● 第2章 友人 vs ブタネコ
興信所員が帰ると 私は再びコードレスホンの子機を取り上げ「気の弱い弁護士」に電話をかけた。
「よぉ、さっきの あの営業マン どうした?」
と、私が聞くと弁護士は笑いながら
「やっぱ、小生意気だったか?」
と言う。
「久しぶりに ”買っていただく”じゃなくて”売ってやる”営業マンを見たぞ」
「あの野郎さぁ…
前に、ウチの顧客を紹介したら その顧客が俺に頭が上がらないのを良い事に
ずいぶんと調子に乗った真似したらしいんだよ
いつか、シッポを捕まえてお灸を据えてやろうと思ってたんだよ
だから、今朝 オマエ(ブタネコ)を紹介する時に 調子に乗り易いように
”このブタネコって奴は 俺の言う事をナンでも聞く奴”
って わざと強調しておいたんだけどさ…」
「だろうな^^ 判りやすい奴だったぞ
本当にオマエと懇意なら 俺や二代目開業医との関係を噂ぐらいは知ってる筈だし
第一、オマエが”買わなくていいから商談だけ”って言った時に
なんか企んでんな…って判ったもん^^
しっかりと脅かしておいたから あとは好きな様に料理してくれ^^」
「悪かったな^^
余計な予備知識を先に言うと オマエ、ネタバレ嫌いだから怒るかと思ってさ…
ま、あの営業の上司 本当に俺に逆らえない奴だから
そいつがさっき電話を寄越して”何かあったんですか?”って聞くからさ
”とんでもない事してくれたおかげで大変だ”って言っておいた
とりあえず、今晩 ***(二代目開業医や弁護士が入り浸っている高級クラブ)に
呼びつけておいたから 今夜はそいつの勘定持ちで豪遊だ あ? オマエも来る?」
「行かない。
それどころじゃ無い。」
「で、興信所の連中 行ったか?」
「おう、来て ちょっと前に帰った。」
「連中使って 何するの?」
「娘達の通勤に こっそりとガードさせて痴漢野郎を懲らしめる」
「ブヒャヒャヒャ(笑い) パパ 激怒状態なんだ^^」
「あたりまえだろ」
「嫁は? その事 知ってるの?」
「知ってるよ」
「へ? 何も言わないの?」
「言わない。」
「うわっ! 嫁さん黙認…って事は 嫁も激怒状態だ^^;」
「うん、たぶん。
だから、俺は車を買わされる^^;」
「そりゃ、相当アレだ^^」
「そうだよ、だから 例の営業マンにトドメ刺したのも嫁だよ」
私が その顛末を気の弱い弁護士に話すと
「ブヒャヒャヒャ(大爆笑)
そっか…、あの上司のビビリぶりには そういう裏があったのな…
判った、今晩 キッチリと料理しておくから^^」
弁護士との電話を切ると 入れ替わりに「二代目開業医」から電話が入る。
「さっき、”気の弱い弁護士”から電話が来て
今晩 ***(二代目開業医や弁護士が入り浸っている高級クラブ)で
面白いショータイムがあるから付き合え…って言って来たんだけど
オマエ(ブタネコ)も行く?」
「行かない。
それどころじゃ無い。」
奴らも 相当、暇なんだな… orz
「で、車屋からも電話が来てさ… なに、娘達への車を買うんだって?」
「あぁ、そうだよ」
「で、弁護士からも聞いたんだけど…
娘達が痴漢に遭ったから 痴漢除けに車は買うわ、
興信所の人間使って痴漢狩りしようとしてるんだって?」
「とりあえず、ガードだよ。
間違って捕まえた日にゃ そん時はアレだ」
「相変わらず、度の越したバカ親父だな^^」
「ん? なんだ、コノヤロウ 八つ当たりされたいのか?」
「いらねぇよ そんな八つ当たり^^;」
そんな話をしている最中に FAXが受信状態になり、数枚 吐き出したので取り上げると それはトヨ○からの見積書
で、二代目開業医と電話で喋りながら 文面に目を通していたら ある部分の記述に私の目が止まる。
「なぁ、オマエ(二代目開業医)が紹介してくれたトヨ○の営業なんだけど…」
「ん? どうかしたか?」
「これ、オマエと どういう付き合いだ?」
「あぁ、そこの営業課長が弟(二代目開業医の弟で病院の事務長)の後輩なんだ
その関係で病院で使ってる車の殆どは そいつから買ってる… それが、どうかしたか?」
「今、見積もりのFAXが来たんだけど ちと、気に入らない これ、締め上げてもいいか?」
「別に構わんよ オマエがやるぶんには 何やっても事務長(弟)は文句言わないだろうし…
ただ、オマエは絶対にしないだろうけど、セコイ値切りだけは勘弁な^^;」
「うん、値切ってどうこう…って気は無い^^;
…って 値切り魔王のオマエ(二代目開業医)に言われたく無いけどな」
「何、言ってんだよ 俺は院長として病院の経費節約をだな…」
「値切って業者を泣かせた金で 看護師の美容院代やコスプレ費用を賄ってる…てか?」
「それはオマエ、福利厚生として当たり前の事をだな…
基本的にアレよ、ウチの病院のスタッフは家族同然だから…」
適当なところで電話を切った私は 腰を据えてトヨ○からの見積書をジックリと確認し、あらためて思った。
「なんだコレ?」と。


