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2007年12月20日

● K鮨の話(その3)


ずいぶん前に『K鮨の話』と『K鮨の話(その2)』という記事を掲示した。




で、今回の(その3)は 続編ではなく、別の話なのだが とりあえず便宜上(その3)とさせて頂く。^^:


ここ数年の間に 日本国内、至る所に「回転寿司」が増えた。


「回転寿司」と言っても、昔のイメ-ジと違って それなりのネタを揃え、味も悪くなく 料金も明朗会計で手頃と言えば手頃ではある。


単に、マグロとかイカとか シャリの上に刺身を載せた簡易おにぎりみたいな寿司で良ければ職人さんには申し訳ないが「回転寿司」で充分と言っても過言では無い。


でもね、調理物 細工物と言った寿司は やはり職人の腕の見せ所であり、それを回転寿司に求めるのは酷とも言える。


以前、東京の銀座にある有名な寿司屋に ある取引先から招待されて行った事がある。


そこは「マグロ」にかけては かなりウルサイ店と評判のところで 中トロが1貫で3000円だという。


話のネタに食べてみたが、確かに自信を持っているだけあって美味い。


しかし、感激するほど美味いか? と、聞かれたら 悪いけど、感激はしなかった。


最近は 少し、寂れた感があるが 函館駅から歩いてちょっとの所に市場街があるのだが、そこの定食屋の600円の鉄火丼の方が 遥かに美味く感激できる。


横須賀の先の三崎でも 同等の美味いのが食べれる。


「寿司は江戸前」と言う人がいるが、江戸前の寿司で食べるべき物は マグロなんかじゃなく、コハダやサバなどの光り物や 煮ハマやアナゴといった調理物である。


「ツメ」と呼ばれるツケダレは さすがに江戸前に一日の長がある。


北海道で生まれ育った私には「ネタの鮮度」に関しては拘りがある。


東京が 如何に首都圏で物流の中心地だと自負しても 江戸前の寿司で鮮度を誇るのは如何なものか?と思う。


「銀座という場所の有名な寿司屋で1貫3000円の寿司を食う」


「粋」という考えから言えば それはアリかもしれない。


しかし、「美味い中トロが食いたくて」と言うのであれば「バカみたい」と嘲りたい。


私は「美味いマグロが食いたい」と思ったら 銀座になんか行かず、三崎に行って鉄火丼を食べる。


けどね、そんな事を私が述べると


「三崎に行く暇なんか無い」


とか、


「手近な寿司屋で充分じゃん」


と、批判される方も少なく無いのであろうけど 私が言いたいのは あくまでも、本当に美味いマグロを食べたいならば 私ならそうする…という意味である。




どうも、最近、物の本質を よく考えていない人が多く鼻につく。


「料金の高い店=美味い」


「有名な店=美味い」


勝手に そう思い込んでいる輩が多すぎ、自分で 本当に美味いか否かを見分けられる味覚を備えていない輩が多い…と言う意味である。


一緒に招待された部下が「やっぱ 3000円の中トロは美味いっスねぇ」と感激している。


幸せな話である。


実際に、本人がそう感じたのであれば文句を言うべき筋合いでは無いのだが、私は その部下の了見の狭さに苦笑するばかりだった。




喫茶「職安」でバイト学生だった頃、常連客の一人だったK鮨の親方に 何故か私は特に可愛がってもらった。


当時、ススキノの中央でビルでは無く、一軒家の寿司屋を営んでいたK鮨で 私は出前のおかもち運び担当… それがそこでの私のバイトだった。


が、そのバイトを続けていくうちに ある時、K鮨の親方が私に


「どうだ? 暇な時間に鮨職人の修行の真似事でもしてみるか?」


と、言い出し 私に「巻物」や「玉子焼き」を作らせる様になった。


好奇心旺盛の私としては そんな真似事をさせてくれるのは嬉しかったが、客が


「親父さん 鉄火巻き」


とか、


「玉子を”つまみ”で」


と、注文すると 時々、


「おい、オマエが巻け」


と、私にやらせたり、親方が焼いた玉子焼きがちゃんとネタケースにあるのに 何食わぬ顔で私の作った玉子焼きをわざわざ選んで それを客に出す。


さすがに客の前で「あぁ」とは言えないけど、その客が食べて「なんだこれ?」と怒らないかとハラハラし、帰った後で親方に


「良いんスか? 自分の作ったヤツですよ」


と、私が聞くと 親方はぶっきらぼうに


「あんだけ ヘロヘロに酔っぱらったヤツに味なんか判るかよ」


と、言った後 さらに、


「この前、TVを見ていたら 料理評論家とかいうバカがよ

 ”寿司屋に入ったら まず玉子を頼め、玉子焼きの味の良し悪しで
  その店の腕が判るし、そんな客を 店も”お?味の判る通だな?”と
  気を配ってくれるから”

 なんて、語ってやがったんだけどよぉ…

 そのせいかどうかは知らないけど、ここのところ初めて来た客が 示し合わせた様に

 ”まず、玉子を握ってもらえますか”

 なんて、カッコつけて言うヤツが多くてウンザリしてんだ。


 そんなヤツには オマエの玉子焼きで充分なんだよ^^;」


と、言い切る。


まぁ、玉子焼きで腕をみる…というのは あながち間違いな話では無いけれども、昔から 魚市場には玉子焼きを専門に作って売っている業者がおり、寿司屋の中には 自前で焼かないで 市場のそういう店から買う店もあり、専門店だけあって その玉子焼きがまた実に美味しかったりもする。

(記憶に間違いが無ければ テリ-伊藤の実家が 築地で玉子焼き売ってたと思う)


そんな買ってきた玉子焼きをネタで出されて その店の腕が見抜けるかい?


「私は玉子焼きが大好きなんです。 だから、最初に食べたいんです」


そう言う人なら 気にしないで注文すればいい。^^


しかしながら、通ぶって「まず、ギョク(玉子)から貰おうか」なんて言った日には K鮨の親方にかかると「おいおい、知ったかぶりが来たぜ^^;」って感じで バイト学生が焼いた玉子を出されてしまうのだった。


まぁ、鮨職人にもいろんな考えの人がいるので一概に言えた事では無いが、K鮨の親方に言わせると「この客は 味が判る人だな」と注意する客の多くは まず、「白身」から注文する。


関東周辺なら「スズキ」とか「鯛」であり、北海道では「ヒラメ」である。

(注:旬にもよる)


白身の刺身は マグロやサーモンの様な赤身の魚以上にサクと呼ばれる塊から切り出す時の包丁の入れ方や その時の身の状態によって切り出す厚さや角度によって 刺身の歯応えや味が変わると言う。


また、旬から少し外れている場合とか、鮮度が下がる場合には そのまま出さずに昆布締めにしたりするのだが、その時の締め具合は職人の腕の見せ所で 食通は まず、白身から攻めて 白身本来の味を味わい、さらに「(昆布)締めたのがあるのなら それも」と頼む… そういう客がK鮨の親方には「お? 真面目にやんなきゃ」と思わせるのだそうだ。


ついでにマグロについて K鮨の親方が語った事をメモ代わりに述べれば…


「俺はマグロが大好きで…」と、簡単に口にする客は多いけど、その上で「やっぱ、トロだよねぇ」なんて言う客は K鮨の親方にとっては「どうでもいい客」扱いとなる。


マグロに限らず、海産物は その日その日で漁の具合によっては 形は良くても脂ののりが悪かったり、微妙に鮮度が…とか、身の締まり具合が…と 好不調の波がある。


で、今日の「赤身はちょっと…」なんて時に、一回、そのマグロの赤身を食べた後に「親方、悪いけど赤身をもう一度 今度は”ヅケ”で頂戴」って言われると 遠回しに「このマグロ 鮮度が落ちてんじゃん」という抗議に聞こえるのだそうだ。


「ヅケ」というのは赤身の醤油漬けの事であり、店によってはワサビ醤油に漬ける店もあり、マグロを美味しく食べる手法でもあるが、本来は 鮮度の落ちたマグロを 美味しく食べる為の手法で 先述した白身の昆布締めも同様であり、これも職人の腕の見せ所なのだそうだ。




さて、今回 なんでこんな話を思い出して語ったかというと…


K鮨の親方が言った事や 素人の私が巻いた巻き寿司や玉子焼きを客に出した事は ともすれば「客を馬鹿にした行為」と不愉快に思う人も多かろう


でもね、私は そんなK鮨の親方の言動に 職人気質を教わったと今でも思っている。


「金を払えば誰もが客として同等のサービスを受けられるべき」


というのは 最近流行の人権論者が好んで言いそうな台詞だが、私は 全てがその通りだとは思っていないからだ。


例えば、「玉子焼き」でその寿司屋の味が判る…


食通と呼ばれる人間が そんな決め方で味を見極めると言う時点で アホかと思う。


だって、玉子焼きの焼き方や味付けと シャリの味や握り具合には何の因果関係も無い。


刺身の切り方にだって関係が無い。


美味い玉子焼きが食いたければ わざわざ寿司屋に行く必要すら薄いと言わざるを得ない。


そんな事も考えようとせず「有名な料理評論家が~と言ったから」ってだけで それを鵜呑みにし、あたかもカッコ良く見せる為だけに語る… そんな薄っぺらな人間が増えてきてる様な気がしてならない。


逆に、「名店だ…」とか「高級店だ…」って評判ばかりが先行し


「ウチは近海物の本マグロしか使っていない」


とか


「元々、高値で競り落とされた”良い魚”しか使わない」


と、声高に言って


「だから、ウチは(値段が)高い」


という寿司屋も 年々、増えているけど 高価なネタじゃ無くても細工で別の美味さを引き出す職人技を持たない親方も 比例する様に増えている。


K鮨の親方は 客を区別する人だったけど、逆に 親方から認められた客には全身全霊をこめた職人仕事を発揮する人だった。


それをバイトながら垣間見て 私はK鮨の親方みたいな職人から認めて貰える様な客になりたい…なんて思い、育ったつもりなのだが 今、現在 その域に達しているかは残念ながら判らない。


ただ…、


「お客さん ウチのギョク(玉子焼き)を食べてみなよ どんだけウチの腕が良いか判るからさ」


そんな小生意気な事を言った寿司屋の親父に


「そんなに焼き物の方に自信があるんなら トロも鯛も焼いてくれ」


と、言い返して喧嘩になった事がある。^^;


けれども、この親方とは喧嘩の直後に意気投合して 今では良い仲となっている。


それは、寿司屋の腕を測るのに カッコをつけて最初に玉子焼きを頼んだとして…


もし、それがさほど美味い物で無かった時、ちゃんと「不味い」と言える人間が少ない事を その親方は知っていたからであり…


まぁ、不味いというのは極端でも「それほどでも無い」という場合に それを堂々と言えないと「腕の良し悪しを量る」なんて真似をする事自体 無礼千万である事を私はK鮨の親方から教わっていたからでもある。


つまり、何が言いたいかというと…


中途半端な理論で 物事にケチをつける事は簡単だし、物事全てを判ったかの如く決めつけてしまうのも簡単な事だけど、それがカッコつけとか中途半端と言われない為には それ相応の持論を展開した上で言うので無い限り 単なる雑音と変わらない。

にも関わらず、他人の意見を丸呑みにしておきながら それがあたかも自分の考えた意見です…みたいな内容で ケチをつけたり、決めつけてしまうアホが多い…って事である。


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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