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2007年02月19日

● 笑いの大学


2004年に公開された「三谷幸喜」原作・脚本の映画「笑いの大学」を語ってみる。




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率直に言って この作品はとても面白かった。^^


故に、多くの人が褒め称える記事をブログやレビュー・サイトで述べておられるので 私は ちと、違う視点で語ってみたい。


「三谷幸喜」の脚本は 独特の視点の妙と、台詞のかけ合いの妙とがマッチして 他の脚本家とは明らかに作風が違う。


そこが、三谷作品の魅力だと思うのだけど 思うに、それは舞台演劇から培われた技術だと思うのね


事実、『12人の優しい日本人』もそうなのだが、この「笑いの大学」も 元々は舞台劇だった。


そのせいか、


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場面の殆どが、上の様な部屋の一室の中で 役所と稲垣の二人だけで演じられ、それ以外のシーンに関しては 素人見ながら さほど予算を必要としない僅かなセットであり、出演者に


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「木村多江」


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「木梨憲武」(役所の左、シルクハットの人物…だと思う、違っていたらゴメン^^;)


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「加藤あい」(画面右の女給…だと思う、違っていたらゴメン^^;)


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「小松政夫」


等々…とあるが、ほんの僅かな出演シーンしか無い。


でね、そういう全体の作りを見ていて感じた事は これって観賞料を取るべき作品の作りなのかな?って疑問なのだ。


要するに、映画の存在意義って セットや考証に予算が必要であると同時に、撮影期間の確保があると思うのね。


そんな状況を考えれば、約2時間の映像を制作するのに 客から入場料を取らないと興行的に合わないだろうなぁと理解も出来る


しかし、短期間で かつ、低予算で制作されるのであれば TV番組としてスポンサー収入で充分に制作できるんじゃないの?って事。


誤解を招くと拙いので先に申し上げておくけど 「笑いの大学」という作品のクォリテイが低いとは間違っても思っていない。


要するに TVドラマの制作者に対しては この「笑いの大学」以上に予算をかけて制作しておきながら ツマンネェ駄作が多すぎるのは何故?と 問い詰めたく、映画の関係者に対しては 客から金を取る事が前提なのだから 納得させるだけのティストを見せろ…って事を問い詰めたい。


私は未見だが、おそらく この「笑いの大学」は舞台劇としては 相当、秀逸と思える。


ゆえに、舞台を見るために入場料を払うのは 舞台演劇独特の臨場感を楽しめる事も考え合わせた上で 全く惜しいとは思わない。


しかし、映画として… となると、確かに面白かったのだけれど 一般的な映画ならではの予算をかけたスケールの映画と同じ金額の入場料を払う事には「?」と感じ もし、これが2時間モノのTVドラマとして見たのなら 双手をあげて絶賛するだろう…って事を言いたいのだ。


こう言うと、千数百円の映画代をケチケチするセコイ人間と思われるかもしれないけど 私はケチという了見で申し上げている訳では無い。


映画に限らず、対価を要するモノには その価格に見合う満足感や納得感を得させろ…と言いたいのだ。


最近の私が劇場で見た映画で言えば「硫黄島からの手紙」は 結局、2回分 料金を支払って劇場で見たが その代金など全く惜しいなんて思わない。


むしろ、充分に満足も納得も出来、買い得感が大きいし 極端な事を言えば、スケールを考えれば もっと高い料金を要求されても良いぐらいの気持ちですらある。


しかしながら この「笑いの大学」は とても面白く秀逸な作品だけど、スケール的に「硫黄島からの手紙」と 同等の入場料を要求される事に いささか、納得しかねる…という事であり、他の一般的な映画作品に対しては より以上に言いたくなる事なのだ。


まぁ、「面白かったんだから、それに満足して払え」とか、「低予算で仕上げるのも 制作側の技量」と言われれば それまででもあるんだけどね。^^;




ただね、この「笑いの大学」を映画で見る事によって興味深く感じた点で おそらくへそ曲がり的なシーンをひとつだけ挙げておきたい。


それは…


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この上のシーン


3つの画像の違いは 窓から差し込む光りの角度。


これが どういうシーンなのかは未見の方にネタバレになる恐れがあるので触れないでおくが、この演出は「成る程なぁ」と思う反面 見方によっては とても違和感になる演出とも思える諸刃の剣だね




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『三谷幸喜』関連の記事

コメント

こんばんは。

私は「笑の大学」の舞台版(初演)を観に行ったのですが、
言わせてもらいます。
映画より断然オモシロイ!!

再演版「笑の大学」のDVDは発売されてますので
(レンタル屋さんにあるかどうかわかりませんが)
機会があれば是非観て下さい!

ちなみに舞台版キャストは
検閲官:西村雅彦
脚本家:近藤芳正
です。

この映画、私の周囲では賛否両論渦巻いておりました。
私は単純に面白いなと思った口なんですけど^^;
ブタネコさんご指摘の「窓」に関する演出も、なるほどなあ・・・と感心してしまいつつ、ちょっと違和感を感じたのも事実ですし^^;
しかしそれを打ち消すほど、役所浩司の演技が「shall weダンス?」以来のヒットでした。

確か、ロシアでもこの舞台演劇が上演されたんですよね? つい最近まで「検閲」というものがまかり通っていたため、大変反響があったそうです。私はそっちのほうにもちょっと興味があります^^

★ 松子 さん

ほぅ? 舞台版のDVDがあるんですか… 探してみます^^


★ しき さん

私も面白いと思いました。

が、金を取るんなら舞台劇で 取らないのならTVで見たら満足・納得出来たと思うのです。

映画ってのが なんか…^^;

おはようございます. 今のところ雪知らずの東村山在住,ゴーシュです.
最近,mixi で木村多江さんのニュースを見て,ふとブタネコさんを
思い出した次第です.(笑)

「笑いの大学」に関するお話,興味深く拝読しました.
三谷さんのこともいろいろと書いてらっしゃるのですね.
これを機会に,全ての記事を拝見させていただきました!

実は先日,「The有頂天ホテル」も遅ればせながら見たところです.
そして改めて,三谷さんは舞台の人なのだと思ったものです.

> 私は未見だが、おそらく この「笑いの大学」は~

このくだりに,「うむ」と頷く人も少なくないと思いますね.
すでにコメントされている方々もそのあたりを…というところでしょうか.(笑)
小生もこの映画の舞台版を見ておりますが,旧知の西村さんと
客演の近藤さんの緊迫感のあるやりとりは秀逸でした.
でもこの作品は,三谷さんの作品の中では小品だと思いますし,
本人も群集劇と違うものをという欲から書かれたものだと
推察しております.
小生の中での三谷さんの傑作は,サンシャインボーイズ時代なら
「ショウ・マスト・ゴー・オン」か「12人の~」のどちらか.
小品なら唐沢さん,森口さん,益岡さん,宮本さんの4人劇「出口なし」
が文句なしにというところです….

また「おそらくへそ曲がり的なシーンをひとつだけ~」に関してですが,
似たような所見を小生も覚えます.

加藤健一さんよりも,よりウエルメイドにニール・サイモン調を
再現される三谷さんも,こと映画となるとビリー・ワイルダーのようには
いかないものだなぁと,あごを擦りつつ残念に思いました.
芝居の基本は舞台にあるべきで,映画もそこを基点に役者は考える
必要はあると思います.しかし演出はと言うと,求められるものが
全く違うのだと,改めて勉強した思いです.

舞台と映画の決定的な違いはクローズアップです.
これの有無が演出的にも,芝居上も一番の差で,次が編集です.
レンズと編集によって,素材は如何ようにも解釈を作れる…,
でもそれだけにその選択には繊細な感覚が最も必要とされるのですね.
長回しやクレーンによるドリーなども,役者の演技を止めたくないからとか
感情の流れを切りたくないからと,選ぶ技術ではありません.
長回しも移動も,その方法論としての得手不得手を理解し,
役者にではなく,そのキャラクターの感情表現に何が一番フィットするかで
選択すべきだと,僭越ながら小生は考えます.

それとビリー・ワイルダーと三谷さんの決定的な違いは,女優さんの
見せ方の艶だと思います. 「アパートの鍵貸します」のシャーリー・マクレーンも
本当にチャーミングできれいに撮れていますね.
三谷さんの舞台では,そんなことは感じたことはないのですが,やはり映画と
なるとフレームや光の性質を理解していないと難しいようです.
例えば女性の顔を撮る時に,普段左右どちらの歯で噛んでいるかなどを
昔の撮影部さんはきちんと気にしていたようですよ.
噛んでいない方の輪郭がレンズに対して前に来るように,
上下を決めていました.

この映画は,「王様のレストラン」などで組んでいた星さんが監督を
されていますが,方向的にはそれでいいのだと思います.
映画の場合,シナリオは書かれても演出は他のかたにお任せするか,
もしくはロジャー・ディーキンスのように,シナリオを丁寧に理解できる
撮影部を探すことが節度かと存じます.
そうはいっても映画は華々しさも大切ですから 「その価格に見合う
満足感や納得感」 という意味ではこの作品は素材として小さかった
のかもしれませんね.

でも小生は相武さんと手馴れた感じで踊る三谷さんは大好きです.(笑)

★ ゴーシュ さん


>三谷さんのこともいろいろと書いてらっしゃるのですね.


すいません、相変わらずの殴り書きなんですが 御笑納頂けますと幸いです。


この「笑いの大学」を見ていて 感じた、というか思い起こしたのは「つかこうへい」の「熱海殺人事件」でして ずいぶん前に見た この舞台劇が今でも忘れられないぐらい面白かったのです。

ステージは警視庁の取調室で 登場人物は4人 役所と稲垣の様に若い刑事と容疑者が机を挟んで テンポの良い台詞をやりとりし、年配の刑事と 婦人警官が脇にいて…って感じで 本当に面白かった。

この作品は 数年後に映画化され、それを劇場で見た時に 間違い無く面白いんだけど、臨場感が足りず物足りなくて…

その時と まったくと言って良いほど 同じ気分を味わったんですね^^;


>「その価格に見合う満足感や納得感」 という意味ではこの作品は素材として小さかったのかもしれませんね.


暴論かもしれないと自分でも思うのですが…


舞台演劇で評価を得た作品を映画化するって事は ヒットした漫画や小説を映画化するのと似て非なるものじゃないかと思う時があります。

それは 舞台には舞台ならではの面白さというか、効果があり、「12人…」も そして、この「笑いの大学」も 舞台ならではの設定だからこそ 舞台で映えるし面白みも増す

だから、いくら舞台劇として評価が高いからといって それをそのまま映画に…ってのは無理もあるし 下手すると、舞台演劇の衰退にも繋がるんじゃないのか?なんて 個人的に思ったこともあるのですが…


ゴーシュさんのコメントによる御教示を拝読し その感がますます強くなりました。^^


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