● 「風林火山」と「武田信玄」
井上靖 著:「風林火山」と 新田次郎 著:「武田信玄」について語ってみようと思う。


今年の某国営放送の大河ドラマ「風林火山」
その原作は

井上靖 著:「風林火山」
武田信玄に関する歴史小説はいろいろと出版されているが、私は この「井上靖」のものと、
新田次郎 著:「武田信玄」全四巻
この二つが群を抜いて秀逸だと思っている。
だいたい、この戦国時代というと「信長」「秀吉」「家康」を中心に物語られる事が多く、武田といえば、信玄が死亡する前後のエピソードと 後継・勝頼の代に長篠の合戦で大敗する事、それと 信長達とは別次元で「上杉謙信」とのライバル関係ばかりが描かれるのみ。
でもね、私は この「武田信玄」と「斎藤道三」が大好きで、もし、この二人が激突していたら…という部分にロマンを感じたりするのだ。^^;
さて、「風林火山」(本文以後は「井上靖」の原作を指す)と「武田信玄」(本文以後は「新田次郎」の原作を指す)だが…
厳密に言えば「風林火山」の主人公は「山本勘助」であり、「武田信玄」は その書名の如く「武田信玄」が主人公 故に、「武田信玄」でも山本勘助は登場するが 「風林火山」ほどの華々しさ無いが、地味なりに興味深いキャラとして描かれている。
それと、当たり前と言われればそれまでだが 登場する人物には共通の人物が殆どだが、「風林火山」は「武田信玄」と比べて全体のボリュームが薄いので 登場人物を深く知るには「武田信玄」の方が有効だ。
また、それそれだけに登場するのは架空の人物か、さもなくば 実在だが、作者により解釈の違う人物もフィクションとして当然あり、その代表格が 諏訪頼重の娘で信玄の側室となり、後に後継となる勝頼を産んだ「諏訪御寮人」だが、この人は実在だった人物だが、何故かその名は史実では不詳とされており、「風林火山」では「由布姫」 「武田信玄」では「湖衣姫」と名付けられていたりする。
道産子として生まれ育った私には かねがね本州以南で生まれ育った人を羨ましく思うのは 北海道という土地の歴史は総じて明治維新以降の事であり、「源義経」が逃げてきたらしいよ…という伝説があるぐらいで 戦国時代には全く無縁の地である。
しかしながら、歴史小説を読み込み 実際に、その地を訪れて見た時、今では現代の高圧電線や舗装された道路などで面影が無いようでも、かつての古戦場跡や城跡を巡りながら
「ここが、上原城の…」とか「海之口攻めは ここか…」
と、思いを馳せると 勝手な妄想だが、武者達が駆け巡る。^^;
「何故、信長が信玄や謙信を怖れたのか?」
「家康が生涯最大の危機を迎えた三方が原の戦いとは?」
ここを知らずして その後の家康や信長を語れはしない。
と言うわけで、「風林火山」と「武田信玄」はお薦めの書であるが、さらに言えば、「武田信玄」の続編として「武田勝頼」という作もあり、合わせて読むと 武田家滅亡までのプロセスや 武田の家人団が家康に組み込まれていく様が判り興味深い。
