…その気にさせられた側の「単純
さ」という要素もあるかもしれませんね…^^;)

それにしても、ブログでこんなにたくさんの作品について語っているブタネコさんに

>「ミステリー」としては欠陥小説だけど、エンターティメント作品としては秀逸…って事

なんて言わせてしまう伊坂幸太郎は、やっぱりすごい人かも・・・と、思ってしまいました。
そして、ブタネコさんの伊坂本レヴューには、なんだか愛を感じます。今までの3冊のすべてに。

>なんか惹き付ける魅力・・・・

私、全部読んでいても「なんかすごい好き…」な「理由」が自分でもうまく言えないんです。
それと、いろんな人から「伊坂幸太郎の小説って、どういう小説?」と聞かれると…
うまい説明がみつからなくてちょっと首をひねりながらも、「・・・・SFみたいなかんじかな・・・・」と
答えています。そのへんを自分で説明できたら、どんなにすっきりすることだろうと思います。

ブタネコさんのレヴューを読むと、改めて自分で感じたことを見つめなおすきっかけになって、
すっごく楽しいです!

これからも、ぜひぜひ(ブタネコさんの気が向いたときには^m^;)読了された伊坂小説のレヴューを
掲載してください m(_ _)m 読むのとっても楽しみにしてます!

そして、最後に…長々と失礼致しましたm(_ _)m 

★ すもも さん


>もしかしたらその逆という意味かな?

ですね、逆です。^^;

私には 正直言って一度読んだだけでは理解出来ませんでした。

もちろん、それは私の理解力不足が原因なのかもしれません。

が、DNAなんてものは 知らずとも人生に不都合は無いわけで、ゆえに、専門書でもないのに理解しなければならない…という事を著者が さも当然の様に記している点が 独りよがりだと思いました。

なので、この本がミステリーなのだとしたらアンフェアと考え、欠陥と述べました。

でも、その点を除くか ミステリーじゃ無いんだ…と思えば 斬新な小説だと思うし、好感も抱いています。

伊坂幸太郎は 今までの作家にはない、特異な視点があると思います。

だから、主人公の思考や行動が 一般的では無いのだけど、説得力があります。

例えば、「重力ピエロ」では主人公の弟、「鴨とアヒル…」ではブータン人と河崎 「死神の精度」では主人公 これらの人物は その特殊な背景設定により、一般的とは違うという事を納得させているから ちょっと違う思考や行動をとっても、不自然には思わせないテクニックで見過ごしているだけなんですよね

で、そういう設定を思いつき そういう設定に合わせて普通じゃない言動を考えられるのは 伊坂の視点が一般じゃないものを持っている証だと思うんです。

ただ、残念なのは それを一般の読者に理解させ、引き込む部分に ほんのちょっと雑な部分があるからじゃないかなぁ…と思うんですけど 如何でしょ?。^^;


こんばんは(^^

>如何でしょ?。^^;

と、問いかけていただいてたのに、なかなか書き込みできずにいました。
ずーっと考えていました…(^^; すいません…。

だって、

>特殊な背景設定により、一般的とは違うという事を納得させているから ちょっと違う思考や行動をとっても、不自然には思わせないテクニックで見過ごしている

って、まさにその通りで「いや、何か別の言い方はできないか?」と、自分の言葉を探すたびに
ブタネコさんの、この説明に戻ってきてしまうのです8^^;

そして
>ほんのちょっと雑な部分

も、なんだかわかるんです。ファンでありながらも、そこに納得できます。

たとえば「なんだか前半のろのろしすぎ…?」(⇒ゴールデンスランバー)とか、
「あれ?最後って、あの人どっかいっちゃった?」(⇒グラスホッパー)とか、
すごく楽しめたけれどちょっとしこりが残るなぁ…という読後感を抱いたのは、
その「雑」さのあらわれだったのかもしれないなぁと。

ただ、どの作品にも「人が人を思う気持ち」が、ちょっと切なく、
でも、正々堂々と描かれていると思います。

私は、伊坂幸太郎小説の、そんなところんが好きだなぁ…と、
このお返事についてずーっと考えていて、自分なりの結論はそこでした。
(単純すぎるかもしれませんが…^^;)

ところで「魔王」という伊坂小説があります。
政治、国際関係論・・・・・などなど社会的な事柄が盛り込まれています。

私には、あまりその社会的背景、イデオロギーなどがわかりませんでした。
それでも、やっぱり読み終わって「おもしろい」と、思うのです…。

もし、ブタネコさんがこの本を読まれる機会があったら、ぜひ
感想を伺いたいです。もちろん、ブタネコさんの気が向いた際に(^^/~

そして、またまた長々と失礼致しました~!

★ すもも さん

>ただ、どの作品にも「人が人を思う気持ち」が、ちょっと切なく、
>でも、正々堂々と描かれていると思います。

>私は、伊坂幸太郎小説の、そんなところんが好きだなぁ…と、
>このお返事についてずーっと考えていて、自分なりの結論はそこでした。

結構な事だと思いますよ^^
すももさんの言われる部分は私にも理解出来ますから。

逆に、そういう良点が無ければ ただのクソ小説になっちゃいますしね^^;

>「魔王」

個人的に ちょっと引っかかるタイトルですが、本は入手しました^^;

ただ、読むのに ちと御時間を頂ければ幸いです。^^

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