● 火垂るの墓 実写版
2005年に放送された「火垂るの墓」実写版について語ってみる。
ほんとは 物語の時節柄、8月になったら記事にしようと思っていた。
けど、ちと気が変わる理由があって 今回、語る事にする。

アニメ版「火垂るの墓」は 誰が何と言おうと名作中の名作だ。
であるがゆえに 毎年、8月の終戦記念日が近づくと日テレ系で再放送され 多くの老人達が涙しながら観る。
ゆえに、物語の内容について話しても 今更、ネタバレだと怒られる事も無いだろうから、敢えて その辺を気にせず語らせて貰うと…
アニメ版において 幼い兄妹が死に至る過程の中で、当初、身を寄せていた親戚の家のオバサンが ともすれば鬼の様に描かれている。
私も戦後生まれで 戦時中や終戦直後を知らずに育った世代だから偉そうに知った風に語る事は出来ないけれど、それでも私の世代の親や親戚の叔父さんや叔母さん達は その時代をリアルタイムに生き抜いた世代としてアニメ版「火垂るの墓」における世相背景を語ってくれる人もいたから まだ、それなりに理解できているつもりでいる。
けど、現代の若者達においては 時代の経過と共に、おろそかにされた歴史教育の弊害もあって あえて戦前から戦後の近代史に関しては触れず語らずで育ったが故に 我々の世代がアニメ版「火垂るの墓」のオバサンに感じた鬼よりも もっと異質な「鬼」の姿をイメージしたり受け止めている風が 実は私も気になっていた。
戦後の崩壊した社会の中で生き抜くという事が どれだけ大変な事だったのか… その為には友や親戚ですら敵に回したり、欺く事も少なく無かったわけで 時代が過ぎ、高度経済成長の波で それなりに豊かさと安寧を得た時、戦後のドサクサ間に生じた思い出したくもない記憶を多くの人が封印してしまおうとし、であるがゆえに戦争に関わる事を口にしなくなった人が 実は少なく無いのだ。
だから、アニメ版「火垂るの墓」を上っ面だけで見れば そこに登場するオバサンは 今の時代の物差しで測れば 相当の「鬼」ではあるけれど、当時の時代背景を知る人には 特に その「鬼」によって阻害されたのでは無く、その鬼によって保護された「オバサンの子供達」にとっては ある意味、仕方の無い話として容認された部分でもある事を知っておく必要がある。
さて、

実写版「火垂るの墓」が どの様な制作意図だったのかは知らないが、映像を見た限りで言えば 単にアニメを実写化するのでは無く、アニメ版では鬼として描かれたオバサンが主人公として松嶋菜々子が演じ、「何故 オバサンは鬼だったのか?」という視点で描かれた事は秀逸だと私は思う。

アニメ版において、主人公である兄妹の言い分や事情は充分に理解できるし、同情も出来るからアニメ版が名作なのは間違い無い。

でも、オバサンにもオバサンなりの事情が この時代にはあったのだ…という部分も 併せて知っておかなくてはならない事だと私も思うからだ。



その点に関して言えば 松嶋菜々子の演技は なかなか好演だったと私は思う。
でだ、今回 敢えて8月予定を繰り上げて記事にした理由は…と言うと

松嶋菜々子の長女役と…

その長女(岸恵子)の孫娘役の二役で「井上真央」が出演していた事。


長女は優しい心の持ち主で 数少ない兄妹の理解者であり




終戦後、兄妹の死を知り 長女は「私たちが殺してしまった」と泣く。



孫娘は 如何にも現代の若者でありながら、祖母から昔話を聞いて

思いを新たにする。
この対照的な二つのキャラを演じ分けたのが「井上真央」だと気づいて このドラマをオンタイムで観た時に「へぇ…」と私は感心していたのだ。

ちなみに、この実写版においては井上真央の妹役に「福田麻由子」も出演している。
