● 転々
映画「転々」を観た。
先に申し上げておくが、私は この映画は今年上映された邦画の中で屈指の傑作だと思っている。
で、この映画は まだ、映画館で上映中ではあるが その殆どがあと数日で上映終了になるので もし、未見の方は少しでもその多くが御覧になる事を願って 少しネタバレ含みの感想をお許し頂きたい。
ザックリと導入部のあらすじを語ると 自堕落な大学八年生の主人公(オダギリ・ジョー)のもとに ある日突然、借金取りの男が現れ 3日以内に80万の返済をしろと迫る。
で、翌日(数日後?) 再び現れた借金取りは主人公に 期限無し(借金取り自身が満足するまで)で東京を散歩する事に付き合ったら報酬として100万払うから付き合えと言い、主人公は言われるまま その散歩に付き合う事になる…って感じ。
このところ「続・三丁目の夕日」の様に 渋く、しかも好人物の親父役を多く好演している「三浦友和」だが この映画では長髪に無精髭で かつ、異色な借金取りらしくワイルド感を漂わせているのだが、どこか憎めない雰囲気を実に巧く醸し出している。
たぶん、ストーリー的には ロードムービーの変形になるのだろうと思うのだが、結局、散歩しながら借金取りと主人公が交わす会話、それにまつわる場所でのいくつかの出来事と それぞれの場所で登場してくる人々との兼ね合いが 何とも言えない雰囲気で、見ていてすっかり引き込まれる。
特に、「小泉今日子」と「平岩紙」の好演は 物語にとてもマッチした味を出しており、それ以上に「吉高由里子」の存在は ともすれば見た人達の中には「なんだアイツ?」って思う人も少なく無いのだろうけど、私は この子の好演があったればこそ イミティーションの「家族」という雰囲気が主人公に対して描かれたのだと確信するし、作品全体のクォリティも上げたと思う。
で、ここからは あくまでも個人感として述べるが、 幼き日に両親から捨てられて親を知らずに育った主人公は散歩を続けていくウチに 借金取りに対して ある種の父親に対する感情の様なものが芽生える。
この描きの流れを見ていて 私は自分の実の父親とは別に、学生の頃から 私を息子の様に接して いろんな事を教えてくれた「亡き友」の親父さんや 喫茶「職安」の常連さん達と私との交わりの日々を思い出す。
なかでも、運送屋のN専務が この「転々」の借金取りとダブって見えてしまうのは どちらも 一般的に”真面目”な人ではなく、仕事も アブノーマルというか、薄暗いものでありながら 実は温かみのある人柄で、いろいろと心に傷を作って過ごしながら それを乗り越える強さを持った人。
かつてTV版「世界の中心で、愛をさけぶ」でアキ父を演じ、個人的には「亡き友」の親父さんを彷彿とさせてくれた「三浦友和」が 今度は運送屋のN専務を垣間見せてくれた事に 私は今後、生涯をかけて「三浦友和」ヒャッホイでいるだろうと確信する次第だ。
あ、それと最後に…
この映画には 一瞬だけ「麻生久美子」が出演している。
エンドロールによれば 役名は「三日月しずか」なのだそうだ。^^
