● きみにしか聞こえない DVD再見
映画「きみにしか聞こえない」のDVDが届いたので 腰を据えて観た。

DVDを独りで 誰にも邪魔されずにじっくり観た。
そして、あらためて「こりゃ傑作だ」と思った。
泣けたなぁ… 久しぶりにズブズブに泣けた。
あくまでも私の場合だけかもしれないが…^^;
この映画の凄いトコは 本編が始まって ラストの八千草薫が登場するまでは、もしかしたら 涙もろい人は既に何カ所かでシクシクとかジワッと泣いたのかもしれないが 私は画面に吸い込まれ 泣く事すら忘れてた。
けど、八千草薫のシーンが始まって どんどん目頭が熱くなり、吉田美和の歌声が聞こえた瞬間に 誰かに「もう我慢しなくて良いよ」と優しく言われたかの如く ブワッと涙が溢れ エンドロールが流れる間、もうズブズブ(ToT)
本編が終了し、映倫マークを確認した後は しばし、煙草を吸うのも忘れて放心だ。
私は この映画の原作となった「乙一」の本も既に読んでおり、秀作だなぁ…と思っている。
けど、「乙一」ファンの方には申し訳ないが 私は原作では泣けなかったぶん、ズブズブに泣かされた映画版の方が好きだ。
でね、最近の漫画や小説を映画化とかTVドラマ化したモノが 原作のモチーフやストーリーを改悪するにとどまらず、登場キャラのイメージまで平気で変える手法には辟易としているのだが それは、その結果 殆どのものが良いドラマになる事は無くクソドラマ化するからだ。
それに対して、この映画版は ほぼ原作に忠実に肉付けや微妙な修正はあるけど それは改悪では無く、改良で 原作の良い所をより良く映像化したと思える。
その上で、

主人公役に「成海璃子」をキャスティングしたのは いろんな意味で秀逸この上無い。

本編初頭は 主人公の孤立感や疎外感を実に巧く表し…



少しづつ心が和らぎ 笑顔からぎこちなさが消えていく。
DVDであらためて観て これが本当に巧すぎると痛感した。
で、「成海璃子」はこの映画と前後して 同時期に「神童」や「あしたの私のつくり方」という2本の それぞれ似た様なキャラの主人公役をこなした関係で この「きみにしか聞こえない」を含めた3本を比較して語る人が多いのは仕方が無い事なのかもしれないので、本来は 比較する事じたいが野暮だと判ってはいるけれど その点について敢えて個人感を述べておくと…
3本のDVDをそれぞれ見て 私が感じた事は「きみにしか聞こえない」に対して 他の2本は その出来映えに関して足下にも及ばないと思う。
誤解の無い様に申し添えれば 「成海璃子」は3作品 それぞれに持っているポテンシャルを発揮し 良い仕事をしていると思う。
問題なのは そんな「良い仕事」を活かし切れた仕上げ方の出来なかった制作陣の編集や構成や演出にある。
ごく判り易い部分をそれぞれひとつだけに絞って批判を述べると…
「神童」では 「この子、本当に神童だ」と感じさせるピアノの音色の違いが無かった。
「あしたのわたしのつくり方」では 主人公の内面と周囲の親や友人とのギャップの表し方が「成海璃子」に頼り切りの手抜きとしか感じられなかった。
それに対して「きみにしか聞こえない」の場合、


「小出恵介」が演じた青年の内面をも巧く描き

主人公と青年の交流の表現は秀逸この上無い。
やっぱ、この「きみにしか聞こえない」は 私にとって素晴らしい名作だと つくづく思った。
