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2007年06月26日

● プロポーズ大作戦 妖精の言葉


「プロポーズ大作戦」の 妖精のモノローグや健との会話の名言を自分の為に書き出してみた。^^;


【第1話】


『奇跡の扉を開ける鍵は誰の手にも握られている。

 ただ、それに気づく人は ほんの僅かしかいない

 運命を変えるほどの大きな奇跡は そうそう訪れない

 変えたいと思う小さな一歩を積み重ねる事で いつの日か奇跡の扉は開く』


『結婚相手は一番好きな人ではなく、二番目に好きな人を選んだ方がいい。
 
 …と、したり顔で口にする者がいるそうだが、

 付き合っている相手が人生で二番目に好きかどうかなんて、判る人はいるんだろうか。

 でも、一つだけ確かなことがある。

 人生で一番好きな相手は、失おうとするまさにその瞬間に、この人だったと、気付くのである。』


『オスカーワイルドはこう言っている…

 男は女の最初の恋人になりたがるが、

 女は男の最後の恋人になりたがる。

 お前は、男であるにも関わらず、彼女の最後の恋人になりたいと心から願っている。

 この期に及んでも、まだあきらめきれずにいる。』




【第2話】


『男の名前は岩瀬健。

 結婚式場に現れた、哀れな男である。

 これまで何百という結婚式を見てきたが、新婦に対してここまで後悔している男は稀である。

 そもそも、これ程悔いている人間というものは、式に参加しないものだ。

 幼馴染であるが故、彼女への思いをずっと伝えられなかったツケが、皮肉にもこんな形で巡ってくるとは…

 しかも、二人を祝福するスピーチまで任されてしまうとは、つくづく哀れな男である。

 男はスライド写真を見ながら過去をやり直したいと強く願った。

 見るに見かねた私は、写真の時代に戻る事を許可した。

 私とは、無論、この教会に住む妖精である。

 過去に戻ったはいいものの、変わったことといえば写真の彼女の表情が少し和らいだ程度。

 期待はずれも甚だしい。』




「良く気付いたな、一回しか呼べないと思ってあきらめる人間は多いんだ。」

「気付いたとかじゃなくて、本当に戻りたいんだって思って。」

「はいはい、で、なぜこの写真に戻りたいと思ったのか、理由を聞かせてもらえるかな?」

「実は、よく覚えてないんです。」

「覚えてない?」

「でも、すごく気になるんですよ。」

「二十一世紀に、そんなあいまいな答えが通用すると思ってんのか?」

「とにかく、めちゃめちゃ気になるんですよ!」

「バカはバカでもめげないバカは嫌いじゃない。」

「そいなバカバカ言わなくても…」

「なあ、勘違いして欲しくないんだが、これは過去を巡る観光ツアーなんかじゃない」

「判ってます。

 でもちゃんと後悔しないように、やり直したいだけなんです…

 礼があんな顔してんのに、このまま終われません」

「でも、何であんな顔してんのか、その理由はさっぱり判らない」

「ま、そうなんですけど…」

「まぁ、いっか… その理由を知らなければ、まともに後悔することさえ出来ないもんな?」

「じゃあ!」

「ただし、俗説と違って、運命はちょっとやそっとの事で変わるもんじゃない!」

「判ってます! でも今回は、絶対に、頑張ります!!」

「安易に頑張る頑張るって口にするやつほど頑張らないっていうのが、俺の統計で出てる」

「そのデータ、当てにならないってことを証明してます」




「人が結婚するって事は、並大抵の事じゃ無いって事だ」

「そうみたいですね」

「少なくても、バースと出会ったぐらいで結婚なんて出来やしない。」

「おっしゃるとおりです、でも、結構頑張ったんですけどね… ま、自分で誉めちゃダメなんでしょうけど」

「少なくとも、アイディアには及第点を与えられるものがあった

 コーヒー牛乳も、翌日お前がしっかり奢っていたしな」

「そうなんですか…」

「ただまあ、読まれない告白ほど、無意味なものはないからな」

「え、あの黒板読んで無いんですか?」

「読まれなかった告白は、観光地に書いてある俳句みたいなもんだ」

「そんな寂しい事…」

「あんま気にすんな、まだスライドショー終わったわけじゃないだろ?」

「え?じゃあ…」




【第3話】


「人生のいたずらっていうのは時に残酷だな」

「残酷すぎますよ… こんな事ってあるんですか?」

「実に皮肉だよな、お前の方が彼女より先に、新郎の魅力に気付いてたなんてな?」

「まさかこんな事になるなんて思ってなかったんですもん」

「人間は自分の不都合なことがあると、まさかや偶然という言葉に頼ろうとする悪い癖がある

 おまえ、今日だけで何回物事をまさかとで片付けようとした?

 まさか寝坊するなんて…

 まさかスピーチで泣きそうになるなんて…

 まさか彼女が彼と結婚するなんて… 

 物事には全て理由がある。

 俺とこうして出会った事も、お前が激しく後悔したっていう理由がある。

 本質から目をそらしては、いくら過去へ戻ったところで何も変わらないという事だ」

「いつもと違ってカッコイイ!」

「いつもと変わらずカッコイイ!  これが本質だ」




「俺の忠告を覚えているか? 本質を見極めろ… まぁ、そんなような事を言ったと思うんだけど」

「そうでしたっけ?」

「今回のおまえのやり方は決して間違っていなかった… 俺はそう評価している」

「でも、結局 二人を近づけたのは僕なんです」

「一見、遠回りのようでも それが近道だったって事あるだろ? 

 まぁ、今回の件は それに該当するかはおいといて…」

「それじゃ、意味無いじゃないですか…」

「えてして人間というモノは 相手を蹴落とそうとしたり出し抜いたりしようとするモンだ

 だが、おまえはそれをしなかった」

「しようと思ったんですけど、する勇気が無かったんです」

「いや、意気地なしに徹する勇気があったって事だ」

「嬉しく無ぇ」

「そんな心配するな 彼女の中ではおまえの価値は着実に上昇している」

「ホントですか?」

「な、それが結婚に繋がるかは 全く別の話だが…」




【第4話】


『男の名前は岩瀬健。

 結婚式場に現れた、哀れな男である。

 これまで何百という結婚式を見てきたが、新婦に対してここまで後悔している男は稀である。

 幼馴染であるが故、彼女への思いをずっと伝えられなかったツケが、皮肉にもこんな形で巡ってくるとは…

 男はスライド写真を見ながら過去をやり直したいと強く願った。

 見るに見かねた私は、写真の時代に戻ることを許可した。

 私とは、無論、この教会に住む妖精である。

 新郎と新婦の出会いは最悪のものだった。

 放っておけば、結婚の可能性を早々に摘む事が出来たはずだった。

 だが、男は見過ごす事が出来ず、しまいには仲直りの手助けまでしてしまった。

 要領は悪いが、憎めない男である。
 
 果たしてこの男、一体どうなってしまう事やら…』




「一つ非常に気になるんだが、俺に対するリアクションが薄くなってきていないか?」

「いやそんな事無いですよ」

「出てくるのが当たり前って顔に見えるんだが。」

「気のせいですよ、今回だってちゃんと出てきてくれて こぅ、言葉に出来ないぐらい感謝しています。」

「言葉に出来ない感謝など、感謝してないのも同然だ」

「ほんとに凄い、あの…貴重な体験をさせて貰っ…」

「卒業式ねぇ ダスティン・ホフマンが出演した卒業って映画知ってるか?」

「あの結婚式の最中に花嫁を奪って逃げちゃうやつ…」

「実はあそこの教会にしばらく住んでた事があるんだ。」

「マジですか!?」

「冗談に決まってるだろう お前悪い詐欺に引っかからないように気をつけた方がいい。」

「シロサギ?」

「卒業を別れと捉える者もいれば… 旅立ちと捉える者もいる。

 もう会えなくなると寂しがる生徒もいれば… もう会わなくて済むと胸を撫で下ろす生徒もいる。

 卒業の日に抱えている思いは、卒業証書の数だけあるという事だ。

 おまえ、本当に第2ボタンを渡す覚悟はあるのか?」

「あります」

「それがどんなに困難であろうともか?」

「もちろんです!」




「フリで散々盛り上がったのにオチも聞けずに終わっちまった漫才みたいだったな

 ずいぶんと凝った演出したもんだ。」

「そうすかね…」

「だが演出に凝りすぎて、告白の時間が無くなったら元も子もないよな。」

「反省してます。 あの、一つ聞いてもいいですか?」

「あ?」

「こんなに変わらないもんなんですか?」

「変わんないって?」

「過去に言わなかった事を言ったり、物を渡しても今の状況に全くと言っていいほど影響がありません」

「たかだか過去の数時間だろ?

 お前が過去に戻って物を壊したら、そのものを壊したっていう事実は残る。

 だが人の感情はそんな簡単なもんじゃない。

 よほどの事が無い限り変わらないという事だ」

「なるほど…」

「これで無事、高校卒業もやり直せた事だし、このタイムスリップからも卒業するか?」

「え!? いや、僕にはまだやり残した事が…」




【第5話】


『人間とは、物事が上手くいかなかった時に、理由を求める生き物である。

 状況やタイミング、天気や運勢、様々な言い訳を引っ張り出しては自分を慰める。

 こんなはずではなかった…、もう1度やり直せればと。

 やり直せれば本当に上手くいくのだろうか?

 一度目で出来なかったことが、二度目で出来る自信は、どこから来るのだろうか?

 男の名前は岩瀬健。

 今、この男の本当の実力が試されている。

 幼馴染故の淡い関係を卒業し、正面から彼女と向き合う事が出来なければ、未来を変える事など到底叶わない。

 果たして、この男に幸せは訪れるのであろうか』




「もう出て来ないとでも思ったか?」

「タイムスリップからも卒業するかって言ってたんで、もう出てきてくれないのかと思っていました」

「じゃあ、出てこなかった事にして、披露宴の続きを楽しむか…」

「そんなこと言わないでお願いしますよ。」

「ファーストキスねぇ… ファーストキスの味、覚えてるか?」

「多分…」

「多分?」

「ハンバーグだったと思います」

「ハンバーグ?」

「定食屋で一緒にハンバーグを食べて、その後だったんで…」

「ファーストキスの相手は、彼女ではないんだな?」

「大学2年の時、バイト先で知り合った子と…」

「そもそも、どうしたら定食屋を経由して、ファーストキスをしようと思えるんだ?」

「必死だったんですよね、マジでマジで…」

「その必死さを、なぜ彼女に向けることが出来なかった?」

「それを言われちゃうと…」

「今回は戻ってどうするつもりだ?」

「ちゃんと自分の気持ちを伝えようと思います」

「彼女が本気にすると思うか?」

「え?」

「お前たちが、小学校から積み重ねてきた、幼馴染という関係性を崩すのは、並大抵の事じゃない」

「でもそれをしなければ一生後悔すると思うんで…」




「どうだ?ファーストキスの味が、ハンバーグから卵焼きに変わった気分は」

「それどころじゃないですよ」

「あのキスも、今までのおまえからしてみれば考えられない行動だよな? 着実な進歩と言っていい。

 タイムスリップする以前より、お前の存在は、確実に彼女の中で大きくなっている」

「本当にそうなんですか? だって何も変わってないじゃないですか。」

「残念な事だが、タイムスリップから戻ってきた後の時間は、

 ふざけてキスをした時のような、過去のお前が時間を引き継ぐわけだ。

 彼女が、今回のキスを本気じゃなかったと判断しても、それを責める事は出来ない。
 
 もう一つ、非常に残念なお知らせがある。」

「え?」

「ま、続きは、この司会から聞いてくれ」




【第6話】


「俺 写って無いんですけど?」

「よく目を凝らせ。 あそこにいんだろ、あそこ」

「あんなんでもいいんですか?」

「誰がダメだと言った?」

「いないとダメなのかと思った」

「勝手にダメだと決め付けてチャレンジせずに諦める… ま、おまえに限らず人類全般に言える事だな」

「はぁ」

「ぶつかりもせずに自らの手で奇跡の扉を閉じていては、幸せなど舞い込むわけがない。

 当たって砕けろという言葉があるが、本当に砕けた人間なんて見た事があるか?」

「むしろ見てみたい気がします」

「人間は丈夫な生き物だ、相手に気持ちを伝えたくらいで、砕けはしないよ」

「ですね」

「このハンバーグ、貰うぞ」

「でも、それこの間も食べてましたよ?」

「同じものを食べないと誰が決めた? いいか、決め付けはタブーだ。 よく肝に命じとけ」




「タイムスリップする前に話した事、覚えてるか? ”思い込み”の話だ。

 おまえは、彼女の為を思い… 課題が提出し終わってから祝ってやろうと思ってたわけだが…

 それもただの思い込みだったわけだ。

 彼女が本当に望んでいた事は、コンペに受かることじゃ無かった。

 お互いに相手を思うあまりすれ違ってしまうなんて皮肉なもんだな?

 恋愛なんて、自分勝手以外の何モノでも無い。

 そう思っても、自分本位に行動できないのは、相手の事が好きだからなんだろな? 厄介な話だ。

 そう気を落とすな、まだ二人が付き合ってしまったわけでも無いだろ?

 チャンスは残されていると思うが…」

「そうっすかね?」

「ま、戻るか戻らないかは、お前次第だからな」




【第7話】


「これまでずっと、告白できなかったダメな人間が、

 新郎を差し置いて、先に告白するなんて無理だと思わないか?」

「出来ます、ていうかやります」

「自分の殻を破れるのか?」

「殻?」

「彼女の側にいた14年間で、一度も出来なかった事をやろうとしてるんだぞ?」

「はあ」

「口でいくらやると宣言したところで、自分の殻を破らなければ、そんな事出来るはずが無い」

「自分の殻ですか?」

「この茹で卵貰うぞ」

「痛い」

「殻を破るということは、多少の痛みを伴うものだ」

「自分の殻を破って、多田さんの告白を阻止してでも、絶対先に告白します」




「お前は何度同じ失敗をすれば気が済むんだ?

 何でタイミングやきっかけに頼ろうとするんだよ?

 この信号が変わったら告白しよう…

 この車が通り過ぎたら言おう…

 二人きりになったら気持ちを伝えよう…

 そんな小さなことにこだわっているから、大きな幸せがつかめないんだよ」

「なんか、すみませんでした。 もう…、終わりにします」

「あぁ?」

「タイムスリップするのを、辞めます」

「本当にいいんだな?」

「もう、あきらめます」

「判った。 行く気のない人間に、無理矢理過去に戻る事を求めたりしない」

「今まで、本当にありがとうございました」

「礼にはおよばない。」




【第8話】


『男の名前は岩瀬健。

 今、この男の本当の実力が試されている。

 過去に戻っても自分の思いを告げられず、二人が交際するのを歯止めなかった哀れな男である。

 かの有名なエイブラハム・リンカーンはこう言っている。

 あなたが転んでしまった事に 関心は無い、そこから立ち上がる事に関心があるのだと…

 失敗にめげず再び立ち上がるのか?

 教訓を得て別の道を目指すのか?

 それとも自分の不幸を嘆き続けるのか?

 果たして、この男に幸せは訪れるのであろうか』




「妙なおっさんね」

「ごめんなさい、その、変な意味で言ったんじゃないんですよ」

「変な意味じゃない妙なおっさんがいたら、是非会ってみたいもんだな」

「何でそんな事、言っちゃったんだろうな…」

「おまえほど後悔と葛藤が好きな人間、見た事が無い。

 もう過去に戻るのは止めたって宣言したくせに、その友達に助けて貰えば、

 まだ可能性はあるかもしれないって そう思ってるんだろ?」

「自分でも、びっくりしますよね」

「いい加減、彼女の気持ちを変えるのは諦めて、自分の気持ちを変えてみたらどうだ?」

「自分の?」

「おまえが、あそこの席に座る未来よりも、この披露宴に出席しない未来を作る方が、

 よっぽど簡単だという事だ」

「どういうことですか?」

「本来人間には、忘れるという便利な機能が付いている。

 過去のお前が、彼女の事を忘れる事ができれば、今みたいな辛い思いをせずに済むとは思わないか?」

「忘れる?」

「もう二人は付き合ってるんだろ? もうここまで来てしまったら、忘れる努力をした方が懸命だと思うがな…

 このキャビア貰うぞ」

「あー」

「このキャビアがそんなに惜しいか? じゃ、過去に戻って、恋もキャビアも、綺麗さっぱり忘れちまえ」

「えー」




「一番辛い道を選んだな」

「え?」

「やりようによってはあの時点で、彼女と大きく距離を置く方法もあったわけだ」

「ですね」

「だが、結局おまえはここで、彼女のウエディング姿を眺める未来を選んだわけだ…

 おまえの辛い旅も、いよいよフィナーレだな」

「どういうことですか?」

「次のスライドが、最後だ」

「最後?」

「フィナーレにふさわしく、彼女がプロポーズを受けた日というわけだ」




【第9話】


「本当に無駄だったと思ってるのか? おまえは何の為に過去に戻ってる?」

「後悔している事を、やり直す為です」

「この写真の日に、後悔はないのか?」

「ありますけど…」

「これが、最後の写真だぞ? 彼女の隣に座れるかどうかは判らない

 ただ、一つだけ確かな事は、チャンスはあと1回しか残されていないという事だ。

 お前にチャンスを与えた事を 俺に後悔させないでくれ」

「最後の晩餐は、豪勢に行こうじゃないか」

「あんだけ食ったのに、こんな、ボリュームなの?」

「お前が最後の力を振り絞るなら、俺も全力を尽くす、それが、筋ってもんだろ?」

「そんな筋通さなくても…」




【第10話】


『幸せは、どこに転がっているか判らない。

 思いがけない幸運は、思っている以上に身の回りで起こっているのかもしれない。

 予期せぬ幸運を掴むには一つだけ条件がある。

 どんなに不運を嘆いても、全く気分が乗らなくても構わない。

 とにかく、その場に参加する事。

 それこそが、幸せの扉を開ける第一歩である。

 男の名前は岩瀬健。

 最後のタイムスリップを終えたと思いきや、友達の計らいで、

 もう1度、過去に戻るチャンスを得た幸運な男である。

 果たして、この男に、奇跡の扉は開かれるのであろうか』




「でも、まあ、おまえの友達は親切なんだか不親切なんだか判らないな?

 よりによって、こんな日の写真を、用意するんだからな」

「多田さんの晴れ舞台の時の写真ですからね、

 ま、こんな写真ならあってもなくても変わらないかなー、みたいな。

 っていうか、もう結婚式直前の写真ですし…」

「もし、ここから逆転劇を演じれたとしたら、それは驚きというより もはや奇跡だ

 起死回生の逆転ホームランは誰にだって打てるわけじゃない。

 当たり前の話だが、ホームランを打てるだけの実力がなければいけない。

 それともう一つ重要な事がある。

 それは、逆転の場面で、打席に立っているかどうかだ。

 幸運な事に試合が延長になって、もう1度、おまえに打席が回ってきた」

「でも、この前の写真で、僕は完全燃焼しました。 もうやり残した事はありません。」

「無いなら探せ」

「探す?」

「奇跡の扉を探し続けるんだよ、

 どうしても運命を変えたい…

 そう願い続ける事でしか、奇跡の扉は開かないように出来ている。

 奇跡の扉を開ける鍵は、お前の心の中にしか無いんだよ

 お前はそれに気付いていないだけだ

 岩瀬健?」

「はい」

「お前なら出来る」

「もしかして、それ食べるんすか?」

「俺とお前の別れの味だ、思い出が詰まったこの店の料理で締めくくるのも… 悪くないだろ?」




【最終話】



(タイムスリップから戻ってきた健と妖精のシーン)


「何度も言ってきたが…

 おまえが過去でやろうとした事は たかだか過去の数時間を変える作業だ。

 身をもって判ったと思うが、自分の気持ちや考え方ですら そんな短い時間で変えられるモンじゃ無い。

 ましてや他人様の感情だ 変える事は非常に困難だと言わざるを得ない

 過去ではなく、現在で勝負しようって決めたんだろ?」

「ええ、これが本当に正解かどうかは判んないすけど、決めました。

 今まで過去に戻って後悔した事を全力でやり直してきました

 もう後が無いのに最後の一歩が踏み出せなかった事も…

 頭でばっか考えて空回りしていた事も…

 最後の最後まで正面から気持ちをぶつけらんなかった事も…

 結局、自分なんだな…って あらためて実感しました。

 そう思えたのも過去に戻してもらったお陰です 本当に、感謝してます。」

「大事な事は 過去を嘆く今ではなく、今を変えようとする未来への意志だ

 教会で最初に見かけた時とは別人の様な顔してるな?

 あの時は この世の果てから還ってきた様な酷い顔をしていた…

 今は若い頃の俺そっくりだ」

「妖精か」

「妖精に対して そのツッコミは不適切だ」

「すいません」

「不思議なモンで 出来の悪い奴ほど目をかけてやりたくなるものだ…

 歴代、見てきた人間の中で おまえの意気地の無さと往生際の悪さは群を抜いていた

 彼女を想う気持ちも群を抜いていた

 おまえの成長を 俺は心から喜んでいる

 そしておまえのこれからを楽しみにしている

 過去からここへと戻したのは俺からの置き土産だ」

「置き土産?」

「過去に戻って必死にもがき苦しみ

 ようやく辿り着いた答えを披露するに相応しい場所を 俺は用意してやった。

 求めよ さらば与えられん

 訪ねよ さらば見出さん

 扉を叩け さらば開かれん」




(披露宴での健のスピーチ)


多田さん、礼さん 御結婚おめでとうございます。

礼さんとは小学校からの同級生で 学生時代の殆どを一緒に過ごしてきました

昨日、小学校の時の卒業アルバムを開いてみたら…

将来の夢を書く欄に「可愛いお嫁さんになりたい」と書いてありました。

ま、今現在 可愛いかどうかは大いに疑問ですが…

ともあれ、小さい頃からの夢が叶った事を友人としてとても嬉しく思います。


多田さんには申し訳無いんですが、礼が結婚を諦めてくれれば良いと思った事があります。

礼を連れ去ってしまいたいと思った事もあります。

14年間、楽しい時も、辛い時も、苦しい時も…

ずっと一緒に過ごしてきた礼を幸せに出来るのは僕しかいないと本気で思っていました。

気に食わない事があると すぐにふてくされる礼も…

掃除や仕事をサボっているとすぐに怒り出す礼も…

意地っ張りで 全然素直じゃ無い礼も… 一番、知っているのは僕です。

強い人間に見えて 実は繊細な礼も…

自分の事は二の次で 誰よりも仲間思いな礼も…

ユニフォームの洗濯が抜群に巧い礼も…

いつも、ただ傍にいてくれた礼も… 一番、必要としていたのは僕でした。

でも、結局… 心の中で思っているだけで 礼の前では一度も素直になれませんでした。

あんなに傍にいて いつでも言えると思っていた言葉が、結局、一度も言えませんでした。

たった一言が一度も言えませんでした。

僕は… 僕は礼の事が好きでした。


正直言うと 今でも礼の事が好きです。


でも、礼は 今日多田さんと結婚します。

悔しいけど、結婚してしまいます。


礼の存在は 僕の中で凄く大きかったから…

この言葉に辿り着くまでに随分時間がかかってしまいました。


礼、結婚おめでとう 幸せになれよ

幸せになんなかったら… 幸せになんなかったら、マジで許さないからな




(礼のモノローグ)


私の傍には いつも岩瀬健がいた。

私の思い出には必ず 健の姿があった。

健の優しさは いつも、どこか寄り道をして… ちょっとだけ遅れて私に届く。

今なら気づける その不器用な優しさに、あの頃の私はなかなか素直になれなかった。

嬉しいのに、嬉しいと言えない自分が いつももどかしかった。

傷つくのが怖くて最後まで勇気を持てなかったのは… 私だった。

健の優しさを信じ切る事が出来ず、諦めてしまったのは私だった。

もう振り返らないと決めて 一方的に目を塞いでしまったのは… 私だった。


健は いつも本気で投げ続けていた。


受け止めきれなかったのは… 私の方だった。




私達の人生は いつも擦れ違ってばかりだった。

これ以上 擦れ違うのが怖くて もう迷ったり、揺れたりしないと

あの時、決めた筈だった…

もし、もしあの時 自分に素直になっていれば…

ずっと言えなかった一言を…

”好きです”の一言を言えたのだろうか?


(妖精が不意に現れ 礼に語りかけはじめる)


「J・S・ベースという人が こう言っている…


 男は初恋を諦める事が出来ず…

 女は最後の恋を諦める事が出来ない。


 おまえは女であるにも関わらず、初恋を諦めきれないでいる。

 おまえの言いたい事は判っている。

 出来る事なら あの頃に戻って、人生をやり直したい… 違うか?


 ひとつ、非常に為になる話をしてやろう

 ある一人の男が 悔やんだ過去をやり直す旅に出た

 男は必死で過去を変えようと努力したが、奇跡の扉が開く事は無かった。

 旅の果てに男は気づいた

 いくら過去をやり直しても自分は自分でしか無いんだ…と。

 そして、思った。

 過去を嘆く今よりも 今を変えようとする意志が一番、重要なんだと


 今からでも、間に合うと思わないか?




【付録】 礼が紙飛行機にして川に飛ばした手紙


『ケンゾーへ

 はじめて手紙書きます。

 高校でも、また私たち一緒だね。
 合格発表のとき、自分のより、ケンゾーの番号の方が気になりました。
 番号を見つけたときは、本当にうれしかったです。
 口では、何で高校も又一緒なの、とか、真似しないでよ、とか言ってるけど。
 会うと、なかなか素直になれなくて、あんな言い方になっちゃいます。
 許してください。ごめんね。

 小学校3年で転校してきたとき、消しゴムなくって困ってた私に、
 半分くれたの覚えてる?
 あの日から、私にとって岩瀬健は、ケンゾーっていう、特別な人になりました。
 出会った頃からずっと、側でケンゾーを見ていました。

 野球が好きなのに、あんまり足が速くなかったり…

 一杯食べると、すぐにお腹壊したり…

 私にすぐムキになったり…

 本当は優しいのに、そっけないフリをしたり…

 ケンカもいっぱいしたし、頭にくることも沢山あったけど、
 ケンゾーは、私にとって、ずっと、ずっと一番大切な人です。
 大切なので、言わなくていい事も、ついつい言っちゃいます。

 だから、本当に言いたかったことが、どんどん言い辛くなってしまいました。

 ケンゾーと、今までどおり話せなくなったら嫌だなって思ったら、
 なかなか言いたいことが言えませんでした。
 
 でも今日、言います。

 ケンゾーの事が、ずっと好きでした。

 ケンゾーの事が、大好きです。』


お駄賃

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コメント

 ブタネコさん、この物語についてあれこれ多くを
語るより、妖精の言葉に絞ったのはナイスセンス
です! 私も毎週、バカケンゾーを罵倒しながら
月曜9時を楽しみにしていましたが、レイが指輪
を見ている時のケンゾーの自爆には一気に興奮
高まりましたよ。

 妖精、実に心憎い存在でしたね・・・。フジッキ
ーも最期のカフスボタンでは、やってくれました。

★ FORREST さん

へぇ… FORRESTさんも御覧になってたんですか^^

私は台湾の「プロポーズ大作戦」のファンなんです。
もしよければブタネコさんさんの
この文章を転載してもいいですか。
ありがとうございます。
すみません、私の日本語はよくないんですが ...

★ momo さん

はじめまして^^

転載の件 ご自由にどうぞ^^

【※注意!!】

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