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2008年01月12日の記事

● 豆腐の話。


昨年の末の話なのだが…



ある日の午後、私はいつもの様に千歳に写真を撮りに行こうと思い 自室で支度をしていたら 不意に、嫁が現れ


「ねぇ、ちょっと 今晩、お通夜が入っちゃったんだけど アナタも一緒に行ってくれない?」


と言う。


聞けば、ずいぶん前から嫁が親しくしている豆腐屋の親父さんが亡くなったのだという。


実は、私も その亡くなった親父さんとは親交があった。


と言うのも、数年前 私が心臓発作に襲われ しばらく二代目開業医の病院に入院していた時に その親父さんは腎臓が悪くて入院しており、よく 病院の喫煙ルームで顔を合わせた縁で話を何度かしたものだ。


結局、その親父さんは腎臓癌になり いろんなところに転移してしまって他界されたのだという。


まぁ、奇遇と言えばそれまでなのだが その豆腐屋の一人娘は 元々、ウチの嫁の「茶道」のお弟子さんであり、そんなこんなで ずっと、我が家の食卓にあがる豆腐は その豆腐屋さんのものと決まって今日に至る…という経緯もある。


こう言うと大変、罰当たりであるとは思うけど、正直に言えば 私個人としては直接の親交がさほど濃かったわけではないから、通常であれば「オマエだけ行けば」と嫁に言えば済む事なのだが、そういう私を知り尽くしているウチの嫁が わざわざ私を誘うというのは滅多にある事では無いだけに この場合、素直に「判った」と即答した私。^^;




その日の夕刻、私は嫁と連れ立って いつもの様に私が運転手で嫁は後部席で奥様風にふんぞり返り、通夜の斎場に行ったわけだが…


茶道教室の関係者が多くつめかけていたせいもあって 嫁はそっちの方に行ったきり、私は そういう人達の前には顔を出来るだけ見せるなと 普段から嫁に躾けられているので、ひとり離れて ロビーの隅の「喫煙コーナー」でポケーッと煙草を吸っていた。


すると、白衣よりも喪服が似合う二代目開業医がヌッと顔を見せ


「お? 嫁だけじゃなくて、オマエも来てたのか?」


と、私に言う。


「オマエこそ なんで来てんの?」


と、私が聞くと


「だって、亡くなった方の主治医は俺だもん アフターサービスだよ」


と、遺族が聞いたら怒りそうな事を平気で言う。^^;


が、いずれにせよ 私にとっては話し相手が出来ただけ ある意味、ありがたい事として 通夜の時も、通夜が終わった後の会席でも 二代目と並んで座り、世間話をしていた。


そんな時、遺族の関係者と思える夫婦が 二代目の前に来て


「先生、この度はいろいろとお手数をかけて… 本当にありがとうございました。」


と、深々と頭を下げ それに対して二代目も


「いやぁ、こちらこそ もっと、何かの手だてが出来れば…とは思うんだけど

 如何せん、症例とお父さんの状態を考えれば よく頑張ったとしか言えなくてねぇ…

 本当に申し訳ない」


なんて会話を交わしていたのを横で聞いていて


「あぁ、この御夫婦が 豆腐屋さんの娘さんと その旦那さんなんだな」


と、私は推察したわけだが、その娘さんが私の方に向いて


「あのぅ? もしかして、お師匠さん(ウチの嫁)の旦那さんですよね?」


と、私に聞く。


すると、二代目が


「あぁ、そうそう コイツは私の悪友でもあり、ウチの病院の理事でもあり、

 アナタの通う茶道教室の師匠の旦那でもあり、亡くなったお父さんとは

 ちょうど一ヶ月ぐらい 同じ時期に入院していて 煙草仲間だったブタネコだよ」


と、紹介すると 妻だけではなく、旦那までもが私の方に向いて 二代目に対するよりも深く、そして長く頭を下げて


「知らぬ事とはいえ、御挨拶が遅くなって申し訳ありません

 本当に、頂いた御恩は 亡き父も感謝のしようが無いと常々、申しておりました…」


と言う。


私にしてみれば 入院していた時に、一緒に煙草を吸ったり、暇つぶしに将棋をさした…ぐらいの付き合いでしか無いので そんな丁寧な挨拶をされると逆に どうして良いか判らないぐらい狼狽えた。^^;


「いや、そんな… ね、たいしたアレじゃないんで…^^;」


私が そう応えても、


「いえ、本当に 今のウチがあるのもアナタ様のおかげ…」


夫婦の感謝は終わらない。^^;


すると、そんな状態の所へ ウチの嫁が近寄ってきて


「あら、いいのよ そんな御礼なんかその人に言わなくても^^

 その人、何の事か判っちゃいないんだから

 それに、アナタ達からは いつも色々とワガママをお願いしてるんだし

 何も気にする事無いわよ

 それよりいいの? 他にも御挨拶する人一杯いるんでしょ?

 ウチなんか ほっといて、そっちを回ってらっしゃいよ」


目の前の夫婦にとって ウチの嫁の発言は大きいらしい。^^;


嫁にそう言われると 夫婦は「では、後ほどあらためて…」と言って 他の客の所へと向かった。


で、私は嫁に


「なぁ? オマエ、何かしたのか?

 …というか、何か 俺がした事になってんのか?

 俺は なんで、あんなに感謝されるんだ?」


と、尋ねると


「う~ん、アナタに言って無かったんだけど

 判りやすく簡単に言えば 私、あの人達にお金を貸してあげてるのよ


 ただ、私が貸した… ってなると、色々あるから

 私がアナタ(ブタネコ)に頼んで お金を出させた

 つまり、書類上の貸し主はアナタ(ブタネコ)になってるのよ」


判る様な、判らない話だった。^^;


「あのな、ちゃんと、判りやすく説明してよ^^;」


嫁が言うには こういう事だ…


亡くなった親父さんは 昔ながらの手法で自分の店で豆腐を作り売っている豆腐屋だった。


その店は親父さんがコツコツと商売をしていたらしいが、腎臓病が悪化して仕事が出来なくなり、遂には二代目の病院に入院するまでになり、店は「休業します」の札を下げたまま半年以上が過ぎていた。


そんな時、私が心臓を壊して二代目の病院に入院し、嫁は そこで父親の看病に通う豆腐屋の娘と再会した。


豆腐屋の娘は 元々、ウチの嫁の茶道教室に通うお弟子さんなのだが、その頃、初めての子供を妊娠した事もあって茶道教室を休んでいたので、久しぶりの再会だったという。


で、その同じ頃 豆腐屋の娘の亭主は勤め先が倒産し、再就職先が見つからず、義父は入院、妻は妊娠と物いりな状況の中で途方に暮れていた。


そんな愚痴というか、相談を聞いていた嫁は


「お金をなんとかしてあげるから いっその事、旦那さんに豆腐屋を継いで貰えば?」


と、言ったそうで トントンとその方向に話が進み、今では そこそこ評判の豆腐屋として生活が出来る様になったのだという。


それを聞いて私は


「へぇ… そりゃ、美談じゃん 奥さんもやるもんだね^^

 でもさ、万が一 貸した金が返って来なかったら… って事は考えたの?」


すると、さすがウチの嫁


「ちょうど、アナタが倒れて入院…だったから、

 アナタの部下と気の弱い弁護士クンにに言って

 豆腐屋の店の土地建物をちゃんと担保に入れた手続きを全部して貰ったのよ

 だから、私が貸し主じゃなくて アナタが貸し主になってるの

 それにね、アナタが倒れて入院…だったから アナタの保険金とか入ってくるし

 運用するにはちょうど良いと思ったの」


横で話を聞いていた二代目開業医は腹を抱えて笑ってる。


「相変わらず@@@(嫁の下の名)ちゃん やる事が豪快だな^^」


それに対して嫁は


「だって、札幌でも”島豆腐”と”ゆし豆腐”を作ってくれる豆腐屋さんが欲しかったんだもん」


と言う。


それを聞いて 私と二代目が


「”島豆腐”と”ゆし豆腐”って何?」


と、尋ねたら 嫁は私に怒った顔を見せて


「今頃、何を言ってるのアナタは 散々、食べてるでしょうに

 二代目クンだって、アナタの病院の食事に あそこの豆腐を使う様に

 事務長に私がお願いして 今では使ってるんだから… 知らないの? アンタ達」


二人とも知らないし、気づいてなかった。^^;


もし、沖縄の人が以下の説明に対し、間違っている部分があったら御指摘頂けると幸いなのだが…


沖縄には 県外で一般的な豆腐として製造される時に使う大豆の量の3倍の量を使って作る豆腐がある。


その豆腐の製造過程で 豆乳に苦汁を混ぜた時点で出来る ふわふわした状態のを「ゆし豆腐」 それを型にはめて押し固めたものが「島豆腐」と呼ばれるもので 出来上がりは普通の豆腐よりも固い。


「ゆし豆腐」ってのは いわゆる「おぼろ豆腐」なんて言われてるモノと 全く同じだと私は思っていたわけで、考えてみれば 時々、ふんだんにそれが入った味噌汁がウチの食卓に上がってる。


それにしても…


「なぁ? オマエ、本当に その豆腐が欲しくて金を貸したの?」


私が そう聞くと


「あのねぇ…

 ゴーヤ・チャンプルーを内地の人達は

 普通の木綿豆腐を使って作って 美味しいとか言ってるじゃない?


 私に言わせれば ふざけんな…って話なわけよ


 ゴーヤ・チャンプルーは 元々、塩加減の効いた”島豆腐”じゃないとダメなのよ」


凄い理由である。


亭主が心臓を壊して生きるか死ぬか…の直後に この女は


「美味しい、ゴーヤ・チャンプルーが食べたい」


と言う理由と


「亭主の保険金 運用しなきゃ」


って理由で 金を貸した…というのだ。^^;


困った笑顔の私に 二代目はポソッと嫁に聞こえない様に


「なぁ、オマエがいつくたばっても オマエの家には@@@ちゃんがいる限り大丈夫だ

 これで、安心して いつでも逝けるな… Ψ(`∀´)Ψケケケ」


私が 拳を握り締めたのは言うまでも無い。




数日後、豆腐屋の夫婦が あらためて我が家に来訪し、いろいろと聞いたところによると…


ウチの嫁が金を貸す際に「ゆし豆腐」と「島豆腐」を作る事を条件にづけた事は本当だった。^^;


それに際して、嫁は余分に金を出して 豆腐屋の亭主を沖縄に行かせて実際の「ゆし豆腐」と「島豆腐」を研究する様に指示したそうだ。


そのせいかどうかは不明だが、その豆腐屋の「ゆし豆腐」と「島豆腐」は今ではそれなりの評判となり、看板商品なのだそうだ。


で、その時にも


「ウチの店が今あるのも 全て御主人のお陰です」


と、何度も夫婦揃って頭を下げるのだが、その度に複雑な思いが身体中に広がり、苦笑いしかできない私だった。^^;


【追記】

一般的に「木綿」と「絹」として二つの種類の豆腐があるが、製法過程で豆から豆乳を搾る時に使う漉し布が「木綿」か「絹」かで 「絹ごし豆腐」と「木綿豆腐」の違いだと思ってる輩が多いらしいが、これは大きな間違い。


「木綿豆腐」は、木綿を敷いた容器に豆乳と苦汁を混ぜ合わせたものを入れて重しを載せ、水分を抜いて作るのに対し、「絹ごし豆腐」は、豆乳と苦汁を混ぜたものをそのまま容器に入れて固めたもの


もっとも、最近では絹布で漉して「絹ごし」と称する豆腐屋も実際にあるらしいけどね。^^;

● 千歳空港(写真初め)


数日前、とうとう千歳が吹雪…と聞いて 撮影初めに行ってきた。




ところがね…


降った雪は たいした事無く、私が着いた時には もう既に止んでた。orz


札幌から車で3・40分の距離でしかないのに 天候が全然違うんだから嫌になる。^^;


が、雪が降った…のは事実で まぁ、それなりの撮影も出来たから 練習としては良い具合だったと満足もしている。^^


例えば…


オリオン座

オリオン座

オリオン座

上の3枚は着陸してきたジャンボを写した連続写真


3枚めの直後にエンジンを逆噴射させ 新雪が降った直後なら、機体が大きく隠れるぐらいの雪煙が上がるのだが、この日は こんな感じ。


オリオン座

オリオン座

上の2枚は 着陸してきた777を正面から撮ったもの


そして、


オリオン座

オリオン座

上の二枚は 777が雪煙の中を離陸するところ(上)と それが珍しく急角度で上昇していくところ


ま、こんな感じで 今年の撮影が始まった事をメモ代わりに御報告申し上げる次第。^^


● 天と地と


テレビ朝日開局50周年記念ドラマ「天と地と」の録画を見た。




と言っても、内容を真剣に見たわけでは無い。^^;


天と地と天と地と


「寺島進」と


天と地と


「吹越満」と


天と地と

「松重豊」が見たかっただけだから。^^;




で、余計な事を述べておけば…


この「天と地と」の原作は 戦国時代の歴史小説群の中で「上杉謙信」を描いた傑作のひとつなのだが、2時間チョイで映像化できるほど薄っぺらなものでは無い。


「開局50周年記念ドラマ」と銘打って 昨年の大河ドラマを当て込んだ題材選びで 名作を薄っぺらに仕立て上げるところが さすがテレ朝と評しておこう… と。