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2007年04月06日

● O弁護士の話(その3)


ふと、思い出したので喫茶「職安」の常連だったO弁護士の話を述べてみようと思う。




私達、喫茶「職安」のバイト学生達が高校2年になった頃…


O弁護士は その時に たまたま店にいた私と雑談を始めたのだが、その時の会話を ちょうど今時期だった事もあって 毎年、春になると思い出す。


「なぁ? ブタネコ君、君は 将来、どんな職業につきたいんだ?」


「漠然とだけど…、なりたい職業は二つあります。」


「ふむ、そうか… で、君は その仕事に就くために進む大学を選ぼうとしているのか?」


「いえ、まだ 何処に行けるぐらいの成績かも判らないので 大学は行きたいけど、何処の大学…ってのは決めてません」


「ふむ、でもさぁ… その辺の札幌にある私大とかじゃ無いんだろ? 国立大とか 私大でも東京の六大学とか…」


「そうですね、出来ることなら六大学に行きたいですね」


「じゃ、ひとつだけ アドバイスをしておくけど、もし、東京の六大学を狙うのなら せめて、

  ”もしかしたら東大に受かるかも…”

 って位の成績 つまりは、東大受験を目標にするぐらいの姿勢で勉強しなきゃダメだぞ」


「え?」


「仮に、”早稲田に入りたい”って奴は”早稲田に合格する”為の勉強しかしないけど、

 本当に早稲田に合格する奴ってのは 東大や京大に入っても不思議じゃない…って奴なんだよ

 まぁ、学部にもよるけどな」


そう言われて 成る程なぁ…と思った。


その後、時は流れ 大学入試も終わり、バイト学生全員が 各々、志望校に合格した三月の末 O弁護士は 私と後に「気の弱い弁護士」と呼ばれる二人のバイト学生を喫茶「職安」では無く 自分の弁護士事務所に呼びだしたのだが…


まぁ、今から20年以上前の話だから時効だろう^^;って事で述べると…


Oさんは東大法学部に現役合格した「気の弱い弁護士」と なんとか、六大学のひとつに滑り込んだ私に


「オマエ達、二人だけに この爺ぃ(Oさんの事)が内緒で知恵をつけておきたい事がある」


と、前置きした上で


「強かな大人に成る為には大事なモノが3つ有る


 一つは”金”


 二つめは”人脈と言う名のコネ”


 三つめは”説得力”だ。


 でな、一つめの”金”の意味はな


 ”金があれば 何でも買えるし、何でも出来る”…って意味じゃ無い


 もちろん金は多く持つにこした事は無いけど、一番 重要な事は


 ”金は活かして使え”って事。


 二つめの”人脈(コネ)”ってのはな 札幌という街の範囲の中でだけ暮らしていくのなら

 別に どうでも良い事だけど、日本というレベルで考えた時、東京の大学には全国から人が集まる

 場所だから、そこで知り合いを沢山作るのは 自分の人脈を作るには最高の場所だという事。


 そして、三つめの説得力 これを身に付けるのが実は一番重要なんだけど、それだけに一番難しい

 つまり、同級だけじゃなく 先輩や後輩と人間関係を築く上でナメられちゃダメなのは判るだろ?

 ナメられない為に必要なのは まず、”あいつは 他の奴とちょっと違う”というオリジナリティを持ち、

 経験に裏打ちされた考えの上で意見を言い、行動しろ。




 でだ、ここからが今日、オマエ達を呼んだ本論なんだが…


 オマエ達、バイト学生の友情っていうのかな その絆みたいなモンは半端じゃないのは知っている。


 でも(「気の弱い弁護士」に向かって)オマエは 良い奴なんだけど…

 仲間以外の人間との人付き合いが ハッキリ言って下手クソだ^^;


 ところがな、オマエ(「気の弱い弁護士」)が これから通う東大の法学部ってところは

 実に最高の人脈作りの場なんだ。^^;


 あ、勘違いしないように言っておくけど「東大法学部」が 人間的に素晴らしい奴の集まるところ…って意味では無い

 むしろ、人間的には 世間知らず、モノ知らずで 単に試験の成績が良かった…ってだけの奴が圧倒的に多いトコだ

 でも、日本の社会ってのは 物事の基準が結構デタラメで 試験の成績さえ良ければ、そいつは官僚や

 弁護士や医者や 本来、人間的な優秀さを必要される地位を得られちゃうわけで、言い換えれば

 オマエ(「気の弱い弁護士」)は そんな連中と肩を並べて四年間過ごす事になる。


 それこそが、実は”東大法学部”に入った最大の恩恵だったりするんだ現実ではな


 で、そんなオイシイ場所に行くオマエ(「気の弱い弁護士」)が 人付き合いが下手クソ…ってのは

 実に勿体ない話なわけだ…


 で、ブタネコ君 君にひとつ、内緒の提案をしておく…

 私(O弁護士)が「屯田兵の御隠居」の遺産を管理してるのを君達は知ってるよな?

 で、その管理している中から 少しだけ現金を用意してやるから ブタネコ君は一件辺りの限度額五万ぐらいまで

 って事で「気の弱い弁護士」君の知り合う連中に「金貸し」をやりなさい。


 その金貸しで儲ける必要は全く無いから、金利は高くする必要は無いし、場合によっては 踏み倒されても構わない

 ただし、私が雛形を作ってやるから 借用書だけは必ずキッチリ取りなさい。」




少し、長くなったが その時のOさんは そう言った。


で、四月になり 将来「気の弱い弁護士」と呼ばれる男は東大に 私はとある大学に それぞれ東京に移り、学生生活を過ごしたわけだが…


「気の弱い弁護士」に紹介された…と言って 私の許に訪れる東大生が増えはじめたのは大学の三年ぐらいの頃からだ


私がOさんから言われた「金貸し」とは 今で言う「サラ金」とか「マチ金」では無い。


でも、正式に許認可を受けたわけじゃ無いから「モグリの金融」である事は否定できない。


ただ、誓って言える事は 返済が遅れてもヤクザの取り立てみたいな真似は一度もした事は無く、何件も返して貰えず踏み倒されたものが生じたのだが、その都度 O弁護士に報告すると


「そうか、ちゃんと借用書取ってあるんだろ? じゃ、とりあえず 放っとけ」


と、言われるのみ。


で、Oさんが私に与えた 借用書の雛形(原形)には 通常、金銭消費貸借で用いられる借用書と違う部分がいくつかあり、特に違う部分は「保証人」を記載する欄が無い事。


ゆえに、返してくれなくなったら 本人に請求し続ける他無く、O弁護士は その請求も


「毎月 最低一度はさりげなく請求しろ、でも返ってこなけりゃ それはそれで良い。

 今後も 人間的に友人として仲良く付き合える奴には”○”印

 人間的に付き合う気の持てない奴には”×”印を それぞれの借用書に付箋で付けとけば それで良いよ


 けっして、怒ったり 乱暴な真似はするなよ」


とだけ言うのみ。


四年が過ぎ、私達が大学を卒業する時、約40人が踏み倒し、貸し倒れの総計は三百数十万^^;


四月になり、その殆どが就職して 少しづつ落ち着き始めた頃、O弁護士は 貸し倒れになっている借用書の束を私から受け取り、その全ての人間と弁護士として会い


「基本的には 借用契約だから、元本だけは 即刻 返済して欲しいのだが、直ぐに返せとか、

 何時までに返しますなんて一筆はいらないし、損害遅延金なども請求しない。

 その代わり、借りた金はどんな理由で必要で 何に使ったのかを明記した詫び状を書いてくれ」


と言って、殆どの人間から 新たな一筆を取ってきた。


で、それをファイリングしてコピーを私にくれると


「元書は私(O弁護士)が大切に保管しておく

 オマエ(ブタネコ)には コピーを渡しておく

 で、今後は それ請求せずに放っておけ」


と言うので


「それじゃ、三百万近く ドブに捨てるのと同じになりませんか?」


と、私が言うと Oさんは笑って


「大丈夫だよ 早けりゃ10年も経たないウチに3百万以上になって還ってくるから」


と言った。




話が長くなるので結論から言えば 3百万どころか、数千万になって7・8年後には還ってきたし、その後も 実に役に立っている。^^;


どういう事かと言うと…


大学を出て7年後、私は喫茶「職安」の常連であるN専務やO弁護士が集って「屯田兵の御隠居」の遺産を管理する会社を引き継ぎ、その関連で 不良債権の処理や倒産整理などを主な仕事の会社を経営する身になっていたが、まだ30歳前の若造だった事もあって、N専務やO弁護士の後ろ盾が無いと何も出来ない小僧だった。


「気の弱い弁護士」も司法試験に通り、既に弁護士として資格を得てはいたが O弁護士のもとで修行中の身。


そんな時、茨城のとある地方都市で倒産した会社の整理を請け負う事になり、その作業をしていたところ 倒産会社の本社社屋である土地・建物の不動産は 担保価値に対して銀行からの借入金が少なく、売却処理をすれば差額を回収できる事が判明したのだが、貸し付け元である地方銀行が 売却処理に何故か合意せず、作業が立ち往生した。


その時に O弁護士が「そう言えば…」と 大学の時の貸し倒れファイルをパラパラとめくると「お、いたいた」と嬉しそうに言う。


そう、東大生で その時に5万円を踏み倒した奴が その地方銀行に就職していたのだ。


調べてみると 本店の営業部で30代前にして既にそこそこの肩書きに出世している。


で、早速「気の弱い弁護士」は その元・東大生を訪ね 売却処理に関してOKが貰えるように協力してくれと頼み、1ヶ月後にOKが出た。^^


「気の弱い弁護士」は 元・東大生を訪ねる際にO弁護士から


「オマエよぉ 学生の時に俺が友人に口をきいて借りた5万円 踏み倒したんだって?」


を、殺し文句に使えと言われたのだそうだ。


その元・東大生は 卒業時にO弁護士に対して差し出した詫び状に 借金の理由を「競馬に負けて」と書いていたのも キメ手のひとつ。


エリート銀行マンが ギャンブルに投じた5万円を借りて踏み倒すのはシャレにならないもんね。^^;


我々は その売却処理で300万円をはるかに上回る回収に成功した。


たった、一件の借用書だけで四年間の貸し倒れを精算した瞬間でもある。


その後も、似た様なケースがいくつかあり 三百数十万の投資は何倍にもなって還ってきた。


貸し倒れファイルにある約40人 卒業して25年以上経った今では殆どが「ホントかよ」と言いたくなる地位や役職にある。


まぁ、日本という国が どれだけロクでもないかを如実に語るひとつの証拠とも言えるわけだが…


これは 冒頭でO弁護士が 私と「気の弱い弁護士」が高校を卒業した時に言った言葉の中にある


 一つは”金”


 二つめは”人脈と言う名のコネ”


 三つめは”説得力”だ。


3百万をドブに捨てたのでは無い、見事に活かした「金」


それにより、正常では無いが”コネ”を築き、「殺し文句」という説得力を発揮した。


これは、誰が見ても けっして「正しい」カタチでは無いが、私としては非合法とも思っていない。^^;


これが 実際に私の関わった「現実」なのだ。^^;


今、思えばなんだけど O弁護士も 運送屋のN専務にしても 他の喫茶「職安」の常連達も 真剣に我々バイト学生をどうこうしようと言うのでは無く、むしろ 遊んでいたんだなぁ… って理解出来る この頃だ。


で、粋なのは「遊ばせて」もらうぶんの 御褒美というか恩恵みたいなものを ちゃんと用意していてくれた事。


おかげで すっかり、ひねくれたオッサンになってしまったけどね。^^;




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 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ムムッ。またひとつ勉強になりました。
喫茶「職安」制覇しました(笑)
ただいまカテゴリー"ブタ猫家”で
家族愛・絆・女について勉強中です。

ブタネコさんへ
なんか、すごい人生を歩んでいらっしゃるようですね。まるで清水一行か高木彬光の経済サスペンス小説を読んでいるようで事実は小説より奇なりで地で行っているようですね。
続編を期待しています。

★ カルチェ さん

>ただいまカテゴリー"ブタ猫家”で家族愛・絆・女について勉強中です。

ダメですね そのカテゴリーは「父の悲哀」を学ぶところですyo


★ タンク さん

いろいろあるから人生は楽しいんですよね^^

面白いですねえ~。借用書の活用法はなるほどなあ・・・って感じでした。
たしかに「正しいカタチ」ではないけど、私は「アリ」だと思いました。
不良債権出して倒産するまで、彼らはバブルで踊って楽しい思いをたくさんしたはず。
そのツケをちょっとぐらい払ってもらえないと困ります^^;(それもどうよ・・・)
まあ、その後に就職氷河期を思いっきり体験することになった世代の愚痴ということで^^;

★ しき さん

>不良債権出して倒産するまで、彼らはバブルで踊って楽しい思いをたくさんしたはず。

う~ん そこは難しいところですね^^;

確かに踊りまくった輩も多いけど、ただ借金を増やしただけの人もいますしね…^^;

でも、一番問題なのは 踊らせるだけ踊らせただけの輩なんですよね。

【※注意!!】

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