● 第8章 トヨ○ vs ブタネコ PART-3
愛車でトヨ○の販売店に行き、ショー・ルームに入る。
車屋のショー・ルームに入るのは 実に数年ぶりの事なのだが、この数年の間に 車メーカー各社はそれぞれ激変し、扱い車種も大きく様変わりした事もあって まるで別世界の光景だった。
とりあえず、カタログも貰っているし 見積もりも熟読しているので ショー・ルームの一角に展示されている目的の車をすぐに見つけた私は その車のそばに行き、ドアを開け運転席に座ってみたり、フロントを開けてエンジン等 駆動系を目で確認してみた。
すると、いつの間にかスッと営業マンが音も立てずに 私の横に立ち、ひとしきり眺めている私に
「この車は燃費が とても良いんですよ…」
と、さりげなくセールストークを喋り始めた。
本当ならば その時に、最初に我が家に来た営業や 問題の営業課長の名前を告げて呼び出せば良いのだが、私は そんなに甘くない。^^;
その見知らぬ若い営業に 好きな様にセールストークをさせながら、合間に
「コーヒーぐらい飲ませてよ」
「タバコ吸いたいんだけど 良いかなぁ?」
いつしか、私と その営業マンは ショー・ルームの別の一角にある商談席に移動し 営業マンはカタログや いくつかの書類をテーブルの上に置いて私から希望のオプションなどを (その営業マン)本人は巧みな話術で私から聞き出しながら アッという間に目の前で見積書を作成していく。
で、その作業も終盤にさしかかり…
「お客様 仮に、今回、ご購入となりますと お支払いの方法は…?」
と、聞くので
「現金一括、経費先払いの納車時に残金で どう?」
と、応えると
「ええ、結構です。 で、値引きなんですが…」
と言うので
「ちまちました駆け引きは嫌いだから 最初から目一杯の数字を出してね^^
それに対して 私はYESかNOの2者択一。
もし、NOの場合は この場から とっとと帰って、二度と商談はしないから
その辺、腰を据えて 数字を出して頂戴。^^」
営業マンは 一瞬、困った表情を浮かべたが…
ニコッと笑うと
「では、この場で御契約であれば…という条件をお許し頂けば この数字で如何でしょう?」
と、電卓の数字を私に見せ その数字を見た途端、私は固まった。^^;
営業マンは そんな私に 尚更の笑みを投げかけ、
「目一杯の数字です。 おそらく、こんな値引き額は二度と出ませんよ^^」
と、自信満々。
たしかに、その通りだと思った。
その営業マンが電卓で示した数字は 数時間前に我が家に営業課長から送られてきたFAXの値引き額よりも5万円多かったのだ。^^;
私は つとめて冷静になろうと努力しつつ その営業マンに
「うん、良い数字だね^^ じゃ、それ 見積書に書き込んで合計金額も出してくれる?」
そう言うと、一瞬「一丁上がり」みたいな会心の笑みを浮かべ 営業マンは書類を書き上げた。
私は 書類に数字が書き込まれるのを目で追いながら確認すると、ちょうど横を通り過ぎようとしていた女性社員に
「あ、ちょっとキミ 悪いけど、営業課長の***を呼んできてくれるかい?」
と、声をかけた。
「はい、畏まりました」
と、女性社員は奥に消え、視線を前に戻すと さっきまでの営業マンがキョトンとした顔で
「課長を御存じなんですか?」
と、聞くので
「うん、知ってるよ。 でも、あと数十分で それは過去形の思い出に変わるけどね」
と、ニコッと微笑む私。^^;
数分後、最初は横柄に しかし、私の姿を見た途端に卑屈な笑みを浮かべたスーツを着たネズミが小走りに寄ってきて
「ブタネコさん、お越しになるんでしたら ひと声かけてくだされば…」
と、今にも揉み手をしそうな勢い。
「嫁にね、ちゃんと現物を確かめなくて良いの?って注意されてね」
「ええ、ええ 御覧になれば、またお気持ちも… はい。
どうです? なかなかシッカリ出来てますでしょ?」
そう言うネズミの話の腰を折り
「あぁ、たしかにシッカリ出来てるね… FAXで寄越した見積書^^;」
すると、ネズミの目が点になり
「何か、問題が?…」
「”問題が…” じゃないな、”また、問題が…”の間違いだな^^」
私は たった今、別の営業マンが書き上げた見積書の下取り金額を指でトントンと示し
「この営業さんの目一杯の数字は これなんだそうだ。
この数字と、キミ(ネズミ)が さっきウチにFAXしてきた数字を比べて御覧」
ネズミは見積書を見つめたまま固まっていた。^^;
「事務長が救急車や介護車両の見積を”良い数字に訂正してきた”って喜びながら
キミを勘弁してやってくれ…って俺に言ってたんだ。 アイツは優しい先輩だな^^
しかし、裏切られているって知ったら… ま、俺には どうでも良い話だな。^^」
私は 目の前の営業マンに
「無駄な時間を付き合わせて悪かったね。
しかしながら、私にとっては とても貴重な時間を過ごせて感謝するよ
なぜなら、キミのお陰で このバカ(ネズミ)に無駄な金額を支払うところだったからね^^;」
そう言うと、ショー・ルームを後にした。
真っ直ぐ、自宅に戻るには なんか気分がスッキリしない。
なので、私は モノはついでだ…と ○産など別のメーカーのショールームを数件ハシゴして、とても営業マンと話をする気にはなれなかったので ただ、車を見て回るだけにした。
で、どこの車も似たりよったりな事を確認しただけに終わる。
そんな事で 数時間を費やし、すっかり夕暮れになってしまったので、自宅に戻った私だったが…
「最終章 二代目開業医 vs ブタネコ」に続く…


