● 兵士に告ぐ
「兵士に告ぐ」という本について語ろうと思う。

杉山隆男:著 小学館:刊 ISBN978-4-09-389204-9
前にも何かの記事で述べたけど、『宮嶋茂樹』と『杉山隆男』の二人だけは 良い事も悪い事も公平な視点で自衛隊を語っているジャーナリストだと私は思っている。
二人の共通点は ただ、外側から自衛隊を眺めて憶測を事実の様に語る似非ジャーナリストと違い、自衛隊の訓練に同行し 隊員と共に汗を流し、腹を割った話をした上で 肌で実際に感じた事実を基に良い事も、そして悪い事もきちんと述べている点にある。
「宮嶋茂樹」は いつも彼独特のユーモア混じりの文体で自衛隊を語るのに対して、「杉山隆男」は 真剣に事実の羅列と推測をハッキリ分けて提示した上で自衛隊を語るので ある意味、両者の文章は対極的でもある。
けどね、読者としては 実はその方がありがたい。
何事もそうなのだが、何かを知ろうと いくつかの文献を手にする時、対極的な文章をそれぞれ読み、自分なりに咀嚼して自分の知識とし そこから認識を構築するのが本当の意味での検証となると思う。
例えば、戦国時代の織田信長や徳川家康を知りたくて いろんな書を読んだとしても、読んだ書のどれもが 著者が司馬遼太郎の影響を受けたものばかりでは 結局は司馬流の解釈しか身につかないわけで…
山岡荘八や吉川英治などの書も読んで対比させる方が「見方によって…」という視点も身につくし、よりベストなのだ。
で、自衛隊に関して言えば 多くの人が「自衛隊とは」としての情報をマスコミからしか取り入れておらず、では そのネタ元であるマスコミが ちゃんと自衛隊を知り、見極めて報道しているか?と言えば 残念ながら、殆どのマスコミは「知ったかぶり」もしくは先入観たっぷりの「思いこみ」で書いているに過ぎない。
その事は「宮嶋茂樹」と「杉山隆男」 両者の著書をそれぞれ少なくても一冊読めば「あれ?」「え? ほんと?」と思う事が沢山あって気づくと思う。
この「兵士に告ぐ」は 近年の陸上自衛隊の再編成における諸事情や新設された西部方面普通科連隊のルポが大半である。
国防的に考えれば この本に書かれている事を公表しちゃっていいのか?と疑問に感じる部分が多々あるのだが、国民の盲を啓くには これぐらい公にしちゃった方が良いと著者は判断した結果であろうし、私もそれを認めたい。
