● 雑感(1月2日)
今年(2008年)最初の雑感を語ってみる。
昨年の年末、「よぉし、今日で年内の飛行機撮影は撮り納めだ…」と考えた私は みぞれ混じりの雨の中、千歳へと出かけた事は 先日の記事で御存じの方も多いと思う。
そんな悪天候の中、飛行機を撮影しに来るアホは私一人。
でもね、他人がどう言うか 何を思うかなんて どうでも良い話で、重要な事は 私が写真を撮りたいんだ…って事であり、しかも 吹雪や雨の中の写真を撮りたいんだ…って事。
私は鼻歌をフンフンと歌いながら 車のトランクから特注の脚立を出して、フェンス際にセットする。
何故、「特注なのか?」と思った人の為に書き添えておけば ホームセンターでは脚立は90,120,150cm…という風に30cm刻みの定型が売られているわけだが、私は自分の愛車のトランクに目一杯の長さで積み込み可能の脚立が欲しくて、180cmの脚立の足を愛車の整備工場のオニィチャンに頼んで165cmに切って貰った…という意味の特注である。
で、その脚立を使って撮影するわけだが…
もし、アナタが暇だったならば ちょっと想像しながら、出来れば試してみて頂けると嬉しい。
部屋の真ん中で 両足を肩幅ぐらいに開き、まずはスッと立って背筋を伸ばす。
左右の手、それぞれ親指と人差し指を立てて「Lの字」を作り、顔の前で それぞれの人差し指の先を合わせて四角形を作り それがカメラのファインダーだと思い込む。
で、ここからはイメージ
アナタの真っ正面から 今、黒い点の様に見える飛行機が真っ直ぐアナタに向かって飛んでくるイメージを思い浮かべる
それは近づくにつれて どんどん大きくなり、やがては巨大な塊となって轟音と共にアナタの頭上を飛び越えて真後ろへと飛び去っていく。
アナタは 目の前の四角形を その飛行機にピタリと合わせて、頭上を飛び越す飛行機に狙いをつける
ちなみに、着陸時の飛行機のスピードは プロ野球のピッチャーの投げる球よりも速い事を念頭において その速度に合わせて正面-頭上-真後ろへとカメラを動かしてみて下さい。
でね、実際にやってみれば判るけど 真っ平らの部屋の床の上でも 飛んでくる飛行機をL字の四角の中に画を納め続けようと 頭上から真後ろへと体勢を変える時にバランスが崩れる時があるでしょ?
これを脚立の上でやろうとすると 両足はほとんど動かせず、腰から上の上体だけで追いかける事になる。
で、それを先日 雨の中でやったところ、ものの見事に脚立から落ちた。^^;
カメラを庇い、胸の前で抱き 背中から地面に落ちた私の格好は まるで、バックドロップをかけられたプロレスラーの様な姿。
幸い、その日は悪天候で私の周囲には他に人はいない。
なので、そんな無様を笑われる事無く済んだのだが、その「一人バックドロップ」の状態のまま ふと、私は思った。
「もし、今 俺は背中じゃなくて後頭部から落ちたなら、
場合によっては打ち所が悪くて そのままあの世…って事もあるな」と。
で、想像してみた 空港の滑走路の端、そこを訪れる人がいるとするなら その時の私の様に飛行機好きのマニアか、滑走路外周を警備しているガードマンか、不審者がいないかと職務質問に来る警察の機動隊員か… 来るとすれば、そのいずれかで まぁ、その誰でもいいや 誰かが、来てみたら 背中を下に宙に両足を上げて、まさに「犬神家の一族」のスケキヨの様な格好でオッサンが うっすらと笑顔を浮かべて死んでいる。
直ぐに 脚立から落ちての事故死だと判って貰えるだろうか…
もしかしたら新聞に載るのかな?
でも、載るとすれば どんな見出しが付くのだろう?
「千歳空港で不審な死体」
**日午前、空港滑走路の外柵沿いを巡回中の空港警備員が不審な物を発見し、近寄ってみた所 人間の足であると判明した為、110番通報した。
通報によって警察官が駆けつけてみると 迷彩柄の上下防寒着、40~50代半ばの男性が両手でカメラを持ち、背中を下に両足を空中にVの字上に開いて突き出した状態で死んでいるのが発見された。
死体はうっすらと笑っており、争った形跡は無く、近くには この男性のものと思われる車が放置されており、特に荒らされた形跡は発見されなかったという。
**署によると 状況から、飛行機を撮影している最中に足を滑らせて脚立から落ち、後頭部を強打し、それがそのまま致命傷となって死亡したものと思われる。
…ってな記事になるのかなぁ。^^;
年末のクソ忙しい最中に そんな死に方をするのも ある意味、私らしい。
嫁や友人達は どう思うのかなぁ?
たぶん「アイツらしい」と言ってくれる筈だ。
…なんて事を夢想したのだが、その時に またまたフッと思った。
「きっと、娘達は 私が脚立から落ちる時、最後に写した写真はどんなだろう?…って言い出すなぁ」と。
で、私はカメラのモニタを起動して 最後に写した写真を見たら… 何を写したのか判らないピンボケ写真だった。 orz
なんだ、こりゃ?
このままじゃ死ねない。
私は ようやく身体を起こして立ち上がると
「こんな写真が 最期の写真じゃカッコ悪くて死んでられるか」
誰もいない滑走路の端で 私は独り言を呟くと さらなる闘志を沸かせてその後も写真を撮り続けた。
