● 第3章 トヨ○ vs ブタネコ
トヨ○から送信されてきたFAXを眺め…
「なんだコレ?」
と、思った私は 再び、コードレスの子機を取り上げると FAXに記載のある車屋に電話をかけた。
すると、午前中に我が家に来た営業マンは接客中との事で その上司と名乗る人物が代わりに電話に出た。
「***病院の院長先生から御紹介のブタネコさんですね、
どうも、いつも 院長先生には御世話になっておりまして…
この度も御指名に預かり…」
長い挨拶が嫌いな私は 上司の(営業課長)の挨拶もロクに聞かず
「あ、こちらこそ 突然ですいませんね
ところで、先程 見積もりのFAXを貰ったんだけど…」
「あ、ちょっとお待ち願えますか? 私も そのFAXを…
あ、どうぞ 今、手許に… はい、拝見しております。」
「ちょっと いくつか尋ねたい点があるんだけど…
まず、下取り費用云々という項目欄なんだけどね」
「あ、はい…
既にシーマとアウディをお持ちなんですね?」
「そうそう、私の愛車のシーマと 嫁のアウディがあるんだけど、
それぞれ、個別に御丁寧に下取り価格が記入されているんだけどさ…」
「ええ、あ、この下取り値段がお気に召しませんでしたか?」
「いや、価格が問題じゃ無いの。
あ、あのね?
さっき 院長から電話で聞いたんだけど、貴方は事務長と個人的な知り合いでもあるんだよね?」
「ええ、事務長さんは 高校の時の部活の先輩なんです。」
「そっか、じゃ ざっくばらんに話させて貰うけど… 君の部下はアホか?」
「え? 何か失礼な真似を…」
「おいおい、もしかして 君もアホか?」
「え?」
「見積書の その下取り欄をよく御覧よ
アウディとシーマと 両方の下取り価格…
そうそう、その金額よ
どっちもさ、その見積書で買おうとしている車の値段よりも下取り値段の方が高いだろ?
って事はだ、見積書通りに どちらかの車を下取りに出して その車を買おうとしたら
ウチが金払うんじゃなくて キミんとこの車に差額の現金がついてくる…って事だよな?」
「あ!…(しばし無言^^;) いや、たしかに稀に そういうお客様もおられ…」
「俺は”稀(まれ)”か? …ってか、落ち着いて よく考えてみなよ
2・3百万以上で売れる車を下取りに出して 2百万前後の車を買う奴がいるか?
言い換えれば、フル装備のシーマを売って カローラなんとかに買い換える奴がいるのか?」
「あ、いや… ご・ごく稀に…」
「しかもだぞ、下取りが無い場合…って 見積書の下の欄にさ…」
「はい」
「”ローン払いを御希望の場合は 事前審査が…”って 備考欄に印刷じゃなくて 手書きで書き込んであるよな?」
「ええ、たしかに…」
「まず、第一に 必要なら病院の事務長に電話をして確認してみな
俺は 君が紹介された病院の医療法人の理事の1人なんだけど…
わざわざ手書きで事前審査云々言われなきゃならんほど社会的信用が欠落してんのか?」
「えっ!…」
「第二に わざわざ頼みもしないのに下取り査定してくれたシーマとアウディ
現金払いで買ったんだから残債なんか無いんだよ、その辺 調べようとしないで
カローラなんたらをローン払いで買うなら…って 手書きの御注進
これって、「失礼」を通り越して「無礼」じゃねぇか?」
「いや… あの…」
「第三に 受け取り方によっては そこまで小馬鹿にしておいてだ、備考欄のさらに下に
”***病院さんの御紹介なので 特別にスタッドレスタイヤ四本サ-ビスさせて頂きます”
…って 何だこれ?」
「いえ、それは ***病院さんには いつも御世話に…」
「シーマやアウディを現金で買う奴がだぞ
”え? タイヤ四本貰えるの? ラッキー、じゃ、直ぐ 買っちゃう…”
って言うのか? あぁ?
”ついでに、愛車セットとフロアーマットも…”
って懇願するのか? よ?」
「ちょ・ちょっと、お待ち下さい 今、先程お伺いした担当の営業の手が空きましたので…」
「コノヤロウ、今更 部下に責任回避してどうすんだ?
間違って電話に出ちゃったんだから、最後まで尻を拭け!!」
「あ、はい…」
「あのね…
誤解の無い様に言っておくけど、院長から”セコイ値引きはしてくれるな”って ちゃんと言われてんのよ
元々、そんな気なんか無いしね。
それを最初から 空回った見積書を寄越してどうするの?」
「いや、実は いつも院長先生から値引きやサービス品に関して 厳しく御指導を頂戴しておりまして…
ですから、今回も 当初から抜かりの無い様にですね 配慮したのではないかと思われ…」
「それって、”院長ったら いつもセコイんだもん”って事だな?」
「え? あ、いや… そんな意味では」
「意味だろ?」
「はい」
「ん、判った それは聞かなかった事にしてやるよ^^;」
「すいません… どうすれば、宜しいでしょう? 早速、これからお詫びに…」
「詫びなんかいいよ^^;
当たり前の値引き額で良いし、タイヤとか貰っても”特別”とは感じないって事を
判ってくれれば、それで良いの。
重要な事は、ウチの大事な娘達が乗る車なんだよ
事故になりにくい為のオプションとか、
万が一の場合の ホラ、
前後左右から包み込んじゃうエアバックとか、
そういうオプションをフル装備で計算し直してよ
消しゴムみたいなスタッドレスタイヤなんかを貰うより、
そっちの方がはるかに重要なんだから…」
「あ、なるほど それは… はい、畏まりました。」
電話を切って コーヒーを飲みながら一服していたら 今度は「某国立大学教授」が電話をかけてきた。
「よぉ、弁護士からさっき電話が来て…
今晩 ***(二代目開業医や弁護士が入り浸っている高級クラブ)で
面白いショータイムがあるから来いって言われたんだけど…
オマエ(ブタネコ)は行くの?」
「行かない。
それどころじゃ無い。」
「そっか… そりゃ残念。^^;
ところでさ、車を買おうとしてる…って話も聞いたんだけど ホント?」
弁護士の野郎… ホントに暇なんだな^^;
「うん、娘達のをね…」
「だったらさ… ○産の営業の ホラ、俺やオマエが車を買った… アイツにも 一声、かけてやれば?」
「え? あぁ…
最初、それ考えたんだけどさ
なにせキッカケが”石原さとみ”のトヨ○のCMだったんだよね…」
「つい、この前 ウチの車が車検でさ 奴に会ったんだけど…
あまりにも車が売れない…って 暗く凹んでたんだ」
「凹んでるなら、車屋なんだから板金して貰えば良いじゃん」
「バカ、シャレになんねぇよ^^」
確かに、気にはなっていたのだ。
長い付き合いだし、随分とサービスもして貰った奴だから…


