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2007年09月04日

● 「値打ちをつける」という言葉(その2)


「値打ちをつける」という言葉(その1)』の続きを語る。




とある道内の地方都市にあったパチンコ店が倒産した時の事。


私は 喫茶「職安」の常連である「運送屋のN」氏と「弁護士のO」氏に同行を命じられ そこの倒産整理を行ったのだが…


その作業の最中、交換用の景品だったのか 自動販売機用のストックだったのか定かでは無いが缶コーヒーや缶コーラが まとめて200ケース程 倉庫から出てきた。


他にも イベントに配っていたと思われるタオルとか、様々な小物が その倉庫から発掘され、「運送屋のN」氏は それらの品を自分の会社から呼んだトラックに満載して持ち出し、作業が終わって数日後 札幌に戻った私達が喫茶「職安」でいつものようにコーヒーを飲んでいたところ ふらっと現れたN氏は その引き上げ品の処分の許可が管財人から出たから いつでも好きな時に保管場所の倉庫に行って、個人的に欲しいモノがあったら好きなだけ持って行っていいぞ…と 私達に言ったのだが、これから述べる事は その時にNさんと交わした雑談の記憶である。




「なぁ? ブタネコ

 オマエ、これから倉庫に行って缶コーヒーや缶コーラの箱を

 オマエの車に積めるだけ積んで家に帰ったとするわな?

 で、オマエは その缶コーヒーや缶コーラをどうする?」


「缶コーヒーはともかく、コーラは好きだから自分で飲みますよ」


私が普通に そう応えるとNさんは


「オマエ、ちょっと騙されたと思って これから俺が言う事を試しにやってみろ」


と、言い出した。


その時に言われた事とは 倉庫から持ってきた缶コーヒーの箱を 1箱だけ玄関に置いておく事。


そして、宅配業者とか ラーメン屋の出前等が来た時に


「お疲れ、いつも悪いね」


と、一声かけて その缶コーヒーを一本やれ…という事。


「どうせ、オマエが金出して買った缶コーヒーじゃ無ぇんだから

 試しにそんな真似を2・3ヶ月続けてみな」


N氏はそう言い、私は それを言われた通りに実践したし、私が留守の時の場合は うちの嫁にも実践させた。


すると、そんなに間をおかずに ある変化が目に見えておきた。


例えば、帰宅した時に 留守中に来た宅配の不在通知があれば、


「これからは家にいるから 悪いけどもう一回来てくれる?」


と、電話をするわけだけど 以前は、下手すると それから数時間待たされたり、時間帯によっては


「明日の午前便になります」


なんて言われてたものが 長くても1時間そこそこで再配達してくれるようになったし、出前も どんな混んでいそうな時間でも 順番を繰り上げて早めに届けてくれるようになった。


その事をN氏に言うと


「あのな、何事もコミニュケーションなんだよ

 おはようございます、こんにちは、こんばんは…なんてのは 基本中の基本。


 宅配業者にしてみれば、配達に行くたびに留守だと 何回も出直す手間暇はバカにならない

 けど、客は勝手だから 留守中に宅配が何度出直してるか?なんて事はお構いなしに


 ”今、帰宅したから とっとと持って来い”


 と言い、それが当たり前だと思っているし、それから待たされると怒る奴までいる。


 で、普段から”御苦労さん、一服の時にでも飲んでよ”って缶コーヒーなんか貰っていれば

 どうしても今回ばかりは急いで…なんて無理な願いでも なんとかしてやろうと気持ち良く

 思える様になるのが人間心理なんだな。


 今回の缶コーヒーは そもそもオマエ(ブタネコ)にとっては タダで貰ったモノだから

 宅配業者や出前に配ったところで 懐は痛まない。

 仮に、その缶コーヒーを自腹で買って 同じ事をしたとしても たしかに代金分の出費はかかるが、

 その代金に見合う以上の「何か」を得られてんだよ。


 つまり、”費用対効果”って言葉があってさ、それは”かかる費用”と”それによって生ずる効果”のバランスは?って意味


 のどが渇いたわけでも無く、ただ なんとなく買った缶コーヒーを自分で飲むのと、業者に配る缶コーヒー 費用は同じでも”生ずる効果”は全然違うだろ?


 で、この”缶コーヒーの代金”という”お金”を考えた時”金を活かして使う”って意味が 少しは理解出来るかな?」


と、N氏は言った。


そう言われた時の私は 正直言って、判った様な でも、判らない部分も… みたいな中途半端な状態だった。^^;




さて、ある会社の倒産整理を行った際の事。


役員用の社宅として会社名義で購入した家を処分しようとしたところ、その役員に個人的に金を貸していた暴力団がらみの人間が その家を既に占有していた。


で、N氏は私に


「勉強がてら 交渉してこい」


と命じ、その交渉を私がしたわけだが…


結論から言えば、そういうケースの占有は 法律的には補償請求行為なのだが、単純に言ってしまえばゴネ得のお金目当てである。


N氏や 管財人であるO弁護士の代理として私と交渉した相手は ヤクザの中堅幹部であるMという人物で 条件的に何度かの交渉の後、立ち退きを了解してくれた。


おぼろげな記憶で言えば X月×日までに占有者は立ち退きを完了させ、立ち退き完了を確認次第 引っ越し料という名目で50万を支払う…という合意だった。


ところが、その約束のX月×日に至っても 立ち退きが完了していない。


現地に行ってみると Mの子分と称するBがおり、Bが言うには


「兄貴(M)は今、XX警察にパクられ(逮捕され)ちゃってんだよねぇ…

 おそらく、実刑ぶたれちゃうから 1・2年は娑婆に戻れないんじゃないかな」


調べてみたら たしかにBの言う通り。


恐喝と傷害の現行犯で O弁護士によれば1年半程度の実刑だろう…との事。


するとN氏は ちょっと厚く膨らんだ茶封筒を鞄から取り出すと、それを私に差し出して


「これ持って、さっさとO弁護士と一緒に面会に行け」


と言う。


早速、私はBに電話をかけてXX警察の前で待ち合わせをして O弁護士と共にXX警察に向かい、Bと3人で面会した。


本来であれば 立ち退き完了後に払うべき金を、差し入れとして事前に渡す代わりに MからBに命じて さっさと立ち退きを完了させろ…


その面会でO弁護士がMに了解させ、Bにも了解させた。


2日後、立ち退きは完了し 予定より数日遅れたが、アパートは取り壊され…


似た様な案件を次々と片付けていくうちに すっかりその件を忘れ、それから1年半ぐらい過ぎた頃だった。


不意に「M」が 喫茶「職安」に現れ、私とO弁護士に会いたいと言っている…と連絡を受けて喫茶「職安」に呼び出された。


行ってみると、少し痩せた感じのMがおり、私とO弁護士が揃うと


「パクられたからとはいえ、立ち退きの約束を遅らせてすまなかった」


と、まず頭を下げ


「あの時、50万先払いしてくれた恩は一生忘れない」


と言った。


50まんのうち、30万を示談金に使えたおかげで3年近い実刑になる可能性が非常に高かった判決を 情状酌量などの加味で1年半に下げる事が出来…


聞けば 留置所や拘置所、もちろん刑務所の中でも金があるか無いかは重要なのだそうだ。


歯ブラシや石鹸、雑誌や本 留置所であればジュースやパン 今では制度が変わって出来ないが、当時の留置所では弁当を買う事も出来たのだ。


同じ留置所暮らしの中で 頻繁に面会や差し入れを受け、金に不自由なくジュースやパンを買える… おかしな話に聞こえるかもしれないが面子という名の見栄を重んじるヤクザにとって留置金をどれだけ持っているかも それは重要な事だったのだ。


N氏は その辺を知っていたから、「どうせ払う金なら」と 先渡ししたのである。


Mが 別れ際に


「あの時の、50万は50万以上の価値が俺にはあったんだ この恩は本当に一生忘れない」


と、再び言った。


まぁ、このエピソードは 例え話とは適当じゃないかもしれないが そこはお許し頂くとして…^^;


後日、N氏に この話をした時に N氏が言っていた事は


「お金に とりあえず不自由していない奴には意味が無いし、

 何も考えずにお金を貰い、お金を払っている人間には気づけない事だけど、

 お金ってのは お金の額面以上の”価値”がつく事がある…って事なんだ。


 だから、その”価値”を見誤ったり 気づけないでお金を使うと

 まさに”無駄金”、”無駄遣い”になっちゃうんだわな」と。


 (その3に続く)

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コメント

ブタネコさんへ
良いですね、すばらしい。20~30年前に聞きたかったですね。このお話しを読んでいて、確かでは有りませんが、昔大阪商人のドラマで’守銭奴とケチは違うんだ’というセリフを思い出しました。
どうせ使うのならお金は生かして使いたいですよね、これから気をつけます。第3弾が楽しみです。

★ タンク さん

>守銭奴とケチは違うんだ

花登筺のドラマに ありそうな台詞ですね^^


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