● 第7章 悶々とするブタネコ
激動の一日を過ごした翌日は、まったりとした朝だった。
庭に面したリビングの窓を開け、猫達の爪を切り ひょうたん梨の木にとまったスズメ達がチュンチュンとさえずる声を聞きながら 私の横で丸まっている猫に
「おい、チュンチュン(スズメ)が一杯居るぞ」
なんて話しかけても 猫は面倒臭そうに大あくびを一発かまして 再び、丸まってしまう…
これじゃぁ、まるで爺ぃだな俺は…と、急に自己嫌悪に襲われ…
「昨夜のショータイムは どうだったのかな?」と、朝一番で「二代目」の病院に電話をかけたところ 事務員さんに「院長は急病で 今日は休みです」と言われ、代わりに出た事務長が
「昨日、凄まじいぐらいに盛り上がったらしくて 相当な二日酔いらしいです。^^;」
と言う。^^
「ところで、ブタネコさん トヨ○ 相当、やり込めたみたいですね?
ブタネコさんとこからの帰りに寄った後輩が かなり凹んでまして^^
なんとか、救急車だけは頼む…って 必死に泣きついてましたよ」
「あ、そうなの?
”徹底的に口を挟んでやる”って彼には言っといたけどさ
別に、俺は口を挟む気無いから 気にしないで そっちの判断でやってね^^」
「いや、お陰さんで 救急車と介護車両の見積もりを再提出しますから~って
言ってたんで 少しは言い金額に引いてくると思うんです。^^
ありがとうございました。^^」
「ふぅん… 結果オーライなら それで良いけどね」
事務長との話を終え、次に 弁護士の事務所に電話をかけてみると…
顔馴染みのイソ弁(居候弁護士:若手の弁護士の事)が
「先生は 急な調べ物があって今日は事務所に来ないそうです…
っていうのはタテマエで、ブタネコさんだから言っちゃいますけど
相当、重傷の二日酔いですね アレは^^」
と言う。^^;
で、まさかと思って教授の研究室に電話をしたら…
「教授は過労で倒れたみたいで とりあえず、今日は自宅で静養…との事です。^^;」
と、電話に出た大学院生に言われた。^^;
( ”飲み過ぎ”を”過労”って言ってやがんのか? > 教授 )
おいおい、全滅かよ…
どんな騒ぎ方をしたんだ アイツら…^^;
すると、珍しく「腕力だけが取り柄の歯科医」から電話が入り…
「いやぁ、昨日は 久しぶりに楽しかった^^
ありがとう、オマエ(ブタネコ)のおかげで 本当に良い夜だった~」
歯科医は まだ酔っぱらってた。^^;
「あ? なに、オマエもショータイム参加したの?」
「うん、したした^^
いや、もう最高 泣いたね、いや笑ったよ いやいやいやいや んもう とにかく最高!!」
朝だというのにロレツが回ってない。^^;
ただ、その酔っぱらいの話から想像すると 歯科医だけじゃなく、「一級建築士の資格を持った詐欺師」までもが参加しており、高級クラブのVIP席でホ○ダの部長に裸踊りをさせ、ホストクラブ並のシャンパンタワーを無理矢理、決行し 最後は皆が肩を組んで泣きながら柴咲コウの「かたちあるもの」を大合唱したそうだ。
何やってやがんだ? アイツら… orz
午後になり、まず最初に電話をかけてきたのは ホ○ダの営業部長だった。
嗄れた声の感じから、「あぁ、コイツが昨夜、裸踊りをさせられた…」と察しがつく。^^;
営業部長氏は、最初から低姿勢で
「昨日は ウチの営業が大変御無礼を…」
と、詫びた。
それに対して、私は
「あぁ、実に不愉快だったよね」
と、不機嫌に言うのみ。
「お聞き及びかと思いますが、昨夜 御紹介して下さった**弁護士先生には…」
「ああ、さわりだけ聞いたよ」
「そうですか、で、あらためてブタネコ様にお詫びを…」
「ふぅん… なんで?」
「ですから、お詫びを…」
「あのさ、最初にひとつ聞いておきたい事があるんだけど…
昨日の一件で 最も不愉快だったのは誰だと思う?
1.俺(ブタネコ)を紹介して恥をかいた弁護士
2.馬鹿な部下の不始末で 接待させられた営業部長
3.小生意気な営業マンに不意打ちをくらった客
さて、1~3番から 不愉快度の有線順序をつけてみてよ」
「 … 3番のブタネコさんかと…」
「え? そうなの?」
「はい」
「だったら、営業部長が上司として まず、すべきなのは弁護士への接待じゃなくて
ブタネコへのゴメンネ… じゃないの?」
「…」
「夕べ、ずいぶん楽しかったみたいだね?
参加した連中、みんな二日酔いで寝込んでいるみたいよ^^;」
「はぁ…」
「下世話だけどさ 夕べの接待に いくら使ったの?」
「え、いや…」
「別に、貴方から聞かなくても 誰かに聞けば直ぐ判るからいいけどさ」
「70万ちょっと… ですか…」
「ふぅん… それって経費で落ちるの?」
「いえ、全部は無理かと…」
「例えばなんだけどさ、昨日のうちに 俺に…
ま、70万とは言わずとも 50万引きみたいな見積もりを持ってくる事は出来無かったのかな?」
「え? あ、結果論的には…」
「うん、そうだよ もちろん結果論さ
でも、考えて御覧よ
それぐらい思い切った条件出せば 充分に”ゴメンナサイ”って事にならない?
しかも、稟議書一枚で楽に済む話じゃん ”接待費70万”に比べれば^^」
「はぁ…」
「根本的に 謝るべき相手と、謝り方を間違えているよね?
君らが どんなに楽しい思いをしても、俺への慰めには何もなっていないんだもん」
「はぁ…」
「と言うわけで、別に気にしなくて良いよ
俺は この先、死ぬまで”ホ○ダはクソ会社”って怒り続けるから^^
と言っても それで どうこう揺らぐ屋台骨じゃないでしょ? 天下のホ○ダさんは
だから、謝りに来なくて良いし 必要も無い
どんなに詫びられても ホ○ダの車は買わないから、意味無いよ」
そう言って 私は電話を切った。
で、一服していたら 今度は病院の事務長から電話。
「今ね トヨ○の… ええ、あの後輩が来てまして
まぁ、ホントかよ?…って値引きの見積書を 持って来たんですよ^^
この野郎、ほんと、ボッてたんですねぇ… 今までの見積書^^
まぁ、数字的には悪く無いんで ウチは これでいいかぁ…って感じなんですけど、
ブタネコさんのとこ ちゃんとして貰わないと…」
「ん? まだ、ウチに売りたいってか?」
「怒らしちゃったままですからね^^; マズイでしょ^^」
「ま、見積もり持ってくるだけなら面倒臭いから オマエのとこからFAXさせとけよ
気が向いたら後で見ておくから。^^」
「はい、判りました。 そうさせますね」
電話を切って数分後 ジーという音がしてFAXが受信。
確かに、値引きの金額が前回の5割増しになっており、下取りなどは無記入で オプションも言った通りになっている。
まぁ、普通の状態で見たら この見積書は決して悪くない… いや、むしろ好条件だろうと思う。
タバコを吸い、コーヒーを飲みながら車のカタログと見積書を見比べて小一時間過ごしていたら…
嫁が 自分の愛用のマグカップにコーヒーを入れ、私の隣りに座ると
「その車を 買ってやるの?」
と、聞く。
「いや、買うとは決めてない。
でもなぁ、条件的に悪くは無いとおもうんだよね…」
「だよね… って、なんかノリ気じゃ無いんだ?」
「うん、なんか釈然としないんだ。^^;」
「ふぅん…^^」
「娘達はさ 本当に、車の好みっていうか、希望 無いのかね?」
「あ、それは無いみたいよ。
私も、何度も聞いたし、希望があるのなら
今のウチにお父さんに言っちゃえ…って そうも言ってるのよ。」
「そっか…
それにしても、何て言うか”コレだ!!”って車が無いんだよね」
「へぇ…、珍しいね アナタが迷うなんて^^」
確かに、嫁の言う通り。
自分で言うのもナンだけど 私は即断即決なんだ、殆どの事は。
しかし、今回ばかりは 何か、踏み切れないんだなぁ…^^;
「いっその事、ショップの展示車を見に行ってくれば?
家の中で”ウー”って唸ってても仕方が無いでしょ?」
そう 嫁に言われ、「それもそうだ、現物を見ないとな」と 私は外出する事にした。
「第8章 トヨ○ vs ブタネコ PART-3」に続く…
