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2007年03月22日

● 地下鉄(メトロ)に乗って


映画「地下鉄(メトロ)に乗って」のDVDを入手したので ようやく観る事が出来た。




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上の画像は 私が所有している 徳間文庫 ISBN4-19-890698-X のもので現在は違うISBNになっているので御注意^^


私は 浅田次郎の著作が基本的に大好きだ。


初期の頃の「極道ピカレスク」と呼ばれた作品が 中でも最も大好きなのだが、「ラブレター」「鉄道員」 そして、この「地下鉄に乗って」の様に 時々、グサッと胸を抉るような本を書く。


これはヤラレたなぁ…(ToT)


他の この本を読んだ人の感想を聞くと、この本を駄作と言い切る人もいるし、「わりと面白かったよ」と素っ気なく応える人が多いのだが、私には とてもツボを刺激された一作だった。


その原作を「篠原哲雄」が どのように映像化するのか?


映画化の話を耳目にして以来、楽しみで仕方が無かったわけだが…


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昨年の映画公開時、私は体調不良で劇場に行く事が出来ず、数日前に ようやくDVDを入手したので じっくりと腰を据えて観た。


観る人によって感想は様々だと思う。


年代設定において 役者の年齢設定が変じゃないか?と疑問を抱き それが引っ掛かって「ツマンネ」という感想に至る人も少なく無いかもしれないとも思う。


原作における大事なエッセンスを映像に含んでいないと残念に思っている方も多いだろう。


このところ 原作の人気にオンブダッコで、映像化と言えば聞こえが良いが 中身が薄っぺらで、原作の派手な部分だけを映像にして 物語をツギハギにしてしまったモノが多いから 一見して、それらと同様の感想を抱く事は けっして否定する気は無い。


この「地下鉄に乗って」の原作に対して評価の低い感想を述べる方の話を考えると 主人公が何度か過去にタイムスリップするのと同時に 「みち子」という主人公の愛人も別個に「タイムスリップ」する流れが錯綜して それを理解出来ない事による「ツマンネ」感があるようだ。


たしかに、その点は 私にも理解出来る。^^;


主人公のタイムスリップで見聞した過去のストーリーは物語の柱だから 判りやすい描写ではあるが、原作における「みち子」のタイムスリップ話は 率直に言ってしまえば中途半端と言われても仕方が無い。


だが、ほんのちょっと想像を働かすと その中途半端によって見えないストーリーが実は見えるわけで…


映画化により、「篠原哲雄」は その「見えにくい」ストーリーの部分を 原作とは微妙に違う話と言われる事を覚悟の上で 映像として見せてくれたのだと私は高く評したい。^^


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主人公には 兄が死んだ時以来、父に対して心の中にトラウマが生じ、


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その父が病に倒れ 今度ばかりは もう駄目だ…と弟は告げ、父親を見舞ってくれるように懇願するが、主人公(堤真一)は 会おうという気にならない。


父親に対する 子供のわだかまり…


その原因は 自分の事を語ろうとしない父親にも原因があるが、その原因を知らない子供にも心が擦れ違ってしまう理由となる。


そんな時、


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偶然か、必然なのかは定かで無いが、地下鉄のホームで主人公は恩師と再会し それがキッカケとなった様に


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主人公は過去にタイムスリップしてしまう様になる。


ここで、


  ・何故 主人公がタイムスリップしてしまう様になったのか?


  ・どうして、恩師との再会がキッカケのようになってしまったのか?


この点に関して 実は原作内でもハッキリとは明記されているとは言い難く、読者の想像を喚起する部分でもあり、読者の側が どこをキチンと脳内補完できるか否かで 作品から受ける印象は大きく変わる。


恩師は過去に主人公の父親との接点があり、その時の出来事は その場にいた者しか知り得ぬ事。


しかしながら、それは父親の人間像を語る上で どうしても欠いてはならないジグソーパズルのピースなのだが、黙して語らない父親であるが故に 子供達を筆頭に誰も知らない。


父親と、この恩師と 共に、死期を間近に迎え その事を知らず、誤解したままの次男(主人公)に伝えたかったのではあるまいか? というのが私(ブタネコ)なりの解釈だ。


では、何故、「みち子」もタイムスリップするのか? という点に関しては 私なりの解釈を詳細に述べる事は そのままネタバレをも意味するので ここでは述べたくない。^^;


が、その点が判らない人の多くに共通している点を ヒントとしてひとつだけ指摘しておくと…


DVDでは開始から32分過ぎから始まる


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ここから…


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ここまでのシーンの 堤と岡本の会話をよく聞き、その意味を見終えた後に思い出して考えてみるといい。^^;




さて…、この映画の登場人物だが


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主人公「堤真一」


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主人公の愛人「岡本綾」


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主人公の父「大沢たかお」


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父の愛人「常盤貴子」


この主要なキャスト4人が とてもハマっている。


ま、年代的な背景と年齢設定に違和感が…と批判する人も多いらしいが その点に関しては この作品はノンフィクションでは無く、ファンタジーなんだ…と思えば 目くじらを立てる部分でも無いんじゃないの?と 私は思う。


で、私として 映像に批判をしたい点を挙げるならば 


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このシーンでの 母親と主人公の会話の中で、原作の同じシーンから削られてしまった台詞がいくつかある点。


その削られた部分 ほんの数秒があれば、もっと判りやすい話になったと思えるだけに、何故 削ったのかが不思議でならない。




最後に…


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この作品における「岡本綾」の演技は極めて秀逸だ。


それと


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エンディングに流れるテーマ曲「プラットホーム」(Salyu)が とても郷愁を誘われて 実に良い。




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 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

私は、通勤で20年使っている地下鉄の駅が、この映画(原作)の舞台となっており、特別な思い入れがあります。

映画自体は、悪くはないと思いますが、しかし、絶賛できるほどの切れもなく、65点くらいの映画だなと思っています。個人的に物足りないのは、原作では常に根底にある「地下鉄に対する愛情」が、もう少し欲しかったです。映画の中にも、地下鉄が出ますが、あくまでも大道具でしかなく、いまいち製作者からの愛情が感じられません。 

できれば鉄道オタクの方々の感想聞いてみたい映画ではあります。

あと、オリンピック前の設定なのに、マジソンスクエアガーデンのバックは、明らかに考証ミスです。このあたりに「古く見えりゃ、なんでもいいんだよ」的な、製作側の態度が垣間見えるような気がしました。

★ 訳者 さん

>原作では常に根底にある「地下鉄に対する愛情」が、もう少し欲しかったです。

なるほど、その点は たしかに そうですね^^

私の場合、映画では他の部分に目が行ってしまって どうでもよくなっちゃってました^^;

 

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